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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1415585 
総通号数 34 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2024-01-11 
確定日 2024-09-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第6752842号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6752842号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6752842号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年6月7日に登録出願、第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),ワイン,リキュール」を指定商品として、同年10月18日に登録査定され、同年11月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第801180号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第32類「Beers, mineral and aerated waters and other non-alcoholic beverages; fruit drinks and fruit juices; syrups and other preparations for making beverages (except whey beverages).」及び第33類「Alcoholic beverages (except beers).」
国際登録日:2003年(平成15年)3月28日
優先権主張日:2002年(平成14年)10月18日(Benelux)設定登録日:平成17年2月18日
(2)登録第6157627号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第32類「カクテル(アルコール分を含まないもの)」
登録出願日:平成30年8月13日
設定登録日:令和元年6月28日
(3)登録第6157628号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第33類「カクテル」
登録出願日:平成30年8月13日
設定登録日:令和元年6月28日
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
なお、申立人は、登録異議申立書について補正できる期間(商標法第43条の4第2項)経過後において、令和6年5月31日付け上申書(以下「上申書」という。)及び甲第13号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
「Bellini」は白桃のピューレとスパークリングワインから作られるワインカクテルの名称であって、イタリア・ヴェネツィアのレストラン・バーであるハリーズ・バーのジュゼッペ・チプリアーニ氏が、1948年に開催されたイタリア・ルネサンス期の画家であるジョバンニ・ベッリーニの展示会を記念して考案されたのが発祥と言われている。このハリーズ・バーはジュゼッペ・チプリアーニ氏が1931年にイタリア・ヴェネツィアで創業し、2001年にはイタリア文化省にイタリア全土を代表するランドマークであると認定されている。また、文豪ヘミングウェイをはじめ、世界中の芸術家や名立たる大富豪、エリザベス女王をはじめとする王侯貴族がハリーズ・バーを訪れ、その評判は世界に広がった。このようにハリーズ・バーはイタリアだけでなく、世界的にも有名なお店として認知されるようになり、現在ではニューヨーク、ドバイ、モナコなど世界に14店舗もの関連レストランを有している(甲5)ところ、それにはチプリアーニ氏が考案した「Bellini」の存在も大きく貢献している(甲6)。
かかる事実は我が国においても広く知られているところ、Googleにおいて「ベリーニ カクテル 由来」と検索すると、約9,860件も検出されることからも首肯でき、以下の一例においても、ベリーニとハリーズバーとの関係が複数のウェブサイトにおいて詳細に紹介されている。
「ベリーニ。一度は口にした、聞いたことのある名前だと思います。このカクテルはイタリアだけでなく世界的に有名なカクテル。発祥は、ヴェネツィアのハリーズバー。そう、「あの」ハリーズバーです。(中略)そしてベリーニは、ハリーズバーをこよなく愛した作家ヘミングウェイ氏によって、世界中に知れ渡るほど有名なカクテルになったのでした。」(甲7)。
「実はこの「ベリーニ」は、かの有名な小説家ヘミングウェイが足しげく通った、イタリアのヴェネツィアにあるレストランバー「ハリーズ・バー」発祥で、知る人ぞ知るカクテルでもあります。」(甲8)。
「まず初めに、『ベリーニ』について簡単に説明しますと、このカクテルはイタリアだけでなく世界的に有名なカクテルで、イタリア、ヴェネツィアの老舗ハリーズバーが発祥とされています。(中略)そしてベリーニは、ハリーズバーをこよなく愛した作家ヘミングウェイ氏によって、世界中に知れ渡るほど有名なカクテルになったのです。」(甲9)。
「『ベリーニ』は、御存知のようにヴェネツィアのサンマルコ広場にあるHarry’sBarから生まれたカクテル。」(甲10)。
かかる事情を考慮すると、本件商標の指定商品であるアルコール飲料の分野、とりわけカクテルに使用する「Bellini」はチプリアーニ氏が考案したハリーズ・バーで提供されるワインカクテルとして世界的に有名であり、需要者等はその出所をハリーズ・バー、チプリアーニ氏やその関連会社と理解するものである。
なお、申立人はチプリアーニ一族が所有するチプリアーニグループ内の会社で、アリーゴ・チプリアーニ氏及びジュゼッペ・チプリアーニ氏によって運営されている会社である(甲11)。
また、申立人は、日本においては北海道から沖縄まで日本全国に66店舗を有する(2024年4月現在)、エノテカ株式会社の店舗及びオンラインサイトにおいて販売されており、クチコミでも高評価(4.5)を得ているところ、ハリーズ・バーのハウスマークといえる引用商標3がボトルには大きく印字されており、需要者などには関係性が認知されている(甲6、甲12)。
一方、本件商標は「BELLINI\OPERA PRIMA」を2段書きで表してなるもので、上段の「BELLINI」部分は商標の構成の8割以上を占めるほど大きくかつ印象的に表示されている。本件商標に接した需要者ないし取引者は、まず「BELLINI」部分に注目した上で、本件商標に係る指定商品が第33類「アルコール飲料(ビールを除く。),ワイン,リキュール」であることからすれば、前述の著名性により当該商品の出所をハリーズ・バー、チプリアーニ氏やその関連会社と考えるのが自然である。
しかしながら、本件商標の商標権者はハリーズ・バー、チプリアーニ氏やその関連会社とは無関係であるスペインの飲料メーカーであることから、他人である申立人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標と引用商標とは「BELLINI」の文字を共通にしており、前述のとおりアルコール飲料の分野において「BELLINI」が周知・著名であること、飲料メーカーである本件商標の商標権利者であれば当該周知・著名性については当然に把握していた、又は少なくとも知り得た立場であること、本件商標の出願日が引用商標の出願日より後であることを踏まえると、本件商標の商標権者は「BELLINI」を含む本件商標を任意に採択したものとはいい難く、むしろ、申立人の業務と同一分野において使用される引用商標に依拠し、剽窃的に採択・使用するものとみることができる。
また、本件商標に係る商標権者が出願をするに際し、申立人が承諾を与えたという事実もない。
してみれば、本件商標に係る商標権者が本件商標の出願に及んだ行為は、「BELLINI」の周知性フリーライドして不当な利益を得る等の目的の下に出願し、権利を取得したものと推認させるものであり、不正の目的をもって使用する商標といわざるを得ないと思料する。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることは商品の取引において無用の混乱を生じさせ、商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)「BELLINI」の周知性
ア 申立人の主張及び同人の提出した証拠並びに職権調査によれば次のとおりである。
(ア)「ENOTECAonline」のウェブサイトには、「ベリーニ・チプリアーニ」の見出しの下、「白桃のピューレとスパークリングワインから作られるワインカクテル、ベリーニ。」、「世界的名店の名を確立したオリジナルカクテル、ベリーニ」の記載がある(甲6)
(イ)「AllAbout」のウェブサイトには、「ベリーニとは?誕生の歴史」の見出しの下、「ベリーニは人の名前に由来したカクテルで、その人とはルネサンス時代のイタリア人画家ジョヴァンニ・ベリーニ氏です。1948年、ベリーニの展示会をヴェネツィアで行った時の記念に、ジュゼッペ・チプリアーニ氏によって作られたカクテルがこのベリーニなのです。そしてベリーニは、ハリーズバーをこよなく愛した作家ヘミングウェイ氏によって、世界中に知れ渡るほど有名なカクテルになったのでした。」の記載がある(甲7)。
(ウ)「macaroni」のウェブサイトには、「知る人ぞ知る、イタリア発祥のカクテル『ベリーニ』とは?」の見出しの下、「「ベリーニ」というカクテルを知っていますか?・・・実はこの「ベリーニ」は、かの有名な小説家ヘミングウェイが足しげく通った、イタリアのヴェネツィアにあるレストランバー「ハリーズ・バー」発祥で、知る人ぞ知るカクテルでもあります。」の記載がある(甲8)。
(エ)「地酒蔵きなせ」のウェブサイトには、「旬の桃を使ったワインカクテル、ベリーニで乾杯」の見出しの下、「まず初めに、『ベリーニ』について簡単に説明しますと、このカクテルはイタリアだけでなく世界的に有名なカクテルで、イタリア、ヴェネツィアの老舗ハリーズバーが発祥とされています。」の記載がある(甲9)。
(オ)申立人は、チプリアーニ一族が所有するチプリアーニグループ内の会社で、アリーゴ・チプリアーニ氏及びジュゼッペ・チプリアーニ氏によって運営されている会社である(申立人の主張、甲11)。
(カ)我が国においては、国内に66店舗(2024年4月12日時点)を有するエノテカ株式会社を介して、構成中に「BELLINI」の文字を有する別掲3の引用商標2及び3と同一の構成からなる商標を使用したワインが店舗及びオンラインストアにおいて販売されている(甲6、甲12)。
(キ)「カクテル大事典800」((株)成美堂出版/2012年3月20日発行 235ページ)には、「BELLINI/ベリーニ」の項に、「ルネッサンス期の画家、ジョバン・ベリーニの展覧会が1948年にベニスで開かれた時に作られた。」並びにレシピ及び作り方が記載されている(職権調査)。
(ク)「カクテルの教科書」((株)柴田書店/2018年10月30日初版発行 81ページ)には、「ベリーニ/Bellini」の項に、「桃(白桃)・・・・1/2個、シャンパーニュ・・・・100ml」及び作り方の記載がある(職権調査)。
(ケ)「カクテルは楽しい!」((株)パイ インターナショナル/2020年3月4日初版第1刷発行 180ページ)には、「BELLINI/ベリーニ」の項に、「ピーチネクター:1/3glass」、「プロセッコ:2/3glass」、「グレナデン・シロップ:1dash」及び作り方の記載がある(職権調査)。
(コ)「改訂版 カクテル完全ガイド うまいつくり方の方程式」((株)池田書店/2021年11月25日発行 202ページ)には、「Bellini/ベリーニ」の項に「1948年にイタリアのベネチアにあるハリーズ・バーの経営者が考案し、世界中に広まったカクテル。ピーチの上品な甘さとスパークリングリング・ワインのマッチングは絶品。ベリーニは『ルネッサンス初期の画家』」及び「スパークリング・ワイン・・・適量」、「ピーチ・ネクター・・・60ml」。「グレナデンシロップ・・・1dash」及び作り方の記載がある(職権調査)。
(サ)2002年4月20日付け朝日新聞朝刊(57ページ)には、「アペリティフで「初めまして」須田淑恵(酒味志向)」の見出しの下、「最近はワインを使ったカクテルも人気があります。「キール」は辛口の白ワインを黒すぐりのリキュール(カシス)で割ったもの。・・・「ベリーニ」もシャンパンベースのカクテル。白桃をミキサーにかけてペースト状にしたものにシャンパンを注ぎます。桃の甘やかな香りと意外にスッキリした飲み心地で、食欲を導く食前酒としておすすめです。」の記載がある(職権調査)。
(シ)2008年2月24日付け毎日新聞朝刊(17ページ)には、「うちの売れ筋:ピークバー(東京都)しんみり、甘いカクテル」の見出しの下、「そろそろ謝恩会、送別会など節目の季節。みなで騒いだ後は思い出に浸りつつ、バーでカクテルを傾けてみてはいかがですか。パークハイアット東京(東京都新宿区)41階の「ピークバー」で、人気のカクテルを聞いた。一番人気はスタンダードな「ベリーニ」。ピーチのピューレとシャンパンを混ぜた、甘く飲みやすいカクテル。シャンパンが利いているので食前酒にもお薦めだ。」の記載がある(職権調査)。
(ス)2020年6月29日付け日本食糧新聞(5ページ)には、「マルティノッティ、バー&カフェ開く プロセッコに特化」の見出しの下、「イタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」に特化したマルティノッティ・プロセッコ バー&カフェが7月1日、東京・馬喰町にグランドオープンする。・・・世界的に人気の「アペロール・スプリッツ」やヴェネツィア生まれの桃とプロセッコのカクテル「ベリーニ」はもちろん、・・・マルティノッティ代表が開発したハーブやコーヒーを使ったカクテルレシピは、ヴェネト州トレヴィーゾに本部を置くプロセッコDOCワイン保護協会のWebサイトにも掲載されている。」の記載がある(職権調査)。
イ 上記ア(ア)ないし(カ)によれば、「BELLINI」の文字(以下「使用商標」という。)は、ジュゼッペ・チプリアーニ氏が1948年に考案し、イタリアのレストランバー「ハリーズ・バー」が発祥のカクテルの名称であることは認められるものの、提出された証拠において、使用商標がジュゼッペ・チプリアーニ氏、ハリーズ・バー又はその関連会社(申立人を含む。)(以下「申立人を含む関係者」という。)の業務に係る商品を表示するものとして単独で使用されていることを確認できる証拠は見いだせない。
また、エノテカ株式会社の店舗及びオンラインストアにおいて、構成中に「BELLINI」の文字を含む引用商標3を使用した商品(ワイン)が販売され、継続して我が国において一定数販売されているとしても、その市場シェアは明らかではなく、その他、広告宣伝の方法、規模、広告宣伝費など、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
そうすると、提出された証拠及び同人の主張によって、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人を含む関係者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
ウ なお、上記ア(キ)ないし(ス)によれば、「BELLINI」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、我が国において、桃(ピーチネクター)とスパーリングワインを使用したカクテルの名称として広く一般に使用されていたと認められるものである。
(2)本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標は、別掲1のとおり、オレンジ色のグラデーションの長方形の内側に、上下の中央部に向かって薄く表された赤色の枠線の中に灰色と白のグラデーションで「BELLINI」の欧文字を上部に大きく書し、その下部に白抜きで「OPERA PRIMA」の文字を小さく書した構成からなるものである。
そして、本件商標の構成中「BELLINI」の文字は、上記(1)ウのとおり桃(ピーチネクター)とスパーリングワインを使用したカクテルの名称を表すものとして広く一般に使用されているものであるから、本件商標の指定商品の取引者及び需要者をして、上記カクテルであること、すなわち商品の品質等を表示するにすぎないものであり、自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものというのが相当であるから、「BELLINI」の文字部分から、出所識別標識としての称呼、観念は生じないというべきである。
そうすると、本件商標の構成中の「BELLINI」の文字部分が出所識別標識として、分離抽出されることはないものというのが相当である。
そこで、「BELLINI」の文字からなる使用商標と上記構成からなる本件商標とを比較してみれば、両者の構成態様は明らかに相違するものであるから、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであって、別異の商標というべきものであるから、商標の類似性の程度は低いものである。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
上記(1)イのとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人を含む関係者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標と使用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、商標の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用をした場合、これに接する取引者、需要者は、使用商標を連想、想起し、他人(申立人を含む関係者)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
なお、上記(2)の構成からなる本件商標と構成中に人の上半身を模した図形(以下「人物図形」という。)と「CIPRIANI」等の文字を含む別掲2及び別掲3のとおりの構成からなる引用商標とは、「BELLINI」の文字において共通するとしても、上記(2)のとおり、当該文字部分は、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものであり、本件商標と引用商標とは、「OPERA PRIMA」及び「CIPRIANI」の文字の相違並びに人物図形の有無等において明らかに相違し、別異の商標というべきものであって、商品の出所について混同を生じるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
上記(1)イのとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人を含む関係者の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないから、本件商標は、使用商標の知名度や名声にただ乗りするなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えることはないものであり、さらに、本件商標は、その登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情も見いだせない。
なお、本件商標と引用商標は、「BELLINI」の文字を共通にするとしても、上記(2)のとおり、当該文字は出所識別標識として、自他商品識別標識としての機能を有しないか、又は極めて弱いものであり、当該文字部分をもって取引に当たることはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)上申書及び甲第13号証ないし甲第15号証
申立人は、登録異議申立書について補正できる期間(商標法第43条の4第2項)の経過後において、上申書及び甲第13号証ないし甲第15号証を提出しているが、上記判断を覆すものではない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標、色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標1、色彩は原本参照。)


別掲3(引用商標2及び引用商標3)


(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
異議決定日 2024-09-03 
出願番号 2023062508 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W33)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
小俣 克巳
登録日 2023-11-09 
登録番号 6752842 
権利者 ジェイ.ガルシア カリオン,エス.エイ.
商標の称呼 ベリーニオペラプリマ、ベリーニ、オペラプリマ 
代理人 田中 陽介 
代理人 前田 幸嗣 
代理人 山尾 憲人 

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