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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W35 |
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管理番号 | 1412337 |
総通号数 | 31 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-12-12 |
確定日 | 2024-06-12 |
事件の表示 | 商願2020−101724拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年8月18日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年7月30日付け:拒絶理由通知書 令和3年9月17日付け:意見書 令和4年9月5日付け:拒絶査定 令和4年12月12日付け:審判請求書 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衛生マスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、上段に「THE SHOP」の文字を、下段に「YOHJI YAMAMOTO」の文字を配してなるところ、下段の文字は、氏名の一つを欧文字で表したものと認められる。そして、当該欧文字に照応する氏名の他人が存在し、かつ、それらの者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第8号の趣旨について ア 商標法第4条第1項第8号の趣旨は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがないという人格的利益を保護することにあると解される。したがって、同号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきものである(最高裁平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日第二小法廷判決、最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決)。 イ 商標法第4条第1項第8号は、その規定上、雅号、芸名、筆名、略称については、「著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」として、著名なものを含む商標のみを不登録とする一方で、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称」については、著名又は周知なものであることを要するとはしていない。また、同号は、人格的利益の侵害のおそれがあることそれ自体を要件として規定するものでもない。したがって、同号の趣旨やその規定ぶりからすると、同号の「他人の氏名」が、著名性・希少性を有するものに限られるとは解し難く、また、「他人の氏名」を含む商標である以上、当該商標がブランドとして一定の周知性を有するといったことは、考慮する必要がないというべきである(知財高裁平成31年(行ケ)10037号令和元年8月7日判決)。 (2)本願商標の商標法第4条第1項第8号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、「THE SHOP」と「YOHJI YAMAMOTO」の文字を上下に表してなる。 一般に、我が国では、名刺やパスポート、クレジットカード、ウェブサイト等での氏名のローマ字表記において、氏名を「名」、「氏(姓)」の順で表記するところ、本願商標の構成中、「YAMAMOTO」の文字部分は、ありふれた氏である「山本」のローマ字表記を認識させるものである。そして、構成中、「YOHJI」の文字部分のうちの「OH」の部分が、人名の「オー」又は「オウ」の音をローマ字表記する際にしばしば使用されるものであるから、当該文字は「ヨウジ」と読めるものであり、「YAMAMOTO(山本)」と組み合わせた際に「ヨウジ」が名を表すものとして自然に看取し得るものである。 そうすると、本願商標の構成中、下段の「YOHJI YAMAMOTO」の文字部分は、「ヤマモト(氏)ヨウジ(名)」を読みとする人の氏名として客観的に把握されるものであり、本願商標は「人の氏名」を含む商標であると認められる。 そして、原審において説示のとおり、実際に「ヤマモトヨウジ」と読まれる「山本洋二」や「山本洋司」といった者が存在し、その存在は本件審決の時点でも、少なくとも別掲2のとおり確認することができる。 また、別掲2に掲げる人名は、いずれも、令和2年10月5日付け手続補足書で提出された承諾書に記載された者とは別の他人であると認められ、かつ、請求人は、それら他人の承諾を得ているとは認められないから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号所定の、他人の氏名を含む商標であって、かつ、その他人の承諾を得ていないものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、「Yohji Yamamoto」が、長年にわたる使用により一定の著名性を有し、ファッションデザイナーの氏名のブランドであると一般に認識されていることなどから、本願商標は、商標法第4条第1項第8号を適用することは妥当ではない旨主張する。 しかしながら、上記(1)イのとおり、同号に規定する「他人の氏名」については、著名又は周知なものであることを要するものではなく、「他人の氏名」を含む商標である以上、本願商標がブランドとして一定の周知性を有することは、同号の判断をするにあたって考慮する必要はないというべきである。 イ 請求人は、「Yohji Yamamoto」等の文字を含む多数の商標が登録され、長年にわたる使用がされていても他人から人格権侵害を主張されたことがないことを考慮すれば、本願商標は、商標法第4条第1項第8号を適用することは妥当ではない旨主張する。 しかしながら、商標法第4条第1項第8号の条文に照らせば、上記(1)アのとおり、同号本文に該当する商標について、同号の適用を免れるためには他人の承諾を得ることが要件とされており、かつ、上記(1)イのとおり、同号は、人格的利益の侵害のおそれがあることそれ自体を要件として規定するものではないことからすれば、過去の商標登録について、人格権の侵害の主張がなされていないことによって、上記(2)の判断が左右されるものではない。 ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標 別掲2 「ヤマモトヨウジ」の読みからなる氏名の者が現存すること(原審の拒絶理由において開示済み。) 1 「一般社団法人総合デザイナー協会」のウェブサイトにおいて、「山本 洋二 やまもとようじ」の記載がある。 https://das.or.jp/?page_id=1054 2 「東洋道路株式会社」のウェブサイトにおいて、「関連企業」の見出しの下、「東洋運輸株式会社」及び「代表取締役 山本 洋二」の記載がある。 http://www.tyd-k.com/smarts/index/62/ 3 「株式会社ビジュアルメッセージ研究所」のウェブサイトにおいて、「PROFILE」の見出しの下、「山本洋司 Yamamoto Yoji」の記載がある。 http://www.visual2004.com/profile/profile1.htm 4 「行政書士アンサー」のウェブサイトにおいて、「兵庫県行政書士>姫路市行政書士」の見出しの下、「山本洋二(ヤマモト ヨウシ゛)」の記載がある。 https://gyoseianswer.me/兵庫県/姫路市/102674/ 5 「株式会社プラスアート」のウェブサイトにおいて、「COMPANY」の見出しの下、「取締役 山本洋二」の記載がある。 https://pls-art.com/company 6 「有限会社ヒロヤ」のウェブサイトにおいて、「会社概要」の見出しの下、「代表 山本洋二」の記載がある。 https://www.cloth-hiroya.jp/shop.html 7 「佛壇の山本」のウェブサイトにおいて、「塗師 山本洋二」の記載がある。 http://mikawa-butudan.com/04/index.html 8 「株式会社大丸不動産」のウェブサイトにおいて、「代表取締役 社長 山本洋司」の記載がある。 https://daimarufudousan.jp/staff.html 9 「山本建機」のウェブサイトにおいて、「会社概要」の見出しの下、「代表者名 山本 洋司(ヤマモト ヨウジ)」の記載がある。 https://www.kensetumap.com/company/411665/profile.php 10 「都栄工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「代表取締役社長山本洋司」の記載がある。 http://toeikogyo.jp/company/ 11 「社会保険労務士法人パーソネル・パートナーズ」のウェブサイトにおいて、「法人概要」の見出しの下、「代表 山本 陽二」の記載がある。 https://personnel-p.com/company/ 12 「ヤマモト株式会社」のウェブサイトにおいて、「代表取締役 山本陽二」の記載がある。 https://airfilter.jp/about.html (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-03-19 |
結審通知日 | 2024-03-25 |
審決日 | 2024-04-25 |
出願番号 | 2020101724 |
審決分類 |
T
1
8・
23-
Z
(W35)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
旦 克昌 |
特許庁審判官 |
山根 まり子 阿曾 裕樹 |
商標の称呼 | ザショップヨージヤマモト、ザショップ、ヨージヤマモト、ヤマモトヨージ |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 小西 富雅 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 前田 大輔 |