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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W0325
管理番号 1412403 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-11-24 
確定日 2024-07-08 
事件の表示 商願2022−125990拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年10月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月 1日付け:拒絶理由通知書
令和5年 4月12日 :意見書の提出
令和5年 8月 9日付け:拒絶査定
令和5年11月24日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,化粧品,ハンドクリーム,入浴剤(医療用のものを除く。),人造軽石」及び第25類「被服,靴下,レッグウォーマー,手袋,指なし手袋,レギンス,アイマスク,パンツ,キャミソール,スカーフ,ナイトキャップ,ターバン,ペチコート,タンクトップ,ネックチューブ」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5244693号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成19年6月28日登録出願、第35類に属する別掲3のとおりの役務を指定役務として、同21年7月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商標の類否について
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最三小判昭和43年2月27日民集22巻2号399頁参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあると解される(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁参照)。
イ 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、横に並べた2つの円形状の図形を1つに組み合わせたような形状を枠線のみ表示した(右上の部分は少し線が切れて間隔が空いている)図形(以下「本願図形部分」という。)と、その下に、「絹屋」の文字(以下「本願文字部分」という。)を配した、図形と文字を結合した構成よりなるところ、本願図形部分と本願文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、本願図形部分は、我が国では特定の事物や意味を有する図形として知られているものではないことから、特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、本願文字部分の「絹屋」の文字は、その構成文字に相応して「キヌヤ」の称呼を生じ、「絹布を織り、または売る人。また、その家。」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)の意味を表す語として辞書に載録されているものの、当該語は、我が国において、広く一般に親しまれている語とまではいえないものである。しかしながら、「絹」と「屋」の漢字は、我が国で一般に親しまれている平易な漢字であることからすれば、その漢字の語義から「絹布を織り、または売る人。また、その家。」程の観念を生じるものである。
そうすると、本願図形部分と本願文字部分の間には、称呼及び観念上のつながりもなく、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して出所識別機能を有する要部となり得るものであることから、本願文字部分「絹屋」を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その要部の一つである本願文字部分の「絹屋」の文字に相応して、「キヌヤ」の称呼を生じ、「絹布を織り、または売る人。また、その家。」程の観念を生じるものである。
ウ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、複数の図形要素を組み合わせた幾何学模様の赤色の図形(以下「引用図形部分」という。)を配し、その下に、赤色の太字で「キヌヤ」の片仮名(以下「引用文字部分」という。)を配した、図形と文字を結合した構成よりなるところ、引用図形部分と引用文字部分とは、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うことなく、独立して表されていることから、視覚上分離して看取し得るものである。
そして、引用図形部分は、我が国では特定の事物や意味を有する図形として知られているものではないことから、特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念を生じないものである。
また、引用文字部分の「キヌヤ」の片仮名は、その構成文字に相応して「キヌヤ」の称呼を生じる一方、当該片仮名自体は、辞書に載録されていない。
他方、上記イと同様に、「キヌヤ」の読みを同一にする本願文字部分の「絹屋」は、「絹布を織り、または売る人。また、その家。」を意味する語として辞書に載録されているものの、当該語は、我が国において、広く一般に親しまれている語とまではいえず、引用文字部分である片仮名の「キヌヤ」より直ちに「絹屋」の文字のみを想起させるとはいい難いものであるから、引用文字部分は、特定の意味合いを有するものとは認められず、特定の観念を生じることのない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると、引用図形部分と引用文字部分の間には、称呼及び観念上のつながりもなく、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、引用商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して出所識別機能を有する要部となり得るものであることから、引用文字部分「キヌヤ」を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その要部の一つである引用文字部分の「キヌヤ」に相応して、「キヌヤ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
エ 本願商標と引用商標との類否について
外観について、本願商標と引用商標は、その構成全体が相違することに加え、本願文字部分と引用文字部分とを比較しても、文字種及び文字数の差異から、両者は、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、称呼について、本願文字部分と引用文字部分は、「キヌヤ」の称呼を生じることから、両者は、称呼を共通にするものである。
さらに、観念について、本願文字部分は「絹布を織り、または売る人。また、その家。」程の観念が生じるものであるのに対し、引用文字部分は特定の観念を生じないものであって、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、「キヌヤ」の称呼を共通にするとしても、外観及び観念において相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
オ 小括
以上のとおり、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務を比較するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標


別掲2 引用商標(色彩は原本を参照。)

別掲3 引用商標の指定役務
第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,トレーディングスタンプ・ポイントカード・割引付特典カード・クーポン券の発行・清算及び管理,トレーディングスタンプ・ポイントカード・割引付特典カード・クーポン券の発行・清算及び管理に関する調査・指導・助言及び情報の提供」


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審決日 2024-06-24 
出願番号 2022125990 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W0325)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 小俣 克巳
田中 瑠美
商標の称呼 キヌヤ 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 朝倉 美知 
代理人 本田 彩香 
代理人 小西 富雅 

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