ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W07091121 |
---|---|
管理番号 | 1410311 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-27 |
確定日 | 2024-04-03 |
事件の表示 | 商願2022−13604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和4年2月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年7月21日付け:拒絶理由通知書 令和4年8月22日 :意見書の提出 令和4年9月13日付け:拒絶査定 令和4年10月27日 :審判請求書の提出 令和5年11月2日付け:審尋 令和5年11月28日 :回答書の提出 2 本願商標 本願商標は、「AIブレンダー」の文字を標準文字で表してなり、別掲1のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「AIブレンダー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「AI」の文字は「人工知能」の意味を、「ブレンダー」の文字は「混合機、果物用・野菜用などの台所用ミキサー」の意味を有する語であって、一般に広く使用されているから、本願商標全体からは「人工知能を搭載したブレンダー」ほどの意味合いを容易に理解・認識させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中、「人工知能を搭載したブレンダーに係る商品」、例えば「人工知能を搭載した家庭用電気式ミキサー,人工知能を搭載した電気ミキサー」等に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審における審尋 当審において、令和5年11月2日付けで通知した審尋により、請求人に対し、別掲2及び別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の回答(要旨) (1)本願商標の特異な点は、「AI」の文字と、現時点では人工知能が搭載されることは考え難い「ブレンダー」の文字を結合させたところにある。よって、「人工知能を活用したオーブンレンジ」を「AIオーブン」等と称する事実があるからといって、本願商標「AIブレンダー」に接した需要者が、存在すらしない「人工知能が搭載されたブレンダー」だと理解するとは考え難いものである。 (2)別掲3で示された製品は、単にセンサーが自動で検出し停止するだけの機能をもって「人工知能」と称しているものであり、そのような機能は、知識を蓄積し、結果を推論するものではないことが明らかであり、人工知能を搭載しているとは認められない。加えて、当該製品は販売を既に終了しており、「実際に販売している事実」があるともいえないものである。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について 本願商標は、「AIブレンダー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「AI」の文字は「人工知能」の意味を有し、「ブレンダー」の文字は「混合する機械。」の意味を有する(いずれも「大辞泉第二版」小学館)ものとして広く親しまれている語である。 そして、本願商標の指定商品と関連する分野において、別掲2に示すとおり、人工知能を活用した商品を「AI○○」と称することが一般に行われており、また、別掲3に示すとおり、人工知能を活用したブレンダーが実際に販売されている事実が認められる。 以上のことからすれば、本願商標の指定商品の需要者、取引者は、本願商標より、全体として「人工知能を活用したブレンダー」の意味合いを容易に認識するものというのが相当である。 加えて、本願商標は、標準文字で表されているから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることは明らかである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「人工知能を活用したブレンダー」であることを認識するにとどまるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものというべきである。また、当該商品以外の商品に本願商標を使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3項及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、本願商標の特異な点は、「AI」の文字と、現時点では人工知能が搭載されることは考え難い「ブレンダー」の文字を結合させたところにあり、本願商標「AIブレンダー」に接した需要者が、存在すらしない「人工知能が搭載されたブレンダー」だと理解するとは考え難い旨主張する。 しかしながら、別掲2のとおり、調理家電等の分野においてもAI(人工知能)が搭載されている商品が一般的に存在し、それらの商品を「AI○○」と称している例が多く存在すること、また、別掲3のとおり、実際に人工知能を活用したブレンダーが販売されてる事実が認められることからすれば、本願商標の指定商品を取り扱う分野の需要者、取引者は、本願商標から「人工知能を活用したブレンダー」の意味合いを認識するとみるのが相当である。請求人は、別掲3に示した商品は人工知能を搭載しているとは認められない旨も併せて主張しているが、人工知能を搭載していることを特徴として表している商品が実際に存在することが重要であり、実際どのような機能を果たす人工知能が搭載されているかは上記判断に影響を与えるものではない。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標の指定商品 第7類「工業用ロボット,台所用電動器具,家庭用電気式ミキサー,自動販売機,家庭用電気式ジューサー,電気ミキサー,食料加工用又は飲料加工用のロボット,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,電気式飲料調製機」 第9類「計量用機器,測量機械器具,観測用機械器具,牛乳の品質パラメーターの測定用計器,指示計器類,誘導単位計量器,測量用機器,測量用水準器,測量器具,計量機,電子応用機械器具及びその部品,測定機械器具,検卵器,基本単位計量器,精密測定機械器具,計量器,自動調節機械器具」 第11類「衛生器具及び装置,家庭用浄水器(電気式のものを除く。),家庭用加熱器(電気式のものを除く。),業務用電磁調理器,加熱調理用の器具及び装置,家庭用電磁調理器,家庭用電熱用品類,ガス湯沸かし器,家庭用調理台,業務用加熱調理機械器具,家庭用流し台」 第21類「調理用具,食品用ミキサー(電気式のものを除く),台所用ミキサー(電気式のものを除く。),調理用ミキサー(電気式でないもの),台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。)」 別掲2 本願商標の指定商品と関連する分野において、人工知能を活用した商品を「AI○○」と称している事実 (1)「日経XTECH」のウェブサイトにおいて、「Apple出身者が作るAI調理家電、食材に最適なレシピを提案」の見出しの下、「シリコンバレーでは今、調理家電の世界でもAI(人工知能)革命が進行中だ。米Juneが販売する「June Intelligent Oven」は、米NVIDIAのGPU(画像処理半導体)を搭載し、ディープラーニング(深層学習)ベースの画像認識AIが食材の種類や焼き加減を識別。プロ並みの調理を実現するという。」の記載がある。 https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/column/15/425482/111900315/ (2)「ITmedia」のウェブサイトにおいて、「主人の好みを覚える“AI調理鍋” シャープが発売」の見出しの下、「シャープは9月14日、AI(人工知能)がユーザーの調理履歴などを学習し、おすすめのメニューを提案する自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」を10月26日に発売すると発表した。」の記載がある。 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1709/14/news112.html (3)「TOMORUBA」のウェブサイトにおいて、「料理の数だけビジネスチャンスが広がる【料理×AI】の共創事例」の見出しの下、「【ユーハイム×Makuake】職人の技術を機械学習するバウムクーヘンAI職人『THEO』」の項に、「ユーハイムは2021年2月、職人の技術を機械学習する、バウムクーヘン専用AIオーブン『THEO(テオ)』が焼いたバウムクーヘンの販売を、クラウドファンディングサイト『Makuake』にて開始しました。テオは職人が焼く生地の焼き具合を、各層ごとに画像センサーで解析することで、その技術をAIに機械学習させデータ化し、無人で職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼きあげることができます。ベテランの菓子職人のほか、ロボット工学の研究者、AIの専門家、デザイナーなどの協力を得て5年がかりで開発したとのことです。」の記載がある。 https://tomoruba.eiicon.net/articles/2604 (4)「MY HOME Magazine」のウェブサイトにおいて、「グーグルホームやアレクサだけじゃない!プロがオススメする「最新AI家電」」の見出しの下、「進化を続けるAI搭載オーブン電子レンジ」の項に、「AI家電といえば、オーブン電子レンジも忘れてはいけません。レンジを使用する際、「あたためる」のボタンを押して放置したり、ざっくりとした感覚で加熱時間を決めたりすると、中心部が冷たいままだったということが起こりますよね。AI搭載オーブン電子レンジは、温度の上がり具合を自動で識別してくれるので、その心配はありません。自動温めボタンを押すだけで、なかのものを最適な温度にしてくれるわけです。」の記載があり、「AIオーブン電子レンジの選び方」の項に、「他にもシャープのレンジは、食材をまとめて送ってくれる宅食サービスとも連携しているので、AIから提案されたレシピを選ぶだけで、カットした状態の食材がお家に届きます。あとは電子レンジに食材を入れれば、料理が完成! といった感じですね。」の記載がある。 https://myhomemarket.jp/magazine/30-appliances-02-ai/index.html 別掲3 人工知能を活用したブレンダーが実際に販売されている事実 「murauchi.com」のウェブサイトにおいて、「クビンス 真空ブレンダー SV-600DS」の見出しの下、「●人工知能オートブレンド機能」の項に、「料理初心者の方でも簡単に操作できるオートブレンド機能搭載、材料の種類や容量に関係なく、センサーが自動で検出し、最適の調理状態で自動停止します。また、リアルタイムで刃が回転数を検出し、最適な回転数を維持します。」の記載がある。 https://www.murauchi.com/MCJ-front-web/CoD/0000025974777/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-01-25 |
結審通知日 | 2024-01-29 |
審決日 | 2024-02-20 |
出願番号 | 2022013604 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W07091121)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
山田 啓之 |
特許庁審判官 |
藤村 浩二 渡邉 あおい |
商標の称呼 | エイアイブレンダー、アイブレンダー、アイ、ブレンダー |
代理人 | 弁理士法人Toreru |