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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W2535 |
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管理番号 | 1410394 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-07-14 |
確定日 | 2024-04-04 |
事件の表示 | 商願2022−117916拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年12月21日に登録出願された商願2020−157230に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同4年10月13日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年12月7日付け:拒絶理由通知書 令和5年1月23日:意見書の提出 令和5年4月14日付け:拒絶査定 令和5年7月14日:審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1の構成よりなり、第25類「アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」及び第35類「アイマスク・エプロン・えり巻き・靴下・ゲートル・毛皮製ストール・ショール・スカーフ・足袋・足袋カバー・手袋・ネクタイ・ネッカチーフ・バンダナ・保温用サポーター・マフラー・耳覆いの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。 3 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1580672号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2の構成よりなり、2020年(令和2年)10月29日にItalyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2020年(令和2年)11月19日に国際商標登録出願、第18類、第22類、第25類、第40類及び第42類に属する別掲3の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和4年8月26日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 4 原査定の拒絶の理由の要点 本願商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品及び役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 5 当審の判断 (1)結合商標の類否判断について 複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが、取引の実際においては、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、必ずしも常に構成部分全体によって称呼、観念されるとは限らず、その構成部分の一部だけによって称呼、観念されることがあることに鑑みると、商標の構成部分の一部が需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部を要部として取り出し、これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも、許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 (2)本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、上段に、筆記体の「l」(エル)を上下反転させた様な図形と、下段に、横書きに表された「reca」の欧文字とを、上下二段に配してなるものである。 そして、外観においては、本願商標の上段の図形部分と下段の文字部分は、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせないから、視覚上、分離して認識されるものである。 また、上段の図形は、直ちに特定の事物を想起させないから、これよりは特定の称呼及び観念は生じないものであり、下段の「reca」の欧文字は、辞書等に載録されていないものであって、この文字部分が、直ちに特定の観念を想起させるとはいい難く、図形部分と文字部分との間に観念上のつながりも見いだせない。 そうすると、本願商標に接する需要者は、その構成中の図形部分と文字部分を、それぞれ、商品及び役務の出所識別標識としての機能を有する要部として認識、把握するのが相当であるから、本願商標は、その構成中、顕著に表された「reca」の文字部分(以下「本願要部」という。)を抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。 そして、既成の語ではない欧文字にあっては、我が国において親しまれている英語又はローマ字の発音に倣って称呼するのが一般的であるから、本願商標からは、本願要部の構成文字に相応して、「レカ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、上段に、「RECA」の欧文字(ロゴ風にやや図案化されたもの)を、下段に、横書きで、比較的小さく表された「MAINETTI」の欧文字を、それぞれ配してなるものである。 そして、外観においては、引用商標の両文字部分は、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせないから、視覚上、分離して認識されるものである。 また、上段の「RECA」の欧文字、及び、下段の「MAINETTI」の欧文字は、いずれも、辞書等に載録されていないものであって、これらの文字部分が、直ちに特定の観念を想起させるとはいい難く、また、両文字部分の間に観念上のつながりも見いだせない。 そうすると、引用商標に接する需要者は、その構成中の両文字部分を商品及び役務の出所識別標識としての機能を有する要部として認識、把握するのが相当であるから、引用商標は、その構成中、顕著に表された「RECA」の文字部分(以下「引用商標の要部」という。)を抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。 そして、既成の語ではない欧文字にあっては、我が国において親しまれている英語又はローマ字の発音に倣って称呼するのが一般的であるから、引用商標からは、その要部の構成文字に相応して、「レカ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (4)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標を比較すると、外観について、本願商標及び引用商標の構成全体における比較においては、図形の有無等により相違するものの、本願要部の「reca」の欧文字と、引用商標の要部の「RECA」の欧文字との比較においては、構成文字が小文字と大文字である点について差異があるとしても、文字種を同一として、かつ、4文字全てが、同じつづりの欧文字からなるものであり、両者は外観上、近似した印象を与えるというのが相当である。 そして、称呼においては、「レカ」の称呼を共通にするものである。 また、観念においては、いずれも特定の観念が生じないから比較することができない。 したがって、本願要部と引用商標の要部とは、観念において比較できないとしても、「レカ」の称呼を共通にし、外観上近似した印象を与えるため、これらの外観、称呼及び観念によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考察すれば、本願商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 (5)本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品の類否について 本願商標の指定商品及び指定役務は、引用商標の指定商品中、第18類「Tags and labels for luggages of leather; bags for clothes; garment bags for travel; cases for carrying and storing suits, shirts and dresses.」及び第25類「Face masks (clothing).」と類似のものである。 (6)小括 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品及び指定役務も引用商標の指定商品と類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 6 請求人の主張について (1)請求人は、本願商標及び引用商標は、いずれも、全体が一体不可分のものとして認識されるものであると主張する。 しかしながら、本願商標は、外観においては、図形部分と文字部分が、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせないから、視覚上、分離して認識されるものであり、また、構成中の図形部分と文字部分との間に観念上のつながりも見いだせないものである。 そうすると、本願商標に接する需要者は、その構成中の図形部分と文字部分を、それぞれ、商品の出所識別標識としての機能を有する要部として認識、把握するのが相当であるから、本願商標は、その構成中、顕著に表された「reca」の文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきであることは、上記5(2)のとおりである。 また、引用商標の構成中の両文字部分は、外観においては、両文字部分が、重なることなく配置されており、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している事情は見いだせないから、視覚上、分離して認識されるものであり、また、構成中の両文字部分の間に観念上のつながりも見いだせないものである。 そうすると、引用商標に接する需要者は、その構成中の両文字部分を商品の出所識別標識としての機能を有する要部として認識、把握するのが相当であるから、引用商標は、その構成中、顕著に表された「RECA」の文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきであることは、上記5(3)のとおりである。 (2)請求人は、過去の審決例等を挙げて、引用商標も、これらの審決例等に係る商標と同様に、全体で一体のものであり、本願商標とは類似しない旨主張する。 しかしながら、引用商標の構成中から、「RECA」の文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきであることは、上記5(3)のとおりであり、さらに、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであるから、これらの事例の存在が、上記判断を左右するものではない。 (3)したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。 7 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標) 別掲2(引用商標) 別掲3(引用商標の指定商品及び指定役務) 第18類「Tags and labels for luggages of leather; bags for clothes; garment bags for travel; cases for carrying and storing suits, shirts and dresses.」 第22類「Envelopes, sacks and bags of textile material for packaging.」 第25類「Face masks (clothing).」 第40類「Custom manufacturing of tags and labels with integrated radio frequency (RFID) chip, tags and labels of paper, cardboard, leather, plastics or textiles, boxes and cartons of paper or cardboard, envelopes, sacks, bags, purses, coat hangers, hangers, face masks (clothing), pins (clothing accessories).」 第42類「Managing web sites for others, namely, maintaining an online catalogue of tags, labels, boxes, cartons, envelopes, sacks, bags, purses, coat hangers, hangers, masks, pins (clothing accessories); providing online platform for consulting a web catalogues.」 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-01-26 |
結審通知日 | 2024-01-30 |
審決日 | 2024-02-20 |
出願番号 | 2022117916 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W2535)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
冨澤 武志 |
特許庁審判官 |
中島 光 小田 昌子 |
商標の称呼 | ガンマレカ、レカ、リカ |
代理人 | 宇野 智也 |
代理人 | 南瀬 透 |