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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W44
管理番号 1407934 
総通号数 27 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-07 
確定日 2024-02-08 
事件の表示 商願2022−1996拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年4月30日に登録出願された商願2021−53980に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和4年1月11日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年2月14日付け:拒絶理由通知書
令和4年3月28日付け:意見書、手続補正書
令和4年7月5日付け:拒絶査定
令和4年10月7日付け:審判請求書
令和4年11月11日付け:手続補正書

第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の原審及び当審における手続補正書により、第44類「製薬会社の委託を受けて行う医薬品に関する安全性情報の収集・分析及び製薬会社に対するそれらの情報提供(医薬情報担当者に代わってするものを含む。)」に補正されたものである。

第3 引用商標
本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5956796号商標(以下「引用商標」という。)は、「SMP」の文字を標準文字で表してなり、平成28年9月6日に登録出願、第44類「美容・理容,美容・理容に関する助言及び情報の提供,医業医療情報の提供」を指定役務として、同29年6月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第4 当審の判断
1 本願商標と引用商標の類否について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲のとおり、井桁状の輪郭内を黒塗りにした図形の中央に「SMP」の欧文字を白抜きにて横書きしてなるところ、その構成中、図形部分は、井桁紋をモチーフにしたような図形であるとの印象を与えるとしても、具体的な称呼及び観念は生じない。
他方、本願商標の構成中、「SMP」の文字は、一般的な辞書等に掲載された成語ではないから、「エスエムピー」の称呼を生じ得るが、特定の観念は生じない。
そうすると、本願商標は、図形部分と文字部分の間で、称呼及び観念などにおける具体的な関連性はない。
イ 本願商標の構成中、「SMP」の文字部分は、図形部分の中央に白抜きで、唯一の文字部分として、ひときわ顕著に目立つ態様で表されているから、構成全体の中で、図形部分とは分離、独立した出所識別標識たる構成要素として強い印象を与えるものである。
ウ そうすると、本願商標は、その構成中、「SMP」の文字部分を、出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部として分離抽出し、当該文字部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断すべきである。
エ 以上によれば、本願商標は、その要部である「SMP」の文字部分に相応して、「エスエムピー」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、「SMP」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は一般的な辞書等に掲載された成語ではない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「エスエムピー」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標の比較
本願商標の要部と引用商標を比較すると、外観においては、「SMP」の構成文字を共通にするから、記憶される印象において互いに極めて似通ったものとなり、相紛らわしい。
そして、称呼においては、「エスエムピー」の称呼を共通にするから、相紛らわしい。
さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。
そうすると、本願商標の要部と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛らわしく、これらが与える印象、記憶等を総合して全体的に考察すると、これを同一又は類似の役務について使用するときは、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、両商標は類似する商標と認められる。
2 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
(1)本願商標の指定役務「製薬会社の委託を受けて行う医薬品に関する安全性情報の収集・分析及び製薬会社に対するそれらの情報提供(医薬情報担当者に代わってするものを含む。)」は、医療分野における専門的知見を有する研究機関や調査機関が行う、情報収集及び分析(医薬品に関する安全性情報に関するもの。)並びにそれらに関する医療情報の提供を行うサービスである。そして、その需要者には製薬会社等が含まれる。
(2)引用商標の指定役務中「医業医療情報の提供」は、医療等に係る情報を提供するサービスであり、医療分野における専門的知見を有する医師又は医療機関のほか、製薬会社、研究機関や調査機関等が提供するものである。そして、医療情報は、患者などの一般消費者に加え、医師又は医療機関、製薬会社等の専門家に対して提供されるものであり、その需要者層は、幅広いものである。
(3)本願商標の指定役務と引用商標の上記役務を比較すると、両役務は、医療情報の提供をするという点で役務の内容を共通にし、医療分野における専門的知見を有する機関(研究機関や調査機関を含む。)が提供する点で提供事業者を共通にするもので、また、需要者(製薬会社を含む。)を共通にするから、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の提供に係る役務であると出所の誤認混同が生じるおそれがあり、同一又は類似する役務と認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、(ア)本願商標の構成中、図形部分は、請求人グループの出所識別標識として長年使用されてきた著名標章である、(イ)当該図形部分は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、需要者等が、それを殊更捨象し「SMP」の文字のみをもって役務の出所を特定し、取引にあたるとは考えられない、(ウ)本願商標は、構成全体をもって把握されるものであり、単なる「SMP」の文字列から構成される引用商標とは、その外観と観念を大きく異にし、明確に区別が可能である旨を主張する。
しかしながら、上記1(1)のとおり、本願商標は、図形部分と文字部分の間で、称呼及び観念などにおける具体的な関連性はなく、その構成中、「SMP」の文字部分は、図形部分の中央に白抜きで、唯一の文字部分として、ひときわ顕著に目立つ態様で表示されているから、構成全体の中で、図形部分とは分離、独立した出所識別標識たる構成要素として、強い印象を与えるものである。そうすると、「SMP」の文字部分を、出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部として分離抽出し、当該文字部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断すべきである。
また、上記1(1)アのとおり、本願商標の構成中、図形部分は、井桁紋をモチーフにしたような図形であるとの印象を与えるとしても、具体的な称呼及び観念は生じないものであるが、仮に、それが請求人グループの標章であるとしても、造語である「SMP」の文字部分とは、称呼及び観念における具体的な関連性がない。そして、本願商標の構成中「SMP」の文字部分は、ひときわ顕著に目立つ態様で表されているから、強く支配的な印象を与える要部といえる点は同様である。
そうすると、本願商標と引用商標は、上記1(3)のとおり、その要部である「SMP」の文字部分の比較において、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、類似する商標というべきである。
(2)請求人は、引用商標の指定役務中「医業医療情報の提供」は、医療関係者や一般需要者に対して広く行われるものである一方、本願商標の指定役務は、製薬会社の医薬品研究開発の一環として、製薬会社の委託を受け、製薬会社のために行うという限られた取引者間で行われるものであり、提供の目的、需要者の範囲、業種、提供事業者について極めて限定的であり、非常に専門的かつ特殊な役務であることからすれば、本願商標と引用商標とが使用される役務の出所につき需要者が誤認混同をきたすおそれがない旨を主張する。
しかしながら、上記2(2)のとおり、引用商標の指定役務中「医業医療情報の提供」は、医療情報の内容や需要者を限定しておらず、本願商標の指定役務と関連するような製薬会社に向けた医療情報(医薬品に関する安全性情報に関するもの。)を含むから、それぞれの役務の内容、提供事業者及び需要者層は重複する。
そうすると、本願商標の指定役務と引用商標の上記役務は、同一又は類似する役務といえる。
(3)請求人は、過去の判決や審決例を援用し、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない旨を主張する。
しかしながら、商標登録出願された商標の登録適格性は、個別の商標や取引の実情を踏まえた上で判断すべきであり、請求人の援用する過去の判決や審決例と本願商標とは、商標の構成等を異にするから、当該判決や審決例が本願商標の登録適格性に係る判断に影響しない。
(4)したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 本願商標






(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2023-11-30 
結審通知日 2023-12-05 
審決日 2023-12-19 
出願番号 2022001996 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W44)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 阿曾 裕樹
山根 まり子
商標の称呼 エスエムピイ 
代理人 相良 由里子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 篠森 恵 
代理人 渡辺 光 

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