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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0617
管理番号 1411445 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-06 
確定日 2024-05-15 
事件の表示 商願2022−15656拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年2月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年7月8日付け :拒絶理由通知書
令和4年8月24日 :意見書の提出
令和4年10月28日付け:拒絶査定
令和5年2月6日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「なめらかエルボ」の文字を標準文字で表してなり、第6類「金属製管継ぎ手,管用金属製接続具,管用金属製筒形継手」及び第17類「管継ぎ手(金属製のものを除く。),管用接続具(金属製のものを除く。),管用筒形継手(金属製のものを除く。)」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「なめらかエルボ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「なめらか」の文字は、「表面に凹凸がなく、すべるようであるさま。ざらつきがないさま。」「面が平らで摩擦力が働かないこと。」の意味を理解させる語であり、その構成中の「エルボ」の文字は、「異形管の一つ。たがいにある角度をなす管の接続に用いる管継手。」の意味を理解させる語であるから、本願商標は、全体として「なめらかな、たがいにある角度をなす管の接続に用いる管継手」ほどの意味合いを理解させるものである。そして、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、エルボ(管継手)の空洞部分を物質がスムーズに通るよう各メーカーは素材やその構造を工夫しており、その商品の特徴を表す語として、「なめらか」の表示を広く使用している実情が確認できる。このような事情を勘案すれば、本願商標を本願商標の指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「面がなめらかで流量もなめらかな管継手」であることを認識するにとどまるものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本願商標を前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといえるから、本願商標は、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は「なめらかエルボ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「なめらか」の文字は、「表面に凹凸がなく、すべるようであるさま。ざらつきがないさま。」「面が平らで摩擦力が働かないこと。」の意味を有する語であり(広辞苑第七版、岩波書店)、「エルボ」の文字は、「異形管の一つ。たがいにある角度をなす管の接続に用いる管継手。」の意味を有する語であり(図解機械用語辞典、日刊工業新聞社)、本願商標の指定商品を取り扱う業界において当該意味を表す言葉として認識されるものである。
加えて、原審において示した別掲の事例のとおり、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、エルボ(管継手)の空洞部分を物質がスムーズに通るよう素材や構造を工夫し、その商品の特徴を表す語として、「なめらか」の表示を広く使用している実情が確認できる。
以上のことに鑑みれば、本願商標をその指定商品中「エルボ(たがいにある角度をなす管の接続に用いる管継手。)」に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、全体として「なめらかなエルボ」の意味合いを容易に理解、認識するものである。
そして、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることは明らかである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「なめらかなエルボ」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものというべきである。また、当該商品以外の商品に本願商標を使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、商標法第3条第2項に該当する旨を明確に主張するものではないが、本願商標の使用による識別力の獲得に関する主張をしているため、請求人の主張及び同人が提出した甲第13号証ないし甲第39号証を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について検討する(なお、本審決において、甲各号証の表記に当たっては、「甲○」のように省略して表示する場合がある。)。
ア 事実認定
請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
(ア)請求人に係る製品である「Revos」シリーズの商品が、2018年「GOOD DESIGN賞」(甲13)、2019年度省エネ大賞「経済産業大臣賞」(甲14)、2022年岐阜県発明くふう展「発明協会会長奨励賞」(甲15の2)等を受賞している。また、「Revos」シリーズの「なめらかエルボ」として2019年岐阜県発明くふう展「特許庁長官奨励賞」を受賞している(甲15)。
(イ)請求人は、「Revos」シリーズの商品について、2018年5月以降に20回以上展示会に出品しており、スタッフのTシャツの背面プリントの一部や展示パネルの一部に「なめらかエルボ」の文字が記載されていたことが認められる(甲16〜甲35)。
(ウ)請求人は、請求人が発行する総合カタログにおいて、2018年以降、「Revos」シリーズの商品の説明に「なめらかエルボ」の文字を使用している(甲36)。
(エ)「Revos」シリーズに関する記事が、2019年11月版「省エネルギー」(甲37)並びに2020年3月及び同年7月の岐阜新聞(甲38)に掲載され、その中に「なめらかエルボ」の文字の記載がある。
(オ)請求人は、2018年度以降、「Revos」シリーズに関する広告宣伝用チラシを少なくとも約9万枚配布している(甲39)。
(カ)請求人に係る製品である「Revos」シリーズの商品の売上総数は、2018年から2022年までで約110万個であると主張する。
イ 判断
上記アで認定した事実によれば、請求人に係る「Revos」シリーズの商品は、2018年以降に展示会を中心に広告宣伝が行われ、その販売数も一定程度あることが認められる。また、各種賞を受賞するとともに、新聞や雑誌で紹介されたことが認められる。
しかしながら、本願商標は、常に請求人の商品のシリーズ名である「Revos」とともに使用されており、本願商標が単独で使用されている事実は確認できず、また、使用されている場合も「なめらかエルボ」の文字が特段需要者や取引者の印象に残りやすい態様で使用されているとはいえないものである。加えて、使用期間は長期にわたるものとはいえず、また、「なめらかエルボ」の文字を使用した商品の販売実績は不明であることも鑑みれば、請求人の商品が「Revos」シリーズ全体として一定の販売実績や広告実績があることはうかがえても、本願商標が、独立してその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
(3)請求人の主張について
請求人は、「なめらか」の語は形容動詞であり、他の名詞と組み合わせて使用する際には、必ず語尾に下接続が付されて使用され、通常「なめらか」のみでは他の語と接続することはない旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品の需要者等において、「なめらか」の文字は広く一般的に知られている語であり、「なめらか」の修飾関係が文法的に正確なものでなければ、当該語句の意味を一義的に把握することができないということはできない。また、本願商標の指定商品を取り扱う分野において、実際になめらかであることを特徴とする商品が取引されている事実からすれば、本願商標の指定商品の需要者、取引者は、本願商標より「なめらかなエルボ」の意味合いを認識するとみるのが相当である。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。



別掲

別掲 本願商標の指定商品を取り扱う業界において、エルボ(管継手)の空洞部分を物質がスムーズに通るよう素材や構造を工夫し、その商品の特徴を表す語として「なめらか」の表示を使用している事例(原審にて提示済み)
(1)「現場を支えるネットストア モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「エスロン VUツギテ LT 250」の見出しの下、「内面が非常に滑らかで摩擦抵抗が小さくスライムなどが付着しにくいです。ストッパーがVuパイプの肉厚と同じで、継手内に段差が生じにくい構造。主に排水・通気にご使用下さい。」の記載がある。
https://www.monotaro.com/g/00940228/?t.q=LT
(2)「設備ロジス.com」のウェブサイトにおいて、「DV マルチエルボ(アロンOSR−DQ)100 ビニール継手」の見出しの下、「アロン製のなめらか自在継手。0〜15°まで可動/流れなめらか、施工もなめらか。」の記載がある。
https://www.setsubi-logis.com/shopdetail/000000006161/
(3)「株式会社不二越」のウェブサイトにおいて、「ユーテック キューブエルボ・キューブティー」の見出しの下、「隙間無し配管」の項に、「なめらかな流路でサージ圧に強く圧損も少ない。エアと異物溜りの隙間や溶接箇所が無く自由な組合せでコンパクトな配管ができる・・・●なめらかな曲りで、集中応力無し。・・・」の記載がある。
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/web/9902/pdf_9902-9/f-95.pdf
(4)「アロン化成株式会社」のパンフレットにおいて、「【なめらか自在】継手に/サイズ100登場!!」の見出しの下、「流れなめらか、施工もなめらか。」の記載、「内面が平滑なので汚水配管での利用が可能」の記載及び「直管接合部と同等の内面平滑性」の記載がある。
https://paperzz.com/doc/5387017/%E3%81%AA%E3%82%81%E3%82%89%E3%81%8B%E8%87%AA%E5%9C%A8%E7%B6%99%E6%89%8B-%CF%86100
(5)「イハラサイエンス株式会社」のウェブサイトにおいて、「【ホースアダプター】流れが滑らかな継手「NNT」メリット集」の見出しの下、「低コンタミで、従来比約−3dBの騒音減を実現!「NNT」のさまざまなメリットをご紹介/当資料では、流れが滑らかな継手『NNT』のさまざまなメリットについてをご紹介しております。」の記載がある。
https://premium.ipros.jp/ihara/product/detail/2000554904/
(6)「株式会社永島製作所」のウェブサイトにおいて、「ステンレス継手加工」の見出しの下、「ステンレスは身近な素材ですが、自然界にはなく合金です。鉄にレアメタルを加えることでステンレスができ、強くなめらかな性質を持つようになります。」の記載及び「耐圧性は鉄管の、ほぼ2倍。流量係数もより滑らかに。」の記載がある。
https://www.nagashima-f.co.jp/publics/index/23/
(7)「クボタケミックス」のウェブサイトにおいて、「フリーアクセス管φ150 曲管 L=1m、R=3m」の見出しの下、「製品紹介」の項に、「管内面が平らで滑らかで、地盤変動に対しても、本体が適度な剛性を持つため導通性に優れます。」の記載がある。
https://www.kubota-chemix.co.jp/products/pvc_fittings_ccb/for_communication_cable/item_1387
(8)「日本プラスチック工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「・・・有孔管」の見出しの下、「3.流量:流れがよく土砂の沈殿が少ない/有孔管の内面は非常になめらかで土砂の付着するようなこともなく、いつまでも流れの良さは変わりません。」の記載がある。
https://www.nipplasi.co.jp/application/files/5616/2987/2383/gesui.pdf


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-03-07 
結審通知日 2024-03-11 
審決日 2024-03-29 
出願番号 2022015656 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0617)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 山田 啓之
特許庁審判官 藤村 浩二
渡邉 あおい
商標の称呼 ナメラカエルボ、ナメラカ、エルボ 
代理人 伊東 美穂 
代理人 弁理士法人不二商標綜合事務所 
代理人 木村 吉宏 

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