ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
---|---|
管理番号 | 1414413 |
総通号数 | 33 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-02-03 |
確定日 | 2024-09-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6756705号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6756705号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6756705号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cheerful Mario」の文字を標準文字で表してなり、令和5年(2023年)4月21日に登録出願、第25類「子供靴」(以下「異議申立商品」という。)を指定商品として、同年11月13日に登録査定され、同月24日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するとして引用する標章は、「Cheerful Mario」又は「CHEERFUL MARIO」の欧文字よりなり(以下「引用標章」という。)、申立人が、同人の取扱いに係る子供靴(以下「申立人商品」という。)に使用し、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていると主張するものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第44号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載する場合があり、枝番号の全てを表示する場合は枝番号を省略する。 1 本件商標について 本件商標は、「Cheerful Mario」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して「チアフルマリオ」の称呼が生じ、「陽気なマリオ」ほどの観念が生じる。 2 引用標章の周知著名性 申立人は、上海に所在する靴メーカーであり、中国において、2012年12月7日に「幸福馬麗/Cheerful Mario」(決定注:前記登録商標の「馬」の文字は正しくは「王へん」を伴う中国の漢字であるが我が国の漢字で代用した。)の商標登録を得て、当該商標権は現在も有効に存続している(甲2)。 申立人は、第25類「靴」を含む商品分野において、複数の国において「Cheerful Mario」又は「CHEERFUL MARIO」の商標登録を図っている(甲3〜甲9)。 申立人は、2023年5月6日に我が国においても「Cheerful Mario」を登録出願したが(甲10)、本件商標の登録があることを理由に拒絶理由通知を受領した。 申立人及びその関連会社は、2012年から引用標章を付した申立人商品の販売を開始し、中国において、当該子供靴は人気を博し、児童スリッパ部門で1位の販売実績を取得した。2018年頃より、各種ECサイト(イーコマースサイト)を通じて、世界各国に引用標章を付した申立人商品を販売している(甲11〜甲39)。 また、申立人は、これまでに引用標章を付した申立人商品を展示会に出展している。例えば、2021年7月に上海で開催されたCBMEマタニティ・ベビーキッズ展(甲43)、2022年5月に上海で開催された2022年CWE上海国際子供服産業展(甲44)である。 なお、これらは、申立人及びその関連会社による引用標章の使用実績の一部である。 このように、子供靴の分野において、引用標章は、申立人及びその関連会社によって積極的に使用されることにより、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識される標章である。 以上のことから、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における取引者、需要者の間で広く認識されていたものである。 3 商標法第4条第1項第10号について 本件商標と引用標章とは、外観、称呼、観念を共通にする同一又は類似の商標であり、また、異議申立商品と申立人商品とも同一である。また、本件商標が異議申立商品に使用された場合、これに接する需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 商標法第4条第1項第19号について 本件商標を使用することは、引用標章の出所識別力を希釈化させ、申立人に経済的損害を与えることや、本件商標を先取りすることによる不正の利益を得る目的が推認される。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反してなされたものであるから、商標法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 引用標章の周知著名性について 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、上海所在の靴メーカーであり(甲2)、複数の国において、「Cheerful Mario」又は「CHEERFUL MARIO」の商標登録を有していること(甲3〜甲9)、複数のウェブサイトにおいて、2021年4月から2023年1月までの間に複数の国に引用標章を付した子供靴が販売されていること(甲12〜甲37)、引用標章を付した子供靴は、我が国における楽天ウェブサイトにおいても販売されていること(甲42)は推認でき、上海において、2021年にマタニティ、乳児、子供業界専門展示会及び2022年に上海国際子供服産業博覧会が開催された事実(甲43、甲44)は確認できる。 しかしながら、甲第14号証、甲第28号証ないし甲第37号証及び甲第42号証のウェブサイトの写しには、引用標章の文字が見受けられるものの申立人の表示は見当たらず、その多くは外国語で作成されたものであり、その翻訳文の提出もないことから、詳細な内容は不明である。また、甲第38号証ないし甲第41号証のウェブサイトの写しには、引用標章の記載は見当たらず、申立人の表示もない。さらに、甲第43号証及び甲第44号証の写真の写しは、当該展示会又は博覧会において撮影されたものか否かも不明である。 加えて、引用標章を付した申立人商品の販売実績(販売数、使用地域、売上高、業界シェア等)並びに広告実績(広告宣伝の方法、期間、地域及び規模等)を客観的に把握できる証拠は何ら提出されていない。 そうすると、引用標章の使用状況に基づき、その周知性を推し量ることができないため、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)引用標章の周知性 上記1のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時において、我が国の需要者の間で申立人又は申立人商品を表すものとして広く認識されている商標とはいえない。 (2)本件商標と引用標章の類似性について ア 本件商標について 本件商標は、「Cheerful Mario」の文字を標準文字で表したものであるところ、その構成文字に相応して「チアフルマリオ」の称呼が生じ、本願商標構成中の「Cheerful」の欧文字は「陽気な」(株式会社小学館発行「ランダムハウス英和大辞典 第2版」)の意味を有し、「Mario」の文字は「男の子の名」(前掲書)を表す語であるから、構成全体として「陽気なマリオ」ほどの観念が生じる。 イ 引用標章について 引用標章は、上記第2のとおり、「Cheerful Mario」又は「CHEERFUL MARIO」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「チアフルマリオ」の称呼が生じ、「陽気なマリオ」(前掲書)の観念が生じるものである。 ウ 本件商標と引用標章の類否について 本願商標は、引用標章と欧文字のつづり、「チアフルマリオ」の称呼及び「陽気なマリオ」の観念を共通する同一又は類似の商標である。 エ 異議申立商品と申立人商品について 異議申立商品と申立人商品は、いずれも「子供靴」である。 (3)判断 以上のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ではないから、本件商標と引用標章が同一又は類似の商標であり、異議申立商品と申立人商品が同一であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 上記2のとおり、本件商標と引用標章とは同一又は類似の商標であり、異議申立商品と申立人商品とは同一であるが、上記1のとおり、引用標章は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。 そして、申立人提出の全証拠からは、本件商標の権利者が、本件商標を異議申立商品に使用して不正の利益を得ている事実や申立人に経済的損害を加えるなどの具体的な行為に及んでいる事実は把握することができない。 そうすると、本件商標の登録出願は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的など)をもってされたものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-08-28 |
出願番号 | 2023044045 |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W25)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
鈴木 雅也 |
特許庁審判官 |
岩谷 禎枝 馬場 秀敏 |
登録日 | 2023-11-24 |
登録番号 | 6756705 |
権利者 | 深▲せん▼市騰達匯国際貿易有限公司 |
商標の称呼 | チアフルマリオ、チアフル、マリオ |
代理人 | TRY国際弁理士法人 |
代理人 | 亀卦川 巧 |