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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1413439 
総通号数 32 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-03-03 
確定日 2024-07-24 
事件の表示 商願2021−105820拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「GAIA」の文字を標準文字で表してなり、第9類「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」を指定商品として、令和3年8月25日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年3月22日付けで拒絶理由の通知がされ、同年11月30日付けで拒絶査定がされたものであり、これに対し、同5年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4142589号−2商標(以下「引用商標」という。)は、「GAIA」の欧文字と「ガイア」の片仮名を上下二段に書してなり、平成8年7月10日に登録出願、同10年5月1日に設定登録された登録第4142589号商標について、同19年3月29日に商標権の分割移転の登録がされた結果、指定商品を第9類「土木積算用電子計算機用プログラム」とし、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「GAIA」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して「ガイア」の称呼を生じ、「ガイア(大地の女神)」(「Gaea」の語と同義として、「ジーニアス英和辞典 第6版」発行者:株式会社大修館書店)の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「GAIA」の欧文字と「ガイア」の片仮名を上下二段に書してなるところ、その構成中の「ガイア」の文字は、「GAIA」の欧文字の読みを片仮名で表したものと理解されるものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ガイア」の称呼を生じ、「ガイア(大地の女神)」(前掲書)の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、構成全体を見た場合、「ガイア」の片仮名の有無の差異があるものの、本願商標「GAIA」の文字と引用商標の構成中の「GAIA」の欧文字とを比較すると、両者は、いずれも一般的な書体で表されており、構成文字のつづりを共通にすることから、これらは、外観上類似するものである。
次に、称呼においては、本願商標から生じる「ガイア」の称呼と引用商標から生じる「ガイア」の称呼は同一であり、称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標及び引用商標から生じる「ガイア(大地の女神)」の観念は同一であり、観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼及び観念を共通にするから、両商標は、相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品である第9類「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」と、引用商標の指定商品である第9類「土木積算用電子計算機用プログラム」の類否を比較検討する。
本願の指定商品は、「コンピューターネットワークに直接接続して使用する補助記憶装置。」(別掲1(1)参照。)を意味するものであるところ、これは、「電子応用機械器具及びその部品」(「類似商品・役務審査基準〔国際分類第11−2021版対応〕特許庁)の範ちゅうの商品として例示されている「ハードディスクユニット」に類するものであるといえるから、本願の指定商品は、「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品であると認められる。
また、「電子応用機械器具及びその部品」は、「この商品は、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものが該当します。」(「商品及び役務の区分解説」〔国際分類第11−2022版対応〕特許庁商標課編」とされていることに加え、別掲1のとおり、「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」は、個人、法人を問わず利用が増加しており(別掲1(2)〜(7)参照。)、引用商標の指定商品に関連する建設業界においても利用されていることが確認できる(同(8)〜(10)参照。)。
さらに、「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品として「電子計算機用プログラム」が例示されていることから(「類似商品・役務審査基準〔国際分類第11−2021版対応〕特許庁)、引用商標の指定商品は、本願の指定商品と同じく、「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品であると認められる。
そして、引用商標の指定商品は、「土木積算用電子計算機用プログラム」であり、別掲2のとおり、引用商標権者のウェブサイトを参照すると、その需要者は、おもに建設業界関係者と見られるところ、建設業界においても、別掲1(8)〜(10)のとおり、データの共有等を行う際に、「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」が利用されていることから、「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」と「土木積算用電子計算機用プログラム」とは、その需要者の範囲を同じくする場合があるものといえる。
加えて、別掲3のとおり、「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」と「土木積算用電子計算機用プログラム」に見られるような各種の「電子計算機プログラム」が同一営業主により製造、開発、販売されている事実が確認できる。
そうすると、本願の指定商品である「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」と、引用商標の指定商品である「土木積算用電子計算機用プログラム」とは、ともに電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであって、その需要者の範囲並びにその生産部門及び販売部門を同じくすることがあるといえるものであり、これらの取引の実情に照らせば、両者は類似する商品と判断すべきものである。
したがって、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものである。
(5)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 請求人の主張について
(1)請求人は、本願の指定商品に係る実際の製品と引用商標の指定商品に係る実際の製品を比較し、その価格帯、両製品が提供される専門領域の違い等の具体的内容を勘案すれば、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは非類似である旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは、その指定商品及び指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであるところ、上記3(4)のとおり、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであって、その需要者の範囲並びにその生産部門及び販売部門を同じくすることがあるといえるものであり、これらに同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造、販売に係る商品と誤認を生じるおそれがあるといえるものであるから、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と類似すると判断するのが相当である。
また、請求人の上記主張は、請求人及び引用商標権者の商品の個別具体的な事情にすぎず、一般的かつ恒常的な取引の実情とは認められないことからすると、これを取引の実情として、本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否判断にあたり考慮することは適当でない。
(2)請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、また、当該登録例と本願商標とは、商標の構成、指定商品等を異にするものであるから,当該登録例によって,ただちに本願商標の認定が左右されるものではない。
(3)請求人の上記主張は、採用することができず、また、その他の請求人の主張も採用することはできない。

5 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」の意味及び利用状況について
(1)「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「IT用語がわかる辞典 「NAS」の解説」の見出しの下、「ナス【NAS】 コンピューターネットワークに直接接続して使用する補助記憶装置。」との記載がある。
https://kotobank.jp/word/NAS-6868#:~:text=ナス【NAS】[network%20attached,ネットワークHDD。
(2)「BUFFALO」のウェブサイトにおいて、「法人向けNAS・HDD」との記載がある。
https://www.buffalo.jp/biz/product/category/hdd.html
(3)「BUFFALO」のウェブサイトにおいて、「NASってなに? 基本知識から活用法・選び方まで徹底解説」の見出しの下、「1.NASってどんなもの?」の項に、「・・・このページでは、個人向けNASを中心に、NASについて詳しく解説していきます。」との記載がある。
https://www.buffalo.jp/topics/knowledge/detail/nas.html
(4)「I・O DATA」のウェブサイトにおいて、「法人・企業向けNAS(Linuxベース OSモデル)」との記載がある。
https://www.iodata.jp/product/nas/general/
(5)「I・O DATA」のウェブサイトにおいて、「個人・家庭向けNAS」との記載がある。
https://www.iodata.jp/product/nas/personal/
(6)「ELECOM」のウェブサイトにおいて、「NAS導入のポイントとは?メリットから選び方まで解説します」との見出しの下、「NASは外付けの大容量ハードディスクとして使えるだけでなく、複数人でのデータのやり取りを手軽にでき、法人で利用されるケースが増えてきているのです。」との記載がある。
https://www.elecom.co.jp/biz/storage/co-nas-choice/
(7)「@DIME」のウェブサイトにおいて、「導入するメリットは?今さら聞けないデータストレージ「NAS」の基礎知識」の見出しの下、「パソコンにスマートフォン、タブレットと複数のデバイスでデータを共有するのが当たり前になった昨今、NASは自宅用データストレージとしての導入も増加傾向にあります。」との記載及び「NASの意味」の項に、「安全性の高いバックアップとデータ共有の容易さという特徴から、NASは企業での導入事例が多いストレージです。」との記載がある。
https://dime.jp/genre/1498297/
(8)「ELECOM」のウェブサイトにおいて、「建設現場のデータ保存用のNASはQNAPで決まり!」との記載がある。
https://www.elecom.co.jp/solution/contents/00007/architecture/
(9)「I・O DATA」のウェブサイトにおいて、「建設現場のデータ保存にNAS。」との記載がある。
https://www.iodata.jp/ssp/nas/construction/index.htm
(10)「TEKWIND」のウェブサイトにおいて、「NASを活用している企業の業務改善事例と成功事例を紹介」の見出しの下、「建設・不動産業でのNAS活用」の項に、「建設業・不動産業では顧客情報や住宅情報履歴をはじめ、図面、施工のビフォー・アフターなど様々な画像を保存します。近年は画像も解像度が高く、図面のデータも複雑なものが多くなっているため大容量のファイルサーバーを求めるケースが多くなっています。 また建設業などで扱う現場によっては、調査や計測、分析作業なども必要です。」との記載がある。
https://www.tekwind.co.jp/column/entry_301.php

別掲2 引用商標権者のウェブサイト
「株式会社ビーイング」のウェブサイトにおいて、「Gaia CLOUD」の見出しの下、「流れるような操作性と全自動積算で「勝てる積算」へ。『Gaia Cloud』がご案内します。」との記載がある。
https://www.beingcorp.co.jp/product/g-cloud/
また、上記ウェブページの右上の「お客様の声」をクリックすると、「お客さまの声」の見出しの下、「『Gaia Cloud』導入事例」の項に、複数の建設会社が掲載されている。
https://www.beingcorp.co.jp/case-study/

別掲3 「ネットワーク接続型ストレージ(NAS)」と「土木積算用電子計算機用プログラム」に見られるような各種の「電子計算機プログラム」が同一営業主により製造、開発、販売されている事例。
1(1)「HITACHI」のウェブサイトにおいて、「NAS(Network Attached Storage)の見出しの下、「ソリューション構成製品」の項に、「製品名 ソリューション構成製品」」との記載がある。
https://www.hitachi.co.jp/products/it/network/communimax/infra/nas.html
1(2)「HITACHI」のウェブサイトにおいて、「ソフトウェア事業のご紹介」との記載がある。
https://www.hitachi.co.jp/Div/soft/division.html
2(1)「TOSHIBA」のウェブサイトにおいて、「NAS」の見出しの下、「ネットワークを活用して業務を推進するビジネスマンやクリエーター達が共同作業を円滑に行うためには、効率的で拡張性に優れたネットワークストレージが必要不可欠です。 Toshiba NAS HDDは、企業やクリエーターたちがストレージを共有し、デジタル資産を保存するのに最適な幅広い容量ラインアップを提供します。」との記載がある。
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/storage/product/internal-specialty/nas.html
2(2)「TOSHIBA」のウェブサイトにおいて、「ソフトウェア製品」の見出しの下、「システム構築からプログラミング、デバッグ、試運転調整、保守運用まで、Vシリーズシステムのライフサイクル全般にわたってサポートする多様なソフトウェア製品を提供しています。」との記載がある。
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/smart-manufacturing/controller/product/v-series/software.html
3(1)「NEC」のウェブサイトにおいて、「NSシリーズ [iStorage ストレージ]」の見出しの下、「様々なセキュリティ、バックアップにも対応する高信頼NASサーバ。」との記載がある。
https://jpn.nec.com/istorage/product/nas/ns/lineup.html
3(2)「NEC」のウェブサイトにおいて、「NECクラウドソフトウェアストア クラウド環境でご利用可能なNECの各種ソフトウェアをオンラインからご購入いただけます。」との記載がある。
https://jpn.nec.com/cloud/software/
4(1)「SHARP」のウェブサイトにおいて、「NAS N5810PRO(IX−N5810P)」の見出しの下、「多様なバックアップに対応。データのセキュリティ対策にも対応。大切なデータを守ります。」との記載がある。
https://smj.jp.sharp/bs/nas/
4(2)「SHARP」のウェブサイトにおいて、「ソフトウェア・サービス」の見出しの下、「基幹ソリューション」の項に「ERPシステム」、「販売管理システム」との記載がある。
https://jp.sharp/business/solution/software_sol.html
5(1)「DELL Technologies」のウェブサイトにおいて、「Dell Isilon H5600ハイブリッドNASストレージ」との記載がある。
https://www.dell.com/ja-jp/dt/storage/isilon/isilon-h5600-hybrid-nas-storage.htm
5(2)「DELL Technologies」のウェブサイトにおいて、「ソフトウェア」の見出しの下、「Microsoft Office、Autodesk Fusion 360、McAfee Total Protectionなどのスモール ビジネス向けのソフトウェアを見つけてダウンロードしてください。」との記載がある。
https://www.dell.com/ja-jp/shop/ソフトウェア/ac/4020


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-05-22 
結審通知日 2024-05-27 
審決日 2024-06-12 
出願番号 2021105820 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 渡邉 潤
渡邉 あおい
商標の称呼 ガイア 
代理人 朝倉 美知 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 

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