ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05293032 |
---|---|
管理番号 | 1420573 |
総通号数 | 39 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2025-03-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-02-10 |
確定日 | 2025-01-08 |
分離された異議申立 | true |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第6476215号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6476215号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6476215号商標(以下「本件商標」という。)は、「olympe」の欧文字を標準文字により表してなり、令和3年3月19日に登録出願、第5類「人用栄養補助食品」、第29類「乳酸菌飲料」、第30類「コーヒー,コーヒー飲料」及び第32類「清涼飲料水」を指定商品として、同年10月29日に登録査定され、同年11月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の2件の商標であり(以下、これらをまとめていうときは「申立人商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 国際登録第807164号商標(以下「申立人商標1」という) 商標の態様 別掲1のとおり 指定商品 第29類及び第30類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品 国際商標登録出願日(事後指定) 2009年(平成21年)11月10日 設定登録日 平成23年(2011年)4月8日 2 国際登録第967714号商標(以下「申立人商標2」という) 商標の態様 別掲2のとおり 指定商品 第5類、第29類、第30類及び第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品 国際商標登録出願日(事後指定) 2011年(平成23年)10月10日 設定登録日 平成26年(2014年)2月14日 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号 (1)商品の類否 本件商標の指定商品中、第5類「人用栄養補助食品」及び第32類「清涼飲料水」は、申立人商標1の指定商品及び申立人商標2の第29類、第30類及び第32類の指定商品と同一・類似である。 (2)商標の類否 ア 商標の要部 本件商標は、その構成文字全体をもって自他商品役務識別力を発揮する商標の要部として認識される。 一方、申立人商標1は、その構成全体をもって自他商品役務識別力を発揮する商標の要部として認識され、また、申立人商標2については、その構成より標章全体、並びに、その文字要素「OLIMP」部分のみをもって自他商品役務識別力を発揮する商標の要部として認識される。 イ 商標の称呼・外観・観念からの検討 本件商標と申立人商標の要部とは、語頭から5文字目までの「OLYMP」の文字が共通し、語尾における「E」の文字の有無のみにおいて相違する。そして、一般的に慣れ親しみのある英単語「PIPE」、「HOPE」や「TYPE」など文字列の語尾に配される「PE」を「プ」と発音する例は枚挙に暇がない。したがって、本件商標からは「オリンペ」とともに「オリンプ」や「オラインプ」の称呼を生じる。他方、申立人商標からは、その構成文字に相応した「オリンプ」や「オラインプ」の称呼を生じる。 よって、本件商標と申立人商標とは共通の称呼をもって呼称されるため、これらの商標より生じる称呼は相互に同一である。 本件商標と申立人商標とは、称呼が同一であることから、これらは相互に類似する。そして、本件商標と申立人商標とを同一・類似の商品について使用し、特に「称呼」をもってこれらの商標を識別・区別する上では、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明白である。 (3)小括 以上より、本件商標は、申立人商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品又はこれに類似する商品について使用をするものである。したがって、本件商標は申立人商標との関係において、商標法第4条第1項第11号規定の商標に該当し、少なくとも本件商標の指定商品中、第5類「人用栄養補助食品」及び第32類「清涼飲料水」についての登録は取り消されるべきである。 2 商標法第4条第1項第15号 (1)狭義の混同 申立人商標は、申立人の提供にかかる商品、少なくとも商品「プロテイン」等のサプリメントを表示するものとして使用され、我が国における需要者の間に広く認識されている商標である。 申立人商標は、ポーランドにて1994年1月14日に最初に出願され(甲4)、我が国においては2009年11月10日に出願された(甲5)。そして、申立人は、申立人商標及び「OLYMP」(決定注:3文字目の「Y」は、「I」の誤記と思料する。以下同じ。)の文字を含む商号「Olimp Laboratories Sp.z.o.o.」を、主に「プロテイン」をはじめとする「サプリメント」について継続して使用している(甲6)。 さらに、申立人は、我が国を含む多数の国において前記商品について実際に申立人商標を使用し、多くの賞を受賞している(甲7)。また、多くの国にて商標登録をしている(甲8)。特に、我が国における申立人商標の使用については、その国内総代理店を通じて、申立人商標を使用した「サプリメント」を提供しており、SNSを通じて申立人の提供に係る商品の販促活動を継続して行っている(甲9、甲10)。日本国内における申立人の提供に係るサプリメント等の一年あたりの売上高は約7800万円であり、その2%が一年あたりの宣伝広告費用である(甲11)。 一方、本件商標と申立人商標は類似の関係にある。また、本件商標の指定商品と、申立人の提供に係るプロテイン等のサプリメント(以下「申立人商品」という。)とは、一部用途が共通し、その販売場所も共通する。そして、第29類「乳酸菌飲料」、第30類「コーヒー,コーヒー飲料」並びに第32類「清涼飲料水」については、広く世間一般の者が購入するものであることからすると、その需要者・取引者には、プロテイン等のサプリメントの需要者・取引者が含まれる。よって、本件商標と申立人商標が使用される商品の需要者・取引者は共通する。 したがって、本件商標をその指定商品について使用した場合には、申立人の提供に係る商品との関係で、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明白である。 よって、申立人商品と同一又は類似の商品、若しくは、これらに関連する本件商標の指定商品について申立人商標と類似する本件商標を使用した場合には、需要者・取引者は、本件商標が表示する商品は申立人の業務にかかる商品であるとして「直接的に」混同するおそれ、すなわち、「狭義の混同」を生じせしめるおそれがある。 (2)広義の混同 需要者・取引者が、本件商標が指標する商品は、申立人の提供にかかる商品であるとして「直接的に」混同するおそれはないとしても、申立人商標が少なくとも「プロテイン」等のサプリメントについて需要者の間に広く認識されている商標であることに鑑みれば、本件商標のその指定商品ヘの使用は、申立人の子会社若しくは関連会社の提供に係る商品であるとの緊密な営業上の関係、又は、同一の表示による展開事業を営むグループに属する関係にあると誤信されるおそれ、すなわち、「広義の混同」を生じるおそれがある。 (3)小括 本件商標をその指定商品について使用する行為は、周知な申立人商標の顧客吸引力、すなわち、グッドウィルを薄める(希釈する)行為(dilution)に他ならない。 よって、本件商標は申立人商標との関係において、商標法第4条第1項第15号に規定する商標に該当するものであり、その指定商品について商標登録を取消されるべき理由がある。 3 商標法第4条第1項第19号 (1)本件商標は、他人である申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標である。 (2)申立人がプロテイン等のサプリメントについて使用する商標「OLYMP」は、本件商標の出願日の時点において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていた。 (3)不正の目的 ア 申立人の商標「OLYMP」は、少なくとも日本国内全域での提供実績があり、「プロテイン」の分野において、需要者・取引者の間に広く認識されていることは明らかである。 イ 申立人の商標「OLYMP」は、特段の意味合いを有しない造語である。そして、先行して使用され、需要者・取引者の間で広く認識されるに至っている申立人商標「OLYMP」に類似する本件商標を、本件商標の権利者が採択する理由は、申立人商標に化体した信用にただ乗りする意図に基づくことに他ならない。よって、本件商標の出願人が、「サプリメント」について実際に使用される申立人商標を知って、すなわち「悪意」で本件商標の出願に及んだことは明白である。 ウ 申立人の所有にかかる商標は、「サプリメント」の分野においては、申立人の提供に係る商品の表示として広く認識されるに至っているから、申立人商標「OLYMP」に類似する本件商標を使用した場合は、申立人商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りし、その信用・名声及び顧客吸引力を利用することが可能である。 よって、申立人の提供に係るプロテイン等のサプリメントについて先行して使用される申立人商標に類似する本件商標の使用は、申立人商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがある行為に他ならない。 (4)小括 本件商標は申立人商標との関係において、商標法第4条第1項第19号に規定する商標に該当するものであり、その指定商品について商標登録を取消されるべき理由がある。 4 結語 以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知性について 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 申立人商標1と酷似する態様からなる商標が、ポーランドにて1994年1月14日に最初に登録出願され(甲4)、我が国においては申立人商標2に係る商標が2009年11月10日に国際商標登録出願(事後指定)された(甲5)。 申立人は、申立人商標及び「OLIMP」の文字を含む商号「Olimp Laboratories Sp.z.o.o.」を、主に「プロテイン」をはじめとする「サプリメント」について継続して使用しており(甲6)、我が国を含む多数の国において前記商品について実際に申立人商標を使用した商品を販売し、当該商品は、多くの賞を受賞している(甲7)旨、また、申立人は、多くの国にて商標登録しており(甲8)、我が国における申立人商標の使用については、申立人の国内総代理店を通じて、申立人商標を使用した「サプリメント」を提供し、SNSを通じて申立人の提供に係る商品の販促活動を継続して行っている旨(甲9、甲10)、そして、日本国内における申立人の提供に係るサプリメント等の一年あたりの売上高は約7800万円であり(申立人主張)、その2%が一年あたりの宣伝広告費用である旨(甲11)主張している。 しかしながら、申立人が申立人商標を使用した商品を販売し、当該商品が多くの賞を受賞しているとしても、その賞の主催者や賞の内容、どのような者が受賞したのか等、これらの賞の詳細は確認することができず、また、諸外国で商標登録された事例が直ちに、我が国における申立人商標の周知・著名性に結びつくものではない。 さらに、日本国内における申立人の提供に係るサプリメント等の売上高及び宣伝広告費にしても、その根拠とするのは申立人主張及び陳述書(決定注:証拠方法として提出された陳述書には、「甲第12号証」と表示されているが、「甲第11号証」の誤りと認める。)のみであり、これらの内容を裏付ける証拠の提出はなく、そのほかに申立人商標を使用した「サプリメント」の我が国又は外国における売上高、市場シェアなど販売実績に係る証拠の提出はない。 上記からすれば、申立人商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「olympe」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「オリンポスの神々」等の意味を有する語(「クラウン仏和辞典 第7版」株式会社三省堂)として辞書に掲載されているとしても、その意味が、我が国の一般需要者の間でよく知られたものとは認めがたいから、特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として理解されるものである。 そして、特定の意味を有さない欧文字からなる造語にあっては、我が国で広く親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みにならって称呼されるのが一般的といえるから、本件商標からは、「オリンペ」の称呼を生じるものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、「オリンペ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)申立人商標について 申立人商標は、別掲のとおり、「OLIMP」の文字からなるか、その構成中に「OLIMP」の文字を顕著に含むものであるから、当該文字に相応し「オリンプ」の称呼を生じ、「ルーマニア南東部、黒海に面する海岸保養地。」等の意味を有する語(「デジタル大辞泉」株式会社小学館)として辞書に掲載されているとしても、その意味が、我が国の一般需要者の間でよく知られたものとは認めがたいから、特定の観念を生じないものというのが相当である。 (3)本件商標と申立人商標の類否について 本件商標と申立人商標の類否を検討すると、両者の構成は、上記(1)及び(2)のとおりであるところ、小文字と大文字の相違、第3文字目における「y」と「I」の文字の相違、末尾にける「e」の文字の有無、色彩の有無といった差異を有し、比較的短い6文字と5文字の構成にあって、これらの差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれはない。 次に、本件商標から生じる「オリンペ」の称呼と申立人商標から生じる「オリンプ」の称呼とを比較すると、両称呼は、末尾における「ペ」と「プ」の音において相違するところ、それぞれの前音「ン」が弱音であることから、「ペ」と「プ」の音は、共に強く発せられるものであり、4音という比較的短い音節からなる両称呼全体に与える影響は大きいものといえるから、それぞれを一連に称呼しても、語調語感が異なるものとして聴別され、称呼上、相紛れるおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標と申立人商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することはできない。 そうすると、本件商標と申立人商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と申立人商標が類似するというべき事情は見いだせない。 なお、申立人は、本件商標からは「オリンペ」とともに「オリンプ」等の称呼を生じる旨主張するが、たとえ当該称呼が生じ、複数生じ得る称呼の一つを共通にする場合があるとしても、本件商標と申立人商標との外観上の相違が与える影響は小さくなく、本件商標と申立人商標は、これらの外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と申立人商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号について 上記1のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2のとおり、本件商標と申立人商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号について 上記1のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と申立人商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標である。 さらに、申立人が提出した証拠及び同人の主張からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないものである。 さらに他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 申立人商標1(色彩は原本参照) ![]() 別掲2 申立人商標2(色彩は原本参照) ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-12-24 |
出願番号 | 2021033478 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W05293032)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 須田 亮一 |
登録日 | 2021-11-25 |
登録番号 | 6476215 |
権利者 | 株式会社リラナチュレ |
商標の称呼 | オリンペ、オランプ |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 過 立飛 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 本田 彩香 |
代理人 | 朝倉 美知 |
代理人 | 野中 信孝 |
代理人 | 永田 昇 |