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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29 |
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管理番号 | 1410322 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2022-03-01 |
確定日 | 2024-04-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4922457号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4922457号商標の指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4922457号商標(以下「本件商標」という。)は、「アンカー」及び「ANCAR」の文字を2段に横書きしてなり、平成17年3月22日に登録出願、第29類「食肉,卵,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」及び第32類「飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同18年1月20日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続するものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年3月14日であり、この登録前3年以内の期間である平成31年3月14日から令和4年3月13日までを、以下「要証期間」という場合がある。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、令和4年8月26日付け上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標は、「アンカー」の片仮名及び「ANCAR」の欧文字を2段に書してなる商標である。 商標権者は、動物の体内のアミノ酸で作られる「イミダゾール・ジペプチド」を主な有効成分とするカプセル状及び液状の製品(以下「商標権者製品」という場合がある。)を製造販売しており、これについて本件商標を使用している。 乙第1号証は、カプセル状の商標権者製品に係る包装の写真であり、商標権者製品の包装において、「アンカー」の片仮名及び「ANCAR」の欧文字が表されている。これらの表示は、それぞれ本件商標の上段部分又は下段部分と一致しており、本件商標と社会通念上同一である。 乙第2号証は、液状の商標権者製品に係る包装の写真であり、この製品の包装には、本件商標の下段と同じ「ANCAR」の欧文字、及び「アンカーFA」の文字が表されている。このうち、「ANCAR」の欧文字については前述のとおり本件商標と社会通念上同一である。 「アンカーFA」の表示についても、「アンカー」と「FA」の文字の間に登録商標を意味するRマーク(審決注:Rの文字には○が付されている。以下同じ。)が付されているため、「アンカー」が独立した商標であると認識される結果、本件商標の上段部分と社会通念上同一であるといえる。 したがって、本件商標は、乙第2号証に係る製品について使用されているといえる。 このように、乙第1号証及び乙第2号証から、商標権者は商品の包装について商標を付したことが分かり、商標権者が商標法第2条第3項第1号に掲げられた商標の使用を行ったことが明らかである。 乙第3号証の1は、2020年8月12日付で商標権者が静岡県の顧客宛てに送付した「アンカーFAピーチ味」すなわち乙第2号証に係る液状の商標権者製品10本入り3箱に関する受注確認の電子メールである。 また、乙第3号証の2は、同製品に関する出荷確認連絡の電子メールであり、2020年8月17日付で液状の商標権者製品が出荷された事実を示すものである。 乙第4号証は、2021年10月23日付で商標権者が茨城県の顧客宛てに送付した「アンカーFA」(乙2:液状の商標権者製品)に関する発注書である。 乙第5号証は、2021年12月2日付で商標権者が顧客から受領した、「アンカーFA」(乙2:液状の商標権者製品)30本入り6ケース及び30本入り10ケース、並びに「アンカーカプセル」(乙1:カプセル状の商標権者製品)30袋入り一箱に関する注文書である。 乙第3号証ないし第5号証から、商標権者は、要証期間である2019年3月12日から2022年3月13日の期間内において、商標権者製品を販売していることが明らかである。 したがって、商標権者は、要証期間内に、商標法第2条第3項第2号に掲げられた商標を付した商品の譲渡を行ったといえる。 この他、商標権者は、商標権者製品の広告物の配布を行っている。 この事実を示すため、「アンカーカプセル」(乙1:液状の商標権者製品)に関するパンフレット(乙6の1)、「アンカーFA」(乙2:液状の商標権者製品)に関するパンフレット(乙6の2)、及び商標権者が広告代理店「杉山メディアサポート(株)」へ発注した2020年9月29日付パンフレットの納品伝票(乙6の3)を提出する。 このように、乙第6号証から、商標権者は、要証期間内に商品に関する広告に本件商標を付して頒布したことが明らかであり、この行為は商標法第2条第3項第8号に該当するものである。 また、乙第6号証の1及び乙第6号証の2に係る広告物には、商標権者の名称を表す「東海物産」の表示と、商標権者の住所が併記されており、各製品が商標権者の販売に係る商品であることを確認することができる。 このため、商標権者製品は商標権者が製造販売していることが明らかである。 以上のとおり、本件商標は、要証期間内において、商標権者製品について使用されているものである。 2 次に、商標権者製品と本件商標の指定商品との関係について説明する。 商標権者製品は、前述のとおりカプセル状及び液状の製品として販売されているものであるところ、本件商標の指定商品中、少なくとも第29類「動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」に相当するものであるといえる。 また、商標権者製品の主な有効成分である「イミダゾール・ジペプチド」は鶏の胸肉から抽出される原料であり、食肉を加工して得られるものである。そのため、商標権者製品は、食肉の加工品を主な有効成分とするものである。 したがって、商標権者製品は、第29類「肉製品」にも相当するものと解すべきである。 加えて、本件商標の指定商品の解釈においては、次の点を考慮すべきである。 現在、いわゆる健康食品については、類似群コード「32F15」に分類されるものとして審査が行われている。 しかし、本件商標は2005年3月22日に登録出願されたものであり、当時の審査において準拠されていたニース協定による国際分類第7版に基づいて指定商品の範囲を判断すべきである。 本件商標の登録出願時、いわゆる健康食品に関して独自の類似群コードは存在しておらず、原材料や成分・形状等を特定した加工食品として指定され、原材料や成分に応じて適宜分類が行われていた。 本件商標の登録公報によると、本件商標に付与された類似群コードは「32A01、32B01、32F01、32F02、32F03、32F04、32F05、32F07、32F10、32F11、32F12、33A01」である。当時の特許庁類似商品・役務審査基準に照らすと、第29類「動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」は、主成分である「動植物エキス」に鑑み、上記の類似群コードのうち、第29類「肉製品,加工野菜及び加工果実」が分類される類似群コード「32F01」及び「32F04」に属する商品として判断されたものと解される。 このように、第29類「動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」は、「肉製品,加工野菜及び加工果実」を上位概念とする商品として採録されたものである。 そうすると、本件商標に係る第29類「肉製品,加工野菜及び加工果実」は、いわゆる健康食品に類するものをも含む概念として把握すべきである。 そして、商標権者製品に関する本件商標の使用は、第29類「動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」に関する使用に相当するだけでなく、その上位概念である第29類「肉製品」の使用にも該当すると解すべきである。 仮に、本件商標の指定商品の範囲の解釈において現在の運用を考慮するなら、本件商標の登録出願時に登録後の事情によって権利範囲が変動することになりかねず、法的安定性を害するといわざるを得ず、不当である。 このように、商標権者は、商標権者製品の製造販売を通じて、本件商標を第29類「肉製品」及び「動植物エキスを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」について使用したと解すべきである。 3 以上より、本件商標は、請求に係る指定商品について、要証期間に日本国内において商標権者によって使用されたことが明らかである。 第4 審尋及び被請求人の回答 1 審尋 審判長は、令和5年12月5日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標権者が要証期間内に商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人は,上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 事実認定 被請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第6号証の1 乙第6号証の1は、「イミダゾール・ジペプチドを主な有効成分とするカプセル状の商品」(以下「使用商品1」という。)のパンフレット(以下「使用商品1のパンフレット」いう。)であると被請求人が主張するものであり、1葉目に「原材料名」として「コーンスターチ、チキンエキス、ゼラチン(豚由来)」等、2葉目に「ついに完成した「理想のサプリメント」アンカーカプセル」の記載がある。 (2)乙第6号証の2 乙第6号証の2は、「イミダゾール・ジペプチドを主な有効成分とする液状の商品」(以下「使用商品2」という。)のパンフレット(以下「使用商品2のパンフレット」という。)であると被請求人が主張するものであり、1葉目に「健康サポート飲料」、「主要成分(1本分)」として「イミダソールペプチド」等、「使用原材料」として「マンゴー、チキンエキス」等の記載がある。 (3)乙第1号証 乙第1号証は、使用商品1の包装箱(30包入)及び使用商品1が1包単位で包装されている包装袋の写真と被請求人が主張するものであり、使用商品1の包装箱に「イミダゾールジペプチド」、「アスタキサンチン」、「ビタミンC」の記載がある。 しかしながら、商品の原材料と思しき表示はあるものの、どのような商品であるかの記載はない。 なお、写真の撮影日は不明である。 (4)乙第2号証 乙第2号証は、使用商品2の「マンゴー味」と「ピーチ味」の包装箱(10本入り)(以下「使用商品2の包装箱」という。)及び使用商品2が1本毎に瓶詰めされた包装瓶の写真と被請求人が主張するものであり、使用商品2の包装箱に「健康サポート飲料」の記載がある。 なお、写真の撮影日は不明である。 2 判断 上記1によれば、以下のとおりである。 (1)使用商品 ア 使用商品1 上記1(1)の使用商品1のパンフレット(乙6の1)の2葉目に「ついに完成した「理想のサプリメント」アンカーカプセル」の記載があることからすれば、使用商品1は、「サプリメント」であって、本件商標の登録出願時には、「いわゆる健康食品」として取り扱われていた商品であり、請求に係る指定商品とは異なる商品と認められる。 なお、該パンフレットの1葉目に、使用商品1の原材料名の表記があるが、該表記をみても、使用商品1は、食肉を加工した「肉製品」、食用の水産物を加工した「加工水産物」、乾燥処理又は調理した野菜及び果実である「加工野菜及び加工果実」とは明らかに異なる商品であり、仮に、使用商品1の原材料に請求に係る指定商品を由来とする成分が含まれているとしても、請求に係る指定商品の使用とは認められない。 イ 使用商品2 上記1(2)の使用商品2のパンフレット(乙6の2)の1葉目に「健康サポート飲料」の記載があることからすれば、使用商品2は、上記(1)の使用商品1と同様に「いわゆる健康食品」又は第32類「清涼飲料」の範ちゅうに属する商品として販売されているものであり、請求に係る指定商品とは異なる商品と認められる。 なお、使用商品2のパンフレットの1葉目に、使用商品2の使用原材料、主要成分等の表記があるが、該表記をみても、上記アと同様に、使用商品2は、請求に係る指定商品とは明らかに異なる商品であり、仮に、使用商品2の使用原材料や主要成分に請求に係る指定商品を由来とする原材料又は成分が含まれているとしても、請求に係る指定商品の使用とは認められない。 (2)被請求人の主張について 被請求人は、「動植物エキスを成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・液状・固形状・ゲル状・カプセル状の加工食品」は「肉製品,加工野菜及び加工果実」を上位概念とする商品として採録された旨主張している。 しかしながら、本件商標の登録出願時の商品及び役務の各区分に属する商品又は役務を定める商標法施行規則別表(第6条関係)(平成13年経済産業省令第202号)に対応する、特許庁類似商品・役務審査基準[国際分類第8版対応]には、「いわゆる健康食品として採用した第29類「クロレラを主原料とする粒状の加工食品(32F01 32F02 32F03 32F04)」、第30類「食用プロポリス(32F01 32F02 32F03 32F04)」(医療用のものは含まれません。)は、互いに類似する商品として取り扱いますが、例えば、第29類の「加工野菜及び加工果実」のように、「32F04」等のコードのみが付されている商品とは類似しないものとします。」旨の記載があるところ、使用商品1及び使用商品2は、上記(1)のとおり「いわゆる健康食品」又は「清涼飲料」と認められるものであり、請求に係る指定商品「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」と、類似しない異なる商品であるから、上位概念あるいは下位概念の関係にある商品とも認められない。 したがって、請求人の主張は採用することはできない。 (3)まとめ 上記(1)及び(2)のとおり、使用商品1及び使用商品2は、請求に係る指定商品とは異なる商品であるから、商標権者は、本件商標を請求に係る指定商品に使用したものと認められない。 その他、被請求人が提出した全証拠によっても、商標権者が、要証期間に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を請求に係る指定商品に使用したものとは認められない。 3 結び 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-02-27 |
結審通知日 | 2024-03-01 |
審決日 | 2024-03-12 |
出願番号 | 2005024867 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y29)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 石塚 利恵 |
登録日 | 2006-01-20 |
登録番号 | 4922457 |
商標の称呼 | アンカー |
代理人 | 相良 由里子 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 弁理士法人栄光事務所 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 石戸 孝 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 井滝 裕敬 |