• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y11
管理番号 1404964 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2022-12-22 
確定日 2023-11-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第1743673号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1743673号の1商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、図案化された「Aladdin」の欧文字を上段に、「アラジン」の片仮名を下段に書してなり、昭和57年3月3日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同60年1月23日に設定登録され、その後、指定商品については、平成16年12月8日に指定商品の書換登録がされ、同18年3月8日に商標権の分割移転がされたことにより、第11類「電球類及び照明用器具」を含む第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品となったものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和5年1月12日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)1月12日ないし同5年(2023年)1月11日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第11類「電球類及び照明用器具」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として本件商標の商標公報及び商標登録原簿の写しを提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第11類「電球類及び照明用器具」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により請求の趣旨のとおりの審決を求める。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中、「照明用器具」について、本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)要証期間における被請求人の本件商標の使用態様
ア 自社ウェブサイトでの使用
乙第1号証は、被請求人が運営する「アラジンダイレクトショップ」のウェブサイトである。
乙第3号証は、過去のウェブページをアーカイブとして保存し閲覧できるツール「Wayback Machine」にて確認された、2020年12月13日、2022年5月26日、同年10月3日時点の上記被請求人のウェブサイトである。
当該ウェブサイトでは、ランタンスピーカーと称するスピーカー付きランタン(商品コード:AELSP01AT又はAEL−SP01A(T)、通称ランタンスピーカー、以下「被請求人商品」という。)を販売しているところ、当該ランタンスピーカーの名称等において、乙第3号証に記載の商標を使用している。
イ 被請求人インスタグラムでの使用
乙第4号証は、被請求人商品に関する投稿があるインスタグラムの内容である。乙第4号証の1に記載のとおり、当該インスタグラムは「アラジンの公式アカウントです。」と記載され、「「アラジンダイレクトショップ」はこちら」との記載の下に示されているURLは、被請求人が運営する乙第1号証のウェブサイトのURLと一致する。
したがって、乙第4号証のインスタグラムが、被請求人により投稿されたものであることは明らかである。
そして、乙第4号証の2ないし乙第4号証の5では、被請求人商品に関し、商標が使用されている。
ウ Makuakeでの使用(2020年8月下旬発送予定の商品に関する使用)
乙第5号証は、株式会社Makuakeが提供するクラウドファウンディングサービス「Makuake」のウェブサイトである。当該ウェブサイトでは、被請求人商品に関し、商標が使用されている。なお、当該ウェブサイトでの商標が、被請求人による使用であることは、乙第5号証の1の10ページに「弊社(日本エー・アイー・シー株式会社)は、時代を超えて愛され続ける商品を継承し、その価値とデザインを守りながら、アラジンの魔法のように幻想的で魅力的な商品を生み出し続けております。」と記載されていること、乙第5号証の2から、出品者が被請求人であることからも明らかである。
なお、乙第6号証は、被請求人商品の出荷に係る内部資料の一部であるが、当該資料の記載からも明らかなとおり、被請求人商品は2020年12月2日ないし2022年11月4日にわたって出荷されており、被請求人商品は要証期間に販売されている。
(2)被請求人の使用商標と本件商標とが社会通念上同一であること
ア 被請求人商品が「照明用器具」と社会通念上同一の商品であること
本件審判請求に係る指定商品は、第11類「電球類及び照明用器具」である。
一方で、被請求人商品の商品名は「アラジン ランタンスピーカー」であるが、被請求人商品について、例えば、乙第1号証の2に、「「アラジン ランタンスピーカー」は、1900年代に作られていたアラジンオイルを現代の技術で進化させた復刻版として開発しました。シンプルで趣のあるデザインをモチーフに、上品で高級感のあるアラジンらしいフォルムを継承したランタンスピーカーは、重厚感のあるクリアガラスに、LEDランプはオイルランプの灯のようにどこか懐かしく温かみのある明るさを再現しています。」と説明されている。
上記のとおりの説明に加え、製品自体の形状がランプの形状であること、スピーカー機能があるものの、そのスピーカー機能の説明と、ランタンとしての用途の説明の比率を見るに、明らかにランタンとしての用途の説明の方が多いことを考慮すると、被請求人商品は、需要者から主として「照明用器具」として取り扱われる商品に他ならない。
したがって、被請求人商品は本件審判請求に係る指定商品「照明用器具」と社会通念上同一の商品である。
イ 本件商標の構成
本件商標は、上段に「A」の部分がデフォルメされた「Aladdin」の欧文字と、下段に「アラジン」の片仮名からなる商標である。上段の「Aladdin」は、「アラビアンナイト」における「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公でとして日本でも著名な「アラジン」という名前の少年の英語表記であり(乙7)、下段に「アラジン」との記載があることから、本件商標からは「アラジン」との称呼のみ生じる。
また、上述のとおり、上段の「Aladdin」も下段の「アラジン」も、「アラビアンナイト」における「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公の少年を意味することから、本件商標からは、「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公の少年との観念が生じる。
ウ 本件商標と被請求人による商標との対比
一方で、被請求人による商標は「アラジン ランタンスピーカー」又は「アラジンランタンスピーカー」であるが、被請求人商品との関係では、「ランタンスピーカー」の部分は、「スピーカーの機能を有するランタン」を意味し識別性を有さない。そのため、被請求人による商標のうち、「アラジン」の部分を分離して観察ができる。
そして、本件商標の上段の欧文字及び下段の片仮名は、いずれも「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公の少年との意味合いを有するから、被請求人による商標と本件商標とは社会通念上同一の商標であるといえる。
3 むすび
したがって、要証期間において、被請求人が「照明用器具」である被請求人商品に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供している(商標法第2条第3項第8号)ことは明らかである。
よって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内においての商標権者により本件審判請求に係る指定商品中、「照明用器具」について使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人のウェブサイト(アラジンダイレクトショップ)
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証として、2023年2月28日に出力した、アラジンダイレクトショップと称する被請求人のウェブサイトの写しを提出し、乙第3号証として、ウェイバックマシーンに保存された同ウェブサイトの2020年12月13日、2022年5月26日及び同年10月3日時点のアーカイブを提出した。
ア アラジンダイレクトショップの運営者について(乙2)
乙第2号証には、「アラジンダイレクトショップ|特定商取引に関する法律に基づく表示」「アラジンのメーカー直販サイト/Aladdin Direct Shop」の記載とともに、「特定商取引に関する法律に基づく表示」のタイトル下、「販売業者/日本エー・アイ・シー株式会社」「所在地/兵庫県加西市・・・」の記載がある。
イ アラジンダイレクトショップのアーカイブについて(乙3)
乙第3号証の1の1葉目には、その右上にウェイバックマシーンで2020年12月13日に保存されたことを示す表示とともに、「アラジン・ダイレクト・ショップ/Aladdin Direct Shop」の表題の下、「アラジン ランタンスピーカー」の記載、「商品コード:AELSP01AT」「価格:27,500円(税込)」「販売開始日:2020年12月18日14時」「シンプルでアラジンらしい趣のあるデザイン」「どこか懐かしく温もりを感じるランプの明かりと、上質な音色を奏でるスピーカーを搭載した、高品質で高級感のあるアラジンらしいお洒落で落ち着いたLEDランタンスピーカーです。」の記載がある。また、ランタンを模した照明器具についての画像も付されている。
また、その2葉目には、「ランプ」の記載下、ランプが灯っている画像とともに、「オイルランプの灯のようにどこか懐かしく温かみのある明るさを再現しました。」との記載がある。さらに、4葉目には、梱包箱を撮影したと思われる画像とともに「高級感と特別感のあるパッケージでお届けします。」の記載があり、4葉目から5葉目にかけて、「SPEC」の記載下に、「明るさ 1300W」「連続点灯時間 24時間以上(中光量点灯時)」「LED寿命 40,000時間」「型番 AEL−SP01A(T)」などの記載がある。
(2)インスタグラムの画像
被請求人は、乙第4号証として、2023年3月1日に出力したインスタグラムの出力物を提出しているところ、乙第4号証の2には、「Aladdin(アラジン)(@aladdin_jpn)・Instagram写真と動画」の記載の下、2022年10月18日の投稿として、「\「アラジン ランタンスピーカー キャンペーン」を開催/・・・そんな秋の夜長にもぴったりな「アラジン ランタンスピーカー」をお持ちの方を対象に、プレゼントキャンペーンを開催いたします」などの記載があるコメントに隣接して、「アラジン ランタンスピーカー/キャンペーン」「2022年10月18日〜12月31日」の表示があるランタンを撮影した画像が付されている。
(3)上記(1)及び(2)から、以下の事実を認めることができる。
ア 商標権者は、商品コードがAELSP01AT(型番 AEL−SP01A(T))である商品「LED ランタンスピーカー」(以下「使用商品」という。)の広告を自社のウェブサイト(アラジンダイレクトショップ)に、2020年12月頃掲載していた。当該ウェブサイトには、「アラジン ランタンスピーカー」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。また、使用商品は、スピーカーを搭載し、ランタンを模した照明器具である。
イ 商標権者は、使用商品について、2022年10月から12月にかけて「アラジン ランタンスピーカー キャンペーン」を行い、同時期にインスタグラムに、使用商品の広告を掲載した。当該広告には、使用商標が表示されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商品について
使用商品(「LED ランタンスピーカー」)は、スピーカーを搭載し、ランタンを模した照明器具であるから、本件審判請求に係る指定商品中、「照明用器具」の範ちゅうに属する商品であるといえる。
また、商標権者は、使用商品について、使用商標を付して、自社のウェブサイト(アラジンダイレクトショップ)や、インタスグラムで広告したといえるところ、使用商品がスピーカーを搭載し、ランタンを模した照明器具であることに鑑みれば、使用商標において、自他商品識別力を発揮する要部は「アラジン」の部分であると認められる。
そして、使用商標の要部である「アラジン」の文字部分からは、「アラジン」の称呼を生じ、「アラビアンナイト」における「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公の少年(乙7)との観念を生じる。
他方、本件商標は、別掲のとおり、図案化された「Aladdin」の欧文字を上段に、「アラジン」の片仮名を下段に書してなるものであり、その構成文字に相応して「アラジン」の称呼を生じ、「アラビアンナイト」における「アラジンと魔法のランプ」に登場する主人公の少年(乙7)との観念を生じる。
そうすると、使用商標と本件商標とは、その構成文字において「アラジン」の片仮名を共通にし、称呼及び観念でも共通するから、使用商標は本件商標と社会通念上同一といえる。
(2)使用行為、使用時期、使用者について
商標権者は、使用商品についての広告に使用商標を付して、要証期間である2020年12月頃に自社のウェブサイト(アラジンダイレクトショップ)に掲載し、同じく2022年10月から12月にかけてインスタグラムに掲載したといえるから、商標権者が、要証期間に、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
(3)小括
上記(1)及び(2)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中、「照明用器具」の範ちゅうに属する商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して広告した(商標法第2条第3項第8号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
【別掲】(本件商標)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2023-09-06 
結審通知日 2023-09-11 
審決日 2023-09-22 
出願番号 1982016596 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y11)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 山田 啓之
大山 健
登録日 1985-01-23 
登録番号 1743673 
商標の称呼 アラジン 
代理人 三好 秀和 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ