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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W28 |
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管理番号 | 1410533 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-06-27 |
確定日 | 2024-05-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6691122号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6691122号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6691122号商標(以下「本件商標」という。)は、「Roger King」(「R」は他の小文字に比べ高さ及び幅が各およそ2倍、「K」は、他の小文字に比べ高さがおよそ1.5倍大きく書かれている。)の欧文字を横書きしてなり、令和4年2月1日に登録出願、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフクラブ用ヘッドカバー,ゴルフクラブ用バッグ,ゴルフ用手袋,運動用グローブ又は手袋,ゴルフ用具,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。)」を指定商品として、同5年3月20日に登録査定、同年4月19日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1529136号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:THE ROGER 国際商標登録出願日:2020年(令和2年)3月12日 優先権主張日:2019年(令和元年)11月18日(Switzer land) 設定登録日:令和3年11月5日 指定商品:第25類「Footwear; outdoor shoes; casual shoes; running shoes; sports shoes; athletic footwear; trekking shoes; trail shoes; trail running shoes; hiking boots; mountaineering shoes; mountaineering boots; climbing shoes; baseball shoes; football shoes; tennis shoes; snowboard boots; ski boots; basketball sneakers; bath slippers.」 (2)国際登録第1529148号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:ROGER 国際商標登録出願日:2020年(令和2年)3月12日 優先権主張日:2019年(令和元年)11月18日(Switzer land) 設定登録日:令和3年12月24日 指定商品:第25類「Footwear; outdoor shoes; casual shoes; running shoes; sports shoes; athletic footwear; trekking shoes; trail shoes; trail running shoes; hiking boots; mountaineering shoes; mountaineering boots; climbing shoes; baseball shoes; football boots; tennis shoes; snowboard boots; ski boots; basketball sneakers; bath slippers.」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中「運動用グローブ又は手袋,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。)」(以下「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。 (1)申立人について 申立人は、世界的に著名なテニスプレーヤーであるロジャー・フェデラー(Roger Federer)氏が代表者を務めるスポーツや文化の分野における各種権利の管理を行っている法人である。 ロジャー・フェデラー氏のテニス界における傑出したキャリアや業績については、その比類ない経歴から「キング・ロジャー」、「キングオブザコート」等と称えられている(甲2〜甲5)。 また、申立人は、ロジャー・フェデラー氏の名前「ROGER」に関する引用商標を保有しており、第25類「履物及び運動用特殊靴」等を指定商品とする引用商標の保護の効果は日本を含む世界各国に及ぶ。 「THE ROGER」は、ロジャー・フェデラー氏が手掛ける競技用テニスシューズ、ランニングシューズ、日常で使用されるシューズ等のブランド名称として使用されており、オンラインショップで販売されており、当該オンラインショップから日本の需要者も購入することができる(甲8)。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標は、「Roger King」の文字をゴシック調の斜体フォントで表し、装飾の程度はわずかであり、普通に用いられる文字による態様の域を出ない。 引用商標1「THE ROGER」は、その構成中、「THE」は定冠詞であって特定の意味を持たないから、引用商標の要部は、いずれも「ROGER」の文字である。そうすると、同一のつづりである「Roger」の文字を構成中に含む本件商標は、称呼及び外観において共通性がある。 また、本件商標の構成中の「King」の語は、「王」、「王者」を意味する平易な英単語であって、我が国の需要者にも容易に理解されるから、本件商標からは「王者ロジャー」の観念が生じ、意味上の要部は「Roger」であるといえる。 「Roger(ロジャー)」は、英語の男性名であるが(甲9)、本件指定商品である運動用具等について使用された場合、著名なロジャー・フェデラー氏が想起されることは明白であり、同氏が「キング・ロジャー」等と称えられていることから、需要者は間違いなくフェデラー氏の名称に関するものであると理解する。 したがって、本件商標及び引用商標は、称呼及び外観の共通性を有しており、観念においてはともにロジャー・フェデラー氏が想起されるから、互いに類似する商標である。 また、引用商標の指定商品中、第25類の指定商品は、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品とは類似の関係にあり、引用商標は、本件商標の登録査定時に登録されていた(甲6、甲7)。 イ 小括 したがって、本件商標及び引用商標は類似の商標であって、その指定商品も類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 引用商標の周知性について ロジャー・フェデラー氏の名称が著名であることは明白な事実であり、同氏の名前を冠する引用商標についても一定の周知性があるものと考える。 イ 本件商標と引用商標との類似性の程度 既に述べたとおり、本件商標と引用商標は称呼及び外観において共通性があるほか、観念においてロジャー・フェデラー氏の名前を想起させ、互いに類似する商標である。とりわけ本件商標及び引用商標の指定商品は運動用具に関するものであり、ロジャー・フェデラー氏の著名性を考慮すれば、非常に相紛らわしい。 ウ 本件商標の独創性について 「Roger」は英語の男性名であるから、独創的な造語ではない。運動用具に使用された場合、需要者は間違いなく著名なロジャー・フェデラー氏を想起するものといえる。 エ 申立てに係る商品と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性 本件商標の申立てに係る商品は、引用商標の指定商品と関連性が高く、製造・販売部門及び需要者層を共通にする。 オ 本件商標中の「King」の語が、「王」、「王者」を意味する平易な英単語であって、本件商標からは「王者ロジャー」の観念が生ずることは既に述べたとおりであり、ロジャー・フェデラー氏の愛称として「King」ないし「キング」、「王者」の語が広く一般に使用されている事実がある(甲10〜甲13)。 カ 小括 以上のことから、本件商標が申立てに係る商品に使用された場合には、著名なロジャー・フェデラー氏との関係性、申立人らの商品ないし商標を想起させ、需要者はそれらの商品が申立人らの業務に係る商品であるか、あるいは経済的又は組織的な関係がある者や公式の許可を受けた者に係る商品であると誤認するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)「Time News」のウェブサイトには、「in London,farewell to King Roger Federer」(2022年9月24日)の見出しの下、ロジャー・フェデラー氏の写真が掲載されているものの(甲2)、かかる証拠の日付は、本件商標の登録出願後のものである。 (イ)「YouTube」のウェブサイトには、「Roger Federer:King of the Court」の見出しの下、ロジャー・フェデラー氏の試合の動画が配信されている(甲3)。 (ウ)「tennis world」のウェブサイトには、「Roger Federer named “King of the Court”in new US Open video story」(2022年8月3日)の見出しの下、ロジャー・フェデラー氏について紹介されているものの(甲4)、かかる証拠の日付は、本件商標の登録出願後のものである。 (エ)「Pinterest」のウェブサイトには、「ロジャー・フェデラー/King Roger」の記載があるが、その掲載日については確認できない(甲5)。 (オ)「THE ROGERシューズ」のウェブサイトには、競技用シューズとして「ロジャー・フェデラー本人と共同開発したTHE ROGERコレクション。」として、「THE ROGER Clubhouse」と「THE ROGER Pro Clay」が掲載されているが(甲8)、掲載日については確認できない。 (カ)「フットボールゾーン」のウェブサイトには、「「テニス界のキング」 フェデラー優勝、競技の壁を越えてサッカー界から称賛相次ぐ」(2017年7月17日)の見出しの下、「テニス界のスター、ロジャー・フェデラー(スイス)が・・・男子・ウィンブルドン決勝で史上最多8度目の優勝を果たした。」の記載がある(甲10)。 (キ)「The New York Times Style Magazine:Japan」のウェブサイトには、「フェデラー・マジックを追いかけて」(2017年7月17日)の見出しの下、「テニス界のキング、ロジャー・フェデラー。」の記載がある(甲11)。 (ク)「テニスクラッシック公式サイト」のウェブサイトには、2023年7月5日の記事として、「“芝の王者”フェデラーがウィンブルドンに登場。」の記載があるものの、かかる証拠の日付は、本件商標の登録出願後のものである(甲12)。 イ 上記アによれば、ロジャー・フェデラー氏について、「テニス界のキング」、「King of the Court」等と称されているとしても、これらは、Roger Federer(ロジャー・フェデラー)又はフェデラーと表示されているものであって、Rogerと略称されている事実は見いだせない。 なお、ロジャー・フェデラー氏について、「ロジャー・フェデラー」の文字と「King Roger」の文字を二段に表記する「Pinterest」のウェブサイト(甲5)があるが、その掲載日は確認できず、また、当該記載のみでは、同氏が「King Roger」と一般に広く称されているともいい難い。 また、ロジャー・フェデラー氏と共同開発した競技用シューズに引用商標1が表示され、販売されているものの、当該商品が申立人の業務に係るものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者間に広く知られているとする証左は提出されていない。 そうすると、ロジャー・フェデラー氏がテニスプレーヤーとして知られているとしても、同氏がRogerと一般に略称されているとはいえず、引用商標を使用した商品について、我が国における広告の範囲・方法、市場シェア等の具体的な証拠の提出がないことから、引用商標が申立人の業務に関する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「Roger King」の欧文字を横書きしてなるところ、「Roger」の文字と「King」の文字の間に1文字程度のスペースを有しているとしても、その構成文字は、同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されているものである。 そして、本件商標の構成中「King」の文字は、「王」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店発行)の意味を有する平易な英語であるとしても、本件商標の指定商品との関係において、これが直ちに、商品の種別等を表すものとして自他商品の出所識別標識としての機能を欠くというべき判断すべき特別な事情はないことからすると、本件商標に接する需要者は、その構成中の「King」の文字を捨象し、「Roger」の文字のみに着目するというより、むしろ本件商標の構成全体をもって一体不可分の語ものと把握、認識するとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ロジャーキング」の称呼を生じるものであり、かつ、当該称呼は、無理なく一連に称呼し得るものである。 また、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しないから、本件商標は、その構成文字に相応して、「ロジャーキング」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標について 上記2のとおり、引用商標1は、「THE ROGER」の欧文字、引用商標2は、「ROGER」の欧文字を横書きしてなるところ、引用商標1の構成中「THE」の文字は、英語の定冠詞であり、しばしば省略される場合があることから、引用商標1からは、その構成文字に相応して「ザロジャー」の称呼のほか、「ROGER」の文字に相応して「ロジャー」の称呼を生じるというべきである。また、引用商標2は、その構成文字に相応して「ロジャー」の称呼を生じるものである。 そして、「ROGER」の文字は、英語の男性名である(甲9)から、引用商標の構成文字からは、男性の名の観念を生じ得る。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、本件商標と引用商標1とは、外観においては、語尾における「King」と語頭における「THE」の文字の差異を有している。 また、本件商標と引用商標2とは、「King」の文字の有無という明らかな差異を有する。 そうすると、本件商標と引用商標とは、両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、外観上、判然と区別し得るものである。 そして、称呼においては、本件商標から生じる「ロジャーキング」の称呼と引用商標1から生じる「ザロジャー」の称呼とは、前半部分の「ザ」及び後半部分の「キング」の音の差異を有し、また、引用商標1の要部及び引用商標2から生じる「ロジャー」の称呼とは、後半部分において「キング」の音の差異を有し、その差異音が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なるから、いずれの場合であっても、明瞭に聴別できるものである。 さらに、観念においては、本件商標からは、特定の観念は生じないのに対し、引用商標からは、男性の名の観念が生じるから、両商標は、観念において紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれがないから、両者の外観、観念、称呼等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似する商品を含むとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、その類似性の程度は低いものである。 そうすると、本件商標に接する需要者が申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。 以上からすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2024-04-23 |
出願番号 | 2022011297 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W28)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
冨澤 武志 |
特許庁審判官 |
馬場 秀敏 小田 昌子 |
登録日 | 2023-04-19 |
登録番号 | 6691122 |
権利者 | 株式会社広田ゴルフ |
商標の称呼 | ロジャーキング、ロジャー、キング |
代理人 | 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |
代理人 | 森定 勇二 |