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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W094142 |
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管理番号 | 1416808 |
総通号数 | 35 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-11-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-02-08 |
確定日 | 2024-08-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際商標登録第1701437号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際商標登録第1701437号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第1701437号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「XSPHERE」の欧文字を横書きしてなり、第9類「Computer programs and computers; recorded computer programs and software.」、第41類「Providing of training, namely conducting conceptional training and product training with regard to the design, development, use and application of software.」及び第42類「Development, creation and implementation of computer programs, computer systems analysis, software design, technical and application−oriented consultancy (electronic data processing consultancy).」を指定商品及び指定役務として、2022年(令和4年)11月9日に国際商標登録出願、2023年(令和5年)12月15日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立の理由において引用する登録商標(以下まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第6224613号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:Xphere(標準文字) 登録出願日:平成31年3月22日 設定登録日:令和2年2月10日 指定商品及び指定役務:第9類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 (2)登録第6224612号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:DIPRO Xphere(標準文字) 登録出願日:平成31年3月22日 設定登録日:令和2年2月10日 指定商品及び指定役務:第9類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標は、同書・同大・同間隔で、やや太めの活字体の欧文字により「XSPHERE」と表されている。 一方、引用商標1は「Xphere」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標2は「DIPRO Xphere」の欧文字を標準文字で表してなる。 称呼については、本件商標からは、その構成要素の欧文字に応じて「エックススフィア」の称呼が生ずると考えるのが相当である。 一方、引用商標1からは、その構成要素の欧文字に応じて「エックスフィア」の称呼が生ずると考えるのが相当であり、また、引用商標2についても、外観上「DIPRO」と「Xphere」の間には一文字分のスペースがあり、「Xphere」は特定の語義を生じさせない造語であって自他商品役務識別力が高い要素であるから、引用商標2については後半部の欧文字「Xphere」が独立して認識されるため「エックスフィア」の称呼も生ずると考えるのが相当である。 そこで、本件商標から生ずる称呼「エックススフィア」と引用商標1及び引用商標2から生ずる称呼「エックスフィア」の類否について比較検討すると、両称呼の相違は中間の「ス」音の有無のみである。 また、本件商標から生ずる称呼「エックススフィア」については、中間音の「ス」が重複することから、本件商標に接する取引者、需要者が本件商標を「エックススフィア」と正確に発音することや称呼「エックススフィア」を正確に聴き取ることは極めて困難といえる。よって、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を「エックスフィア」と発音したり、「エックスフィア」と聴取してしまうことも少なくないと考えるのが極めて妥当である。 さらに、外観については、本件商標「XSPHERE」と引用商標1及び引用商標2の後半部の「Xphere」の外観上の相違は、本件商標の2文字目の「S」の有無及び「PHERE」と「phere」の大文字と小文字の相違のみであるから、「XSPHERE」と「Xphere」は外観においても類似の関係にあるか、少なくとも極めて近い関係にあることは明らかである。 そうとすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、称呼においてほぼ同一か類似し、外観においても類似するか又は少なくとも極めて近い関係にあることから、両商標は混同のおそれを生ずるほどに類似すると考えるのが極めて妥当である。 上記の主張は、特許庁においても本件と同様、第9類及び第42類に属するコンピュータソフトウェア関連の商品及び役務との関係において、中間音の「ス」音の有無のみ相違する2つの称呼が相互に類似すると判断されたことにより、一方の商標の登録が拒絶されていることからも裏付けられる(甲4〜甲15)。 また、特許庁の審査基準に基づくと、少なくとも本件商標の第9類及び第42類の指定商品及び指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務が同一又は類似の関係にあることは明らかである。そして、審査基準上、本件商標の第41類の指定役務「Providing of training,namely conducting conceptional training and product training with regard to the design,development,use and application of software.(参考訳/訓練の提供、すなわちソフトウェアの設計・開発・使用及び適用に関する構想訓練及び製品訓練の実施)」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務と同一又は類似の関係にあるとは規定されていないが、上記第41類の指定役務の内容は、引用商標1及び引用商標2の第9類の指定商品中の「コンピュータソフトウェア」や第42類の指定役務中の「コンピュータソフトウェアの環境設定・インストール・故障診断・修理・改良及び保守,電子計算機プログラムの設計・作成又は保守並びにこれらに関する情報の提供及びコンサルティング」等と多くの部分で実質的に重複する関係にあるといえる。 よって、本件商標の第41類の指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務についても、実質的には相互に類似する関係にあると考えるのが客観的に極めて妥当である。 したがって、本件商標は、引用商標1及び引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにも関わらず登録されたものと考えるのが相当である。 (2)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、本件商標は、同法第43条の2第1項第1号により、全ての指定商品及び指定役務についてその登録を取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、「XSPHERE」の欧文字をやや太字のゴシック体調で横書きしてなるところ、当該欧文字は辞書に掲載された語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれた語でもないことから、特定の意味を有しない造語と理解されるものである。 そして、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であるから、当該欧文字から、「エックススフィア」の称呼を生ずるものというのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「エックススフィア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 イ 引用商標について (ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり、「Xphere」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該欧文字は辞書に掲載された語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれた語でもないことから、特定の意味を有しない造語と理解されるものである。 そして、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であるから、当該欧文字から、「エックスフィア」の称呼を生ずるものというのが相当である。 そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「エックスフィア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (イ)引用商標2は、上記2(2)のとおり、「DIPRO Xphere」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「DIPRO」の文字部分と「Xphere」の文字部分は、語間に1文字分の間隔を有するとしても、構成全体として横一列に、同じ書体の欧文字を同じ大きさで表してなり、視覚上、まとまりよく一体的に看取されることからすると、外観上、いずれかの文字部分が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいえず、かつ、当該文字部分全体から生ずる「ディプロエックスフィア」の称呼も、無理なく一連に称呼し得る。 また、その構成各文字は、それぞれ辞書に掲載された語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれた語でもないことから、特定の意味を有しない造語と理解されるものである。 そして、引用商標2のかかる構成及び称呼においては、引用商標2に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中「Xphere」の文字部分のみに着目するということはなく、構成要素全体をもって把握するとみるのが相当である。 そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して「ディプロエックスフィア」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標1の類否について 本件商標と引用商標1の類否を検討すると、両者はそれぞれ別掲及び上記イ(ア)のとおりの構成からなるところ、その外観においては、2文字目の「S」の文字の有無、大文字と小文字、文字の太さ及び書体などにより、明確に相違するものであるから、外観において相紛れるおそれはない。 次に、称呼においては、本件商標の「エックススフィア」の称呼は、中間において「ス」の音が重複していることから、「エックス」と「スフィア」の2音節風に称呼されるのに対し、引用商標1の「エックスフィア」の称呼は、途切れることなく一気に称呼できるものであるから、比較的短い音構成である両称呼において、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は決して小さなものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が異なり、互いに聞き誤るおそれはない。 そして、観念においては、本件商標と引用商標1は、特定の観念は生じないから、両商標は、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、これらを総合的に勘案すると、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。 なお、申立人は、需要者が本件商標を「エックススフィア」と正確に発音したり聴き取ることが極めて困難であり、「エックスフィア」と発音したり聴取することも少なくない旨主張するとともに、過去の審査例(甲4〜甲15)を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品又は指定役務の取引者・需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、申立人が挙げる審査例の存在をもって、本件商標についての上記判断が左右されるものではない。 エ 本件商標と引用商標2の類否について 本件商標と引用商標2の類否を検討すると、両者はそれぞれ別掲及び上記イ(イ)のとおりの構成からなるところ、その外観においては、前半の「DIPRO」の有無の明らかな差異を有することに加え、後半部分においても、「S」の文字の有無、大文字と小文字、文字の太さ及び書体などにより、明確に相違するものであるから、外観において相紛れるおそれはない。 次に、称呼においては、本件商標から生ずる「エックススフィア」の称呼と引用商標2から生ずる「ディプロエックスフィア」の称呼とは、前半部分の「ディプロ」の音の有無により明らかに相違するだけでなく、後半部分においても「ス」の音の有無の差異を有するものであって、これらの構成音及び構成音数の差異によって、明瞭に聴別できるため、両者は相紛れるおそれはない。 そして、観念においては、本件商標と引用商標2は、特定の観念は生じないから、両商標は、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することはできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはなく、これらを総合的に勘案すると、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。 オ まとめ 上記ウ及びエのとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似する商品及び役務であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 なお、申立人は、本件商標の第41類に属する指定役務と、引用商標の指定商品及び指定役務が類似する旨主張しているが、両者はその事業者や商品の販売場所(役務の提供場所)、需要者の範囲等を共通にするものとはいい難く、これらは非類似の商品及び役務であるというべきであるから、申立人の当該主張は採用できない。 (2)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他にその登録が、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標)![]() |
異議決定日 | 2024-08-08 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W094142)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
旦 克昌 |
特許庁審判官 |
大島 康浩 小林 裕子 |
登録日 | 2022-11-09 |
権利者 | xPLM Soution GmbH |
商標の称呼 | エックススフィア、スフィア |
代理人 | 大橋 啓輔 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 外川 奈美 |