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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1405065 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-09-01 
確定日 2023-11-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6580811号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6580811号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6580811号商標(以下「本件商標」という。)は、「iro+」の文字を標準文字で表してなり、令和3年7月27日に登録出願、同4年3月18日に登録査定され、第35類「身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ピアス・イヤリング・ネックレス・ブレスレットあるいは指輪の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,頭飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の5件の登録商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1311473号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲のとおり
国際登録出願日:2016年(平成28年)6月29日
設定登録日:平成30年5月11日
指定商品 :第3類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
(2)登録第6507637号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:IRO PARIS(標準文字)
登録出願日:令和2年11月24日
設定登録日:令和4年2月2日
指定商品 :第9類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)登録第6540754号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:IRO LIFE(標準文字)
登録出願日:令和3年4月30日
設定登録日:令和4年4月4日
指定商品及び指定役務:第3類、第9類、第14類、第18類、第24類から第26類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(4)登録第6540755号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:IRO EXPERIENCE(標準文字)
登録出願日:令和3年4月30日
設定登録日:令和4年4月4日
指定商品及び指定役務:第3類、第9類、第14類、第18類、第24類から第26類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(5)登録第6540756号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:IRO JEANS(標準文字)
登録出願日:令和3年4月30日
設定登録日:令和4年4月4日
指定商品及び指定役務: 第3類、第9類、第14類、第18類、第24類から第26類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第23号証(以下「甲○」と表記する。)を提出した。
(1)申立人について
申立人である「イロ(IRO)」は、フランス・パリ発の被服やアクセサリーに関するファッションブランドとして世界中に広く認識されている(甲2)。IROブランドは、フランス人のデザイナーであるアレク・ビットンとローレン・ビットンのビットン兄弟により2005年に設立され、その後、常に拡大と成長を続けてきた。2006年、パリのサン・ジェルマン地区において、IROブランドのブティック第1号店がオープンした。その後数年間で、パリ市内に6店舗がオープンし、さらに、ボン・マルシェ、プランタン、ギャラリー・ラファイエット、BHVの各百貨店にIROブランドのショップがオープンした。その後、IROブランドはニューヨークのソーホー、ロサンゼルス、ロンドン、ソウル、レバノン、上海、青島等、世界各国のファッションリーダーが集まる地域に70を超えるブティックと600を超える販売拠点を有するまでに至っている。
IROのウェブサイト中の自社ブランドの紹介(甲3)では、IROブランドの特徴について紹介されている。
(2)申立人名義の商標について
申立人ブランド「IRO」は、国際登録により各種ファッション関連商品について、世界各国において保護されている(甲4〜甲7)。
そして、申立人は、我が国においても、申立人ブランド「IRO」を各種ファッション関連商品について、商標登録により保護してきた(甲8〜甲12)。
「IRO」ブランドの被服等の商品は、我が国の商社からの注文に基づき、2018年から我が国においても輸入、販売されている(甲13〜甲18)。
また、我が国で発行された周知著名なファッション雑誌「ELLE JAPON/エル・ジャポン」、「VOGUE JAPAN/ヴォーグ ジャパン」、「ELLE girl/エル・ガール」、「FUDGE/ファッジ」(甲19〜甲23)において「IRO」ブランドの被服等が多くのページにより紹介されていることから分かるように、「IRO」ブランドの被服等の商品は我が国のファッション関連の取引者、需要者に広く知られている。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号該当性
本件商標は、欧文字「iro」と単なる記号にすぎない「+」の結合により「iro+」と構成されるから、本件商標の構成要素のうち、欧文字「iro」が要部として独立して認識され得る。
一方、申立人が我が国において所有する引用商標は、申立人ブランド「IRO」に、「JEANS(ジーンズ製の)」、「PARIS(フランス・パリを由来とする)」、「LIFE(日常生活用の)」又は「EXPERIENCE(経験を有する人向けの)」という我が国でも日常的に使用される非常にありふれた英単語であって、その指定商品・役務の品質・質や用途等を表す記述的部分ともいい得る英単語の結合により構成されるから、各商標は申立人ブランド「IRO」に基づく一種のシリーズ商標であり、申立人ブランドの「IRO」の文字部分が要部として独立して認識され得る。
よって、本件商標と申立人が所有する引用商標は、それぞれの構成中の欧文字「iro/IRO」が本来的に造語であって、独創性や識別力の高い言葉であることも考慮すれば、称呼「イロ」(又は「アイアールオー」)並びに申立人の「IRO」ブランドという観念の共通性に基づき、標章において相互に極めて類似する。
また、商品・役務に関する審査基準によれば、引用商標の指定商品・役務のうち、第14類「宝飾品,ファッション用宝飾品」や第35類「宝飾品・ファッション用宝飾品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,髪用アクセサリーの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等は、本件商標の指定役務と同一又は類似の関係にあると規定されている。
そうすると、本件商標と引用商標は、標章及び指定商品・役務において相互に同一又は類似する関係にある。
また、本件商標の指定役務と、引用商標の指定商品・役務中、第18類「かばん類」や第25類「被服」等は、ともにファッション関連の商品・役務として極めて近い関連性を有し、対象となる取引者、需要者を共通にする。
そうすると、仮に本件商標と引用商標が相互に類似するとはいえない場合においても、欧文字「iro」を要部とする本件商標に接する我が国の関連する取引者、需要者は、本件商標に係る小売等役務があたかも申立人の「IRO」ブランドの商品を取り扱う小売等役務であるかのごとく商品・役務の出所について混同するおそれがあるか、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る小売等役務であると誤認した結果、商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。そして、そのような本件商標の登録を認めることは、商標の使用をする者の業務上の信用を維持し、需要者の利益を保護することを目的とする商標法の趣旨に反する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性
引用商標が少なくとも本件商標の登録出願時に、世界的に周知著名なファッションブランドとなっていたから、本件商標の要部である「iro」もその登録出願時に申立人の名称として著名であった。
そうすると、本件商標は、大文字と小文字という軽微な差異はあるにしても、申立人の著名な名称である「IRO(iro)」を含む商標であるにも関わらず、申立人から本件商標の登録について登録出願時又は登録時に承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性
引用商標が、本件商標の登録出願時に、世界的に周知著名なファッションブランドとなっていたことは明らかであり、また、本件商標と引用商標は、称呼「イロ」及び申立人の「IRO」ブランドという観念を共通とする相互に類似の商標である。
そうすると、アクセサリー等のファッション分野の小売等役務との関連において、申立人の周知著名ブランド「IRO(iro)」を要部とする商標がたまたま偶然に採択されたとは到底考え難いため、本件商標は不正の目的をもって使用されるものと言わざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性
引用商標が、世界的に周知著名なファッションブランドであることに鑑みれば、同じくアクセサリー等のファッション分野の小売等役務を指定役務とする本件商標がたまたま偶然に採択されたとは到底考え難い。そうすると、世界的な周知著名性に基づく顧客吸引力という財産的価値のある申立人ブランドである「IRO(iro)」を要部とする本件商標を自己の商標として採択使用することは商道徳に反する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 申立人の使用に係る「IRO」の標章の周知性
申立人提出の証拠によれば、申立人は、被服やアクセサリーに関するファッションブランド「IRO」の店舗として、2006年にブティック第1号店をパリでオープンし、その後、世界各国の複数地域(ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ソウル、上海など)に販売拠点を有するに至り(甲3)、2018年頃からその商品は我が国にも輸入され(甲13〜甲18)、ファッション誌にも商品(スカート、ベルト、ドレスなど)の紹介記事が数回掲載(甲19、甲21、甲22)されていることが確認できるとしても、我が国での販売期間は長くても本件商標の登録出願時(2021年7月27日)まで3年程度にすぎず、その販売規模や販売地域も不明であり、また、ファッション誌で数回程度掲載される程度で、我が国の一般需要者における認知度が大幅に向上するとは考えにくく、それら需要者に向けた積極的な広告宣伝実績は確認できない。
そして、上記の他に、申立人のブランドに係る外国及び我が国における販売実績(販売数量、売上高)や広告宣伝実績(広告宣伝媒体、広告宣伝費)を具体的に示す証拠の提出はなく、我が国及び外国における販売規模や広告宣伝規模を客観的に把握することができない。
したがって、申立人提出の証拠によっては、申立人が被服等のブランド名として使用する「IRO」の商標(以下「申立人使用商標」という。)が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間において周知、著名となり、広く知られるに至ったものと認めることはできない。
イ 本件商標と申立人使用商標の類否
(ア)本件商標について
本件商標は、「iro+」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、字間なく横一列に、まとまりのよい構成で配置されており、いずれかの文字部分が強い印象を与えるような構成ではない。
また、本件商標の構成中、「iro」の文字部分は一般的な辞書等に掲載された成語ではなく、「+」の文字部分は「を加えて」の意味を有する英語「plus」の記号表記(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるところ、上記のようなまとまりのよい構成配置においては、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できる。
さらに、本件商標は、その構成文字に相応して生じ得る「アイアールオープラス」又は「イロプラス」の称呼も冗長ではなく、一気一連に発音できる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「アイアールオープラス」又は「イロプラス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)申立人使用商標について
申立人使用商標「IRO」は、その構成文字は一般的な辞書等に掲載された成語ではないから、その構成文字に相応して、「アイアールオー」又は「イロ」の称呼を生じ得るが、特定の観念は生じない。
(ウ)本件商標と申立人使用商標の比較
本件商標と申立人使用商標を比較すると、外観においては、語頭の構成文字に「iro」(IRO)の文字を含む点を共通にするとしても、語尾の文字「+」の有無により、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、判別は可能である。また、称呼においては、語頭の「アイアールオー」又は「イロ」の音を共通にするとしても、語尾の「プラス」の音の有無により、全体としての語調、語感は異なるものとなるから、聴別は可能である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。
そうすると、本件商標と申立人使用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は可能だから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品又は役務について使用するときであっても、出所の誤認を生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない。
(エ)申立人の主張について
申立人は、本件商標は、「iro」の欧文字と、単なる記号にすぎない「+」を結合して「iro+」と表記しているから、「iro」の欧文字部分が要部として独立して認識され得る旨を主張する。
しかしながら、本件商標は、上記(ア)のとおり、まとまりのよい構成で配置されており、いずれかの文字部分(「iro」の文字部分)が強い印象を与えるような構成ではなく、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できる。
また、本件商標の構成中「iro」の文字部分は、一般的な辞書等に掲載された成語ではないとしても、「色」の語をローマ字表記したものと理解した場合は、「+」の文字部分と結合して「色を加える」程度の漠然とした意味合いを連想させる造語ともなり得るから、それぞれが分離独立した文字部分といえるものではない。
そうすると、本件商標の構成中「iro」の文字部分が自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、当該文字部分のみを要部として分離、抽出して、引用商標又は申立人使用商標との類否を検討することは適切ではない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、申立人使用商標とは類似する商標ではなく、また、申立人使用商標「IRO」は、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ではないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標について
本件商標「iro+」は、上記(1)イ(ア)のとおり、その構成文字はまとまりのよい構成で配置されており、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できるから、その構成文字に相応して、「アイアールオープラス」又は「イロプラス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標について
引用商標1は、別掲のとおり、「IRO.JEANS」の文字を横書きし、引用商標2は「IRO PARIS」の文字を標準文字で、引用商標3は「IRO LIFE」の文字を標準文字で、引用商標4は「IRO EXPERIENCE」の文字を標準文字で、引用商標5は「IRO JEANS」の文字を標準文字で表してなるところ、それぞれの構成文字は、同じ大きさ及び書体で、横一列にまとまりのよい構成で配置されており、いずれかの文字部分が強い印象を与えるような構成ではない。
また、引用商標の構成中「IRO」の文字部分は一般的な辞書等に掲載された成語ではなく、語尾に「JEANS」(デニム地の衣類)、「PARIS」(フランスの首都パリ)、「life」(命)、「EXPERIENCE」(経験)の文字(参照:「ジーニアス英和辞典」大修館書店)を結合しても、具体的な意味合いを認識、理解させるものではなく、それらまとまりのよい構成配置においては、各構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できる。
そうすると、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「アイアールオージーンズ」、「アイアールオーパリ」、「アイアールオーライフ」、「アイアールオーエクスペリエンス」、「イロジーンズ」、「イロパリ」、「イロライフ」、「イロエスクペリエンス」などの称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(ウ)本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、語頭の構成文字に「iro」(IRO)の文字を含む点を共通にするとしても、語尾の文字の差異により、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、判別は容易である。また、称呼においては、語頭の「アイアールオー」又は「イロ」の音を共通にするとしても、語尾の音の差異により、全体としての語調、語感は異なるものとなるから、聴別は容易である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易だから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品又は役務について使用するときであっても、出所の誤認を生じるおそれはなく、類似する商標とは認められない。
(エ)申立人は、引用商標は、申立人ブランド「IRO」に「JEANS」、「PARIS」、「LIFE」、「EXPERIENCE」という我が国でも日常的に使用されるありふれた英単語であって、その指定商品及び指定役務の品質、質や用途等を表す記述的部分とも言い得る英単語の結合により構成されるから、申立人ブランドの「IRO」の文字部分が要部として独立して認識され得る旨を主張する。
しかしながら、引用商標は、上記(イ)のとおり、いずれもまとまりのよい構成で配置されており、いずれかの文字部分(「IRO」の文字部分)が強い印象を与えるような構成ではなく、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できるから、その構成中「IRO」の文字部分が自他商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、当該文字部分のみを要部として分離、抽出して、商標の類否を検討することは適切ではない。
イ 小括
本件商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人使用商標の著名性
申立人使用商標「IRO」は、上記(1)アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間において周知、著名となり、広く知られるに至ったものではない。
イ 本件商標と申立人使用商標の類似性の程度
本件商標「iro+」と申立人使用商標「IRO」は、上記(1)イ(ウ)のとおり、外観、称呼及び観念を総合して考察すれば、出所の誤認を生じるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度は低い。
ウ 出所混同のおそれ
上記のとおり、申立人使用商標は、我が国の需要者の間において周知、著名な商標ではなく、また、本件商標と申立人使用商標の類似性の程度は低いから、本件商標の指定役務と申立人の使用に係る商品との関連性があるとしても、本件商標は、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人又は申立人使用商標との具体的な関連性を想起、連想するとは考えにくく、また、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 申立人使用商標は、上記(1)アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間において周知、著名となり、広く認識されている商標とはいえない。
イ また、本件商標と申立人使用商標は、上記(1)イ(ウ)のとおり、類似する商標ではない。
ウ 申立人は、アクセサリー等のファッション分野における申立人の周知著名ブランド「IRO(iro)」を要部とする本件商標がたまたま偶然に採択されたとは考えにくいから、本件商標は不正の目的をもって使用されるものである旨を主張する。
しかしながら、申立人使用商標は、上記(1)アのとおり、我が国及び外国において周知、著名な商標とはいえないから、申立人の主張は前提を欠くもので、また、申立人の主張は具体的な証拠により裏付けられたものではなく、その他に、本件商標が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的)をもって使用されるものであることを具体的に裏付ける証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものとは認められない。
エ 以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものとはいえないから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 申立人は、申立人使用商標が世界的に周知著名なファッションブランドであり、同じアクセサリー等のファッション分野の小売等役務を指定役務とする本件商標がたまたま偶然に採択されたとは考えにくいから、世界的な周知著名性に基づく顧客吸引力という財産的価値のある申立人ブランドである「IRO(iro)」を要部とする本件商標を自己の商標として採択使用することは、商道徳に反する旨を主張する。
しかしながら、申立人使用商標は、上記(1)アのとおり、我が国及び外国において周知、著名な商標とはいえないから、申立人の主張は前提を欠くもので、また、申立人の主張は具体的な証拠により裏付けられたものではなく、その他に、本件商標の登録出願の目的及び経緯を具体的かつ客観的に示す証拠の提出はない。
そうすると、本件商標の登録出願及び登録が、不正の利益を得る目的又は他人に損害を与える目的など不正の目的をもってなされたとはいえない。
イ その他、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
ウ そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法4条第1項第7号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
ア 本件商標は、「iro+」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)イ(ア)のとおり、その構成文字はまとまりのよい構成で配置されており、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できるもので、他人の名称を含むと直ちに看取できるものではない。
イ 申立人は、本件商標は、申立人の著名な名称である「IRO(iro)」を含む商標である旨を主張する。
しかしながら、本件商標は、上記アのとおり、構成文字全体で一連一体の造語を表してなると理解できるもので、申立人を含む他人の名称を含むと直ちに看取させるものではない。
また、申立人使用商標「IRO」が、上記(1)アのとおり、我が国の需要者の間において周知、著名とはいえない状況の中で、「IRO」の文字が申立人の略称として我が国の需要者の間において著名になっているとは考え難く、そのような事実を具体的に裏付ける証拠を申立人は提出していない。
ウ 以上のとおり、本件商標は、他人の名称又はその著名な略称を含む商標ではなく、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(7)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第8号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(引用商標1)




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異議決定日 2023-11-09 
出願番号 2021099623 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W35)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 小林 裕子
阿曾 裕樹
登録日 2022-07-01 
登録番号 6580811 
権利者 伊佐治 綾香
商標の称呼 イロプラス、イロ、アイアアルオオ 
代理人 外川 奈美 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 青木 篤 

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