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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W354144
管理番号 1414401 
総通号数 33 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-10-24 
確定日 2024-08-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6727173号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6727173号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6727173号商標(以下「本件商標」という。)は、「バイタリティマネジメント」の文字を標準文字で表してなり、令和4年12月23日に登録出願、第35類「企業における人材開発に関するコンサルティング,個人における成人発達に関する職業適性検査及びこれらに関する助言又はコンサルティング,人事に関する診断・指導・助言,人事管理に関するコンサルティング,人材及び人材の開発・管理・評価及び戦略の分野における助言,企業の人事管理のための適性検査,事業の組織に関する指導及び助言,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,個々人のキャリアプランに関する指導及び助言」、第41類「ビジネスパーソンのキャリア形成に関する研修の企画・運営又は開催,個々人のキャリア設計(デザイン)とその実践に対する知識の教授及び指導,人材の育成及び能力の開発のための教育に関する情報の提供,人材開発・育成教育に関する研修の企画・運営又は開催,人材・チーム及び組織の開発のための訓練,マネジメント・コミュニケ−ション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,リーダーシップの開発における研修会及びセミナ−の運営,人材育成に関するコンサルティング,人材育成のための教育及び訓練並びにこれらに関する情報の提供,企業の人材育成に関するコンサルティング,企業における人材開発に関する教育及びその助言,企業の人材育成に関する各種の研修の開催,企業内における部下育成の技法その他の知識の教授,コーチング(教育及び訓練),メンタルヘルスに関する教授およびセミナ−の運営又は開催,マネジメント及び人事に関する教育及び訓練についての助言,セミナーの企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第44類「メンタルヘルス及び健康に関する助言,メンタルヘルス及び健康に関する情報の提供」を指定役務として、同5年7月21日に登録査定、同年8月16日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標(本件商標の登録出願の日前に商標登録出願されたものに限る。以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続している。
1 登録第4997419号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
2 登録第5604104号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
3 登録第6001061号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:VITALITY(標準文字)
4 登録第5873772号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
5 登録第5877188号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
6 登録第5911449号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様:VITALITY AGE
7 登録第5902420号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様:VITALITY(標準文字)
8 登録第5921363号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の態様:VitalityDrive
9 登録第5929047号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の態様:Vitality Shared−Value Insurance
10 登録第5964359号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の態様: VITALITY ACTIVE REWARDS
11 登録第5964360号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の態様:VITALITY ACTIVE
12 登録第5964361号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の態様:Japan Vitality Project
13 登録第5964362号商標(以下「引用商標13」という。)
商標の態様:Vitality − Know Your Health
14 登録第5964363号商標(以下「引用商標14」という。)
商標の態様:Vitality − Making People Healthier
15 登録第5984903号商標(以下「引用商標15」という。)
商標の態様:Vitality Reward Partner
16 登録第5972922号商標(以下「引用商標16」という。)
商標の態様:VITALITY HEALTHIEST WORKPLACE
17 登録第6025808号商標(以下「引用商標17」という。)
商標の態様:Vitality 年齢
18 登録第6050077号商標(以下「引用商標18」という。)
商標の態様:Vitality コイン
19 登録第6428097号商標(以下「引用商標19」という。)
商標の態様: Vitality エコー
20 登録第6428098号商標(以下「引用商標20」という。)
商標の態様:Vitality健康経営タイプ
21 登録第6428099号商標(以下「引用商標21」という。)
商標の態様:Vitality Health Management Type
22 登録第6697239号商標(以下「引用商標22」という。)
商標の態様:VITALITY ACTIVE LIFE INSURANCE

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第51号証を提出した。
1 引用商標の周知性について
申立人は、1992年に設立された南アフリカ共和国に拠点を置く保険会社であって、さまざまな保険商品、資産管理、貯蓄、投資、従業員給付等のサービスに従事しており、申立人の引用商標に係る事業の保険料等収入は、2022年時点で約2兆5830億円、保有契約件数は約1,301万件に達している。そして、その事業は世界40の国と地域で展開されている(甲25〜甲27)。
引用商標は、現在、世界で約3千万人が加入している健康増進プログラムの名称であって、申立人が生み出したのが「健康増進型」と呼ばれる新しい保険のモデルである。
「VITALITY」は、欧米、シンガポール、オーストラリアなど世界40の国と地域の保険会社等で採用されており、我が国では、2016年7月に「VITALITY」を発表し、マーケティング及びプロモーション活動を開始した。2018年には、住友生命保険相互会社が、「住友生命「VITALITY」」のサービスを開始し、開始から4カ月で加入者は12万人を突破している。現在までに、我が国の累計販売件数は100万件を突破している(甲47)。ちなみに、「VITALITY」商品については、日本の厚生労働大臣、消費者庁長官、経済産業省等からの賞をはじめ、日経優秀製品・サービス賞、日本サービス大賞など多数の優秀賞を受賞している(甲26、甲48)。また、青森県、山形県、北海道、神奈川県、大阪府などの地方自治体とも連携し、住民に健康増進プログラムを無償利用してもらう取り組みも開始されている(甲26、甲33、甲47)。
申立人は、社会的影響力の強い企業との提携、TVコマーシャル、スポーツ選手や芸能人とのタイアップ、スポーツイベントの実施、各種スポンサー活動、各種競技会の後援等の販売促進に力を入れ、また、著名なフィギュアスケーターを起用して、広くプロモーションを展開するなど、これまで我が国では販促費に約6億円以上を投じている(甲34、甲45、甲49〜甲51)。
また、消費者意識の可視化や認知率、利用率、顧客理解などを把握するリサーチツールを提供する株式会社スパコロが、2023年に全国の20歳から69歳の5,220人に「VITALITY」の認知・利用状況について調査したところ、浸透状況は認知率29.8%、利用経験率11.3%、1年以内利用率8.3%、3カ月以内利用率4.5%との結果が出ている(甲36)。これは、全国で約3割の認知度があり、認知者の約3人に1人が利用経験のあることを示している。
さらに、インターネット検索エンジンで「VITALITY」の語を入力して検索すると、この語が辞書に掲載のある既成語であるにもかかわらず、検索結果上位67件中59件が、申立人(住友生命保険相互会社を含む。)の商品・役務に関する記述である(甲29)。このことから、引用商標は、我が国で相当程度の周知性を獲得しているとみるべきである。
このように、引用商標に係る事業は、リスクに備えるものではなくリスクそのものを減らし、健康な人が増えれば社会全体の生産性も高まるというまさに少子高齢化社会における保険の概念を改革といえるほどに画期的に変化させ、生命保険、資産管理、貯蓄、投資、事業管理及びこれらのコンサルティングの分野において相当程度の実績を有する(甲25〜甲50)。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「バイタリティマネジメント」の文字を書してなるところ、「マネジメント」は、「管理」の意味を有し、本件商標後半部の「マネジメント」の語自体は、本件指定役務の内容を記述的に表すものである。
すなわち、本件商標中、需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は、「バイタリティ」であり、本件商標からは「バイタリティマネジメント」のほか、「バイタリティ」の称呼が生じ得る。
一方、引用商標は、欧文字「VITALITY」をはじめとして、これをややデザイン化したものであって、これら引用商標の要部は一貫して「VITALITY」であり、「バイタリティ」の称呼が生じる。
以上からすると、本件商標の要部ともいえる「バイタリティ」の称呼は、引用商標の称呼と同一であるため、両商標の称呼は類似すると理解するのが相当である。また、「バイタリティ」の語は、「生命力、活力、活気」などの意味を有するところ、本件商標からは、需要者の最も目をひく語頭にある「バイタリティ」の部分をもって取引される場合が多分にあるところ、これは、引用商標から生じる上記意味合いと同一であるから、両商標は観念上も紛らわしく、需要者、取引者に同様の印象を与える。
さらに、本件商標は、引用商標と類似群コードを共通とする類似役務を指定している。
申立人は「VITALITY」を自己のハウスマークとして長年使用しているところ、「VITALITY 〇〇」の構成からなるシリーズマークの役割を果たす商標を使用している。そうすると、引用商標の周知性を考慮すると、本件商標は、申立人のシリーズマークの一つと理解され、同列に把握されることも想像に難くない。
以上より、本件商標と引用商標とは、「バイタリティ」の称呼・観念を共通とする類似の商標である。また、上記のような取引の実情を考慮すると、本件商標と引用商標との間に需要者、取引者の混同が生じることが懸念されるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
申立人の商標「VITALITY」は、指定商品・役務の分野において相当程度周知となっているところ、本件商標は、申立人の周知商標を片仮名にしてそのまま含んでおり、引用商標とは関連付けて認識される可能性があるもので、両商標の類似性の程度は決して低いとはいえない。すると、引用商標と類似する本件商標がその指定役務に使用された結果、需要者、取引者が申立人の業務に係る商品・役務と混同するおそれがあることは想像に難くない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであり、上記で述べたように、引用商標が全国で約3割の人に認知されている実情においては、その約3割の人が本件商標を見て、申立人のものと誤認して理解し、把握するおそれがある。
4 商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、申立人は、1992年から保険業、コンサルタント業等を生業とし、引用商標「VITALITY」は、本件商標の登録出願日より前から申立人に係る商標として世界的に周知・著名性を獲得している。そのような状況下、語頭に「バイタリティ」の文字を付し、外観及び称呼上も紛らわしい本件商標を採択した本件商標の権利者には引用商標の有する周知・著名性へのフリーライドの意図、出所表示機能の稀釈化の意図という不正の意図があったと考えざるを得ない。そして、近年のインターネット等の通信網の普及、及び申立人の販促活動などを通じて、本件商標の商標権者も引用商標の周知性は十分認識し得る立場にあったことは容易に推測できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
(1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア Discovery Ltd.(以下「Discovery社」という。)は、1992年に設立され、南アフリカ共和国に本社を置く金融サービスグループであり、同国において1997年から、「Vitality」の文字(以下「申立人商標」という。)を使用した健康増進型保険(以下「Vitality保険」という。)の提供を行っている(甲25〜甲27)。
我が国においては、2016年に、Discovery社、ソフトバンク株式会社及び住友生命保険相互会社(以下「住友生命」という。)の三社が「Japan Vitality Project」を発表し、Vitality保険の日本市場導入に向けた取組みを進め、2018年には、住友生命によりVitality保険の提供が開始された(甲30〜甲32ほか)。
イ Vitality保険は、住友生命が提供する継続的な健康増進活動等の結果によって保険料が変動する保険などとして、新聞やインターネットにおいて紹介された(甲28、甲34、甲37)。また、スポーツ選手や芸能人とのタイアップや、他業種の企業との提携等による広告が行われた(甲34、甲45、甲51)。なお、申立人は、我が国におけるVitality保険の販促費に約6億円以上を投じた旨主張している。
ウ Vitality保険は、2022年10月末時点で、世界40の国及び地域において提供され、2022年度の保険料等収入は2兆5830億円、保有契約件数(2023年3月末時点)は1301万件であった(甲27)。また、我が国においては、2023年3月時点で、住友生命による累計販売件数が130万件超であった(甲41)。
エ Vitality保険は、公益財団法人日本生産性本部サービス産業生産性協議会が実施する「日本のサービスイノベーション2022」に選定され、また、「第4回日本サービス大賞」の「審査員特別賞・優秀賞」を受賞した(甲40、甲43)。
オ 2023年3月に株式会社スパコロによって実施された認知度調査によれば、Vitality保険の認知度は、全国の20歳から69歳の5220人の中で、約3割であった(甲36)。
(2)上記(1)によれば、Vitality保険は、南アフリカにおいてDiscovery社により1997年から提供され、我が国においては住友生命により2018年から提供されている健康増進型保険(継続的な健康増進活動等の結果によって保険料が変動する保険)であり、世界40か国での2022年度の保険料等収入が2兆5830億円、2023年3月時点の保有契約件数が1301万件であったこと、国内では2023年3月に累計販売件数が130万件を超えたこと、新聞やインターネット等において、スポーツ選手等を起用するなどした広告が行われたことがうかがえる。
しかしながら、Vitality保険の世界的な市場規模の割合や、国内における継続的な売上高及び市場シェアについて、客観的に把握することができる具体的な証拠は提出されていない。
また、申立人は、我が国におけるVitality保険の販促費に約6億円以上を投じたと主張するが、その主張を裏付ける資料の提出はない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、Vitality保険の販売実績や広告実績を客観的に把握できないことから、当該保険が、どの程度の需要者に知られているかを評価することができない。
加えて、Vitality保険の受賞歴や選定歴についても、これらの受賞等によって、当該保険が需要者にどの程度認識されるに至ったのかは明らかではないから、当該受賞歴等をもって、直ちに当該保険の認知度を推し量ることはできない。
さらに、認知度調査についても、その具体的な調査方法は不明であるだけでなく、約3割との認知率をもって、直ちにVitality保険が需要者の間に広く認識されているものとまでは認め難い。
その他、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、Vitality保険が、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる事情は見いだせない。
したがって、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、Vitality保険の名称である申立人商標が、他人(Discovery社又は住友生命)の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「バイタリティマネジメント」の文字を標準文字で表してなるところ、各構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、同じ間隔で横一連に表してなり、該文字から生じる「バイタリティマネジメント」の称呼も無理なく一連に称呼し得る。
そして、構成中の「バイタリティ」の文字が「生命力」の意味を有する語(コンサイスカタカナ語辞典第5版 株式会社三省堂)であり、「マネジメント」の文字が「管理」の意味を有する語(前掲書)であるとしても、上記のとおりの外観及び称呼における一体性からすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、特定の文字部分のみに着目することなく、構成文字全体をもって、特定の意味を有しない一体不可分の造語を表したものとして認識するとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「バイタリティマネジメント」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標について
ア 引用商標1ないし引用商標5及び引用商標7(以下、これらをまとめて「引用商標A」という。)について
引用商標1及び引用商標2は、別掲1及び別掲2のとおり、図形と「Vitality」の欧文字を組み合わせてなるところ、当該図形部分と文字部分とは、特別な関連性を有するものではないから、それぞれ独立して自他役務の識別標識として機能を果たす要部と認識され、当該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じないが、文字部分からは「バイタリティ」の称呼を生じ、当該文字は「生命力」の意味を有する語(ベーシックジーニアス英和辞典第2版 株式会社大修館書店)であるから、「生命力」の観念を生じる。
引用商標3及び引用商標7は、上記第2のとおり「VITALITY」の欧文字を標準文字で表し、引用商標4及び引用商標5は、別掲3のとおり「Vitality」の欧文字を筆記体風に横書きしてなるから、その構成文字に相応して、それぞれ「バイタリティ」の称呼を生じ、「生命力」の観念を生じる。
イ 引用商標6、引用商標8ないし引用商標22(以下、これらをまとめて「引用商標B」という。)について
引用商標Bは、上記第2のとおり「Vitality」又は「VITALITY」の文字をその構成中に有する構成からなるところ、それぞれ構成全体がまとまりよく一体的に表されているものであって、構成中の「Vitality」又は「VITALITY」の文字部分のみが独立して見る者の注意を引くような構成であるとはいえないから、それぞれの構成文字全体に相応した称呼(「バイタリティエージ」「バイタリティドライブ」「バイタリティシェアードバリューインシュアランス」「バイタリティアクティブリワーズ」「バイタリティアクティブ」「ジャパンバイタリティプロジェクト」「バイタリティノーユアヘルス」「バイタリティメーキングピープルヘルシアー」「バイタリティリワードパートナー」「バイタリティヘルシエストワークプレース」「バイタリティネンレー」「バイタリティコイン」「バイタリティエコー」「バイタリティケンコーケーエータイプ」「バイタリティヘルスマネージメントタイプ」「バイタリティアクティブライフインシュランス」)を生じ、「バイタリティ」のみの称呼は生じないとみるのが相当である。
また、引用商標Bは、それぞれ辞書類に掲載されている語ではなく、具体的な意味合いを表す語として知られているものでもないから、具体的な意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものであって、特定の観念を生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標Aの類否
本件商標と引用商標Aとの類否について検討すると、外観においては、本件商標が片仮名からなるものであるのに対し、引用商標Aは、欧文字からなるもの、又は図形と欧文字を組み合わせてなるものであって、その構成態様において、両者は明らかに相違し、また、構成文字全体としても異なる語を表してなるから、見誤るおそれはなく、外観上、明確に区別し得る。
また、称呼においては、本件商標から生じる「バイタリティマネジメント」の称呼と、引用商標Aから生じる「バイタリティ」の称呼とは、語尾の「マネジメント」の音の有無という明確な差異を有することから、互いに聞き誤るおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じない造語であるのに対し、引用商標Aは「生命力」の観念を生じるものであるから、両者は観念において紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標Aとは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのないものであるから、十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
イ 本件商標と引用商標Bの類否
本件商標と引用商標Bの類否について検討すると、外観においては、本件商標が片仮名からなるものであるのに対し、引用商標Bは、欧文字からなるもの、若しくは、欧文字と片仮名又は漢字を組み合わせてなるものであって、その構成態様において、両者は明らかに相違し、また、構成文字全体としても異なる語を表してなるから、見誤るおそれはなく、外観上、明確に区別し得る。
また、称呼においては、本件商標から生じる「バイタリティマネジメント」の称呼と、引用商標Bのそれぞれの構成全体から生じる称呼は、明瞭に聴別できる。
さらに、観念においては、両者は特定の観念を生じない造語であるから、観念においては比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標Bとは、観念において比較することはできないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両者の指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、申立人商標は、他人(Discovery社又は住友生命)の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国における需要者の間に広く認識されているものではない。
また、申立人商標は、引用商標3及び引用商標7とつづりを同じくするものであるところ、上記2のとおり、本件商標と引用商標3及び引用商標7は相紛れるおそれのない非類似の商標であることから、本件商標と申立人商標についても同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といえる。よって、本件商標と申立人商標の類似性の程度は低い。
さらに、申立人商標である「Vitality」の文字は、上記2(2)アのとおり「生命力」等の意味を有する語であって、我が国においては広く知られている成語であるから、独創性の程度は低いといえる。
加えて、本件商標の指定役務は、申立人商標の使用に係る役務「健康増進型保険」のような保険業務を含むものではなく、役務の関連性の程度は低い。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、需要者をして申立人商標を連想又は想起させることは考えにくく、その役務が他人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人商標は、上記1のとおり、他人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものではなく、また、本件商標は、上記3のとおり、申立人商標とは非類似の商標である。
さらに、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的証拠も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(引用商標1)



別掲2(引用商標2)


別掲3(引用商標4及び引用商標5)


異議決定日 2024-08-06 
出願番号 2022146660 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W354144)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大島 勉
特許庁審判官 小林 裕子
阿曾 裕樹
登録日 2023-08-16 
登録番号 6727173 
権利者 株式会社ホリスティック・キャリア
商標の称呼 バイタリティマネジメント、バイタリティ 
代理人 川本 真由美 
代理人 山尾 憲人 
代理人 佐々木 美紀 

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