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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W34 |
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管理番号 | 1414408 |
総通号数 | 33 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-01-05 |
確定日 | 2024-09-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6749429号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6749429号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6749429号商標(以下「本件商標」という。)は、「SENSA」の文字を標準文字で表してなり、令和5年3月27日に登録出願、第34類「紙巻たばこ,たばこ,たばこ製品,代用たばこ(医療用のものを除く。),葉巻たばこ,シガリロ,ライター,マッチ,喫煙用具,紙巻たばこ用筒,たばこ用フィルター,たばこ紙巻き器,紙筒にたばこを挿入するための手持型喫煙用具,電子たばこ,電子たばこ用カートリッジ,電子たばこ用液体,加熱して使用することを目的とするたばこ製品,たばこを加熱する装置の機器及びその部品,吸引するための代用たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),たばこケース,たばこ入れ」を指定商品として、同年10月16日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第6412240号商標(以下「引用商標」という。)は、「SENTIA」の欧文字を横書きしてなり、2020年(令和2年)10月14日にアンドラ公国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和2年12月10日に登録出願、第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲。以下「異議申立商品」という。)を指定商品として、同3年7月6日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載する場合があり、枝番号の全てを表示する場合は枝番号を省略する。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標「SENSA」と引用商標「SENTIA」は、5文字又は6文字の構成中、前半部の3文字「SEN」を同一とし、さらに語尾の「A」をも共通とする。本件商標は、商標の識別において重要な語頭(前半部)と語尾が引用商標と共通し、差異はこれらに挟まれた「S」の1字にとどまるため、外観において相紛らわしい類似の商標である。 また、外観の類似性に加え、本件商標の称呼「センサ」は、3音中2音(セン)が引用商標の称呼「センティア」と共通し、末尾音の「サ」(sa)音は引用商標の「ティア」(tia)部分と差異があるとしても、母音(a)を同じくするため、両商標を全体として称呼する場合は明確に聴取し難いものとなる。 そして、ともに特定の意味合いを想起させない造語と認識される本件商標と引用商標は、観念によって識別することは困難である。 したがって、本件商標は、称呼においても引用商標と類似するというべきである。 (2)引用商標は、申立人が販売する加熱式たばこ「IQOS」ブランドにおいて、現行主要モデルの加熱式たばこデバイス「IQOSイルマ(ILUMA)」(甲3)の専用たばこスティックに使用されている。 申立人の「IQOS」は、平成26年(2014年)11月のテスト販売を経て、同27年(2015年)9月の12都道府県限定販売、同28年(2016年)4月の全国展開時から爆発的な人気を博し、同年12月時点で日本国内において300万台以上販売され、IQOSに完全に移行したユーザー(成人喫煙者)は約100万人に達した(甲4)。日経トレンディが発表する「2016年ヒット商品ベスト30」において第3位にランキングされるなど(甲5)、「IQOS」は商業的に大成功を収めており、「IQOS」は遅くとも2016年度には、成人喫煙者に著名な申立人の商標(ブランド)となっている。 引用商標を使用している「IQOSイルマ(ILUMA)」の専用たばこスティック「SENTIA(センティア)」は、令和3年(2021年)発売の「TEREA(テリア)」に次ぐ新たなブランドとして、同4年(2022年)4月4日より当初6銘柄を29都道府県で先行発売、同年7月15日から全都道府県に販売を拡大し、その後、同年10月に6銘柄、同5年(2023年)3月6日には1銘柄を追加し、全13銘柄となった(甲6〜甲13)。現在はさらに1銘柄を加え14銘柄を展開している(甲14)。販売はIQOSオンラインストアをはじめ、全国のIQOSストア、IQOSショップ、IQOSコーナー、コンビニエンスストア、スーパーマーケット及びたばこ取扱店で、豊富な銘柄を展開し、手頃な価格で人気の高い商品となっている(甲15〜甲19)。 加熱式たばこデバイス「IQOSイルマ(ILUMA)」のユーザーは、令和4年(2022年)末時点で750万人(甲17:フィリップモリスジャパン調べ)、同5年(2023年)末時点で850万人にのぼり(フィリップモリスジャパン調べ)、その専用たばこスティックに関して使用される引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日前には、取引者及び需要者である成人喫煙者の間において広く知られるに至った商標である。 このような状況において、需要者である成人喫煙者が本件商標に接した場合、引用商標とは前半部の3文字「SEN」及び語尾の「A」を共通にし、外観及び称呼において相紛らわしいため、我が国における需要者において既に広く知られている引用商標を想起し、本件商標が使用されている商品を申立人に係る商品と誤認する可能性は否定できない。 すなわち、本件においては、引用商標が我が国において既に広く知られているという具体的な取引の実情があり、この点に鑑みれば、こうした誤認の可能性が高いものと認められるべきである。 さらに、具体的な取引の実情を検討すると、異議申立商品の分野においては、成人喫煙者がこれら商品や包装に付された各商標を直接対比して、あるいはその細部まで緻密に観察・記憶する機会が多いとはいえない。例えば、簡易迅速が求められる商品選択、購入の場においては、商標全体から受ける印象や一見して明らかな特徴の記憶によって商品(出所)を識別していることも多いと考えられる。とりわけ引用商標は、我が国の需要者において既に広く知られた商標となっていることを考えれば、本件商標と引用商標を、時と所を異にして隔離的に観察した場合には、互いに相紛れるおそれがあり、成人喫煙者が、本件商標が使用されている商品を申立人の商品と誤解する可能性はより高いものとなる。 よって、上記の取引の実情を踏まえると、本件商標は、引用商標と類似する商標である。 (3)異議申立商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似する。 (4)以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標の周知性 上記1(2)のとおり、引用商標は、申立人が販売する加熱式たばこ「IQOS」ブランドにおいて、令和4年(2022年)末時点で750万人、令和5年(2023年)末時点で850万人のユーザーを抱える現行主要モデルの加熱式たばこデバイス「IQOSイルマ(ILUMA)」(甲6〜甲14)の専用たばこスティックに関して使用されている商標である。 引用商標を使用している「IQOSイルマ(ILUMA)」の専用たばこスティック「SENTIA(センティア)」は、令和4年(2022年)4月の先行発売、同年7月の全都道府県への販売拡大から、IQOSオンラインストアをはじめ、全国のIQOSストア、IQOSショップ、IQOSコーナー、コンビニエンスストア、スーパーマーケット及びたばこ取扱店で販売され、豊富な銘柄展開や手頃な価格で人気の高い商品となっている(甲15〜甲19)。 引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日の前には、取引者及び需要者である成人喫煙者の間において広く知られるに至った商標である。 (2)出所の混同のおそれ このような状況において、本件商標が異議申立商品に使用された場合、その取引者及び需要者(成人喫煙者)は共通し、本件商標は、広く知られた引用商標と構成中の前半の3文字「SEN」及び語尾の「A」を共通にすることから、相紛らわしいため、本件商標が使用された異議申立商品を申立人の商品と誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 さらに、具体的な取引の実情を検討すると、異議申立商品の分野においては、成人喫煙者がこれら商品や包装に付された各商標を直接対比して、あるいはその細部まで緻密に観察・記憶する機会が多いとはいえない。例えば簡易迅速が求められる商品選択、購入の場において、特に数多くのブランドを同時並行的に陳列・販売しているコンビニエンスストアやたばこ取扱店においては、本件商標が使用されている異議申立商品を申立人の商品と誤認混同する可能性はより高いものとなる。 (3)小括 以上のとおり、本件商標が異議申立商品に使用された場合、取引者、需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、引用商標は、申立人が販売する加熱式たばこ「IQOSイルマ(ILUMA)」の専用たばこスティック(以下「申立人商品」という。)に使用されるものであって、申立人商品は、令和4年4月の先行発売後、同年7月の全都道府県への販売拡大から、IQOSオンラインストアをはじめ、全国のIQOSストア、IQOSショップ、IQOSコーナー、コンビニエンスストア、スーパーマーケット及びたばこ取扱店で販売されていることは確認できる(甲15〜甲19)。 しかしながら、申立人が販売する加熱式たばこ「IQOS」ブランドのユーザーが令和4年末時点で750万人、同5年末時点で850万人のユーザー(申立人の主張、甲17)であるとしても、「SENTIA」についてのユーザー数、市場シェア、広告方法等については、確認できない。 また、申立人提出に係る証拠によると、引用商標を使用した「IQOSイルマ(ILUMA)」の専用たばこスティックの発売が開始されたのは、令和4年4月であって、本件商標の登録出願日の1年ほど前にすぎず、申立人商品の我が国における売上高や市場占有率等も明らかではなく、申立人商品についての我が国における宣伝広告費用、宣伝広告の回数等を証明する証拠も提出されていない。 そうすると、申立人が提出した全証拠によっては、引用商標が、申立人又は申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 2 本件商標と引用商標の類否について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「SENSA」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して、「センサ」の称呼を生じ、当該文字は、一般的な辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。 (2)引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「SENTIA」の欧文字を横書きしてなり、その構成文字に相応して、「センティア」の称呼を生じ、当該文字は、一般的な辞書等に掲載が認められないから、特定の観念を生じない。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標は、語頭部分における「SEN」の欧文字を共通にするとしても、それに続く「SA」と「TIA」の欧文字において差異を有し、全体の文字数も相違しているから、外観において相紛れるおそれはないというべきである。 また、本件商標から生じる「センサ」の称呼と引用商標から生じる「センティア」の称呼とは、短い音構成において語尾部分において、「サ」の音と「ティア」の音に差異を有しているから、両者を一連に称呼した場合には、明確に聴別し得るというべきである。 そして、本件商標と引用商標からは、特定の観念が生じないから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において相紛れるおそれはなく、称呼においても聴別し得るものであるから、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、異議申立商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標は、異議申立商品と申立人商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標の権利者が、本件商標を異議申立商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起し、他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標の指定商品) 第34類「電子たばこ及び電子式喫煙用具用の有線噴霧器・有線吸入器・有線気化器,たばこ(未加工品又は加工品),葉巻たばこ,紙巻たばこ,シガリロ,手巻きたばこ,パイプ用たばこ,かみたばこ,かぎたばこ,クレテック(丁子入り紙巻きたばこ),スヌース(煙の出ないたばこ),その他のたばこ製品,代用たばこ(医療用のものを除く。),紙巻きたばこ用紙,シガレットチューブ,たばこ用フィルター,たばこ入れの缶,たばこケース,灰皿,パイプ,たばこ紙巻き器,ライター,その他の喫煙用具,マッチ,加熱して使用されることを目的とする手持型電子式喫煙器具用の粉砕加工・破砕加工その他の加工されたたばこ製品,加熱して使用されることを目的とするたばこ製品,たばこ及びたばこ製品を加熱することでニコチン成分が含まれるエアゾール(霧)を放出・発生させ、これを吸入するために使用する電子式器具及びその部品,電子たばこ専用ニコチン溶液,電子式喫煙用具,電子たばこ,伝統的なたばこの代替品として用いられる電子たばこ,ニコチン成分が含まれるエアゾール(霧)を吸入するために使用する電子式喫煙器具,喫煙者用のたばこ製品及び代用たばこ用の経口吸入器具,電子たばこ用喫煙用具,喫煙用具用の部品及び付属品,電子たばこ用の部品及び付属品,手持型加熱式喫煙器具用の部品及び付属品,喫煙者用のたばこ製品及び代用たばこ用の経口吸入器具用の部品及び付属品,加熱されたたばこ・葉巻たばこ用の火消用具,手持型電子加熱式喫煙器具用の加熱して使用される加工たばこ用の火消用具,再充電可能な電子シガレットケース」 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-08-28 |
出願番号 | 2023032412 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W34)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
鈴木 雅也 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 岩谷 禎枝 |
登録日 | 2023-10-30 |
登録番号 | 6749429 |
権利者 | ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ブランズ)リミテッド |
商標の称呼 | センサ |
代理人 | 竹中 陽輔 |
代理人 | 達野 大輔 |
代理人 | 中山 真理子 |
代理人 | 秋山 朋子 |
代理人 | 和田 信博 |