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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W41 |
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管理番号 | 1411505 |
総通号数 | 30 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-06-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2023-04-06 |
確定日 | 2024-05-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3139059号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3139059号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日に登録出願、第41類「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」を指定役務として、同8年4月30日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年4月24日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)4月24日から令和5年(2023年)4月23日までの期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第41類「全指定役務」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、第41類「全指定役務」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。 第3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した(審決注:被請求人が提出した審判事件答弁書の証拠「甲第〇号証」は、「乙第〇号証」と読み替える。)。 1 乙第1号証ないし乙第3号証について (1)本件商標について 乙第1号証は、「フルネスエステティックスクール」が行った令和2年3月16日開校の「ネイル・エステティック総合科(託児)」という講習(以下、「本講習」ともいう。)で用いられた教材「エステティック理論ガイド」(以下、「本教材」という。)である。乙第1号証の奥付には、本商標「エンチーム」が付されている。本頁には住所の記載など、この標記に付随するような記載は無く、本頁において需要者の印象を強く引く部分でもあるため、この記載が単なる社名表示ではなく、商標の表示であることは明らかである。 また、「株式会社」の文字部分は、法人の種類を示すものと理解されるものであって、この部分自体は識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、「エンチーム」の表示が、サービスの提供元と認識されると共に、自他役務の識別標識としての機能を果たしているものといえる。 (2)本件商標の使用者について 乙第1号証に記載されている「フルネスエステティックスクール」は奥付に記載のとおり、本件商標権者である「エンチーム株式会社」が直営するスクールである。 (3)使用に係る役務について 乙第1号証の表紙には「エステティック理論ガイド」と記載されている。すなわち、エステティックという用語そのものが、美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授を包含している。よって、本教材は美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授について記載された教材である。 さらに、乙第1号証の78頁「血管を若々しく保つ」には血管の老化と、成人病を予防するには血管を若々しく保つことが必須であることが記載され、102頁には、活性酸素や紫外線によって肌老化が進むこと、肌老化を治療するための対処法について記載されている。これらは加齢対策に該当することからも、乙第1号証には加齢対策の知識が記載されていることは明確であるため、本教材を用いた講習が本商標の指定役務「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」であることが理解できる。 (4)使用時期について 乙第1号証には、本講習が令和2年3月16日に開始されており、本講習は、令和2年3月16日ないし令和2年9月15日の期間で行われていた。乙第3号証は、本講習の受講生を募集するパンフレット(以下、「本件パンフレット」という。)の写しであり、「訓練期間」の項目には、講習期間が令和2年3月16日ないし令和2年9月15日の期間であることが示されていることから、本講習は要証期間内に行われていたといえる。 (5)まとめ 以上のことから、本件商標権者は、要証期間内である令和2年4月24日から令和5年4月23日に、日本国内において、本件商標を付した教材を用いて本件指定役務「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」に関する講習を行ったことが明らかであり、この使用行為は役務の提供にあたり、その提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為(商標法2条3項4号)に該当する。 2 乙第3号証ないし乙第5号証について (1)本件商標について 乙第3号証は、本件パンフレットの写しであり、乙第3号証の2葉目右下には本件商標「エンチーム」が付されている。 (2)本件商標の使用者について 乙第3号証に記載されている「フルネスエステティックスクール」は2葉目右下に記載のとおり本件商標権者である「エンチーム株式会社」が企画するスクールである。 (3)使用に係る役務について 乙第3号証の2葉目右上には講習のカリキュラムの1つとして「皮膚科学」が記載されている。この講習では、上述した乙第1号証に示した教材が用いられていることからすると、乙第3号証の本件パンフレットに記載された講習が本件商標の指定役務「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」であることが理解できる。 (4)使用時期について 乙第4号証は、乙第3号証に示した本件パンフレットの配布を外注した際の「申込内容確認書」の写しであり、乙第5号証は、該外注を履行したことによって外注先からエンチーム株式会社広島営業所に届けられた請求書の写しである。乙第4号証には、本件パンフレットの配布時期が2020年7月3日から2020年8月25日であることが記載されており、乙第5号証から、本件パンフレットの配布が実際に行われたことが理解できる。 (5)まとめ 以上のことから、本件商標権者は、要証期間内である令和2年7月3日から8月25日に、日本国内において、本件指定役務「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」に関する講習についてのパンフレットに本件商標を付して配布を行ったことは明らかであり、本件パンフレットの配布は、役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。 3 むすび 以上のことから、本件商標権者は要証期間内で継続して日本国内において本商標の指定役務第41類「美と健康に関するものを中心とする加齢対策の知識の教授」を使用していることが明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 (1)被請求人が募集に使用したエステティックスクールのパンフレット(乙3) 乙第3号証は、被請求人が募集に使用したエステティックスクールのパンフレット(本件パンフレット)であり、本件パンフレットの1葉目には、「求職者支援訓練 受講生募集 定員14名」、「6カ月実践コース 受講料無料」、「ネイル・エステティック総合科(託児)」、「訓練期間 令和2年3月16日(月)〜令和2年9月15日(火)」、「受講申込先 フルネスエステティックスクール(エンチーム株式会社内)」、「受講料他 ■受講料 無料 ■教材費 9,130円(税込)」等の記載、同2葉目には、「カリキュラム概要 学科 ■皮膚科学・・・■健康管理学・・・■エステティック機器学・・・■ネイル理論」等の記載があり、右下には、別掲2のとおり、本件商標と構成態様を同じくする「エンチーム」の文字を含む、被請求人(本件商標権者)の名称「エンチーム株式会社」(以下、「使用商標」という。)が表示されている。 (2)本件パンフレットの配布に係る申込内容確認書及び請求書(乙4、乙5) 乙第4号証は、本件パンフレットの配布を外注した際の「申込内容確認書」の写しであり、この申込内容確認書には、「エンチーム株式会社 広島営業所 御中」、申込内容として「媒体 ハローワーク前手配り【中区・東区・廿日市・可部】」、「配布期間 2020年7月3日(金)〜2020年8月25日(火) ※土・日・祝+8/13(木)、8/14(金)除く、33日間」、「金額 140,000円(消費税込み)※貴社特別価格」、「貴社名 エンチーム株式会社 広島営業所」等の記載があり、申込内容確認書の右下には、当該書類作成者である「U社」の記載がある。 乙第5号証は、U社からエンチーム株式会社広島営業所宛ての請求書であり、この請求書には、「ご請求金額(税込):¥140,000−」、「お支払予定日:2020年8月31日」、ご利用明細には「内容:ハローワーク前手配り(中区・東区・廿日市・可部)、金額(消費税含む):¥140,000」、「摘要:2020年7月3日〜8月25日 土、日、祝除く、33日間」の記載がある。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「エンチーム」の文字をややデザイン化して表してなるものである。 これに対して、上記1(1)の使用商標は、別掲2のとおり、「エンチーム株式会社」の文字からなるところ、構成中の「エンチーム」の文字は、本件商標と同じ書体からなるものであり、「株式会社」の文字は会社の一形態を表す語として一般に使用されていることから、「エンチーム」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる。 (2)使用者について 乙第4号証及び乙第5号証によれば、本件パンフレットは、2020年7月3日ないし2020年8月25日の要証期間内に外注により配布されたことがうかがえるものであり、本件パンフレットの2葉目右下には、「エンチーム株式会社」の記載があることから、上記(1)の使用商標を表示したのは、本件商標権者である「エンチーム株式会社」といえる。 (3)使用役務について 上記1(1)によれば、本件パンフレットに、本件商標権者が経営するフルネスエステティックスクールの講習のカリキュラムには、「皮膚科学、健康管理学、エステティック機器学、ネイル理論」等の学科や実技が複数あり、その内容は、主に美容や健康に関すること明らかである。 以上よりすれば、本件商標権者は、「皮膚科学」等をはじめとする美容と健康に関する学科や実技の講習に係る役務(以下「使用役務」という。)を提供していたといえるものであり、その使用役務は、請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる。 (4)使用地域及び使用時期について 上記1(2)によれば、本件商標権者は、使用商標を表示した本件パンフレット(乙3)を、要証期間内である2020年7月3日ないし2020年8月25日に、外注により配布したことがうかがえるものであり、本件商標権者は、要証期間内に使用商標を本件パンフレット(乙3)に表示し、使用役務を提供したといえる。 さらに、その使用地域は日本国内であること明らかである。 (5)使用行為について 本件商標権者は、日本国内において、要証期間内である2020年7月3日ないし2020年8月25日に使用役務に係る広告に使用商標を付して頒布する行為を行ったものであり、この行為は、商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する。 3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が使用役務について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲1】(本件商標) ![]() 【別掲2】(使用商標) ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-02-28 |
結審通知日 | 2024-03-04 |
審決日 | 2024-03-28 |
出願番号 | 1992265794 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(W41)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大橋 良成 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 大島 康浩 |
登録日 | 1996-04-30 |
登録番号 | 3139059 |
商標の称呼 | エンチーム |
代理人 | 澄川 広司 |
代理人 | 福井 孝雄 |
代理人 | 金子 裕輔 |
代理人 | 冨田 雅己 |
代理人 | 甲斐 伸二 |
代理人 | 保田 英樹 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 稲本 潔 |
代理人 | 弁理士法人BORDERS IP |
代理人 | 小暮 君平 |