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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W11
管理番号 1404965 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2022-12-22 
確定日 2023-11-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第6112328号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6112328号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、筆記体風に「Aladdin」の文字を書してなり、平成29年8月9日に登録出願、第11類「赤外線電球,管形赤外線電球,カーボン電球,管形カーボン電球,炭素発熱体を用いた電球,管形の炭素発熱体を用いた電球,その他の電球類及び照明用器具」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という場合がある。)を含む第7類及び第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同31年1月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年1月13日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)1月13日ないし同5年(2023年)1月12日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、本件審判請求に係る指定商品についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として本件商標の商標公報及び登録原簿の写しを提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、本件審判請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により請求の趣旨のとおりの審決を求める。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用の事実
(1)要証期間における被請求人の本件商標の使用態様
ア 段ボール及び内箱における使用
(ア)現在の使用態様
乙第1号証は、被請求人が運営する「アラジンダイレクトショップ」のウェブサイトである。
当該ウェブサイトでは、ランタンスピーカーと称するスピーカー付きランタン(商品コード:AELSP01AT又はAEL−SP01A(T)、通称ランタンスピーカー、以下「被請求人商品」という。)を販売している。
乙第3号証は、被請求人商品を包装する段ボール及び内箱を2023年2月15日に撮影した写真撮影報告書である。当該写真撮影報告書の画像からも明らかなとおり、当時点において撮影された被請求人商品を包装する段ボール及び内箱には、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている。
(イ)要証期間における使用態様
乙第4号証は、過去のウェブページをアーカイブとして保存し閲覧できるツール「Wayback Machine」にて確認された、2020年12月13日、2022年5月26日及び同年10月3日時点の上記被請求人のウェブサイトである。
要証期間である2020年12月13日、2022年5月26日及び同年10月3日時点の被請求人のウェブサイト(乙4)では、乙第3号証と同一の段ボール及び内箱の画像が掲載されているとともに、その画像の下に「高級感と特別感のあるパッケージでお届けします。」と記載がされている。
(ウ)要証期間における商品の販売
乙第5号証は、被請求人商品の出荷に係る内部資料の一部であるが、当該資料の記載からも明らかなとおり、被請求人商品は要証期間である2020年12月2日から2022年11月4日にわたって出荷されており、同期間において、被請求人商品が販売されていることが理解できる。
そうすると、当該事実と写真撮影報告書(乙3)、要証期間における被請求人のウェブサイト(乙4)で掲載されている段ボール及び内箱の画像並びに画像の下の「高級感と特別感のあるパッケージでお届けします。」との記載を考慮すると、被請求人商品は、要証期間において、乙第3号証に示されている段ボール及び内箱に入れられて販売されていたといえる。
イ 取扱説明書での使用
乙第6号証は、「Wayback Machine」にて確認された2022年10月31日時点においてインターネット上で開示されていた被請求人商品の取扱説明書のPDFデータであり、当該取扱説明書には、商標が使用されている。
ウ 被請求人のインスタグラムでの使用
乙第7号証は、被請求人商品に関する投稿があるインスタグラムの内容である。乙第7号証の1に記載のとおり、当該インスタグラムは「アラジンの公式アカウントです。」と記載され、「「アラジンダイレクトショップ」はこちら」との記載の下に示されているURLは、被請求人が運営する乙第1号証のウェブサイトのURLと一致する。
したがって、インスタグラム(乙7)が、被請求人により投稿されたものであることは明らかである。
そして、乙第7号証の2ないし乙第7号証の4では、被請求人商品に関し、商標が使用されている。
なお、乙第8号証は、株式会社Makuakeが提供するクラウドファウンディングサービス「Makuake」のウェブサイトであり、被請求人は、要証期間に実際に同ウェブサイトにて被請求人商品を販売していた。
(2)被請求人による商標と本件商標とが社会通念上同一であること
ア 被請求人商品が「照明用器具」と社会通念上同一の商品であること
本件審判請求に係る指定商品は、第11類「赤外線電球,管形赤外線電球,カーボン電球,管形カーボン電球,炭素発熱体を用いた電球,管形の炭素発熱体を用いた電球,その他の電球類及び照明用器具」である。
一方で、被請求人商品の商品名は「アラジン ランタンスピーカー」であるが、被請求人商品について、例えば、乙第1号証の2には、「「アラジン ランタンスピーカー」は、1900年代に作られていたアラジンオイルを現代の技術で進化させた復刻版として開発しました。シンプルで趣のあるデザインをモチーフに、上品で高級感のあるアラジンらしいフォルムを継承したランタンスピーカーは、重厚感のあるクリアガラスに、LEDランプはオイルランプの灯のようにどこか懐かしく温かみのある明るさを再現しています。」と説明がされ販売されている。
上記のとおりの説明に加え、商品自体の形状がランプの形状であること、スピーカー機能があるものの、そのスピーカー機能の説明と、ランタンとしての用途の説明の比率を見るに、明らかにランタンとしての用途の説明の方が多いことから、被請求人商品は主として「照明用器具」として取り扱われる商品に他ならない。
したがって、被請求人商品は本件審判請求に係る指定商品、「照明用器具」と社会通念上同一の商品である。
イ 本件商標と被請求人による商標の構成
本件商標は、筆記体の欧文字で「Aladdin」からなる商標である。
一方で、被請求人により、要証期間において、段ボール、内箱及び取扱説明書にて使用される商標は、いずれも本件商標と同様に筆記体の欧文字で「Aladdin」からなる商標である。
また、要証期間に、インスタグラム(乙7の2〜乙7の4)にて被請求人が使用していた商標は、筆記体ではないものの欧文字で「Aladdin」からなる商標である。
そのため、被請求人商品の段ボール及び内箱に付されている商標、インスタグラム(乙7の2〜乙7の4)での商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標である。
2 むすび
したがって、要証期間において、被請求人が「照明用器具」である被請求人商品の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付し(商標法第2条第3項第1号)、当該包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡し(商標法第2条第3項第2号)、被請求人商品に関する広告又は取引書類に、登録商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供している(商標法第2条第3項第8号)ことは明らかである。
よって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により本件審判請求に係る指定商品中、「照明用器具」について使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人のウェブサイト(アラジンダイレクトショップ)
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証として、2023年2月28日に出力した、アラジンダイレクトショップと称する被請求人のウェブサイトの写しを提出し、乙第4号証として、ウェイバックマシーンで保存された同ウェブサイトの2020年12月13日、2022年5月26日及び同年10月3日時点のアーカイブを提出した。
ア アラジンダイレクトショップの運営者について(乙2)
乙第2号証には、「アラジンダイレクトショップ|特定商取引に関する法律に基づく表示」「アラジンのメーカー直販サイト/Aladdin Direct Shop」の記載とともに、「特定商取引に関する法律に基づく表示」のタイトル下、「販売業者/日本エー・アイ・シー株式会社」「所在地/兵庫県加西市・・・」の記載がある。
イ アラジンダイレクトショップのアーカイブについて(乙4)
乙第4号証の1の1葉目には、その右上に、ウェイバックマシーンで2020年12月13日に保存されたことを示す表示があり、「アラジン・ダイレクト・ショップ/Aladdin Direct Shop」の表題の下、「アラジン ランタンスピーカー」の記載、「商品コード:AELSP01AT」「価格:27,500円(税込)」「販売開始日:2020年12月18日14時」「シンプルでアラジンらしい趣のあるデザイン」「どこか懐かしく温もりを感じるランプの明かりと、上質な音色を奏でるスピーカーを搭載した、高品質で高級感のあるアラジンらしいお洒落で落ち着いたLEDランタンスピーカーです。」との記載がある。また、ランタンを模した照明器具についての画像が付されている。
また、その2葉目には、「ランプ」の記載下、ランプが灯っている画像とともに、「オイルランプの灯のようにどこか懐かしく温かみのある明るさを再現しました。」と記載されている。さらに、その4葉目には、梱包箱である段ボールと内箱を撮影したと思われる画像とともに「高級感と特別感のあるパッケージでお届けします。」の記載があり、4葉目から5葉目にかけて、「SPEC」の記載下に、「明るさ 1300W」「連続点灯時間 24時間以上(中光量点灯時)」「LED寿命 40,000時間」「型番 AEL−SP01A(T)」などの記載がある。
(2)写真撮影報告書(乙3)
乙第3号証は、被請求人代理人が、2023年2月15日に、商品「アラジン ランタンスピーカー」を撮影した画像を添付した写真撮影報告書である。
ア 段ボール
写真撮影報告書(乙3)の2葉目及び3葉目の画像は、段ボールの正面及び背面を撮影したものであり、同画像から、段ボールの中央に、「LED/Lantern/Speaker」、右下に、別掲2のとおり、筆記体風の「Aladdin」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)、左下に、「AEL-SP01A(T)」の記載があることが確認できる。
また、写真撮影報告書(乙3)の2葉目及び3葉目の画像に写っている段ボールと、被請求人のウェブサイトのアーカイブ(乙4の1)の4葉目の画像に写っている段ボールとは同じものであることが見て取れる。
イ 内箱
写真撮影報告書(乙3)の4葉目及び5葉目の画像は、内箱の正面及び背面を撮影したものであり、同画像から、内箱の左上に、「LED/Lantern/Speaker」「LED ランタンスピーカー/AEL−SP01A(T)」、左下に、「MADE IN CHINA」「日本エー・アイ・シー株式会社」の記載があり、「LED/Lantern/Speaker」の上に、使用商標が表示されていることが確認できる。
また、写真撮影報告書(乙3)の6葉目及び7葉目の画像は、内箱の底面及び側面を撮影したものであり、同画像からも、内箱の底面及び側面に、「LED/Lantern/Speaker」の上に、使用商標が表示されていることが確認できる。
また、写真撮影報告書(乙3)の4葉目及び5葉目の画像に写っている内箱と、被請求人のウェブサイトのアーカイブ(乙4の1)の4葉目の画像に写っている内箱とは同じものであることが見て取れる。
(3)出荷一覧表(乙5)
乙第5号証は、2023年2月21日に出力されたと推認できる出荷一覧表であり、「出荷日付/出荷区分」「品目コード」「品目名」「納入日/納品書発行」などの項目について、その1葉目ないし4葉目にかけて、「品目コード 製品/AEL−SP01A1T」「品目名 ランタンスピーカー/AEL−SP01A1(T)」である商品が、2020年12月2日から2022年11月4日にかけて「出荷」又は「返品」されたことを示す記録が記載されている。
(4)上記(1)ないし(3)から、以下の事実を認めることができる。
商標権者は、商品コードAELSP01AT(型番 AEL−SP01A(T))である商品「LED ランタンスピーカー」(以下「使用商品」という。)を、2020年12月2日から2022年11月4日にかけて顧客に出荷した。
使用商品は、スピーカーを搭載し、ランタンを模した照明器具であり、その包装(段ボール及び内箱)には、使用商標が表示されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商品(「LED ランタンスピーカー」)は、スピーカーを搭載し、ランタンを模した照明器具であるから、本件審判請求に係る指定商品中、「照明用器具」の範ちゅうに属する商品であるといえる。
また、使用商標は、別掲2のとおり、筆記体風の「Aladdin」の文字からなるものであり、他方、本件商標は、別掲1のとおり、筆記体風の「Aladdin」の文字からなるものである。
そうすると、使用商標と本件商標とは、いずれも筆記体風の「Aladdin」の文字からなるものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一であるといえる。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
商標権者は、使用商品の包装に使用商標を付して、要証期間である2020年12月から2022年11月にかけて、顧客に引き渡した行為を行ったというものであるから、商標権者が要証期間に、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中、「照明用器具」の範ちゅうに属する商品の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
【別掲1】(本件商標)


【別掲2】(使用商標:一例として乙3、乙6)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

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審理終結日 2023-09-06 
結審通知日 2023-09-11 
審決日 2023-09-22 
出願番号 2017104709 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W11)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 山田 啓之
大山 健
登録日 2019-01-11 
登録番号 6112328 
商標の称呼 アラジン 
代理人 三好 秀和 

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