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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W33
管理番号 1419406 
総通号数 38 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-15 
確定日 2025-01-06 
事件の表示 商願2021−131231拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年10月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 4日付け:拒絶理由通知書
令和4年 8月15日 :意見書の提出
令和4年 9月 2日付け:拒絶査定
令和4年12月15日 :審判請求書の提出
令和6年 2月13日付け:審尋
令和6年 6月17日 :回答書の提出

2 本願商標
本願商標は、「まろやか仕込」の文字を標準文字で表してなり、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「まろやか仕込」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「まろやか」の文字は、「味などが、おだやかなさま」の意味を、「仕込」の文字は、「酒や味噌・醤油などの醸造で、原料を混ぜて桶などにつめること」の意味を有する親しまれた語であるから、本願商標は全体として、「まろやかな味わいに仕込んだ」ほどの意味合いを理解させる。そして、例えば、日本酒を取り扱う業界においては、どう仕込むかによって味わいが変化することが知られており、加えて、本願商標に係る指定商品を含む酒類を取り扱う業界においては、所定の製法を用いてまろやかな味わいに仕込んだ商品が取引されている実情があり、そのような酒類について、「まろやか仕込」の語を使用している例もある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「まろやかな味わいに仕込んだ商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を認識し得ないものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。

4 当審における審尋
当審において、前記1の審尋により、別掲1ないし別掲3に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)本願商標は、「味などが、おだやかなさま」を意味する「まろやか」と、「酒や味噌・醤油などの醸造で、原料を混ぜて桶などに詰める製造工程」を意味する「仕込」とを結合した点に独自性がある。
(2)別掲1は、味がまろやかであることを言うのみであり、製造工程に言及しない点で本願商標とは直接関係しないし、別掲2の用例は、「辛口仕込」、「淡麗仕込」、「淡麗仕込み」、「濃厚仕込」、「濃醇仕込」という、本願商標とは異なる語との結合例を示すものが4態様挙げられているにとどまる。また、別掲3(1)及び(2)は商品の品質を普通に表したものとは言い難く、商品の品質を表現したものとしてみることができるのは、別掲3(3)の用例1件のみであり、このような限られた例を以て、「味わい」と「製造工程」を表す語を結合してなる本願商標が恰も一般的な品質表示であるかのように判断するのは行きすぎである。

6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「まろやか仕込」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中、「まろやか」の文字は「口あたりが柔らかいさま。味が穏やかなさま。」等の意味を、「仕込」の文字は「醸造業で、原料を混ぜて桶などに詰めること。また、その作業。」等の意味(いずれも「デジタル大辞泉」株式会社小学館)を有する語として、広く一般に親しまれているものであるから、本願商標は、「まろやか」及び「仕込」の文字を結合してなるものと容易に看取できる。
そして、本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野では、味わいがまろやかであることをうたう商品が多数存在し、「まろやかな味わい」のように称されている(別掲1)。また、「○○仕込」若しくは「○○仕込み」(○○は、辛口、淡麗、濃厚等、商品の味わいを表す文字。)の文字が、味わいが○○になるように仕込むことを表す語として使用されている事実が見受けられる(別掲2)。さらに、これらの中には、味わいがまろやかになるように仕込むことを表す語として「まろやか仕込」若しくはこれに通ずる「まろやか仕込み」の文字が少なからず使用されている事実も見受けられるものである(別掲3)。
以上の内容を踏まえると、上記各意味合いを有する「まろやか」「仕込」の文字を結合したにすぎない本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「味わいがまろやかになるように仕込んだ商品」という商品の品質を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、前記5(1)及び(2)のとおり主張する。
しかしながら、本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野において、味わいがまろやかであることをうたう商品が多数存在し、「まろやかな味わい」のように称されていること(別掲1)、「○○仕込」若しくは「○○仕込み」(○○は、辛口、淡麗、濃厚等、商品の味わいを表す文字)の文字が、味わいが○○になるように仕込まれたことを表す語として使用されていること(別掲2)、そして、味わいがまろやかになるように仕込むことを表す語として「まろやか仕込」若しくはこれに通ずる「まろやか仕込み」の文字が使用されていること(別掲3)を合わせ鑑みると、「まろやか仕込」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「味わいがまろやかになるように仕込んだ商品」という商品の品質を表示したものと認識するにすぎないといわざるを得ない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野において、味わいがまろやかであることをうたう商品が多数存在し、「まろやかな味わい」のように称されている事実(下線は、合議体において付与。以下同じ。)
(1)「朝日酒造ONLINE SHOP」のウェブサイトにおいて、「久保田 萬寿 自社酵母仕込」の見出しの下、「理想の味わいを実現する自社酵母」の項に「・・その酵母の力を最大限に発揮させる醸造過程を経ることで、重層的でエレガントな香りと、深くまろやかな味わいが生まれました。」の記載がある。
https://www.asahi-shuzo-online.jp/SHOP/B111.html
(2)「宝酒造」のウェブサイトにおいて、「ニュースリリース」の見出しの下、「〜すっきりした喉越しとまろやかな味わいを両立した春夏の定番!〜 松竹梅「まろやか冷酒」1.8L 季節限定新発売」の記載がある。
https://www.takarashuzo.co.jp/news/2018/TS17-086.htm
(3)「本坊酒造株式会社」のウェブサイトにおいて、「甕仕込み マスカット・ベーリーA」の見出しの下、「穂坂地区産マスカット・ベーリーA葡萄を、甕でじっくりと発酵させたワインは、「心地よく甘い香りが漂い」「柔らかくまろやかな味わい」に仕上がりました。甕仕込みで造った、ミディアムボディ赤ワインの逸品です。」の記載がある。
https://www.hombo.co.jp/product/cm-prestige-kamejikomi-muscatberry-a/
(4)「GEKKEIKAN」のウェブサイトにおいて、「つき」の見出しの下、「甘味と酸味のバランスが良い、まろやかな味わいのお酒。」の記載がある。
https://www.gekkeikan.co.jp/products/type04/tuki/
(5)「MORITA」のウェブサイトにおいて、「吟醸酒」の見出しの下、「・・果実のような香りと、まろやかな味わいが特長です。・・」の記載がある。
http://moritakk.com/products/sake/ginjo
(6)「酒舗井上屋」のウェブサイトにおいて、「新里ウイスキー 700ml(しんざと ウイスキー 泡盛 箱付き)」の見出しの下、「商品詳細」の項に「・・濃厚芳醇。熟成に熟成を重ねた深い味わい。泡盛古酒由来のバニラ香と新樽由来のバニラ香が複雑に絡み合い、奥深いまろやかな味わいが生まれました。・・」の記載がある。
https://www.sakeweb.jp/product/1623
(7)「田村合名会社」のウェブサイトにおいて、「甕仕込み 鷲尾」の見出しの下、「・・名に冠するように1次も2次も甕で仕込む焼酎で口当たりも深くまろやかな味わいで、さつま芋特有の甘さが感じられます。・・」の記載がある。
https://junkuro.jp/brand/washio/
(8)「重松貿易株式会社」のウェブサイトにおいて、「陳年紹興酒 8年」の見出しの下、「長期熟成させた紹興酒。人肌の温かさで燗すれば、まろやかな味わいとコクが広がります。」の記載がある。
http://www.shigematsu.jp/hardliquor/china.html

別掲2 本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野において、「○○仕込」若しくは「○○仕込み」(○○は、辛口、淡麗、濃厚等、商品の味わいを表す文字)の文字が、味わいが○○になるように仕込まれたことを表す語として使用されている事実
(1)「金沢中村酒造株式会社」のウェブサイトにおいて、「辛口仕込 鼓 1800ml」の見出しの下、「低温でじっくり仕込・熟成させた、ほどよいコクのある本格的な辛口。」の記載があり、「商品特徴」の項に「日本酒本来の旨さを残しながらも淡麗辛口に仕上げてあるため、その旨さとキレによりどんな料理にも合わせられる味わいです」の記載がある。
https://nakamura-shuzou.co.jp/products/detail.php?product_id=87
(2)「奈良の地酒屋 登酒店」のウェブサイトにおいて、「藤市酒造 菊鷹 山廃純米酒 7号酵母 辛口仕込 無濾過生 30BY」の見出しの下、「・・ビターな要素が強く感じられ、辛口らしいキリッとした味わいに、グレープフルーツ的な果実味。・・」の記載がある。
https://www.nobori-sake.com/shouhin/zenkoku_nihonsyu/fujiichi/item.html
(3)「宝酒造」のウェブサイトにおいて、「松竹梅「辛口道」新発売」の見出しの下、「宝酒造株式会社(社長:大宮 久)は、旨みのある辛口にこだわった清酒“松竹梅「辛口道(からくちどう)」”を3月16日(火)より、全国で発売します。・・“松竹梅「辛口道」”は「辛口仕込」という仕込方法により、酵母の働きを旺盛にすると同時に旨みのある味わいを引き出し・・」の記載がある。
https://www.takarashuzo.co.jp/news/2010/09-I-030.htm
(4)「キョクジュ.NET」のウェブサイトにおいて、「菊正宗 ピン淡麗仕込」の見出しの下、「「ピン淡麗仕立」はうまみのある辛口で、のどごし爽やかな淡麗な酒質に仕上がっている。」の記載がある。
http://www2.infomart.co.jp/buyer/search/prod_detail_oroshi.page;JSESSIONID_TRADE=fa3aecb68f55f30d22c950cd0b73?0&pid=6118326&psales_smcd&oroshi_smcd=S5ESg64G&mcd=S5ESg64G&IMReferer=/buyer/search/prod_detail.page
(5)「高知の地酒専門店西寅」のウェブサイトにおいて、「日本酒 菊水酒造 純米吟醸「四万十川」 箱入 720ml」の見出しの下、「添加物を一切使用せずに磨きあげた米・麹・酵母と清浄な天然水で醸しだした、土佐淡麗仕込みの純米吟醸酒です。爽やかな吟醸香とスッキリとした喉越しはとても心地良く、ライトブルーのボトルと相まって青く澄んできれいな清流“四万十川”の大自然を感じさせてくれます。」の記載があり、商品写真中に「土佐淡麗仕込み」の文字が記載されている。
https://www.nishitora.jp/SHOP/059204.html
(6)「kokonoe」のウェブサイトにおいて、「白九重 1.8Lびん」の見出しの下、「米焼酎の豊かな香り。「濃厚仕込」の本格本みりん。本みりんの最も大切な特長である「甘味」をより一層重視し、本格焼酎を原料に「濃厚仕込」によって造った本みりんです。のびが効く重厚な味わいと、本格焼酎の華やかな香り。」の記載がある。
https://www.kokonoe-shop.com/fs/kkne1772/16067
(7)「酒舗井上屋」のウェブサイトにおいて、「楯野川 純米大吟醸 飛切濃厚仕込 1800ml」の見出しの下、「「飛切濃厚仕込」は創業当時と同様に、汲み水を詰める(仕込みの際に使用する水の割合を減らす)ことで、非常に濃厚な味わいに仕上げました。」の記載がある。
https://www.sakeweb.jp/product/1202
(8)「日本食糧新聞」のウェブサイトにおいて、「「米だけの酒 丹波蔵濃醇仕込」発売(黄桜酒造)」の見出しの下、「・・丹波杜氏(とうじ)の技術と丹波の風土を生かし、コクとまろやかさを併せ持つ味わい深い酒質に仕上げた。・・」の記載がある。
https://news.nissyoku.co.jp/foodsnews/nss-9040-0088

別掲3 本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野において、味わいがまろやかになるように仕込むことを表す語として「まろやか仕込」若しくはこれに通ずる「まろやか仕込み」の文字が使用されている事実
(1)2017年10月20日の日本食糧新聞6ページにおいて、「「サッポロ 冬物語」発売(サッポロビール)」の見出しの下、「・・◆商品特徴=酒類。数量限定。アルコール分6%。冬季限定。“冬のまろやか仕込”で、ぜいたくでまろやかなコクがある。・・」の記載がある。
(2)2012年12月7日の東京新聞朝刊地方版(横浜版)26ページにおいて、「モーツァルトでまろやか仕込み 秦野の酒造店 正月用出荷控え最盛期」の見出しの下、「・・。作業中は、麹(こうじ)室や仕込み蔵などに設置した約十台のスピーカーから常にモーツァルトが流れる。内山さんは「音の振動で麹菌や酵母の働きが活発になり、モーツァルトの調べでは、角の取れたまろやかな味わいに仕上がる」と話す。・・」の記載がある。
(3)2012年10月1日の日本食糧新聞10ページにおいて、「「米づくり〜まろやか仕込み〜」発売(日本たばこ産業)」の見出しの下、「・・◆商品特徴=果実、清涼飲料。シリーズ新アイテム。国産コメの米粉、米麹糖化液を使用したコメの自然な甘みに、乳素材を合わせたまろやかな味わいのコメの炭酸飲料。・・」の記載がある。


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。

審判長 大森 友子
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2024-07-25 
結審通知日 2024-08-01 
審決日 2024-08-22 
出願番号 2021131231 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W33)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 飯田 亜紀
小俣 克巳
商標の称呼 マロヤカジコミ、マロヤカシコミ 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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