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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W0942
管理番号 1418313 
総通号数 37 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-07-12 
確定日 2024-11-29 
事件の表示 商願2021−42151拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年4月7日に出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月14日 :意見書の提出
令和5年 4月10日付け:拒絶査定
令和5年 7月12日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「AST」の文字を標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する願書記載の別掲1の商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1609338号(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2020年(令和2年)10月27日に欧州連合知的財産庁においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2021年(同3年)4月22日に国際商標登録出願、第9類「Apparatus and instruments for scientific research in laboratories; photographic apparatus and instruments; cinematographic apparatus and instruments; optical apparatus and instruments; signals, luminous or mechanical; monitoring apparatus, other than for medical purposes; life saving apparatus and equipment; teaching apparatus; navigational instruments; apparatus and instruments for recording, transmitting, reproducing or processing sound, images or data; computer software; electronic control instruments; touch sensitive control panels.」及び第42類「Scientific and technological research and development; engineering in the field of sensor and control technology, technical project planning in the field of sensor and control technology; research and development in the field of sensor and control technology; programming of electronic control systems.」を指定商品及び指定役務として、2023年(同5年)3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記2のとおり、「AST」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「大西洋(標準)時」を意味する「atlantic standard time」の略称(「プログレッシブ英和中辞典 第5版」株式会社小学館)として辞書に掲載されている語であるものの、我が国において一般に親しまれている語とはいえないことから、本願商標は、特定の意味合いを認識することのできない一種の造語よりなるものというのが相当である。
そうすると、本願商標よりは、その構成態様に相応して「エイエステイ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、(ア)円形輪郭内の、(イ)中央左側に略三角形の図形を配し、(ウ)その右横に「PS2」(「2」は「PS」の文字の約4分の1ほどの大きさで、「S」の文字の右上方に配されている。)の文字及び数字を配し、(エ)(イ)及び(ウ)の下部には、「PS」の文字の約9分の1ほどの大きさで表された「PREDICTIVE SERVICE」及び「& SAFETY」の文字を上下二段に中央をそろえて配した構成よりなり(以下(ア)ないし(エ)を合わせて「上部図形部分」という。)、上部図形部分は、まとまりのよい一体的な印象を与えるものである。
そして、上部図形部分の右下には、灰色に彩色され半角文字程で表された「by」の文字及び黒色の全角で表された「AST」の文字を一連に書した「byAST」の文字が配されているところ(以下、当該文字部分を「下部文字部分」という。)、「by」の語は、一般に「by 〇〇〇」との用法により「商品や役務の出所が〇〇〇」であることを表す英語の前置詞として我が国において広く用いられ、親しまれている。
また、上部図形部分と下部文字部分とは、外観上、分離して把握し得るものであり、加えて、観念上のつながりを有するなどの事情もないことから、上部図形部分と下部文字部分とはそれぞれが独立して自他商品識別標識としての機能を有するものと認められる。
そこで、下部文字部分についてみるに、「AST」の文字が「by」に比し、大きく、太い大文字で表されていること、及び、上述のとおり、「by」の語は、一般に、後に配された語の出所を表す英単語として我が国において親しまれていることからすると、全体として、「by」の後に配された「AST」の部分は、独立して見る者の注意を引くように構成されているといい得るものである。
してみれば、引用商標の構成中の、「AST」の文字部分は、引用商標の一部分ではあるものの、商標全体の出所識別標識としての機能を果たしているといえるから、この部分を引用商標の要部として抽出し、この部分(以下「引用商標の要部」という場合がある。)だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。
そうすると、引用商標の要部からは、上記アと同様に「エイエステイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標との類否について検討するに、それぞれ、上記ア及びイの構成よりなるところ、全体の外観において図形の有無及び構成文字に差異を有するものの、本願商標と引用商標の要部との比較においては、書体において異なるものの、いずれも「AST」の綴りを共通にするものであるから、近似した印象を与えるものといえる。
次に、称呼においては、「エイエステイ」の称呼を共通にし、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから比較し得ないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、引用商標の要部との比較において、観念において比較し得ず、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼において共通するものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
引用商標の指定商品は、本願の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
オ 小括
以上より、本願商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、引用商標は、円図形の中央に「PS2」の文字が太い書体で大きく目立つように表示されており、「PREDICTIVE SERVICE & SAFETY」の略であることは容易に看取されるから、引用商標から簡略な称呼が生じるとすれば「ピーエスツー」が自然である旨主張する。
しかしながら、結合商標における自他商品役務識別機能は、全体か、一つの構成要素のみが有する場合か、のいずれか一つではなく、複数の構成要素がそれぞれ独立した自他商品役務の識別機能を有する場合もある。引用商標においては、上記(1)イのとおり、上部図形部分と「byAST」の文字部分よりなるところ、「AST」の文字部分のみが自他商品役務識別標識としての機能を果たす部分としたものではなく、上部図形部分と「AST」の文字部分とがそれぞれ独立して自他商品役務の識別標識として機能を果たす要部となり得るものと判断し、「AST」の文字部分を要部の一つとして、他人の商標と比較して判断することが許されるとしたものである。
イ 請求人は、過去の判決例及び登録例を挙げ、本願も同様に判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、判決例は、引用商標の構成中「fantasy LIFE」の部分は、コンピュータゲームのジャンルを示すものと認識されることが多いものと認められることから、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとは認められないと判断されているのであって、本願とは事案を異にするものである。また、登録例については、本願商標とは商標の構成文字及び構成態様が異なるものや、商標権者と引用商標権者が同一人であった等個別の事情が考慮されたものである点において、いずれも上記判断に影響を及ぼすものとはいえない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願の指定商品及び指定役務
第9類 「電子計算機用プログラム,機械学習用の電子計算機用プログラム,人工知能に関する電子計算機用プログラム,集積回路,機械学習機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,人工知能機能を実現するための回路及び/又はプログラムを備えた集積回路,ICチップ,マイクロコントローラー」
第42類 「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,機械学習用の電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,人工知能に関する電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによる人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,機械学習用の電子計算機用プログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,人工知能に関する電子計算機用プログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,インターネットなどの通信ネットワークを利用した電子計算機用プログラムの提供,インターネットなどの通信ネットワークを利用した機械学習用の電子計算機用プログラムの提供,インターネットなどの通信ネットワークを利用した人工知能に関する電子計算機用プログラムの提供,電子計算機システムへのコンピュータプログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,電子計算機システムへの機械学習用のコンピュータプログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,電子計算機システムへの人工知能に関するコンピュータプログラムの導入及びこれらに関する指導及び助言,科学技術情報の提供,機械学習又は人工知能に関する試験又は研究」

別掲2 引用商標



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-09-19 
結審通知日 2024-09-25 
審決日 2024-10-17 
出願番号 2021042151 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W0942)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 飯田 亜紀
清川 恵子
商標の称呼 エイエステイ 
代理人 飯塚 信市 
代理人 飯塚 健 

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