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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W35 |
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管理番号 | 1417733 |
総通号数 | 36 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-07-25 |
確定日 | 2024-11-20 |
事件の表示 | 商願2022−106245拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「The Admissions Office」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務(以下「原審役務」という。)を指定役務として、令和4年9月14日に登録出願されたものである。 本願は、令和5年3月3日付けで拒絶理由が通知され、同月22日付け意見書並びに同月24日付け意見書及び手続補正書が提出され、原審役務は、当該手続補正書にて、第35類「教育機関が行う入学者の募集及び選抜に関わる複数の業務を一括して管理するインターネットシステムによる入学者の募集に関する事務処理の代行,教育機関が行う入学者の募集及び選抜に関わる複数の業務を一括して管理するインターネットシステムによる入学者の募集に関する情報の提供に関する事務処理の代行,教育機関が行う入学者の募集及び選抜に関わる複数の業務を一括して管理するインターネットシステムを用いた事務処理の代行」(以下「原審補正役務」という。)に補正されたが、同年7月14日付けで拒絶査定され、これに対し、同月25日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 なお、原審において、令和5年3月22日付けで提出された手続補正書については、同月23日に、本願について、その要旨を変更するものであるとして、補正の却下の決定がなされている。 第2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、以下の旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 本願商標は、「The Admissions Office」の文字を標準文字で表してなるところ、「the」の文字は、英語の定冠詞として一般に親しまれた語であり、また、「admissions office」の文字やその表音である「アドミッションズオフィス」の文字は、「大学で、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行する入学事務局。」ほどの意味合いで広く使用されていることが認められる。 原審補正役務は、(コンピュータを用いた)事務処理の代行の範ちゅうの役務であって、一般的な事務の代行の役務であると解されるところ、入学事務局において、一般的な事務の代行の役務が行われているであろうことは、容易に想定し得るものである。 一般に、定冠詞「the」の文字は、同部分を省略してこれに続く文字部分が注目されることや、その有無により、意味が相違するものとして明確に区別されているとはいい難いこと、「大学で、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行する入学事務局」ほどの意味合いで「admissions office」及び「アドミッションズオフィス」の各文字が広く使用されている取引の実情があること、入学事務局で一般的な事務の代行の役務が行われていることを併せ考慮すると、本願商標に接する取引者、需要者は、原審補正役務が入学事務局で提供される役務であることを表示するものと理解するにとどまり、役務の質、提供場所を表示する語と認識するため、自他役務識別標識として認識し得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 第3 当審の判断 1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「The Admissions Office」の文字を標準文字により普通に用いられる方法で表してなるところ、本願商標を構成する「The」、「Admissions」及び「Office」の各単語の間には、それぞれ1文字分のスペースが設けられているとしても、外観において、「The」の文字のみが注目されるような構成ではない。 また、本願商標の構成中の「The」の文字は、「(英語の定冠詞。母音の前での発音はジ)普通名称の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第七版」)や「≪日本語には訳さないことも多い≫[前に述べた名詞をさして]その,この,あの,例の」(株式会社大修館書店発行「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」)などの意味を有する平易な英語であり、構成中の「Admissions Office」の文字は、別掲1のとおり、「大学で、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行する入学事務局」ほどの意味合いを有する語であって、その片仮名表記である「アドミッション(ズ)オフィス」の文字を含め、多数の大学において使用されていることが認められる。 そして、原審補正役務の記載からすると、これに接する需要者は、主に教育機関の関係者であると想定し得ることからすると、本願商標は、その構成全体より、「(その、この、あの、例の)大学で、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行する入学事務局」ほどの意味合いを容易に認識させるものと認められる。 加えて、別掲2のとおり、大学における入試や入学関連の事務を含む大学事務の代行の役務が提供されていることが認められる。 そうすると、本願商標を原審補正役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、アドミッションズオフィス(Admissions Office)、すなわち、入学事務局の事務処理を代行して行う役務であることを強調表示したものと認識、理解するにすぎず、単に役務の質、提供場所を表示したものと理解するにとどまるから、本願商標は、自他役務の識別標識とは認められないと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、原審補正役務は、従来社会一般に提供ないし実施されていたものではないし、第三者が実施することもできないのであって、これを単に「(コンピュータを用いた)事務処理の代行の範ちゅうの役務であって、一般的な事務の代行の役務」であると認定するのは、現実とは異なっており、妥当ではない旨主張する。 また、請求人は、本願商標は、その構成中に「The」を有する点及び原審補正役務は一般的な事務の代行ではない点などに鑑みれば、本願商標から看取される内容は抽象的なものであり、一般的な事務の代行のためにのみ用いられるということは想定できず、本願商標が原審補正役務の提供場所、質を記述的・具体的に表示しているとはいえないから自他識別力を有し、また、そもそも第三者が原審補正役務を行い得ない点などを考慮すれば独占適応性を有する旨主張する。 しかしながら、原審補正役務と同様の役務を請求人以外の者が将来にわたって、提供できないという合理的な理由はなく、インターネットシステムを利用した原審補正役務に係る事務処理の代行もまた、一般的な事務処理(大学の入学事務局で一般的に行われている事務処理)の代行の範ちゅうの役務と判断するのが相当である。 また、上記1のとおり、本願商標は、原審補正役務との関係では、アドミッションズオフィス(Admissions Office)、すなわち、入学事務局の事務処理を代行して行う役務であることを強調表示したものであると当該需要者に認識、理解されるにすぎないから、当該役務の質、提供場所を表示するものであるといえる。 そして、原審補正役務も一般的な事務処理(大学の入学事務局で一般的に行われている事務処理)の代行の範ちゅうの役務であり、将来においても、原審補正役務と同様の役務を第三者が実施できないというわけではないところ、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定役務の質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、役務の質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものである。 (2)請求人は、原審補正役務はいずれも「複数の業務を一括して管理するインターネットシステムを用いた事務処理の代行」なのであるから、わざわざ組織的にも物理的にも「入学事務局」を設ける必要すらないのであって、「入学事務局において」のみ行われるものではないから、これを単に「入学事務局において、一般的な事務の代行の役務(原審補正役務)が行われているであろうことは、容易に想定し得る」と認定するのは、現実とは異なっており、妥当ではない旨主張する。 しかしながら、上記第2のとおり、原査定は、「原審補正役務は、(コンピュータを用いた)事務処理の代行の範ちゅうの役務であって、一般的な事務の代行の役務であると解されるところ、入学事務局において、一般的な事務の代行の役務が行われているであろうことは、容易に想定し得るものである。」と認定したものであって、後半の「入学事務局において、一般的な事務の代行の役務が行われているであろうことは、容易に想定し得るものである。」は、別掲2のとおり、あくまでも入学事務局でも一般的な事務の代行の役務が行われているとの一般論を述べたにすぎない。 (3)請求人は、原審補正役務の需要者はいわゆる「一般需要者」ではなく「教育機関」であるから、当該需要者は、本願商標に接すれば「The」を明確に認識し、少なくとも何か特定の役務に使用するであろうことは容易に認識できる旨主張する。 しかしながら、上記1のとおり、本願商標の「The Admissions Office」は、標準文字で表されており、特段、「The」の文字が注目されるような外観構成ではないから、当該需要者となり得る教育機関の関係者においても、「The」の文字部分については、アドミッションズオフィス(Admissions Office)、すなわち、入学事務局の事務処理を代行して行う役務であることを強調表示したものと認識、理解するにすぎないというべきであって、殊更に「The」の文字部分のみを捉えて、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を有すると判断するとは考え難いというべきである。 (4)請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(「admissions office(アドミッションズオフィス)」の意味合いについて) (1)株式会社小学館発行「大辞泉第2版」 「アドミッション‐オフィス【admissions office】」の項に、「大学で、学生の募集から選抜までの実質的な業務を遂行する入学事務局。高校での成績、テストの成績、文化・スポーツ活動やボランティア活動の実績などの情報を収集・検討し多面的な選抜を行う。AO。」の記載がある。 (2)「進学ナビ」のウェブサイト 「アドミッション・オフィスとは」の見出しの下、「アドミッション・オフィス(Admissions Office)とは、大学の中の入学関連業務を行う事務局のこと。学生の募集から入学者選抜制度全般(企画・実施)、広報などを担当し、情報を収集したり発信したりしている。」との記載があり、「取り扱い業務」の見出しの下、「・入試関連の企画、実施の準備 ・入試関連の広報 ・出願者の選考に係る業務 ・合格者の入学前教育 ・入試制度の調査等分析」の記載がある。 https://www.shingakunavi.ne.jp/column1/アドミッション・オフィス/ (3)「上智大学」のウェブサイト 「アドミッションズオフィス/Admissions Office」の見出しの下、「アドミッションズオフィスでは、事前予約なしで入試についてのお問い合わせのほか学部・学科や学生生活に関するご質問・ご相談にもお答えいたします。各種資料や過去の入試問題も閲覧可能です。どうぞお気軽にお越しください。」の記載がある。 https://adm.sophia.ac.jp/jpn/admissionsoffice/ (4)「慶應義塾」のウェブサイト 「AO入試」の「理工学部」及び「総合政策学部・環境情報学部」について、「FAQ・お問い合わせ先」として「アドミッションズ・オフィス」の記載がある。 https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/contact-us/ (5)「早稲田大学入学センター」のウェブサイト 「【学部】帰国生・外国学生を対象とした入試に関するお問い合わせ」の見出しの下、「外国学生のための学部入学試験、英語による学位取得プログラムへの入学試験に関するお問い合わせは、入学センター(国際アドミッションズオフィス)までお問い合わせください。」の記載がある。 https://www.waseda.jp/inst/admission/contact/ (6)「尚絅学院大」のウェブサイト 「大学事務部」の見出しの下、「入試課(アドミッションズオフィス)」の記載があり、電話番号とメールアドレスの記載がある。 https://ap.shokei.jp/data/secretariat.html (7)「東北学院大学」のウェブサイト 「学部・学科の入試について」の見出しの下、「お問い合わせ 東北学院大学アドミッションズ・オフィス」の記載がある。 https://www.tohoku-gakuin.ac.jp/admission/faq/contact.html (8)大手前大学 「大阪大手前キャンパス」の見出しの下、「オープンキャンパス・進学相談について 入試・編入学について」として「アドミッションズオフィス」の記載があり、問い合わせ電話番号の記載がある。 https://www.otemae.ac.jp/inquiry/ (9)獨協大学 「アドミッションズオフィス」の見出しの下、「Dokkyo Admissions Office〈DAO〉は、高校生をはじめ、獨協大学に興味を持っていただいたみなさんに、キャンパスを「見て」「聞いて」「感じて」「知って」もらうためのスペースです。獨協大学にお越しの際は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。」との記載があり、「アドミッションズオフィスでできること」の見出しの下、「個別相談」、「ガイド付きキャンパスツアー」及び「各種資料の配布」との記載がある。 https://nyushi.dokkyo.ac.jp/event/admissions-office (10)聖心女子大学 連絡先として「アドミッションズオフィス事務部」、「入学広報業務」、「入学試験業務」の記載があり、お問い合わせ内容として「学生募集、オープンキャンパス、大学見学などについて、入学試験について」との記載がある。 https://www.u-sacred-heart.ac.jp/inquiry/ 別掲2(大学の事務処理を代行して行う者が複数いる事実) (1)「株式会社ODKソリューションズ」のウェブサイト 「入試アウトソーシングサービス」の見出しの下、「志願票受付、採点合否判定、各種統計処理、入学手続に至るまで、入試に関わるすべての業務を一括受託する「入試アウトソーシングサービス」。学校法人の入試センターとして1960年代からサービスを提供し、国内トップシェアを誇っています。入試業務の効率化にとどまらず、入試制度改革等も視野に入れた高い提案力等により、“入試”を支えます。」の記載がある。 https://www.odk.co.jp/service/service0104.html (2)株式会社インテージテクノスフィア」のウェブサイト 「入試業務支援アウトソーシングサービス」の見出しの下、「大学、短大、専門学校 複雑化・多様化する入試業務を出願受付、合否判定、入学手続きまでデータを駆使してサポートします」の記載がある。 https://www.intage-technosphere.co.jp/solution/industry/education/ (3)「日本電子計算株式会社」のウェブサイト 「入試アウトソーシング」の見出しの下、「アウトソーシング概要」として、「志願票受付、受験票作成、採点登録・判定資料作成、合格処理、入学手続きまでの志願者情報管理や、試験実施後の各種統計資料作成など、様々な入試アウトソーシングサービスをご提供いたします。」の記載がある。 https://www.jip.co.jp/product/examination/exam_outsourcing/ (4)「パーソルワークスデザイン」のウェブサイト 「入試・学校業務アウトソーシング」の見出しの下、「入試関連の業務や、学校で行う運営管理業務をワンストップでサポートします。書類の封緘・発送やシステムへの入力など、手間のかかる業務をまるっとご委託いただけます。」の記載がある。 https://www.persol-wd.co.jp/service/bpo-service/education-os/school/ (5)「株式会社早稲田大学アカデミックソリューション」のウェブサイト 「大学学務事務のアウトソーシング(業務委託・BPO)おまかせください」の見出しの下、「提供サービス例」として「入学や学籍異動にともなう書類とりまとめやデータ作成」の記載がある。 https://www.w-as.jp/daigakugakumujimu/ (6)「パーソルテンプスタッフ」のウェブサイト 「大学事務アウトソーシング」の見出しの下、「大学内の事務及び周辺業務のアウトソーシングは、ぜひパーソルテンプスタッフにおまかせください。数多くの運用実績から人材の適正配置を実現し、学生サービスの品質向上と、職員の業務負荷軽減による生産性向上を実現します。」との記載がある。 https://www.tempstaff.co.jp/client/itaku/university_affairs/ (7)「株式会社クリート」のウェブサイト 「クリートの4つの強み(特長)」の見出しの下、「18歳人口は2018年をピークに下降傾向が続き少子化の一途をたどっています。また、令和2年度の日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」によると、大学昼間部に通う49.6%もの学生が奨学金の申請をしています。大学が存続していくためには、従業員数を増やさず負担を軽減しながら、集客やサービス品質をより高度な業務(付加価値業務)にシフトしていくことが必要です。クリートは、アウトソーシング業務で大学の皆様がコア業務に専念できる環境を創出します。」の記載があり、「事業紹介」の見出しの下、「定期試験、入試関連業務」について、「定期試験監督・補助、入試業務補助、書類送付、提出書類の照合、学生証発行業務など大学内の総務作業は幅広い上に非常に複雑です。クリートが派遣するスタッフなら、安心して業務を任せられます。」の記載がある。 https://creete.co.jp/service#jigyoushoukai (8)「株式会社クレオテック」のウェブサイト 「学校事務・大学事務支援サービス」の見出しの下、「大学教務事務、学校事務のアウトソーサーとして厳しさを増す学校現場に貢献します。具体的には学費収納をはじめとする経理系業務や奨学金業務全般、図書館運営に係る業務など、業務委託を受けて実施します。BPO業務などその他の業務もご相談ください。」の記載がある。 https://www.creotech.co.jp/service/bpo/ (9)「エイチ・ユー」のウェブサイト 「大学事務業務受託事業」の見出しの下、「私たちは法政大学の学内事務業務の一部をアウトソーシングとして受託し、事務運営の効率化やコスト削減を目指したサービスをご提供しています。」の記載がある。 https://h-u.jp/contracted/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-09-26 |
結審通知日 | 2024-09-27 |
審決日 | 2024-10-09 |
出願番号 | 2022106245 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W35)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
板谷 玲子 |
特許庁審判官 |
岩谷 禎枝 馬場 秀敏 |
商標の称呼 | ジアドミッションズオフィス、アドミッションズオフィス |
代理人 | 村上 博 |