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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25 |
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管理番号 | 1413415 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2022-08-24 |
確定日 | 2024-07-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4868206号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 登録第4868206号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成16年11月26日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同17年6月3日に設定登録されたものである。 そして、本件審判請求の登録は、令和4年9月12日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和元年9月12日〜同4年9月11日)を、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の指定商品中、「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張した。 なお、請求人は、令和4年10月7日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び同5年8月30日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同年9月27日付け回答書(以下「回答書」という。)に対し、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証を提出した。 なお、以下、証拠の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表記する場合がある。 1 本件商標の使用者について 商標権者は、北原株式会社(大阪市中央区南久宝寺町2丁目6番2号(乙3)。以下「北原社」という。)との間で、平成31年(2019年)4月1日、商標通常使用権許諾契約を締結し、本件商標に係る商標権(以下「本件商標権」という。)の通常使用権の許諾期間を、同日から令和5年(2023年)3月31日までとして、北原社に対して許諾した(乙4)。 すなわち、北原社は、要証期間の全期間を通じて、本件商標権の通常使用権者であった。 2 通常使用権者である北原社が、上海瑞隆服装有限公司から、本件商標と社会通念上同一の商標を付した衣服を輸入したこと (1)上記1のとおり、北原社は、要証期間の全期間を通じて、本件商標権の「通常使用権者」であった。 (2)北原社は、令和3年(2021年)12月、中華人民共和国所在の上海瑞隆服装有限公司(以下「上海社」という。)から、品番を「81123830」とする衣服(以下「本件衣服」という。)4,120着を、1着あたりの購入単価を3.90米ドル、購入代金総額を16,068.00米ドルとして購入し、上海港において受領の上、大阪港まで船積みで運送し、本件衣服を中国から日本国内に輸入した。 上記事実は、ア 上海社が、令和3年(2021年)12月17日付けで作成した商業送り状(乙5)に、「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)との名宛人の記載、「FROM:SHANGHAI CHINA TO:OSAKA JAPAN(中国の上海から日本の大阪へ)との記載、「FOB CHINA PORTS」(中国の港における本船渡し条件)との記載、「GARMENTS」(衣服)との品目の記載、「Article No.」(商品番号)として「81123830」との品番の記載、同品番の「Quantity」(数量)として「4120 PCS」(4,120個)との記載、同品番の「Unit Price」(単価)として「US$3.90」(3.90米ドル)との記載、及び同品番の「Amount」(総額)として「US$16,068.00(16,068.00米ドル)との記載があること、イ 上海社が、令和3年(2021年)12月17日付けで作成した梱包明細書(乙6)に「ART No.」(商品番号)として「81123830」との品番の記載、及び同品番の「TOTAL PCS/SETS」(合計個数)として「4080」と「40」(合計で4,120)との記載があること、ウ 船会社であるS.Y.SHIPPING CORPORATIONが発行した船荷証券(乙7)に「place and date of issue」(発行場所及び発行日)として「SHANGHAI DEC 20,2021」(上海 令和3年(2021年)12月20日)との記載、「Shipper」(荷送人)として「SHANGHAI RUILONG TEXTILE LIMITED」(上海瑞隆服装有限公司)との記載、「Consignee」(荷受人)として「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)との記載、「Place of Loading」(荷受地)として「SHANGHAI」(上海)との記載、「Port of Discharge」(荷揚げ港)として「OSAKA」(大阪)との記載、「Place of Delivery」(荷渡地)として「OSAKA」(大阪)との記載、「description of goods」(商品明細)として「GARMENTS」(衣服)との記載があること、並びに、エ 上記商業送り状(乙5)に、「Packed in 743 cartons only」(743カートン入り)との記載、及び「Gross weight(kgs)」(総重量(キログラム))として「8,670.0」との記載があることが、上記船荷証券(乙7)に、「No.of Containers or pkgs」(容器数)として「743CARTONS」(743カートン)との記載、及び「Gross weight kgs」(総重量)として「8670KGS」(8,670キログラム)との記載があることと、その記載内容において相互に一致しており、上記船荷証券(乙7)が上記商業送り状(乙5)と同一の貨物(品番「81123830」の衣服を含む)についてのものであると合理的に理解できる。 なお、上記商業送り状(乙5)及び上記船荷証券(乙7)において、「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)の住所は「8−9,1−Chome kyutaromachi chuo−ku,Osaka japan」(大阪市中央区久太郎町1丁目8番9号)と記載されている。かかる住所は、北原社の登記上の本点所在地(乙3)とは異なるものの、北原社の事実上の本社所在地として対外的に表示されており(乙8)、この点に矛盾はない。 (3)本件衣服には、本件商標と社会通念上同一の商標が付してあったことについて、北原社に在庫として残っていた本件衣服の現物を撮影した画像(乙9〜乙13)に基づいて説明する。 本件衣服はポロシャツであるところ、その一部分として、衣服本体の首元部分に縫い付けられた布のラベル(乙10。以下「布ラベル」という。)及びプラスチック製のループで衣服本体に結び付けられた、横長状の紙製タグ(乙11〜乙13。以下「紙タグ」という。)を有する。 そして、乙9ないし乙13の画像の衣服が、本件衣服(品番を「81123830」とする衣服)と同一であることは、紙タグの裏面(乙12、乙13)に「STYLE NO.」として「81123830」との記載があることから明らかである。 布ラベル(乙10)には、本件商標の構成中のレトリバー種の犬の横顔を模した右向きの図形とほぼ同一の、レトリバー種の横顔を模した右向きの図形と、本件商標の構成中の2段書きの「Retrievers/Club」との欧文字を1段書きしたにすぎない「RetrieversClub」との欧文字とが、左右に配されてなる商標が付してある。 かかる布ラベルに付した商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかである。 紙タグの表面(乙11)には、本件商標の構成中のレトリバー種の犬の横顔を模した右向きの図形とほぼ同一の、レトリバー種の横顔を模した右向きの図形と、本件商標の構成中の2段書きの「Retrievers/Club」との欧文字を1段書きしたにすぎない「RetrieversClub」との欧文字とが、上下に配されてなる商標が付してある。 かかる紙タグの表面に付した商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であることが明らかである。 また、本件衣服の紙タグの裏面(乙12、乙13)の下部に記載された「OS−1208」との番号は、北原社に割り当てられた繊維製品品質表示番号であるところ(乙14)、紙タグの裏面にかかる番号が記載されている事実は、同じく紙タグの裏面に存する「協同組合 関西ファッション連合」との記載にもかかわらず、本件衣服を(販売のために)輸入した者が北原社であることを裏付ける事実である。 なお、北原社は、協同組合関西ファッション連合(乙15)の組合員でもあり(乙16)、この点からも、紙タグの裏面の「協同組合 関西ファッション連合」との記載にも関わらず、本件衣服を(販売のために)輸入した者が北原社であることに矛盾はない。 (4)以上より、本件商標権の通常使用権者たる北原社が、上海社から要証期間中の令和3年(2021年)12月に、業として、本件商標と社会通念上同一の商標を付した衣服を日本国内に「輸入」(商標法第2条第3項第2号)し、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「被服」について使用した事実が明らかである。 3 通常使用権者である北原社が、北辰商事株式会社に、本件商標と社会通念上同一の商標を付した衣服を譲渡したこと (1)上記1のとおり、北原社は、要証期間の全期間を通じて、本件商標権の「通常使用権者」であった。 (2)北原社は、令和4年(2022年)1月、北辰商事株式会社(埼玉県さいたま市桜区山久保1−11−1(乙17)。以下「北辰商事社」という。)に対して、本件衣服100着を、1着あたりの販売単価を650円で販売して、北辰商事社が運営するディスカウントスーパー「ロヂャース」10店舗(浦和店、川越店、越谷店、戸田店、新座店、大宮店、久喜店、北本店、川口店及び大成店(乙18)。)に対して、1店舗あたり10着、合計100着の本件衣服を発送し、本件衣服を北辰商事社に譲渡した。 当該事実は、ア 北原社が、令和4年(2022年)1月17日付けで作成したピッキングリスト(乙19)に、「卸・問屋名称」として「北原株式会社」との記載、「量販店名」として「ロヂャース」との記載、「納品日」として「2022年1月27日」との記載、「規格」として「8112−3830M−LL」との(「81123830」との文字列をそのまま含む)記載、同規格の「原価」として「650.00」との記載、同規格の「合計」として「100」との記載、及び、同規格の「浦和」として「10」、「川越」として「10」、「越谷」として「10」、「戸田」として「10」、「新座」として「10」、「大宮」として「10」、「久喜」として「10」、「北本」として「10」、「川口」として「10」、「大成」として「10」との記載があること、イ 北原社が、2022年1月18日付けで作成した出荷指示書(乙20)に、「担当者」として、北原社の東京営業所・営業部長(乙21)の記載、「送り先」として「北辰商事株式会社 御中」との記載、「出荷日」として「2022/01/25」との記載、「着荷指定日」として「2022/01/26」との記載、「自社品番」として「81123830」との記載、同品番の「数量」として「100」との記載、及び、同品番の「単価」として「650」との記載があることから明らかである。 (3)上記2(3)のとおり、本件衣服には、本件商標と社会通念上同一の商標が付してあり、本件衣服の紙タグの裏面の下部に記載された「OS−1208」との番号は、北原社に割り当てられた繊維製品品質表示者番号であるところ、本件衣服に同番号が記載されている事実は、同じく紙タグの裏面に存する「協同組合 関西ファッション連合」との記載にもかかわらず、本件衣服を北辰商事社に販売し譲渡した者が北原社であることを裏付ける事実である。 なお、北原社は、協同組合関西ファッション連合の組合員でもあり、この点からも、紙タグの裏面の「協同組合 関西ファッション連合」との記載にもかかわらず、本件衣服を北辰商事社に販売し譲渡した者が北原社であることに矛盾はない。 (4)以上より、本件商標権の通常使用権者たる北原社が北辰商事社に対し、要証期間中の令和4年(2022年)1月に、業として、本件商標と社会通念上同一の商標を付した衣服を販売して「譲渡」(商標法第2条第3項第2号)し、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「被服」について使用した事実が明らかである。 4 通常使用権者である北原社が、同社ホームページ上にて、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、電磁的方法により提供していたこと 上記1のとおり、北原社は、要証期間の全期間を通じて、本件商標権の「通常使用権者」であった。 北原社は、令和4年(2022年)1月16日時点において、同社ホームページ上にて、衣服の広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、電磁的方法により提供していた。 上記事実は、インターネットアーカイブ上に保存された令和4年(2022年)1月16日時点におけるホームページ(乙22、乙23)において、(1)同ページ最上部に2か所、本件商標中のレトリバー種の犬の横顔を模した右向きの図形とほぼ同一の、レトリバー種の犬の横顔を模した右向きの図形と、本件商標の構成中の2段書きの「Retrievers/Club」との欧文字を、1段書きしたにすぎない「RetrieversClub」との欧文字とが、左右に配されてなる商標が付されていること、同商標が本件商標と社会通念上同一の商標であることは明らかであること、かつ、同商標の直下に「日々のお出掛けや、街歩き、旅行にもシンプルなアウトドアウェア」との文言が添えられていること、(2)同ページの上部に上記(1)の商標の一部たる「RetrieversClub」の欧文字を大文字表記したにすぎない「RETRIEVERS CLUB」との文言が記載され、その下に、「日々のお出掛けや、街歩き、旅行にもシンプルなアウトドアウェア」との上記(1)の商標の直下に記載されていたのと同一の文言が記載され、さらにその下に、ハンガーに吊るした状態の衣服3枚の画像が掲載されていること、その上で(3)上記(1)及び(2)を併せて観察すれば、「RETRIEVERS CLUB」と、「日々のお出掛けや、街歩き、旅行にもシンプルなアウトドアウェア」との、(1)と(2)に全く共通の2つの文言が、いわば論理的な「かすがい」として機能して、上記(1)の商標が、上記(2)の衣服3枚の画像に対しても付され、上記(1)と(2)が相まって、「日々のお出掛けや、街歩き、旅行にもシンプルなアウトドアウェア」との宣伝文句とともに、同画像に係る衣服を広告宣伝していると合理的に理解できることが明らかである。 以上より、本件商標権の通常使用権者たる北原社が、令和4年(2022年)1月16日時点において、業として、同社ホームページ上にて、衣服の「広告・・・を内容とする情報」(商標法第2条第3項第8号)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、「電磁的方法により提供」(同号)し、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「被服」について使用した事実が明らかである。 5 結論 以上のとおりであるから、審尋における「合議体の暫定的な見解」にかかわらず、本件審判請求は成り立たないことが明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 被請求人が提出した乙各号証及び同人の主張から、以下の事実が認められる。 (1)平成31年(2019年)4月1日付けの商標通常使用権許諾書(乙4)によると、商標権者は、北原社との間で、範囲を日本国内、内容を本件商標の第25類の指定商品とし、期間を2019年4月1日から2023年3月31日とする商標通常使用権許諾契約を締結したことが確認できる。 (2)乙第5号証は、上海社が令和3年(2021年)12月17日付けで作成した商業送り状であり、同送り状には、名宛人に「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)の記載、「GARMENTS」(衣服)との品目の記載、「Article No.」(商品番号)として「81123830」との品番の記載、「Quantity」(数量)として「4120 PCS」(4,120個)との記載、「Packed in 743 cartons only」(743カートン入り)との記載、「Gross weight(kgs)」(総重量)として「8,670.0」との記載がある。 なお、北原社の会社案内(乙8)によると、商業送り状(乙5)における「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)の住所は、北原社の登記上の本店所在地(乙3)とは異なるものの、北原社の事実上の本社所在地として対外的に表示されている住所であることが確認できる。 (3)乙第6号証は、上海社が令和3年(2021年)12月17日付けで作成した梱包明細書であり、「ART No.」(商品番号)として「81123830」の品番の記載、「TOTAL PCS/SETS」(合計個数)として「4080」と「40」(合計で4,120)との記載があり、上記商業送り状(乙5)の商品番号及び数量と一致している。 (4)乙第7号証は、船会社であるS.Y.SHIPPING CORPORATIONが発行した船荷証券であり、「place and date of issue」(発行場所及び発行日)として「SHANGHAI DEC 20,2021」(上海 令和3年(2021年)12月20日)との記載、「Shipper」(荷送人)として「SHANGHAI RUILONG TEXTILE LIMITED」(上海瑞隆服装有限公司)との記載、「Consignee」(荷受人)として、「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)との記載、「No.of Containers or pkgs」(容器数)として「743CARTONS」との記載、「Gross weight kgs」(総重量)として「8670KGS」との記載があり、上記商業送り状(乙5)の容器数及び総重量と一致している。 なお、北原社の会社案内(乙8)によると、船荷証券(乙7)における「KITAHARA CO.,LTD」(北原株式会社)の住所は、北原社の登記上の本店所在地(乙3)とは異なるものの、北原社の事実上の本社所在地として対外的に表示されている住所であることが確認できる。 (5)上記(2)ないし(4)から、北原社は、令和3年(2021年)12月20日、上海社から、品番を「81123830」とする4,120着の本件衣服を輸入したことが推認できる。 (6)乙第19号証は、北原社が、令和4年(2022年)1月17日付けで作成したピッキングリストであり、「卸・問屋名称」として「北原株式会社」との記載、「量販店名」として北辰商事社が運営するディスカウントスーパーである「ロヂャース」との記載、「納品日」として「2022年1月27日」との記載、「規格」として「8112−3830M−LL」との(「81123830」との文字列をそのまま含む)記載、「合計」として「100」との記載、「原価」として「650.00」との記載がある。 (7)乙第20号証は、北原社が、令和4年(2022年)1月18日付けで作成した出荷指示書であり、「担当者」として、北原社の東京営業所・営業部長(乙21)の記載、「送り先」として「北辰商事株式会社 御中」との記載、「出荷日」として「2022/01/25」との記載、「着荷指定日」として「2022/01/26」との記載、「自社品番」として「81123830」との記載、同品番の「数量」として「100」との記載、及び、同品番の「単価」として「650」との記載があり、これらは、上記ピッキングリスト(乙19)と一致している。 (8)上記(5)ないし(7)から、北原社は、上海社から輸入した、品番を「81123830」とする4,120着の本件衣服のうち100着を、令和4年(2022年)1月27日に北辰商事社に譲渡したことが推認できる。 (9)北原社に在庫として残っていた衣服(ポロシャツ)の首元部分には、別掲2のとおりの布ラベル(以下「使用商標1」という。)が縫い付けられており(乙10)、当該衣服の紙タグには、「STYLE NO.」として「81123830」との記載があること(乙12及び乙13)、当該ポロシャツの本体に結び付けられた紙タグに記載された「OS−1208」との番号は、北原社に割り当てられた繊維製品品質表示番号であること(乙14)から、北原社が上海社から輸入し北辰商事社に譲渡した本件衣服は、北原社に在庫として残っていた衣服(ポロシャツ)と同一であることが推認できる。 (10)インターネットアーカイブ上に保存された令和4年(2022年)1月16日時点における北原社のホームページには、別掲3のとおりの商標(以下「使用商標2」といい、「使用商標1」と「使用商標2」を合わせていうときは、単に「使用商標」という。)が表示されており、「日々のお出掛けや、街歩き、旅行にもシンプルなアウトドアウェア」との記載とともに、複数の「洋服」の画像が掲載されている(乙22及び乙23)。 3 判断 (1)本件商標の使用者及び使用時期について 北原社は、本件商標の使用を許諾された通常使用権者と認められる。 北原社は、別掲2のとおりの使用商標1が付された布ラベルが縫い付けられた商品「ポロシャツ」4,120着を、令和3年(2021年)12月20日に上海社から輸入し、同4年(2022年)1月27日に、同商品100着を北辰商事社に譲渡した。 また、北原社は、令和4年(2022年)1月16日時点において、同社ホームページ上にて、別掲3のとおりの使用商標2を表示し、商品「洋服」についての広告を掲載した。 そして、令和3年(2021年)12月20日、同4年(2022年)1月16日及び同月27日は、いずれも要証期間である。 (2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は、犬と思しき右向きの横顔の図形(以下「本件犬図形」という。)の下に「Retrievers」の欧文字及び「Club」の欧文字を2段に配してなり、他方、使用商標は、犬と思しき右向きの横顔の図形(以下「使用犬図形」という。)の右横に1段で「Retrievers Club」との欧文字を配してなるものである。 そして、本件犬図形と使用犬図形は、その構成態様を同じくするものであり、また、本件商標と使用商標は、いずれも、「Retrievers」の欧文字及び「Club」の欧文字を有してなるものであり、「レトリバーズクラブ」の称呼が生じるものであるから、その外観及び称呼を共通にするものである。 したがって、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標と認められる。 (3)使用商標が使用された商品について 使用商標が使用された商品は、「ポロシャツ」及び「洋服」であり、これらの商品は、本件審判請求に係る指定商品中の第25類「被服」の範ちゅうに属するものと認められる。 (4)小括 上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の使用を許諾された通常使用権者である北原社は、要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうの商品「ポロシャツ」に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載された布ラベルが縫い付けられた商品を輸入し、北辰商事社に譲渡したこと(商標法第2条第3項第2号)及び同社は、要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうの商品「洋服」について、同社ホームページ上にて、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、電磁的方法により広告したこと(同項第8号)が認められる。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する「ポロシャツ」及び「洋服」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(使用商標1) 別掲3(使用商標2) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 審判長 豊田 純一 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2024-02-09 |
結審通知日 | 2024-02-15 |
審決日 | 2024-02-29 |
出願番号 | 2004108009 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y25)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
豊田 純一 |
特許庁審判官 |
岩谷 禎枝 馬場 秀敏 |
登録日 | 2005-06-03 |
登録番号 | 4868206 |
商標の称呼 | レトリーバーズクラブ、レトリーバーズ |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 太田 雅苗子 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 北川 修平 |