• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W01
管理番号 1410310 
総通号数 29 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-21 
確定日 2024-04-17 
事件の表示 商願2021−94982拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「HARMONIE」の文字を標準文字で表してなり、第1類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、令和3年7月30日に登録出願されたものである。
本願は、その指定商品を第1類「化粧品および身体の手入れ製品製造用のシリコーンおよび天然化学原料」とする、令和3年11月18日付け手続補正書が提出され、同年12月3日付けの拒絶理由の通知に対し、同4年6月7日に意見書が提出されたが、同年7月20日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年10月21日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2469465号商標(以下「引用商標」という。)は、「ハーモニー」の片仮名を横書きしてなり、昭和61年11月26日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年10月30日に設定登録され、その後、同16年8月11日に指定商品を第1類「化学品」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、本願商標と引用商標とは、外観において文字種の差異を有し、観念において比較することができないものの、両者の類否判断において重要な役割を果たす称呼を共通にするもので、そして、それぞれの構成文字は欧文字と片仮名の文字種を相互に変換して表記しているにすぎないから、外観における差異が称呼の共通性を凌駕するものとはいい難く、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、両商標は相紛れるおそれのある類似の商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本願商標と引用商標との類否について
(ア)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり、「HARMONIE」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、当該文字は、一般的な英語の辞書に載録のない語であり、我が国においてその意味が広く一般に知られている語とは認められないから、一種の造語と認識されるものである。
そして、本願商標のような造語と認識される欧文字は、我が国において広く親しまれている英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることが多いから、本願商標は、その構成文字に相応して「ハーモニー」又は「ハーモニエ」の称呼が生じるものである。
ところで、上記称呼のうちの一つの「ハーモニー」の称呼に相当する日本語は、「和声。調和。」を意味する「ハーモニー」のみである(「コンサイスカタカナ語辞典 第5版」株式会社三省堂)。
一方、本願商標から生じると認められるもう一つの「ハーモニエ」の称呼に相当する日本語は認められない。
してみれば、本願商標「HARMONIE」は、その構成文字より「ハーモニー」又は「ハーモニエ」の称呼が生じ、一義的には特定の観念が生じないものの、当該称呼のうち「ハーモニー」の称呼に相当する日本語が「和声。調和。」を意味する「ハーモニー」のみであることから、本願商標からは「和声。調和。」の意味合いを想起させる場合も有り得るというべきであり、「和声。調和。」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「ハーモニー」の片仮名を横書きしてなるものであるところ、当該文字は、「和声。調和。」の意味(同掲書)を有する語である。
したがって、引用商標は、その構成全体に相応して「ハーモニー」の称呼を生じ、「和声。調和。」の観念を生じるものである。
(ウ)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおりの構成よりなるところ、外観においては、両商標は、欧文字と片仮名の差異があるとしても、いずれも特別な書体で表されたものではなく、普通に用いられる方法で表されていることに加え、我が国においては商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標とは、本願商標から「ハーモニー」の称呼が生じる場合は、「ハーモニー」の称呼を共通にする。
さらに、観念においては、本願商標と引用商標とは、本願商標から「和声。調和。」の観念が生じる場合は、「和声。調和。」の観念を共通にする。
そうすると、両商標は、文字種の相違が外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえず、「ハーモニー」の称呼及び「和声。調和。」の観念を共通にする場合があるから、これらの外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。
イ 本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定商品「化粧品および身体の手入れ製品製造用のシリコーンおよび天然化学原料」と引用商標の指定商品「化学品」とは、同一又は類似の商品である。
ウ 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、その指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標と引用商標との類否について、外観が明らかに判別でき、一部の称呼が共通する場合があるとしても、観念については比較することができず、外観、称呼、観念の要素を総合的に判断すると、非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記(1)アのとおり、外観については、本願商標と引用商標とはいずれも、特別な書体で表されたものではなく、文字種の差異が、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいかないこと、また、称呼については、本願商標から「ハーモニー」の称呼が生じる場合(請求人も認めている。)には、「ハーモニー」に相当する日本語が一つしかないことから、これに接する需要者等は「和声。調和。」の意味を有する「ハーモニー」を自然に思い起こすというのが相当であって、観念については、本願商標から「和声。調和。」の観念が生じる場合もあるといえる。
したがって、両商標は、それぞれを構成する文字種に欧文字と片仮名の差異があるとしても、いずれも特別な書体で表されたものではなく、普通に用いられる方法で表されていることに加え、我が国においては商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものであるから、これらを離隔的に観察をしたときは、外観が明らかに判別できるとはいいえず、また、「ハーモニー」の称呼及び「和声。調和。」の観念を共通にする類似の商標というのが相当であるから、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、「両者は外観においては・・・判然と区別でき・・・観念において紛れるおそれがないものであるから、・・・称呼を共通にするとしても、・・・非類似の商標である」との判断がなされた過去の審決例を挙げ、本願商標がと引用商標とが類似するというのは不合理である旨主張する。
しかしながら、本願商標と引用商標との類否については、上記(1)ア(ウ)のとおりであって、本願商標より「ハーモニー」の称呼が生じる場合には、「ハーモニー」に相当する日本語が一つしかないことから、これに接する需要者等は「和声。調和。」の意味を有する「ハーモニー」を自然に思い起こすという点で、過去の事案と異にするものである。
そして、そもそも、商標の類否は、商標の構成や各事案の判断時期や取引の実情等に応じて個別に判断すべきものであって、請求人の提示する審決例は、本願商標と引用商標の類否とは事案を異にするものであるから、他の商標登録の事例により本審理の判断が左右されるものではない。
ウ 以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。

審判長 山田 啓之
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2023-10-26 
結審通知日 2023-10-31 
審決日 2023-12-07 
出願番号 2021094982 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W01)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 山田 啓之
特許庁審判官 杉本 克治
青野 紀子
商標の称呼 ハーモニー、ハーモニエ、アルモニ 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 藤倉 大作 
代理人 中村 稔 
代理人 相良 由里子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 田中 伸一郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ