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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
管理番号 1420389 
総通号数 39 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2022-07-09 
確定日 2025-01-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4870155号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4870155号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4870155号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成16年11月24日に登録出願、第29類「豚肉,豚肉製品」を指定商品として、同17年6月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年7月27日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年(2019年)7月27日から令和4年(2022年)7月26日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第3号証は、いずれも要証期間における本件商標の使用を証明する客観的な証拠ではない。
(2)乙第2号証及び乙第3号証の「お知らせ」と題する書面の記載をもっては、本件商標を要証期間内に請求に係る商品に使用していたとは認められない。この書面には「令和3年5月21日」との記載はあるが、この日付にこの書面が作成されたことを客観的に示すものではないし、このような書面であれば今からでも簡単に作成可能である。
(3)乙第3号証の書面の左上にある印字からは「2022/11/24 16:21」に当該印字に記載の送信者からFAXを受信したものであろうことが予測されるのみである。なお、FAXの印字についてもFAX機器の日時等の設定によって変更可能であるため、これも確実な日付を示す証拠とはいえないが、この書面が「2022/11/24 16:21」に受信されていたとしても要証期間外のものであり、要証期間内に本件商標を請求に係る商品に使用していた証拠とはなり得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由として「使用している。」と述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和6年3月8日付けで審尋を行い、回答を求めた。その要旨は、以下のとおりである。
1 審判事件答弁書及び乙第1号証ないし乙第3号証によっては、(1)被請求人の「会社概要」と題する乙第1号証からは、本件商標が、どの商品に使用されているのか、誰によって使用されているのか等が明らかではないこと、(2)「有限会社アグリテクノス」から「農事組合法人 倶来夢農場」宛ての書面である乙第2号証及び乙第3号証によれば、登録商標「栗金豚」の表示の件について協議を重ねたものの、各事情を検証した結果、当分の間は見合わせるとの判断がされたことが読み取れるにすぎず、本件商標の使用に係る事実を把握することができないことから、被請求人は、本件商標を使用したことを証明したものと認めることができない。
2 前記1及び審判事件弁駁書に対する意見、又は本件商標の使用をしていることについての更なる証明があれば、主張、立証されたい。

第5 審尋に対する被請求人からの回答
被請求人は、前記第4の審尋に対して、令和6年4月11日付け意見書を提出し、要旨次のように述べた。
1(1)商標権者は、平成19年10月19日に「農事組合法人倶来夢農場」(以下、本意見書において「農場」という。)と養豚コンサル契約を締結し、生産する豚肉の生産性と品質向上並びに銘柄豚作出等について商標権者の専門的技術を供与して閉鎖群育種手法に基づいて確立してきた。作出には家畜集団遺伝学の見地から数世代にわたるため、中長期的年月を要するという背景から、「栗金豚」(以下、本意見書において「商標」という。)は、一般的な地名や給与する飼料等の名称を冠する事例とは全く異なる。
(2)インバウンドによる外食需要拡大及び東京五輪開催に合わせて、豚肉の高品質化を実現し、流通・小売関係者から高い評価を得て商標を冠してのブランド化、量産体制に入る段階で、新型コロナウイルス感染症問題が世界規模で発生した。
(3)インバウンド・外食産業等全ての経済活動は停止状態で、パンデミックでの不要不急の外出は法的制限が発令された。
(4)商標権者は、農場に対して「この非常時・大混乱の中で、自己経営を守ることに専念して将来やがて到来する終息後に、経済情勢と消費動向を注視して再起すべき」と提言し双方が合意した。計画どおり商標をもって展開したならば、経営破綻に至ったと思う。
(5)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の総額は、平成元年当時の国家予算に匹敵する巨額な規模となって、国民と生活基盤・社会経済救済のため歴史的な出来事であった。
(6)本件商標は使用しなかったのではない。上記の社会的大混乱・非常事態の中で使用して展開ができる情勢下では全くなく、商標を冠しての販売は断念せざるを得なかった。社会的かつ不可抗力であり、商標権者と農場双方の理由・事情ではない。
2 審判事件弁駁書の理由にあるfax交信記録年月日時刻の記述は、一方的な憶測に過ぎず、断固否定する。商標権者は改ざん等、一切しておらず、その必要性も全く存在しない。

第6 当審の判断
1 本件商標の使用について
被請求人の「会社概要」と題する乙第1号証には、被請求人の名称とともに、「10.主なる業務」の項に「養豚に関する、コンサルティング全般」等の記載、「11.知的所有権」の項に本件商標の登録番号等の記載とともに、「栗金豚」の記載等が確認できるが、当該会社概要からは、本件商標が、どの商品に使用されているのか、誰によって使用されているのか等が明らかではない。
また、「有限会社アグリテクノス」から「農事組合法人 倶来夢農場」宛ての令和3年5月21日付けの書面である乙第2号証及び乙第3号証によれば、登録商標「栗金豚」の表示の件について協議を重ねたものの、各事情を検証した結果、当分の間は見合わせるとの判断がされたことが読み取れるにすぎず、本件商標の使用に係る事実を把握することができない。
その他、被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張から、本件商標の使用に係る事実は何ら把握することができない。
そして、前記第5における被請求人の意見からすれば、本件商標の使用は、断念されていたものと解される。
以上からすると、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を請求に係る商品について使用をしていることを証明したものと認めることはできない。
2 商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」の有無について
商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために使用をすることができなくなった場合をいうと解すべきである。(東京高等裁判所 平成7年(行ケ)第124号判決、知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10160号判決、知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10012号判決 参照)
これに対し、被請求人が主張する事由は、前記第5の1に記載のものであるところ、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)における新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置による協力要請がされた時期と要証期間とは一部において重複する時期(広くみて計約14ヶ月程度)があり(職権調査)、本件商標の表示について当分の間見合わせるとしたことがうかがえる時期(令和3年5月頃)とも重なっているものの、要証期間の全ての期間において経済活動が止まっていたわけではなく、外出自粛の影響により、食肉の家計消費は増加基調であり、需要は旺盛であった旨の調査結果もある(職権調査:https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002413.html)。
してみれば、上記の状況下で事業化を進めるか否かは、商標権者の経営上の判断によるものといえる。
その他、被請求人提出の乙各号証及び同人の主張から、本件商標の使用(事業実施)に影響を与えるような、商標権者の責めに帰することができない事由が発生したと認めるに足る事実は見いだせない。
以上からすると、要証期間に本件商標を使用できなかったとしても、それは主として商標権者の事情(経営上の判断を含む。)によるものであって、被請求人が主張する事由は、その責めに帰すことができない事由とは認めることができない。
そうすると、被請求人の主張する上記事由は、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」には当たらないというべきであって、その他、本件商標に関し、上記「正当な理由」があることは何ら認められない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえない。
また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本件商標(色彩は原本参照)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-11-22 
結審通知日 2024-11-27 
審決日 2024-12-18 
出願番号 2004107114 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y29)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 板谷 玲子
豊瀬 京太郎
登録日 2005-06-10 
登録番号 4870155 
商標の称呼 クリキントン、クリキンブタ、クリキン 

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