ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W3343 |
---|---|
管理番号 | 1419414 |
総通号数 | 38 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-06-30 |
確定日 | 2024-12-12 |
事件の表示 | 商願2022−141879拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和4年12月13日に出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和5年 4月 5日付け:拒絶理由通知書 令和5年 4月14日 :意見書の提出 令和5年 6月19日付け:拒絶査定 令和5年 6月30日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲の構成よりなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く)」及び第43類「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。 (1)登録第1614802号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「みどり」「翠」及び「すい」の文字を三段に横書きしてなるもの 指定商品:第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」 登録出願日:昭和54年11月15日 設定登録日:昭和58年9月29日 書換登録日:平成17年3月30日 (2)登録第6074564号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:「翠」(標準文字) 指定役務:第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,会議室・展示施設の貸与」及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日:平成29年10月27日 設定登録日:平成30年8月24日 (3)登録第6261284号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:「翠」(標準文字) 指定商品:第33類「ジン,日本酒,泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,麦芽または麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール、ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),中国酒,薬味酒,アルコール飲料(ビールを除く)」 登録出願日:令和元年8月2日 設定登録日:令和2年6月18日 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標 本願商標は、別掲のとおり、(ア)宇宙空間を表したような背景内に、(イ)上方には白抜きの「HIGHBALL STAND」の欧文字を表し、(ウ)中央部分には地球のような図形(以下「地球図形」という場合がある。)と、(エ)(ウ)に重なるように筆文字風の「翠」の漢字をひときわ大きく表し、(オ)その右横に双葉のような図形(以下「双葉図形」という場合がある。)及び(カ)「MIDORI」の欧文字を上下二段に配した構成よりなるものであり(ウ)ないし(カ)は、それぞれの構成部分を緑色の色調で表したものである(以下、(ウ)ないし(カ)を「中央緑色部分」という。)。 そして、本願商標は、上記のとおり複数の構成要素からなる結合商標であるところ、全体として、常に一体不可分のものとしてのみ認識、把握されなければならない特段の事情を見いだし得ないものであって、かつ、(ア)は商標全体の背景として看取されるものである。 そうすると、本願商標構成中の「中央緑色部分」は、全体中央の目立つ位置に大きくまとまりよく表されており、強く支配的な印象を与える要部として独立して認識されるものといえる(以下「中央緑色部分」を「本願要部」という場合がある。)。 そこで、本願要部についてみるに、(ウ)は、(エ)ないし(カ)を強調する背景図形と認識され得るものであり、(エ)の「翠」の文字は、「1草木の新芽。また、初夏の若葉。2青と黄との間色。草木の葉のような色。みどりいろ。3深い藍色。」の意味(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)を有する語であって、(オ)の双葉図形からは「草木の新芽」ほどの意味合いを認識し得るものであり、(カ)は(エ)の読みを欧文字で表したものと無理なく認識し得るものであるから、本願要部からは、「ミドリ」の称呼を生じ、「1草木の新芽。また、初夏の若葉。2青と黄との間色。草木の葉のような色。みどりいろ。3深い藍色。」の観念を生ずるものといえる。 イ 引用商標 (ア)引用商標1 引用商標1は、「みどり」「翠」及び「すい」の文字を中心をそろえて3段に横書きした構成よりなるところ、1段目の「みどり」及び3段目の「すい」の文字は、その構成より、2段目の「翠」の文字の読みを表したものと無理なく看取し得るものといえる。そして、「翠」の文字は、上記アと同様に「1草木の新芽。また、初夏の若葉。2青と黄との間色。草木の葉のような色。みどりいろ。3深い藍色。」の意味に相応した観念を生ずるものである。 そうすると、引用商標1よりは、「ミドリ、スイ」の称呼を生じ、上記観念を生ずるものといえる。 (イ)引用商標2及び引用商標3 引用商標2及び引用商標3は、「翠」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ミドリ、スイ」の称呼を生じ、上記アと同様に「1草木の新芽。また、初夏の若葉。2青と黄との間色。草木の葉のような色。みどりいろ。3深い藍色。」の観念を生ずる。 ウ 本願商標と引用商標との類否 本願商標と引用商標との類否について検討するに、それぞれ、上記ア及びイの構成よりなるところ、全体の外観において、図形の有無及び構成文字に差異を有するものの、本願要部との比較においては、引用商標とは、図形の有無及び構成文字に差異を有するものの、いずれも「翠」の構成文字(漢字)を共通にするものであるから、近似した印象を与えるものといえる。 次に、称呼において、本願商標は「ミドリ」の称呼を生じるのに対し、引用商標は「ミドリ」及び「スイ」の称呼を生ずるところ、「ミドリ」の称呼と「スイ」の称呼とを比較すると、構成音数及び音構成に明らかに差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものの、両者は「ミドリ」の称呼を共通にする。 そして、観念において、両者は、「1草木の新芽。また、初夏の若葉。2青と黄との間色。草木の葉のような色。みどりいろ。3深い藍色。」の観念を同じくする。 そうすると、本願商標と引用商標とは、本願要部との比較において、複数の称呼のうち1つの称呼が明瞭に聴別できるものであるとしても、その他の称呼を共通にし、観念を同じくするものであり、外観において近似した印象を与えるものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 エ 本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否 本願の指定商品と、引用商標1及び引用商標3の指定商品とは、同一又は類似の商品であり、また、本願の指定役務は、引用商標2の指定役務に含まれるものである。 オ 小括 以上より、本願商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、観念において、本願商標からは視覚上視感度が最も高い翠色で統一的に表記されている部分から「翠の地球(グリーンアース)」、「エコロジー」、「環境保護」等が生じ、特に「宇宙空間図柄」との関係でより印象に残りやすい「翠の地球(グリーンアース)」の観念が強固に生じるものと思われる旨主張する。 しかしながら、請求人は、「視覚上視感度が最も高い翠色で統一的に表記されている部分」、すなわち、中央緑色部分からは、上述のごとき観念を生ずると主張するにとどまるのみで、そのことを示す具体的な証拠は提出していないものであり、また、職権をもって調査するも、本願の指定商品及び指定役務との関係において、中央緑色部分から、請求人の主張するような観念が生ずるとすべき事情は発見できなかった。 イ 請求人は、取引者、需要者は日常親しまれ、見慣れた「地球図柄部分」をとらえて取り引きする場合も少なくないものと思われる旨主張する。 しかしながら、地球図形は、上記(1)のとおり、(エ)ないし(カ)を強調する背景図形と認識され得るものであるから、地球図形の中央に重なるように大きく表された「翠」の漢字や、その右横に配した「双葉図形」及び「MIDORI」の文字を捨象して、地球図形をもって取引に資されるとはいえない。 ウ 請求人は、「HIGHBALL STAND」の文字列から、「ハイボールボトル」を保持する支持体等の観念が生じ、本願の指定商品及び指定役務との関係において、一定の識別力を有している旨主張する。 しかしながら、職権をもって調査するも、本願の指定商品及び指定役務との関係において、「HIGHBALL STAND」の文字が「ハイボールボトル」を保持する支持体を表す語として一般に認識されているという実情は発見できないうえ、「HIGHBALL STAND」の文字部分については、各語の意味(「ハイボール【highball】:ウィスキー・ジンなどをソーダ水などで割った飲料。」[広辞苑第7版 株式会社岩波書店]、「スタンド【stand】:物を立てたり掛けたりする台、立ったまま飲食する店。屋台店。「コーヒー‐―」、スタンド‐バーの略。」[前掲書])からは「ハイボールを立ったまま飲む店」ほどの意を認識させるから、本願の指定商品及び指定役務との関係では自他商品役務識別機能が弱いものといえる。 そして、上記(1)アに認定のとおり、本願商標は、複数の構成要素を組み合わせた結合商標であるところ、本願商標に接する需要者、取引者をして、その構成中、中央部分に顕著に表された中央緑色部分の文字部分が看者の注意を引く部分といえる上、本願の指定商品及び指定役務との関係において、品質等を表す文字ではなく自他商品役務識別機能が強い部分といえるから、中央緑色部分の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。 エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標(色彩は、原本参照。) ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-09-19 |
結審通知日 | 2024-09-24 |
審決日 | 2024-10-24 |
出願番号 | 2022141879 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W3343)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 飯田 亜紀 |
商標の称呼 | ハイボールスタンドミドリミドリ、ハイボールスタンドミドリ、ハイボールスタンド、スタンド、ミドリミドリ、ミドリ、スイ |
代理人 | 石黒 修 |