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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0305060832 |
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管理番号 | 1413630 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-11-15 |
確定日 | 2024-08-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6733898号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6733898号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6733898号商標(以下「本件商標」という。)は、「waterdrop」の文字を標準文字により表してなり、令和5年1月11日に登録出願、第3類「つや出しワックス,芳香剤,ワックスメルト(芳香剤),しみ抜き剤,つや出し剤,研磨剤(研磨用補助液及び歯科用のものを除く。)」、第5類「人工受精用精液,歯科用充てん材料,歯科用研磨剤」、第6類「金属製ノズル,金属製の圧力洗浄機用噴霧ノズル,ヘッドが自回転する金属製の圧力洗浄機用噴霧ノズル,調節可能な金属製ノズル,送水管用金属製バルブ,金属製送水管,管用金属製接続具,金属製管継ぎ手,金属製ガーデンホース継手,金属製貯蔵容器,金属管用付属品,高圧ガスまたは圧縮液用金属製シリンダー(空のもの),金属製高圧ガス又は液体空気用容器,圧縮ガス用又は液体空気用の金属製容器,たる用金属製スタンド,金属製家庭用水槽,飲料用の金属缶,金属製支柱,鉄鋼二次製品,金属製金具,管用金属製エルボー,金属製分岐管,金属管及びその付属品,金属製格子,金属製識別腕輪,金属製の容器用栓及びふた,瓶用金属製栓」、第8類「手動工具用継ぎ足し棒,携帯武器(火器を除く。),ホビーナイフ,手動式金属バンド伸張器具,手動式農業用器具,ナイフ,ねじ切り工具(手持工具に当たるものに限る。),園芸用器具(手動式のもの),かみそりの刃,電気式及び非電気式つめ切り,手持工具(手動式のもの),動物用手動バリカン,もり,ナイフ用柄,家畜用烙印用具,動物の皮剥用ナイフ,手動式の手持工具用柄,大がま用柄,スパナー」及び第32類「麦芽汁」を指定商品として、同年8月2日に登録査定され、同年9月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立の理由として引用する商標は、以下の2件の商標であり、1の登録商標は、現に有効に存続しているものである。 1 登録第6349828号商標(以下「引用商標1」という。)は、「WATERDROP」の文字を標準文字により表してなり、令和元年9月17日に登録出願、第5類「ビタミンの錠剤,ビタミン剤,発泡性のビタミン錠剤,その他の薬剤,ビタミンを主原料とするサプリメント,その他のサプリメント」及び第21類「ガラス製容器,ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。),瓶,ガラス製フラスコ型瓶,デカンター,コップ類,タンブラー,その他の食器類,飲料用断熱容器,魔法瓶」を指定商品として、同3年2月8日に設定登録されたものである。 2 申立人が引用する別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)は、申立人が第5類「ビタミンの錠剤,ビタミン剤,発泡性のビタミン錠剤,その他の薬剤,ビタミンを主原料とするサプリメント,その他のサプリメント」及び第21類「ガラス製容器,ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。),瓶,ガラス製フラスコ型瓶,デカンター,コップ類,タンブラー,その他の食器類,飲料用断熱容器,魔法瓶」(以下「使用商品」という。)に使用しているというものである。 上記の引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人について 申立人は、2016年、オーストリアのウィーンにて高品質の食品及び飲料製品を研究開発する事務所を設立した(甲4)。2017年にドイツ、オーストリア、スイスにおいてオンライン及び実販売により、商品「マイクロドリンク」の販売を開始し、このころから、商標「WATER DROP」を使用している(甲5)。 商品「マイクロドリンク」は、果実及び植物エキスを含むコンパクトなキューブであり、これを水に溶かすことで、水の品質を向上させることができる革新的な商品である。 2019年には、イギリス及びフランスに進出、2020年には商品の自社生産を開始し、オーストラリア(決定注:「オーストリア」の誤記と思われる。)のウィーン初の旗艦店をオープンした。2021年には、申立人の顧客はおよそ100万人に達し、また、商品「マイクロドリンク」は、米国のTIME誌の優れた発明100(「THE BEST OF INVENTIONS」)に選ばれた(甲6)。 そして、2022年、申立人は、シンガポールの、プラザシンガプラ(Plaza Singapura)に店舗を構え、アジア太平洋地域に進出を果たした。当時、マーティン・マレー最高経営責任者(CEO)はインタビューにおいて「商品「マイクロドリンク」は、5年間で12か国において1億ドルの売り上げを達成していること」、「米国では2021年に1000万ドルの売り上げを記録しており、2022年には少なくともその3倍の売り上げを目指していること」、「彼らは200人以上の従業員を抱え、1万以上の店舗で商品を販売しており、オンライン顧客は150万人であること」などを語っている(甲7)。 また、同年、テイラー・フリッツやダニエル・コリンズ等の有名アスリートが商標「WATERDROP」を付けた製品のスポンサーとなり、申立人はスポーツ市場にも参入した(甲8〜甲14)。 2023年には申立人の顧客はおよそ200万人に達し、申立人はさらにオーストラリアとバルカン諸国にも進出した。そして、申立人はATP(男子プロテニス協会)ツアーのゴールドパートナーとなり、テニス界のレジェンド、ノバク・ジョコビッチが「WATERDROP」商標のブランド・アンバサダーに加わった。これらの主要なスポーツイベントは地元だけでなく国際的にも放送された(甲15、甲16)。 現在までに、申立人は、400人以上の従業員をかかえ、アジア、ヨーロッパ、米国の30カ国以上で事業を展開している。よく知られた商品である「マイクロドリンク」やサスティナブルなガラスとスチールのボトルを含む申立人の製品は、売上額で世界最大の企業であるウォールマートが経営する小売店「ウォールマート(Walmart)」、米国で売上高第5位ターゲットコーポレイションが運営する小売店「ターゲット(Target)」、ドイツで2番目のシェアを誇るドラッグチェーン店である「ロスマン(Rossmann)」、ドイツの総合スーパーマーケットである「レーベ(Rewestores)」、ドイツのドラッグストア「ドロゲリエ・マルクトdm−drogeriemarkt(通称「dm」)、30カ国以上の地域で展開する世界最大の食品小売りチェーン「スパー(SPAR)」、フランスの小売店である「ブーランジェ(Boulanger)」、「ダーティ(Darty)」、その他薬局などの主要アウトレットを含む世界中の22,000以上の小売店及びブランド店で購入できる。 申立人は、ソーシャルメディア(主にTik Tok、Facebook、Instagram)において、200万人以上のフォロワーを獲得し、一つのコミュニティを形成している。ブランド「WATERDROP」と独特な花のロゴ(商標登録第6382407号、商標登録第6515765号)(甲17)は、申立人の製品群である、商品「マイクロドリンク」とサスティナブルなボトルそのものを示している。世界中での販売・マーケティング及びプロモーション活動を通じて、申立人はビジネスにおいて、日本及び世界中でよく知られている。過去5年間において、商標「WATERDROP」の名前で、世界中で販売された製品のおおよその売上高は、日本円に直すと、約375億9千万円である。 令和5年夏、申立人が調査会社で行った調査結果によると、ドイツ及びフランスでは、半数以上の回答者が定期的にフレーバーウォーターを飲用しており、ドイツでは回答者の半数以上が、フランスでは30%がWATERDROPブランドをよく知っていると答えている。このことからも、商標「WATERDROP」が周知・著名であることがわかる(甲18)。 さらに、申立人は、日本を含む全世界で260以上の商標登録出願又は登録を保有している。 (2)引用商標の周知性について 上述のとおり、引用商標は、2021年に米国のTIME誌の優れた発明100(「THE BEST OF INVENTIONS」)に選出されたことにより、世界的に注目され、また、2022年にテイラー・フリッツ、ダニエル・コリンズといった有名テニスプレーヤーとのスポンサー契約を開始したことで、需要者が目にする機会が格段に増え、そして、本件商標の登録出願日である令和5年1月11日までには、世界中で200万人もの顧客を有するようになっていた。 以上より、引用商標は、本件商標の登録出願時の令和5年1月11日に日本において周知であり、現在に至るまで継続して周知であることは明らかである(甲4〜甲18)。 また、申立人は、オリンピック選手でもある日本人テニスプレーヤーとスポンサー契約を結び(甲19)、既に昨年より、日本でのオンラインによる商品販売が開始されている(甲20)。 (3)本件商標と申立人商標(引用商標1)の類似性について 本件商標は、「waterdrop」の文字を標準文字で表してなり、引用商標1は、「WATERDROP」の文字を標準文字で表してなる商標である。 本件商標と引用商標1は、小文字か大文字かの差はあるものの、そのアルファベットの順番と構成が全く同一であるため称呼が同一であり、また、観念はともに「水滴、雨滴」、「涙の滴」の意味を生じさせる語であることから、互いに同一又は類似の商標であることは明らかである。 (4)商品の出所混同について 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある」場合とは、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係があるものの業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同する場合も含まれると解されている。 引用商標は、2021年に米国のTIME誌の優れた発明100(「THE BEST OF INVENTIONS」)に選出されたことにより、世界的に注目され、また、2022年に有名テニスプレーヤーとのスポンサー契約を開始したことで、需要者が目にする機会が格段に増え、その名前が周知・著名になった。 引用商標は、申立人の会社名の一部からなる商標であり、ハウスマークである。昨今の企業における多角経営の可能性を考慮すると、本件商標に接した需要者が「申立人と少なくとも経済的又は組織的に何等かの関係があるものの業務に係る商品又は役務である」と誤認し、商品又は役務の出所について混同する可能性が非常に高いのは明らかである。 しかも、当該商標はハウスマークとして需要者・取引者によく知られており、製品自体・製品カタログ・取引書類等に常に付されて使用されるものでもある。本件商標と引用商標が近似し、その商品も密接な関連性を有するため、需要者の混同が生じているのは明白であり、この解消を図ることが商標法の目的にも合致するものである。 (5)小括 以上のことから、本件商標は、引用商標の権利者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 商標法第4条第1項第19号について (1)本件商標と引用商標の類似性及び引用商標の周知著名性について 上述のとおり、本件商標と引用商標は、外観が類似しており、同一の称呼、観念を有する、同一又は類似の商標である。 また、申立人は、2021年に米国のTIME誌の優れた発明100(「THE BEST OF INVENTIONS」)に選出されたことにより、世界的に注目され、さらに2022年に有名テニスプレーヤーとのスポンサー契約を開始したことで、需要者が目にする機会が格段に増え、その名前及び引用商標が周知、著名になった。 本件商標は、申立人の社名の一部でもあり、よく知られたものであるから、引用商標の周知著名性はこれらの商標に化体しており、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、これらの商標は変わらず周知著名商標であったと考えるのが相当である。 (2)不正の目的について 上記のように、本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であり、引用商標が本件商標の登録出願時に外国において周知であったことからすれば、本件商標は引用商標の周知性にあやかり、これに便乗して不正の利益を得る目的が推認される。 また、本件商標が5区分にわたる非常に多くの商品又は役務を指定して登録出願されたものの、いまだ使用を開始していないことからも「不正の目的」をうかがい知ることができる。 以上のことより、本件商標は、周知著名な引用商標に化体した名声、信用等にただ乗り希釈化し、不正の利益を得る目的、他人たる申立人等に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものと考えるのが相当である。 (3)小括 以上のことから、本件商標は他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであり、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)申立人は、2017年に、ドイツ、オーストリア、スイスにおいてオンライン及び実販売により、商品「マイクロドリンク」の販売を開始し、この頃から、商標「WATER DROP」を使用開始した旨主張している。 しかしながら、申立人提出の証拠(甲5の2)からは、「waterdrop」の文字が付された使用商品を販売していることは認められるものの、それら商品の掲載日は不明であり、「waterdrop」商標の使用開始日をうかがい知ることはできない。 (2)申立人は、2021年には申立人の顧客はおよそ100万人に達し、2023年にはおよそ200万人に達した旨主張している。 しかしながら、上記顧客数を裏付ける具体的、かつ、客観的な証拠の提出はない。 (3)申立人は、商品「マイクロドリンク」は、米国のTIME誌の優れた発明100(「THE BEST OF INVENTIONS」)に選ばれている(甲6)旨主張しているが、そのことが引用商標の周知性にどのような影響を及ぼしているのかは不明である。 (4)2022年、申立人は、シンガポールの、プラザシンガプラ(Plaza Singapura)に店舗を構え、アジア太平洋地域に進出し、当時、マーティン・マレー最高経営責任者(CEO)はインタビューにおいて、「商品「マイクロドリンク」は、5年間で12か国において1億ドルの売り上げを達成していること」、「米国では2021年に1000万ドルの売り上げを記録しており、2022年には少なくともその3倍の売り上げを目指していること」、「彼らは200人以上の従業員を抱え、1万以上の店舗で商品を販売しており、オンライン顧客は150万人であること」などを語っている(甲7)旨主張している。 しかしながら、それらの数字を裏付ける具体的、かつ、客観的な証拠の提出はない。 (5)申立人は、有名アスリートが商標「WATERDROP」を付けた製品のスポンサーとなり、スポーツ市場にも参入した(甲9〜甲12)旨主張している。 しかしながら、該有名アスリートとのスポンサー契約日、期間等は明らかでない。 (6)申立人は、過去5年間において、商標「WATERDROP」の名前で、世界中で販売された製品のおおよその売上高は、日本円に直すと、約375億9千万円である旨主張している。 しかしながら、そのことを裏付ける具体的、かつ、客観的な証拠の提出はない。 (7)申立人は、令和5年夏、申立人が調査会社で行った調査結果によると、ドイツ及びフランスでは、半数以上の回答者が定期的にフレーバーウォーターを飲用しており、ドイツでは回答者の半数以上が、フランスでは30%がWATERDROPブランドをよく知っていると答えているから(甲18)、商標「WATERDROP」が周知・著名である旨、また、申立人は、日本を含む全世界で260以上の商標登録出願又は登録を保有している旨主張している。 しかしながら、上記調査の対象者の人数、年齢、性別、範囲、調査内容(設問)等、具体的な内容などが明らかではないことから、その調査結果により、直ちに引用商標の周知性が認められるものではなく、また、申立人が日本を含む全世界で多数の商標登録出願又は登録を保有しているとしても、そのことは、引用商標の周知、著名性を直接的に裏付けるものではない。 (8)上記(1)ないし(7)によれば、申立人は、「waterdrop」の文字を付した使用商品を取り扱っていることがうかがわれるが、引用商標の使用開始日を裏付ける証拠や申立人の業務に係る商品の外国及び我が国における売上高、販売数量についての販売実績を示す客観的な裏付け資料並びに宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的事実に関する証拠は何ら見いだせない。 そうすると、申立人の提出した証拠のみによっては、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、外国及び我が国の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の比較について 本件商標は上記第1の構成、引用商標1は上記第2の1の構成及び引用商標2は別掲のとおりの構成よりなるものである。 本件商標と引用商標1は、欧文字の小文字と大文字の差異があるとしても、そのつづりを同じくするものである また、本件商標と引用商標2は、ともに欧文字の小文字であり、そのつづりを同じくするものである。 したがって、本件商標と引用商標は、類似の商標と認められる。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)本件商標と引用商標の類似性の程度 上記2のとおり、本件商標と引用商標は類似の商標であるから、類似性の程度は高いといえる。 (2)本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品及び引用商標2の使用商品の関連性 本件商標の上記第1の指定商品と引用商標1の上記第2の1の指定商品及び引用商標2の上記第2の2の使用商品とは、商品の販売場所、流通経路、材料、用途等を異にするものであるから、これらの商品は関連性を有するものとはいえない。 (3)出所の混同 引用商標は、上記1のとおり、その登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国における周知、著名性を認めることができず、上記(2)のとおり、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品及び引用商標2の使用商品とは関連性を有するものとはいえないから、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は類似性の程度が高いとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、本件商標をその指定商品について使用をしても、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について (1)本号を適用するための要件 本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの」と規定されている。 そうすると、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものであるから、本件商標と引用商標とが類似の商標であるとしても、商標法第4条第1項第19号を適用するための「日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」との要件を欠くものといわざるを得ない。 その他、申立人の提出する甲各号証を総合してみても、本件商標が不正の利益を得る目的、他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。 (2)小括 以上のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国における周知・著名性を認めることができないものであるから、たとえ本件商標と引用商標が類似するとしても、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものであるということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-07-24 |
出願番号 | 2023001889 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W0305060832)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 豊瀬 京太郎 |
登録日 | 2023-09-07 |
登録番号 | 6733898 |
権利者 | 青島伊可普電器有限公司 |
商標の称呼 | ウオータードロップ、ウオーター |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 須永 浩子 |
代理人 | 森 太士 |
代理人 | 原 裕子 |
代理人 | 弁理士法人三枝国際特許事務所 |