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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1408162 
総通号数 27 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-05-29 
確定日 2024-02-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第6682513号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6682513号商標の商標登録を維持する。
理由
第1 本件商標
本件登録第6682513号商標(以下「本件商標」という。)は、「XCURRENCY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年10月19日に登録出願、第36類「両替,ファクタリング,電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済,募金,財産の整理又は清算の代理(財務に限る。),資金の貸付け,投資,財務管理,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算,ウェブサイト経由による金融又は財務に関する情報の提供,財務上のリスク管理,美術品の評価,建物・土地の売買又は貸借の代理又は媒介,関税に関する手続きの代行,債務の保証,慈善のための募金,信託の引受け,担保付資金の貸付け,保険・金融・土地又は建物に関する財務の評価,古銭の評価」を指定役務として、同5年3月13日に登録査定、同月20日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する標章
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する標章(以下「引用標章」という。)は、「xCurrency」の欧文字を横書きで表してなり、申立人が本件商標の登録出願の日以前より、アップルストアにて販売する通貨換算ツールのアプリケーションソフトウェアについて使用し、取引者、需要者の間に広く認識されていると主張するものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 引用標章の周知性について
(1)申立人の関連会社である珠海▲ちゅあい▼桃科技有限公司(Travel Tao,Ltd.以下「珠海社」という。)が、2014年4月9日よりアプリケーションダウンロード販売サイトアップルストアにて、通貨換算ツールソフト「極簡匯率」(APPアップルID:851033695)の販売をしていた(甲1)。
申立人は、2020年8月8日に珠海社との間で、通貨換算ツールソフト「極簡匯率」(APP ID:851033695)の譲渡契約をし、その際、アプリの名称として「xCURRENCY」を使用した(甲2)。そして、珠海社はアップルストアの運営者に譲渡の届け出をし(甲3)、申立人が珠海社から譲り受けた通貨換算ツールソフトを、名称をCurrency Converter−xCurrency(APP ID:851033695)に変更して新たに販売者となったものである(甲4)。
申立人の販売している通貨換算ツールソフト Currency Converter−xCurrency(APP ID:851033695)のDAU(一日当たり利用ユーザー)は、2020年9月以降4千件を上回っている(甲6)。また、2014年5月4日から2023年5月までの日本での利用回数の合計は、約700万回であり(甲7)、2014年5月4日から2023年5月までの日本でのダウンロード数の合計は、約10万回であり(甲8)、いずれも顕著に多く、この種のアプリの商標として「xCurrency」は周知・著名な商標である。
(2)申立人が譲り受けた珠海社は、2014年4月10日より日本のアプリケーションダウンロード販売サイトAPPLIONにて、通貨換算ツールソフト「名称 極簡匯率」の販売をしており、リリース情報とランキング情報中にxCurrencyの商標を表示している(甲9)。また、珠海社は、2019年1月4日より日本ウィーチャットのカスタマーアカウント中にxCurrencyの商標を使用している(甲10)。
(3)2019年9月25日付のニュース媒体 TMTPostの記事には、珠海社の通貨換算ツールソフト「極簡匯率(xCurrency)」が数千万人民元のAラウンド融資を受けたことともに、8000万ダウンロードを超え、ユーザーは世界160か国以上であることを記載している(甲11)。同様に、2019年10月2日付のニュース媒体 億邦動力ニュースの記事にも、珠海社の通貨換算ツールソフト「極簡匯率(xCurrency)」が8000万ダウンロードを超え、ユーザーは世界160か国以上であることを記載しており、為替レートの照会サービスは年に25億回を超えることも記載している。また、公式データによると、2019年初め、日韓地域で華人送金製品をテストした際、現地の1〜2万人の取引ユーザーが数億の取引額を実現した。また、留学送金は極簡匯率の重要な為替サービスであり、現在、海外の中国人留学生の3分の1がこのサービスを利用しているとも記載している。日本にも中国人留学生は毎年何万人も在籍しており、彼らの間でxCurrencyは通貨換算ツールソフト極簡匯率の商標として広く知られた周知・著名商標である(甲12)。この億邦動力ニュースの記事の最後には、百度、同花順財経、新芽、億欧州ネットワークなどの著名なメディア媒体も同様の記事を配信していることが記載されており、xCurrencyが通貨換算ツールソフト極簡匯率の商標として周知・著名となっている。
また、2019年10月9日付で、ウィーチャットの「東京新青年」公式アカウントには、市場宣伝記事として通貨換算ツールソフト極簡匯率が商標のxCurrencyとともにビデオを使って紹介されている。記事には世界でユーザーが8000万人いること、華人の送金、留学生の学費の振り込みに利用できること、日本の登録者も中国へ送金できることが記載されている(甲13)。
(4)2020年3月4日、2020年3月21日極簡匯率の日本在住ユーザーから運営プラットフォームヘのフィードバック(甲14、甲15)を示す。
また、2020年3月12日付で、ウィーチャットの「日本通」公式アカウントには、極簡匯率が融資を受けたことの宣伝記事として通貨換算ツールソフト極簡匯率が「xCurrency」とともに紹介されている。
そして、珠海社は、2019年1月4日より日本ウィーチャットのカスタマーアカウント中にxCurrencyの商標を使用している(甲16)。
珠海社の日本のビジネスパートナーは、2020年5月18日には、名刺にxCurrencyの商標を使用して、ユーザー獲得のビジネスを始め(甲17)、2020年8月18日付で、珠海社はウィーチャットにて、「xCurrencyPal」の商標を用いてグローバルブランドパートナーの募集広告を開始した(甲18)。珠海社は、2020年10月1日付のビジネスパートナーとの複数のメールに、xCurrencyの商標を使用している(甲19)。
2020年10月13日、ウィーチャット「ITgo技術者之家」に掲載した人材募集記事に、xCurrencyの商標を使用している(甲20)。
日本のアプリストアのダウンロードサイトPcMacに2021年1月11日にリリースされた「極簡匯率」Miniのアプリがあり、内容説明にもxCurrencyの文字が多く記載されている(甲21)。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、本件商標の登録出願前に既に申立人及び申立人の関連会社が販売する通貨換算・送金アプリ「極簡匯率」の商標として、日本への膨大な人数の中国人留学生や観光、ビジネスで渡日する華人達を含み、全世界で7000万回以上ダウンロードされて人々に日々、通貨換算・送金等に利用されており、既に周知商標となっているものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、本件商標の登録出願前に既に申立人及び申立人の関連会社が販売する通貨換算・送金アプリ「極簡匯率」の商標として、日本への膨大な数の中国人留学生や観光、ビジネスで渡日する華人達の間等で広く認識されているものであり、この商標が、申立人及び申立人の関連会社とは何らの関係も有さないものに登録を認めることになると、利用者の出所の混同を招くことは必須であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号について
珠海社は、2021年12月31日、広東省科学技術庁 広東省財政庁 国家税務総局広東省税務局により、国家ハイテク企業の認定を受けている。また、通貨換算・送金アプリ「極簡匯率」が、2021年度に「アジアバンカー」最優秀送金製品賞を授与するなど、きわめて高い信用、名声、顧客吸引力等を有している。本件商標権者がその商標を使用した場合、これらを毀損するおそれが大である。他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用するというほかなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用標章の周知性について
申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人の関連会社である珠海社は、2014年4月9日より、アプリケーションダウンロード販売サイトアップルストアにおいて、通貨換算ツールソフト「極簡匯率」を販売していたところ(甲1)、2020年8月8日に、申立人と珠海社との間で、アップルストアアプリケーションxCURRENCY(プログラムアップルID:851033695)の譲渡契約をして(甲2)、申立人が珠海社から譲り受けた通貨換算ツールソフトの名称をCurrency Converter−xCurrency(アプリのApple ID:851033695)に変更して新たに販売者となったものである(甲4)。
イ 「Currency Converter−xCurrency」について、日本におけるDAU(一日当たり利用ユーザー)、日本での利用回数、ダウンロード数に関するグラフ(甲6〜甲8)を提出しているが、当該グラフの数字のみだけでは、客観的な評価ができない。
ウ APPLIONのウェブサイト(甲9)には、「極簡匯率−為替、通貨換算[iPhone]」の見出しの下、「極簡匯率−為替、通貨換算/TRAVEL TAO LIMITED 売上順位:ファイナンス117位(iphone)」の記載があり、また「最新更新情報」及び「使い方や遊び方」の項目中に「xCurrency」の文字が散見される。
エ 日本ウィーチャットのカスタマーアカウントの画面(甲10、甲16)、ニュース媒体のTMTPost(甲11)、億邦動力ニュース(甲12)、ウィーチャットの「東京新青年」公式アカウント(甲13)には、「極簡匯率」及び「xCurrency」の記載があるものの、いずれも申立人又は珠海社が引用標章を使用していることを示す記載は見いだせない。
オ 日本在住ユーザーから運営プラットフォームヘのフィードバック(甲14、甲15)とするものは、珠海社の「xCurrency」に関する運営プラットフォームに日本在住ユーザーがアプリの使用に関する問合せ等を行っているものである。
また、2020年8月18日付けのウィーチャットは、引用標章と同一の文字を含む「xCurrencyPal」の文字を使用し、グローバルブランドパートナーの募集広告を行っているものであるが、申立人又は珠海社との関係が確認できない(甲18)。
さらに、2020年10月1日付けのビジネスパートナーとの複数のメールとするものには、「極簡匯率xCurrencyについて「事業協力」」の表題があるが、申立人又は珠海社との関係が確認できない(甲19)。
その他、ウィーチャット「ITgo技術者之家」に掲載した人材募集記事には、「XCURRENCY」の表示があるとしても、掲載日、申立人又は珠海社との関係が確認できない(甲20)。2021年1月11日にリリースされた「極簡匯率」Miniのアプリには、「投稿者Travel Tao.Ltd」の記載があり、「機能と説明」には「xCurrency」の文字が確認できる(甲21)。
そうすると、甲第14号証、甲第15号証、甲第18号証ないし甲第21号証の証拠は、申立人又は珠海社との関係が確認できないものが含まれることに加え、申立人等の商品(アプリケーションソフトウェア)自体についてではなく、それに付随する業務に引用標章を使用しているものといえる。
カ 申立人の提出に係る証拠は、ほとんどが中国語のものである。
キ 上記アないしカからすると、申立人の関連会社である珠海社が2014年4月より通貨換算ツールソフト「極簡匯率」を販売していたところ、2020年8月に申立人との間に譲渡契約がなされ、通貨換算ツールソフトの名称を「Currency Converter−xCurrency」に変更したことが認められる。その後、「Currency Converter−xCurrency」については、日本でも利用されていたといえる。
しかしながら、申立人が配信する「極簡匯率」が、申立人に係るファイナンスアプリであるとする記載があり、「極簡匯率(xCurrency)」とする記載が散見されるとしても、提出された証拠は、ほとんどが中国語のものであることに加え、その出所について、申立人又は珠海社であることは確認できないものや、申立人等の商品自体について使用されていないものも多く、さらに、引用標章を使用した申立人等の商品に関する我が国及び外国における市場シェア、売上高、広告の頒布範囲・回数等の周知性を具体的に裏付ける証拠の提出がない。
以上からすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用標章が申立人又は関連会社の業務に係る商品について使用する標章として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
(2)本件商標と引用標章の類否及び商品と役務の類否について
本件商標は、上記第1のとおり、「XCURRENCY」の欧文字を表してなるのに対し、引用標章は、「xCurrency」の欧文字からなるところ、本件商標と引用標章は、文字綴りを同一にするものである。
また、本件商標と引用標章の構成中、「CURRENCY」及び「Currency」の文字部分が「貨幣」等を意味する英語(「ジーニアス英和辞典第5版」大修館書店) であるとしても、殊更前半の「X」及び「x」の文字を捨象して、後半の「CURRENCY」、「Currency」の文字部分のみに着目し、分離抽出すべき特段の理由は見いだせない。
そうすると、本件商標と引用標章は、構成全体をもって一体不可分の商標(標章)として認識、把握するとみるのが妥当であるから、その構成文字に相応して、「エックスカレンシー」の称呼を生じるものである。また、当該文字は、辞書等に載録がないものであるから、特定の観念を生じない。
したがって、本件商標と引用標章とは、観念上は比較できないとしても、称呼を共通にするものであり、外観上も近似するものであるから、類似の商標というのが相当である。
また、本件商標の指定役務は第36類に属する役務であるところ、引用標章の使用に係る商品は、通貨換算ツールソフトであり、第9類の「アプリケーションソフトウェア」の範ちゅうの商品と把握されるものであることからすると、互いの商品と役務は非類似のものである。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすると、本件商標と引用標章が類似の商標であるとしても、互いの商品と役務は非類似であり、さらに、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者に広く認識されていたとは認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するとはいえない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用標章とは、上記1(2)のとおり、類似する商標といえるから、本件商標と引用標章の類似性の程度は高いとしても、引用標章は、上記1(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
以上からすると、本件商標と引用標章とが、類似性の程度が高いものであるとしても、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることができないから、本件商標権者が本件商標をその指定役務について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用標章を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記1(2)のとおり、引用標章とは、類似の商標であるとしても、引用標章は、上記1(1)のとおり、我が国及び外国の需要者の間において、広く認識されているとはいえない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

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異議決定日 2024-02-07 
出願番号 2022120064 
審決分類 T 1 651・ 255- Y (W36)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 大島 康浩
小林 裕子
登録日 2023-03-20 
登録番号 6682513 
権利者 上海▲奪▼▲匯▼网▲絡▼技▲術▼有限公司
商標の称呼 エックスカレンシー、カレンシー 
代理人 坪内 康治 
代理人 弁理士法人筒井国際特許事務所 

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