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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W10 |
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管理番号 | 1410307 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-14 |
確定日 | 2024-04-30 |
事件の表示 | 商願2021−102987拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和3年8月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年3月29日付け :拒絶理由通知書 令和4年6月9日 :意見書の提出 令和4年7月7日付け :拒絶査定 令和4年10月14日 :審判請求書の提出 令和4年11月15日 :手続補正書の提出 令和5年11月28日付け:審尋 2 本願商標 本願商標は、「MASSAGE STOOL」の文字を標準文字で表してなり、第10類に属する願書記載の商品を指定商品として登録出願され、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、第10類「家庭用電気式足・脚部マッサージ器,ヒーター機能付き家庭用電気式足・脚部マッサージ器,家庭用電気マッサージ器並びにその部品及び付属品」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、「MASSAGE STOOL」の文字を標準文字で表してなるところ、「MASSAGE」の文字は、「マッサージ(術)、もみ療治」の意味を表し、「STOOL」の文字は、「〔背の低い〕足載せ[膝付き]台」の意味を表すものであるから、本願商標全体として「マッサージ機能を有する足載せ台」の意味合いが容易に生じる。また、本願の指定商品に関する業界において、「マッサージ」の文字と商品の普通名称からなる「マッサージチェア」の文字が、マッサージ機能を有するチェア、又は、マッサージ器としてもチェアとしても使用可能なマッサージ器を表す語として使用されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「マッサージ機能を有する足載せ台」等であることを理解し、又は認識するにとどまることから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審における審尋 当審において、令和5年11月28日付けで通知した審尋により、請求人に対し、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めたが、請求人は、所定の期間を経過するも、当該審尋に対し何ら意見を述べていない。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号の規定について 商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される。 そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品に使用された場合に、取引者及び需要者によって、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決)。 以上を前提に、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について判断する。 (2)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は「MASSAGE STOOL」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「MASSAGE」の文字は「マッサージ,あんま(術)」の意味を、「STOOL」の文字は「腰掛け,スツール;踏み台;ひざつき台;足台」の意味を有する語として(いずれも「プログレッシブ英和中辞典」小学館)、それぞれ辞書等にも掲載され、我が国において一般的に知られているものである。 また、補正後の本願商標の指定商品である第10類「家庭用電気式足・脚部マッサージ器,ヒーター機能付き家庭用電気式足・脚部マッサージ器,家庭用電気マッサージ器並びにその部品及び付属品」を扱う分野において、別掲1のとおり、マッサージ機能を有する足台(スツール)が取引されている実情が認められ、また、別掲2のとおり、それらの商品について、本願商標の片仮名表記である「マッサージスツール」と称している実情も認められる。 さらには、別掲3のとおり、マッサージ機能を有する商品を「MASSAGE○○」又は「マッサージ○○」(○○は商品の普通名称)と称して販売している事実が多く存在する。 以上によれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、「マッサージ機能を有する足台(スツール)」の意味を容易に理解、認識するとみるのが相当である。 そして、本願商標は、標準文字で表されており、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであることは明らかである。 したがって、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきであり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)商標法第3条第2項該当性について 請求人は、商標法第3条第2項に該当する旨を明確に主張するものではないが、本願商標の使用による識別力の獲得に関する主張をしているため、本願商標の同項の該当性についても検討する。 ア 事実認定 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。 (ア)請求人は、本願商標を使用した商品(以下、「請求人商品」という。)を、2014年6月に販売を開始して現在に至るまで継続して販売している(甲4)。請求人商品は、ふくらはぎ、足裏、足の甲及び足首をマッサージするための機械であり、マッサージ機として使用しないときは、足台(スツール)や足載せ台(オットマン)として使用し得る商品である(甲4)。また、販売の際には、請求人の有するブランドである「LOURDES(ルルド)」又は「TOR(トール)」の商品名を用いて販売している(甲4〜甲7)。 (イ)請求人商品の売上げは、販売開始から2022年9月までで、販売数が約126,000台、売上高が約22億6,100万円である(甲10)。また、2018年における請求人商品の市場シェアは数量ベースで約8%とされている。 (ウ)請求人商品は、2014年6月の販売開始以来、継続的に雑誌・ウェブメディア・Youtube動画・新聞等において掲載されている(甲5〜甲7)。 (エ)請求人商品は、2021年度のグッドデザイン賞を受賞している(甲6の13、甲9)。 イ 判断 上記アで認定した事実によれば、請求人商品は、2014年に販売が開始され、その販売数及び売上高は一定程度あり、継続的に新聞、雑誌及びウェブサイト等で紹介されていることなどが認められる。 しかしながら、本願商標は,常に「LOURDES(ルルド)」又は「TOR(トール)」の文字とともに使用されており、本願商標が単独で使用されている事実は確認できないこと、また、上記(2)のとおり、マッサージ機能を有する足台(スツール)が「マッサージスツール」と称されている実情やマッサージ機能を有する商品を「MASSAGE○○」又は「マッサージ○○」(○○は商品の普通名称)と称して販売されている事実が多く存在することをも踏まえると、請求人商品が、本願商標の指定商品を取り扱う分野において一定程度知られていることはうかがえても、本願商標が、独立してその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標の指定商品を扱う分野において、マッサージ機能を有する足台(スツール)が取引されていることを示す証拠 (1)「restool」のウェブサイトにおいて、「スツールフットマッサージャー」の見出しの下、「フットマッサージャー、スツール、オットマンとして1台3役/インテリアに馴染む、家具のようなマッサージ器」の記載がある。 https://restool.jp/ (2)「DOCTOR AIR」のウェブサイトにおいて、「3D フットマッサージャー スツール」の見出しの下、「マッサージャーとして使わないときは、スツールやオットマンとしても活躍。」の記載がある。 https://www.dr-air.com/jp/ja/products/3d-foot-massager-stool/ (3)「MOMiLUX」のウェブサイトにおいて、「オットマン型フットマッサージャー DOM−2101 足もみW」の見出しの下、「マッサージしない時はスツールやオットマンとしてお使いいただけます」の記載がある。 https://momilux.jp/dom-2101/ 別掲2 本願商標の指定商品を扱う分野において、マッサージ機能を有する足台(スツール)を「マッサージスツール」と称していることを示す証拠 (1)「ippo×楽天TOP」のウェブサイトにおいて、「ファミリーマッサージチェアー メディカルチェアI..S FMC−8000【smtb−s】」の見出しの下、「オットマンやスツールとして、あるいは反転させることでマッサージスツールとして使用することが出来ます。」の記載がある。 https://item.rakuten.co.jp/ippo/10000120/ (2)「日経トレンディ 2016年7月号(2016年6月4日株式会社日経BP発行)」の43ページ(請求人提出の甲第5号証−9)において、商品の普通名称を表す「プランター」、「ティッシュケース」、「照明」及び「目覚まし時計」の文字と同じ態様で「マッサージスツール」の記載があり、その下部に「普段はスツールだが、蓋を開けて足を入れるとマッサージ機になる」の記載がある。 (3)「anan No.2021 2016年9月28日号(2016年9月21日株式会社マガジンハウス発行)の85ページ(請求人提出の甲第5号証−10)において、「足裏からふくらはぎまでを丹念に丹念にほぐしてくれる、家庭用マッサージスツール。」の記載があり、その下部に「座面を閉じれば、インテリアになじむ織り生地のスツール。使いたいときに座面を開ければフットマッサージャーに早変わり」の記載がある。 別掲3 マッサージ機能を有する商品を「MASSAGE○○」又は「マッサージ○○」(○○は商品の普通名称)と称して販売していることを示す証拠 (1)「mybest」のウェブサイトにおいて、「【2023年】マッサージ座椅子のおすすめ人気ランキング8選」の見出しの下、「座りながらマッサージ。マッサージ座椅子の魅力とは?」の項に、「マッサージ座椅子は、座ってくつろぎながら体をほぐせるのが魅力です。手で持つハンディタイプのマッサージ機と異なり、体を預けるだけ。スマホ操作や読書をしながら使用したい人にぴったりです。」の記載がある。 https://my-best.com/15735 (2)「AiMY」のウェブサイトにおいて、「エイミー マッサージマット/AiMY MASSAGE MAT」の見出しの下、「寝たまま使える、医療機器認証取得のマッサージマット。手もみのように心地いい新開発「3Dもみ玉ユニット」が身体にぴったりフィット。肩からお尻の筋肉をじんわり温めながらほぐして、1日の疲れを癒します。」」の記載がある。 https://www.aimy-net.com/products/wellness/aim-141.html (3)「惣田製作所」のウェブサイトにおいて、「MASSAGE マッサージ」の見出しの下、「マッサージマット/寝ころびながら全身マッサージ。8つのもみ玉が絶妙なもみ味を実現。」の記載がある。 https://souda-ss.com/products/マッサージマット/ (4)「mybest」のウェブサイトにおいて、「【2023年】マッサージクッションのおすすめ人気ランキング17選」の見出しの下、「家事や仕事で追われる毎日にぴったりな、マッサージクッション。マッサージチェア・マッサージシートより安価で、父の日・母の日などのプレゼントにもおすすめです」の記載がある。 https://my-best.com/2208 (5)「ドクターエア」のウェブサイトにおいて、「3D マッサージピローBLUE LIFE MP−07BLS」の見出しの下、「こだわりのもみ玉×ヒーターで 人の手のようなマッサージ」の記載がある。 https://shop.dr-air.com/shop/g/g4580657303755/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-02-20 |
結審通知日 | 2024-03-01 |
審決日 | 2024-03-18 |
出願番号 | 2021102987 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W10)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
山田 啓之 |
特許庁審判官 |
藤村 浩二 渡邉 あおい |
商標の称呼 | マッサージスツール、マッサージストール、スツール、ストール |
代理人 | 弁理士法人桶野知的財産事務所 |