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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W03 |
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管理番号 | 1417766 |
総通号数 | 36 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2023-09-08 |
確定日 | 2024-11-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5847143号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5847143号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「LOVEHONEY」の欧文字と「ラブハニー」の片仮名を2段に書してなり、平成27年11月9日に登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として同28年4月28日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年10月6日である。 なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)10月6日ないし同5年(2023年)10月5日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人提出の乙各号証について ア 乙第1号証は、本件商標の書誌情報を示すものである。 イ 乙第2号証は、本件商標が付されたホイップソープが表示されているが、乙第2号証それ自体は、顧客と本件商標権者(被請求人)の間でいかなる取引が行われているか明らかにするものではない上、その取引とカタログ(乙2)の関係を証明する証拠は提出されていない。仮にカタログ(乙2)に表示されている商品が顧客に販売されていた場合、注文履歴や販売記録、納品書等の取引を証する書類が添付されているはずである。そのような書類が添付されていない以上、顧客との間で指定商品に関する取引が要証期間中に実際に行われたことの証明は十分ではなく、カタログへの掲載のみが残っていた状態の可能性もある。 ウ 乙第3号証は、審判便覧における社会通念上同一の商標についての基準を示すものである。 エ 乙第4号証の1及び2 乙第4号証の1及び2は、フィリアコスメティックス株式会社と本件商標権者の関係を示す定款抜粋及び株主名簿にすぎない。 オ 乙第5号証ないし乙第7号証 乙第5号証ないし乙第7号証は、乙第2号証のカタログ名及び掲載されている商品名が本件商標権者の登録商標であることを示す商標公報にすぎない。 カ 乙第8号証 乙第8号証は、本件商標が付されたホイップソープが表示されている2021年4月22日付けの本件商標権者のウェブサイト内オンラインショップの画像であるが、それ自体は、顧客と本件商標権者の間でいかなる取引が行われているか明らかにするものではない上、その取引と乙第8号証に係るウェブサイトの関係を証明する証拠は提出されていない。 加えて、乙第8号証にかかるウェブサイトにおいては、遅くとも2021年10月17日のアーカイブ画像には乙第8号証に表示されていたホイップソープが表示されていない(甲1)。 したがって、乙第8号証が保存された2021年4月22日時点において、当該商品が実際に販売されていたかは疑わしく、商品掲載画像が残っていただけという可能性もある。 (2)以上の理由から、被請求人の提出した乙各号証は、本件商標が請求に係る指定商品についての使用事実を立証するものではない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。なお、枝番号を有する証拠において枝番号の全てを引用する場合は枝番号の記載を省略する。)を提出した。 1 使用状況について (1)本件商標権者は令和2年10月発行の通信販売カタログ(乙2)の第8頁において本件商標と社会通念上同一と認められる商標をせっけん類について使用している。 ア 要証期間 当該通信販売カタログは令和2年(2020年)10月に2021年号として発行されたものである。当該発行日は不明であるが、2021年号とあることからわかるとおり、2021年の間は顧客にカタログとして配布されていたものであるから、当該使用は要証期間内の使用である。 イ 使用商標 カタログにおいて使用されている商標はゴシック体からなる片仮名で表された「ラブハニー」である(以下、「使用商標」という。)。 使用商標が本件商標の使用として認められるためには、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標でなければならない。 本件商標は、上段に「LOVEHONEY」の文字、下段に「ラブハニー」の文字を配した、いわゆる二段併記の構成からなるものである。こうした二段併記の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方を使用している場合はその商標の使用は社会通念上同一の商標であると認められる(乙3)。また、「ラブハニー」の文字は本件商標では明朝体であるのに対し、カタログに表されている文字はゴシック体であり、かかる書体の相違は微差であり、書体にのみ変更を加えた同一の文字からなる商標についても、社会通念上同一の商標であると認められる(乙3)。 以上より、使用商標「ラブハニー」は本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 ウ 商標が使用されている商品 使用商標「ラブハニー」は、ホイップソープについて使用されている。「ソープ」は「せっけん」を意味する英単語であることから、特に説明をするまでもなく、ホイップソープは、請求に係る指定商品である「せっけん類」の一つであることは明らかである。 エ 商標的使用 使用商標は、通信販売カタログ(乙2)において使用商標を使用している。通信販売カタログを利用する者は、商品パッケージのデザインのみならず、「ラブハニー」の文字をもって本件商標権者の商品を選択しているのであり、かかる使用は商標的使用にほかならない。 オ 本件商標権者による使用 使用商標が掲載されている通信販売カタログ(乙2)は、フィリアコスメティックス株式会社のものであるが、フィリアコスメティックス株式会社は本件商標権者が100%株式を所有する、いわゆる子会社であり(乙4)、本件商標権者の通販部門を担う会社である。このことは、このカタログに掲載されている商品(化粧品、せっけん類等)が全て本件商標権者が製造・販売している商品であり、使用されているマークの多くは本件商標権者の登録商標であることからも明らかである。例えば、カタログ第8頁の「薬用美白ジュレマスク(ロゴ)」、第9頁の「白米糀(ロゴ)」はいずれも本件商標権者が製造販売する商品であり、商標登録も行っている(乙5、乙6)。また、カタログ名称の「Figlialife」も本件商標権者の登録商標である(乙7)。 以上より、当該カタログを使用した通信販売は、本件商標権者による使用であることは明らかである。 また、当該使用が本件商標権者による使用として認められないと判断される場合であっても、フィリアコスメティックス株式会社は、本件商標権者の同族会社であり、本件商標権者の指示に基づき本件商標権者の製造・販売する商品を、通販を通じて販売しているのであるから、黙示の通常使用権を許諾されているものと認められ、黙示の通常使用権者であるフィリアコスメティックス株式会社による使用と認められる。 カ 結論 以上より、当該カタログにおける使用は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品の一つであるホイップソープについて、商標的使用態様で使用しているものであり、かつその使用は要証期間内に行われているものである。また、その使用は本件商標権者若しくは黙示の使用許諾を得ている通常使用権者フィリアコスメティックス株式会社が使用をしているものである。これより、商標法第50条第2項に規定する要件を全て満たしている。 (2)2021年4月22日の本件商標権者ウェブサイト内のオンラインショップの画像(乙8) ア 要証期間 本件商標権者のウェブサイト内のオンラインショップの画像は2021年4月22日のものであり、要証期間内のものである。 イ 使用商標 本件商標権者のウェブサイト内のオンラインショップにおいて、ホイップソープの名称として「ラブハニー」(使用商標)が商品の下部側に記載されている。かかる使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであることについては、上述のとおりである。 ウ 商標が使用されている商品 使用商標「ラブハニー」は、ホイップソープについて使用されている。「ソープ」は「せっけん」を意味する英単語であることから、特に説明をするまでもなく、ホイップソープは、請求に係る指定商品である「せっけん類」の一つであることは明らかである。 エ 商標的使用 本件商標権者のウェブサイト内のオンラインショップにおいて、商品名を表すものとして商品下部に記載されており、当該表記は商標的使用として使用されていることにほかならない。 オ 本件商標権者による使用 本件商標権者のウェブサイト内のオンラインショップでの使用であることから、本件商標権者による使用であることは明らかである。 カ 結論 以上より、当該オンライショップ内における使用は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「せっけん類」の一つであるホイップソープについて、商標的使用態様で使用しているものであり、かつその使用は要証期間内に行われているものである。また、その使用は本件商標権者が行っている。これより、商標法第50条第2項に規定する要件を全て満たしている。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)本件商標権者(コスメティックスローランド株式会社)とフィリアコスメティックス株式会社(以下「フィリア社」という場合がある。)について 平成17年(2005年)11月24日作成の、フィリア社定款の第30条で、「当会社の設立に際して発行する株式の総数は、普通株式200株」とされ、第34条には、「発起人の住所氏名及び各引受株数は、次のとおりである。」として、「200株 コスメテックスローランド株式会社」の記載がある(乙4の1)。また、令和5年9月8日付けフィリア社代表取締役の押印がなされたフィリア社の株主名簿には、株主の氏名及び株主の住所として本件商標権者の名称及び住所が記載され、取得年月日は「平成17年12月2日」、株式の種類及び数として「普通株式200株」(乙4の2)の記載がある。 (2)「フィリアライフ」「Figlialife」の標題のカタログ(乙2、以下「本件カタログ」という。)について 本件カタログ表紙には、「No.26通信販売カタログ」「フィリアコスメティックス株式会社」の記載、2葉目には「ごあいさつ」の見出しの下「フィリアコスメティックス株式会社と申します。・・・フィリアコスメティックス株式会社」の記載、3葉目には、「ホイップ洗顔<シュガースクラブ配合>」「ラブハニー」(使用商標、別掲2)「ホイップソープ 110g 1,000円(税抜)」の記載及び使用商標に係る商品(以下「使用商品」という。)の写真の掲載、5葉目には、「2020年10月発行」の記載がある。 2 上記1に基づき、以下判断する。 (1)本件商標の通常使用権者について フィリア社定款及び株主名簿(乙4)によれば、少なくとも平成17年(2005年)11月24日から令和5年9月8日まで、本件商標権者がフィリア社の全ての株式を保有する親会社と認められるから、フィリア社は、当該期間において本件商標権者より本件商標について、黙示の使用許諾を得ている者であると推認することができる。 したがって、フィリア社は、当該期間において本件商標の通常使用権者と認められる。 (2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は、別掲1のとおり「LOVEHONEY」の欧文字と「ラブハニー」の片仮名を2段に書してなるところ、下段の「ラブハニー」の片仮名は、上段の欧文字の読みを表した文字としてのみ認識され、当該欧文字の読みを超えた特段の観念を有するものでない。 他方、使用商標は、別掲2のとおり「ラブハニー」の片仮名を表してなるものである。 そうすると、本件商標は、その上段と下段が同じ称呼、観念を有する文字であり、使用商標は、本件商標の下段の片仮名の書体にのみに変更を加えた同一の文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (3)使用商標の使用者について 使用商標が表示されている、本件カタログの表紙及び2葉目の「ごあいさつ」の項には通常使用権者の名称(フィリア社)の記載があるから、本件カタログは、通常使用権者の作成に係るカタログであると認められる。 そうすると、使用商標の使用者は、通常使用権者のフィリア社であると認められる。 (4)使用商品について 本件カタログには、使用商品の説明として「ホイップ洗顔」「ホイップソープ」の文字が掲載されている。 したがって、使用商品は、洗顔するためのソープであって、「ソープ(せっけん)」といえるものであり、請求にかかる指定商品である第3類「せっけん類」の範ちゅうの商品である。 (5)商標の使用及び使用時期について フィリア社は、同社が通常使用権者である期間内の2020年(令和2年)10月現在の本件カタログに、使用商標を表示し、使用商品を掲載しており、同時期に当該カタログを頒布したものと推認できる。 また、当該カタログは日本語で記載されたものであり、日本国内での使用が明らかである。 そして、当該時期は要証期間内といえる。 (6)小括 以上によれば、本件商標の通常使用権者であるフィリア社は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品に含まれる「ソープ(せっけん)」が掲載されているカタログに本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、当該カタログを頒布したものと認められる。 そして、本件商標の通常使用権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「せっけん」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 ![]() 別掲2 使用商標 ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 審判長 大森 友子 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2024-06-11 |
結審通知日 | 2024-06-17 |
審決日 | 2024-07-09 |
出願番号 | 2015109557 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W03)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
白鳥 幹周 清川 恵子 |
登録日 | 2016-04-28 |
登録番号 | 5847143 |
商標の称呼 | ラブハニー |
代理人 | 大澤 豊 |
代理人 | 久保 怜子 |
代理人 | 山尾 憲人 |
代理人 | 大沼 加寿子 |
代理人 | 勝見 元博 |