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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1410536 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-08-15 |
確定日 | 2024-05-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6705943号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6705943号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6705943号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2022年(令和4年)8月17日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、令和5年2月15日に登録出願、第3類「ネイルエナメル,ネイル用カラージェル,ネイル用ラッカー,つけ爪,ネイルエナメルを含むつけ爪キット,爪用接着剤,ジェルネイル除去剤,アクリルネイル除去剤,ネイルエナメル除去剤,つけ爪除去剤」を指定商品として、令和5年5月22日に登録査定され、同年6月8日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する登録第5531298号商標(以下「引用商標」という。)は、「プレスオンマニキュア」の片仮名を標準文字により表してなり、平成24年3月21日に登録出願、第3類「粘着剤付きのつけづめを含むつけづめ,つけづめ用接着剤,つめ強化用化粧品,つめ用シーラージェル,つめ用トップコート,ネイルエナメル,つめ用アクリル溶液,つけづめ製作用アクリル樹脂製パウダー,ネイルアート用の転写シール,つめ装飾用シール,ネイルケア用の化粧品,ネイルカラー用ラメ」を指定商品として、同24年10月26日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立の理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標及び引用商標の要部について 本件商標は、その構成文字中、「x」のみが唯一小文字で表示され、他の欧文字とは明らかに異なる態様で表されたものである。さらに、欧文字の「x」は、ネイル業界において商品の品質、等級、品番などを表す記号・符号として用いられる欧文字1文字の一類型として把握され、取引上、普通に採択・使用されているものであるから、それ自体で自他商品の識別標識としての機能を果たすものではない。 そうすると、本件商標においては、「PRESS/ON」の部分が取引者・需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえる。 引用商標は、「プレスオンマニキュア」を標準文字で表したものであり、その構成中、「マニキュア」の文字部分は、引用商標に係る指定商品「粘着剤付きのつけづめを含むつけづめ,つけづめ用接着剤,つめ強化用化粧品,つめ用シーラージェル,つめ用トップコート,ネイルエナメル,つめ用アクリル溶液,つけづめ製作用アクリル樹脂製パウダー,ネイルアート用の転写シール,つめ装飾用シール,ネイルケア用の化粧品,ネイルカラー用ラメ」との関係においては、単に商品の品質・内容・用途等を表すにすぎない。そうすると、引用商標においては、「プレスオン」の部分が取引者・需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえる。 (2)本件商標の外観・称呼・観念 上述したように、本件商標のうち、「PRESS/ON」の部分が出所表示標識として強い印象を生ずる要部であるから、本件商標からは「プレスオン」との称呼のみが生じる。また、本件商標の「PRESS/ON」の部分からは、「続ける、頑張る、あきらめない」という観念や「押す、圧力をかける」といった観念が生じる。 (3)引用商標の外観・称呼・観念 引用商標のうち、「プレスオン」の部分が出所表示標識として強い印象を生ずる部分であるから、引用商標からは「プレスオン」との称呼のみが生ずる。また、引用商標からは、「続ける、頑張る、あきらめない」という観念や「押す、圧力をかける」といった観念が生じる。 (4)本件商標と引用商標の類否 上述のとおり、本件商標の称呼「プレスオン」は、引用商標の称呼「プレスオン」と同一である。 また、本件商標と引用商標からは、いずれも「続ける、頑張る、あきらめない」という観念や「押す、圧力をかける」といった観念が生じ、観念において同一である。 したがって、本件商標と引用商標とは類似する。 また、本件商標に係る第3類の全指定商品は、引用商標の第3類の指定商品と同一又は類似する。 上述のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品が引用商標に係る指定商品と同一又は類似のものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録された商標である。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲のとおり、「xPRESS」と「ON」の文字を「/(スラッシュ)」で結合した構成からなるところ、「/(スラッシュ)」の横幅は、他の文字部分に比して狭く、全体としてまとまりよく一体感のある態様で表されており、その構成文字に相応して生じる「エックスプレスオン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、「xPRESS/ON」の文字は、辞書等に載録されている語ではなく、また、その指定商品との関係において、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないものであるから、構成文字全体として、特定の観念を有しない一種の造語と認識されるものである。 申立人は、本件商標の構成中の「x」は、ネイル業界において商品の品質、等級、品番などを表す記号・符号として用いられる欧文字1文字の一類型として把握され、取引上、普通に採択・使用されているものであるから、それ自体で自他商品の識別標識としての機能を果たすものではなく、「PRESS/ON」の部分が取引者・需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部といえる旨主張する。 しかしながら、たとえ「x」の文字が商品の品番等を表す記号・符号として使用される場合があるとしても、まとまりよく一体に表された構成及び無理なく一連に称呼し得る称呼に照らせば、本件商標は、「PRESS/ON」の部分に着目されるというよりも、構成全体が一体のものとして把握され、認識されるというべきである。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「プレスオンマニキュア」の片仮名を標準文字により表してなるところ、その構成中の「マニキュア」の文字部分は、その指定商品との関係において、商品の品質を表すものであるのに対し、「プレスオン」の文字部分は、「圧迫を加える」などを意味する英語の熟語であるとしても、我が国において親しまれたものではなく、特定の語義を有しない造語を表したと理解されるものといえるから、両文字部分は、観念上のつながりが弱いものといえる。してみると、引用商標は、「プレスオン」の文字部分と「マニキュア」の文字部分とを常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の事情は見いだせない。 そうすると、引用商標は、その構成中の「プレスオン」の文字部分が、取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部と認めることができる。 したがって、引用商標は、構成文字全体を称呼した場合の「プレスオンマニキュア」の称呼のほか、その要部である「プレスオン」の文字部分より、「プレスオン」の称呼をも生ずるものと判断するのが相当であり、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とを比較するに、両者の外観は、構成全体の比較においては、明確に区別できるものであり、また、本件商標と引用商標の要部との対比においても、欧文字と片仮名の差異があるほか、それぞれの構成文字のつづりにおいて、明らかな差異を有するものであるから、外観上、明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「エックスプレスオン」の称呼と、引用商標から生じる「プレスオンマニキュア」及び「プレスオン」の称呼とは、構成音及び音数において明らかな差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、語調、語感が異なり、明確に区別できるものである。 さらに、観念においては、ともに特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、たとえ観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明確に区別できる両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-04-23 |
出願番号 | 2023015025 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W03)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
田中 瑠美 板谷 玲子 |
登録日 | 2023-06-08 |
登録番号 | 6705943 |
権利者 | ウエラ オペレーションズ ユーエス エルエルシー |
商標の称呼 | エックスプレスオン、エックスプレス、プレスオン、プレス |
代理人 | 河合 利恵 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 富所 英子 |
代理人 | 藤田 考晴 |
代理人 | 片山 礼介 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 川上 美紀 |