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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1406042 
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-01-26 
確定日 2023-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第6642219号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6642219号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6642219号商標(以下「本件商標」という。)は、「OATSO TASTY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年7月26日に登録出願、第30類「チョコレート,コンフェクショナリー,キャンデー,ビスケット,洋菓子,パスタ,マカロニ,めん類,即席麺,スパゲッティのめん,バーミセリ,酵母,ベーキングパウダー,ドレッシング,マヨネーズソース,食酢,ケチャップソース,ソース(調味料),あらかじめ巻かれたペストリー生地,クッキーの生地,ケーキ生地,パン生地,ピザ生地,フィロ生地(パイ生地),ブラウニー用生地,ペストリー生地,冷凍パン生地,冷凍パラーター(平たいパン),アイスクリーム,かき氷,アイスキャンデー,シャーベット(氷菓),乳製品を含まないアイスクリーム,フルーツアイスクリーム,氷菓,コーヒー,茶,ココア,砂糖,米,タピオカ,サゴ,代用コーヒー,パン,ペストリー,糖みつ,食塩,マスタード,食用穀粉及び穀物からなる加工品,香辛料,茶飲料,グレービーソース,ハーブティー,はちみつ,ポップコーン」を指定商品として、同年10月20日に登録査定、同年11月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という。)は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続している。
(1)登録第5243939号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:OATLY(標準文字)
登録出願日:平成18年5月8日
設定登録日:平成21年7月3日
指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)国際登録第1393445号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:OATLY
国際商標登録出願日:2017年(平成29年)7月13日
優先権主張:2017年2月13日(EUIPO)
設定登録日:令和2年4月17日
指定商品・役務:第21類、第25類、第29類、第30類、第32類、第35類及び第43類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証(以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 取引の実情について
申立人は、世界で初めてオーツミルクを開発した研究者が自ら設立したブランドで、1990年代にスウェーデンで創業され、「オーツミルク」の分野におけるリーディングカンパニーとして現在に至っている(甲5、甲6)。
引用商標を付した「オーツミルク」は、我が国にも並行輸入の形で以前より輸入されていたが、2022年9月から各種オンラインショップや店舗で取扱いが開始された。上記のとおり、「OATLY」は、オーツミルクのリーディングカンパニーとして知られていたため、「OATLY」の正規輸入開始はウェブサイト等において大々的に報じられた(甲7〜甲12)。なお、「OATLY」は各種オンラインサイトからも購入でき(甲13〜甲18)、今や「OATLY」は「世界が注目するブランド」となっている(甲19)。
このように、引用商標は、我が国で周知・著名なものとなっており、こうした事情は、商標の類否判断において参酌されるべきものである。
類否判断
本件商標は、「OATSO TASTY」よりなるが、「TASTY」は「(食物が)美味であるさま。」程度の意味合いの平易な英単語であるので(甲20)、その要部は「OATSO」であるところ、これより生じる称呼「オートソー」と引用商標の称呼「オートリー」を比較すれば、中間における「ソ」の音と「リ」の音の相違しかない。
加えて、引用商標が「オーツミルク」の取引者、需要者間に周知であり、このことは、食料品について、商品出所の混同のおそれを増幅させるという事情である上、他の指定商品についても、商品出所の混同のおそれを増幅させる可能性のある事情ということができるから、このような取引の実情を参酌するならば、両商標に係る商品出所の混同のおそれは、一層増幅させられるものである。
そうとすれば、たとえ、本件商標と引用商標の外観において多少の相違があり、観念について対比することができないものであるとしても、本件商標と引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合にはその商品の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであって、本件商標は、引用商標と類似するとするのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知・著名性
上記のとおり、申立人は、引用商標をオーツミルクについて広く使用し、引用商標は、本国スウェーデン特許庁においてその著名性が認定されている。商標審査基準によれば「外国において著名な標章」については、「外国において著名な標章が、我が国内の需要者によって広く認識されているときは、その事実を十分考慮して判断する」旨、明記されている。
そうとすれば、我が国における周知・著名性も認められるべきである。
イ 引用商標の造語性、独創性
「OATLY」は、申立人が作出した造語であり辞書に記載のない語であるからその造語性、独創性は極めて高い。
ウ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標の要部と引用商標は、中間における「ソ」の音と「リ」の音の相違しかないこととを考慮すれば、両商標は称呼上類似するものといえる。
エ 商品の関連性
申立人が引用商標を使用する商品はオーツミルクであって、これは本件商標の指定商品と同じ飲食料品に属する。よって、引用商標が周知・著名となっている商品と、本件商標の指定商品は、その全てにおいて強い関連性があることに疑いはなく、その需要者が共通することも明らかである。
オ 申立人のブランド防衛努力について
本件商標は、我が国のみならず欧州においても出願された事実があり、本件商標と引用商標間において出所の混同が生じるおそれが発生したため、申立人は欧州連合知的財産庁に本件商標の登録を取り消すべく異議を提起したところ、本件の商標権者は申立人の主張を受け入れ登録を取り下げた経緯がある。
このように、申立人はその著名商標の保護のために多大な労力を払っている事実がある。
カ 混同のおそれ
上記検討したように、引用商標の著名性、申立人が引用商標を使用し周知・著名となっている商品と本件商標の指定商品は重複しており、その取引者、需要者も一致すること等、その商品の提供者や取引者・需要者層の個別・具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標がその指定商品に使用された場合には、それがあたかも申立人の著名ブランドである「OATLY」ブランドに係る申立人の提供する商品であるかの如く誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかの如く誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いといわなければならない。
キ 小括
以上のとおり、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記のとおり、本件商標は、欧州においても出願され、申立人の異議申立を受け、登録が取り下げられた経緯がある。欧州異議申立の根拠は、引用商標の著名性を背景に両商標間において出所の混同が生じるおそれがあるというものである(甲21ないし甲23)。
ア 引用商標の外国における著名性について
欧州連合知的財産庁に提出された異議申立書(甲21の12頁以降)において、「「オーツ飲料といえば、どの商標・製品が思い浮かびますか?その他の商標や製品名をご存じですか?」との質問に対し、54.6%の人がOATLYをオーツ飲料の象徴として認識していることがうかがえる。」「「OATLYという言葉から何を思い浮かべますか?」という問いに対して、47%が申立人に関連した回答をしており、これは比較的高い認知度というべきである。」旨述べられているように、スウェーデン特許庁は、申立人が提示した資料から、引用商標の著名性について認定した(甲23の58頁以降の「ANNEX34」ないし「ANNEX36」)。
また、スウェーデン特許庁が上記認定をする根拠となった市場調査結果等の証拠類も同様に提出された(甲21の78頁以降の「ANNEX1」ないし甲23の「ANNEX33」)。
このように、引用商標は、本国スウェーデン特許庁が明瞭に著名商標として認定しているものであって、「外国における需要者の間で広く認識されている」ことは明らかである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
上記のとおり、本件商標の要部と引用商標は、中間における「ソ」の音と「リ」の音の相違しかないこととを考慮すれば、両商標は称呼上類似するものといえる。
不正の目的
上記のとおり、本件の商標権者は、欧州において引用商標と混同のおそれがあることを踏まえ、その登録を本件商標の登録出願前に取り下げている(甲24)。すなわち、本件の商標権者は、引用商標が著名であり、かつ、本件商標と出所の混同を生じるおそれがあることを自認しつつ本件の出願に及んだものであり、引用商標の著名性にフリーライドする意図や、申立人に損害を加える目的をもって出願されたことが強く推認される。
エ 小括
以上のとおり、本件商標はスウェーデンにおいて著名な商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであることが明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「OATSO TASTY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、「OATSO」と「TASTY」の間に1文字分のスペースを有するものの、同じ書体、同じ大きさで一体的に表されているものである。
そして、本件商標の構成中、「TASTY」の文字は、「飲食物の味のよいさま。美味。」(株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)の意味合いを有する英単語であるとしても、本件の指定商品との関係で商品の品質等を表すなど、出所識別標識としての機能が著しく弱いといった事情は見いだせない。
そうすると、外観上、まとまりよく一体に表された本件商標から、殊更に、「TASTY」の文字部分を捨象すると判断しなければならない事情は見いだせず、本件商標に接する取引者、需要者が、「OATSO」の文字部分のみを自他商品の出所識別標識として認識するということはできないから、本件商標の要部は、「OATSO」である旨の申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「オートソーテイスティ」の称呼を生じ、また、「OATSO TASTY」の文字は、辞書等に特定の意味を有する語として載録されている等の事実は認められないから、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「OATLY」の欧文字を書してなるから、その構成文字に相応して、「オートリー」の称呼が生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の対比
本件商標と引用商標とは、上記ア及びイのとおり、全体の文字数及び構成文字において明らかに相違し、外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生じる「オートソーテイスティ」の称呼と引用商標から生じる「オートリー」の称呼は、語頭部分における「オート」の音を共通にするとしても、それに続く「ソーテイスティ」と「リー」の音及び音数に明らかな差異を有するものであるから、両商標は明確に聴別でき、称呼において相紛れることはない。
さらに、本件商標及び引用商標は、特定の観念を生じないから、両商標は観念において比較することができない。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において明らかに相違し、相紛れるおそれがない非類似の商標である。
したがって、本件商標と引用商標の指定商品が類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、次のとおりである。
申立人は世界で初めてオーツミルクを開発した研究者が自ら設立したブランドで、1990年代にスウェーデンで創業した。その後、欧米諸国やアジアをはじめ、世界20か国以上で展開するオーツミルクのリーディングブランドである(甲5ないし甲8)。
引用商標を付したオーツミルクは、2022年9月20日に日本での販売が開始された(甲6ないし甲11)。
日本での販売開始後は、レビューサイト(2023年1月31日更新)において、引用商標を付したオーツミルクに関する情報が取り上げられたほか(甲12)、各種オンラインサイトで当該商品を購入することができる(甲13ないし甲18)。
「DIME」のウェブサイトにおいて、「独自のマーケティング戦略で世界が注目する植物性ミルクブランド「Oatly」」(2021年10月19日)の見出しの下、「世界が注目するブランド「オートリー」」との記載とともに、「日本にはまだ上陸していない」旨の記載がある(甲19)。
(イ)上記(ア)によれば、本件商標の登録査定時(2022年10月20日)には、我が国でオーツミルクの「OATLY」の販売が開始されていたものの、本件商標の登録査定時よりわずか1か月程前のことであり、レビューサイトでの当該商品の紹介記事も登録査定後に更新されたものである。
また、申立人は、本件商標は、欧州においても出願され、申立人の異議申立を受け、登録が取り下げられた経緯があると述べ、その取下げの根拠は、引用商標の著名性を背景に両商標間において出所の混同が生じるおそれがあるというものである旨主張するが(甲21ないし甲24)、当該主張に係る証拠は、外国語で作成されており、翻訳文の提出がないため、その内容を把握することができない。
さらに、提出された証拠からは、我が国及び外国における引用商標を使用した申立人の業務に係る商品の販売実績、広告宣伝の地域、規模、期間、方法、広告宣伝費などが把握できず、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国のどの程度の範囲の需要者に認知されているのか客観的に評価することができない。
したがって、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイからすると、本件商標は、本件商標の商標権者が、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そして、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、引用商標は、上記(2)ア(イ)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標にフリーライドするなど不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は何ら提出されていない。
そうすると、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が引用商標の名声を毀損させることを認識し、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
なお、申立人は、本件商標の欧州における登録異議申立において、引用商標について、スウェーデン特許庁が著名商標として認定している旨主張しているが(甲21ないし甲24)、上記(2)ア(イ)のとおり、提出された資料からは当該事実を確認することができず、仮に、当該事実が存在していることを前提とした場合にも、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものであるから、上記判断は左右されないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
異議決定日 2023-12-05 
出願番号 2022086812 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 瑠美
登録日 2022-11-17 
登録番号 6642219 
権利者 インターナショナル フードスタッフス シーオー エルエルシー.
商標の称呼 オートソーテースティー、オートソー、ソー、テースティー 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 外川 奈美 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 青木 篤 

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