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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09 |
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管理番号 | 1404963 |
総通号数 | 24 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-12-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2022-12-16 |
確定日 | 2023-11-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2470252号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2470252号商標の指定商品中、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」について、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2470252号商標(以下「本件商標」という。)は、「Waken」の文字を書してなり、平成元年10月23日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年10月30日に設定登録がされ、その後、同17年2月16日に、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」を含む、第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とする指定商品の書換登録がなされ、さらに、その後同25年8月6日に、第9類に属する商標登録原簿に記載の指定商品のみ存続期間の更新登録がなされたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年1月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(2020年(令和2年)1月10日〜2023年(令和5年)1月9日)を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。 1 請求の理由 本件商標に関する商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品中、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」(以下「本件審判の請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において使用していない。よって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により、本件審判の請求に係る指定商品について取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)本件審判の請求に係る指定商品について本件商標を使用していない ア 被請求人は、「メロディーチャイム」(品番2553−00020)なる品名からなる商品は「電気ブザー」に相当するとの見解の下、「電気ブザー」について本件商標を使用していると主張する。 しかしながら、かかる主張は本件商標を「電気ブザー」に関し使用しているとの答弁として理由がない。 イ 被請求人は、答弁書において「すなわち、乙第5号証に示すように、この「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は、前進時には無音、ブザー音、ピー音のいずれかが選択可能で、後進時にはブザー音、ピー音、ピー音+注意喚起音声(「ご注意ください、バックします」等の音声。)のいずれかが選択可能になっている。この選択は本体の正面に設けられたコントロール部で行う。なお、コントロール部にはボリュームも設けられている。」と述べ、当該商品は「電気ブザー」に相当するから、本件商標を使用していると主張する。 ウ しかしながら、被請求人が本件商標を使用しているとする商品は「電気ブザー」ではない。「電気ブザー」とは、操作者が自らの意思で音を発する必要があるときに、ボタン等のスイッチを押下することにより、又は、特定の電気信号を通電することにより音声を発する装置である。 一方、被請求人が本件商標を使用しているとする商品は、「フォークリフト等の作業車の前進時、後進時に周囲に対して注意を促すために音を発する」と商品の用途機能を述べているが、かかる用途及び機能から「メロディーチャイム」なる商品は、機器の移動の際に異物センサー等と一体で使用するいわゆる「電子式異物検知警報機器」を構成する商品である。かかる商品は「電気ブザー」と同一の商品ではない。 エ また、「電気ブザー」はその用途機能から、「電気ブザー」の構成品として音声を外部に発する拡声器(いわゆる、スピーカー。)が必要であるところ、被請求人が答弁書において提出した画像(乙4)において、「電気ブザー」において必須の構成品である拡声器を確認することはできない。 さらに、仕様書(乙5)によれば、「DT04−2P−CE03(ドイチェ製 2Pオス)」の表示と「ピンNo.|機能」について、「1|スピーカー+」、「2|スピーカー−」を示す表があるが、これらの表示は「接続コネクタ」の用途、すなわち、拡声器を接続するための情報を示しているにすぎない。つまり、被請求人が指摘する「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は拡声器を持たないものであるから、「電気ブザー」には相当しない。 オ 以上から、被請求人は本件審判請求に係る指定商品「電気ブザー」について、本件商標の使用を立証していない。 (2)乙各号証の情報は「要証期間」における商標使用の情報に相当しない ア 乙第1号証について 乙第1号証は、郷商事株式会社が発行した被請求人宛の「注文書」であり、その発行日は2021年9月8日である。また、「品番/品名」欄に記載の「2553−00020・メロディーチャイム」については、納期が「22/12/01」とある。 しかしながら、商品の注文日とその納期が約1年3月もの時間的差異があることはきわめて不自然である。「メロディーチャイム」なる商品の用途機能を考慮した場合、約1年3月も先の期日を納期として指定し発注することは、「メロディーチャイム」なる商品がフォークリフトトラック等に装着される機器であることを考慮しても、通常では考えにくい。したがって、乙1号証において、本件商標の使用について疑念を抱かざるを得ず、むしろ、要証期間に納めるために事実と反する内容を記載したものではないかとの思いに至る。 よって、要証期間における商標使用を示す証拠としては採用されるべきではない。また、同号証が示す「納期」は、「メロディーチャイム」なる商品が郷商事株式会社に「実際」に「納品」されたことを示していない。 イ 乙第2号証について 乙第2号証は、被請求人が発行した「請求書」である。また、当該「請求書」には「23/01/31締」とある。さらに、被請求人が指摘する「メロディーチャイム」(品番2553−00020)」の項には、その年月日が「23/01/27」と表示されている。かかる記載の関係から「請求書」の「23/01/31締」の記載は請求書の「発行日」を示し、また、「23/01/27」の記載は、「メロディーチャイム」の郷商事株式会社に対する「納品日」と理解することが自然である。 しかしながら、納品日と推察される「23/01/27」は、要証期間を経過しているため、本件商標の使用を示す証拠としては採用することはできない。 ウ 乙第3号証について 被請求人は納品事実を示すために、乙第3号証として、「証明願」及び「証明書」を提出するが、「証明願」及び「証明書」とも「2023年1月27日に納品されたこと」を明言している。 しかしながら、2023年1月27日は要証期間を経過しているため、被請求人が要証期間における納品事実を証明しておらず、証拠として採用することはできない。 エ 乙第4号証について 乙第4号証は、本件商標が付された「メロディーチャイム」が存在することを示すことを「立証の趣旨」として、「メロディーチャイム」の画像として提出されたものであるが、当該画像の撮影日は令和5年3月1日であり、要証期間ではない。仮に、「メロディーチャイム」なる商品の存在を示す証拠として理解できるとしても、本件商標を付した同商品が要証期間において販売されていた事実を示すものではない。 なお、被請求人は、「製造年月日の「22L19」は2022年12月19日を表していると主張するが、かかる事実は実際に商品を第三者に対して販売した事実を示すものではない。本件商標を付した商品が流通過程において、自他商品・役務の識別力を発揮する商標としての使用に相当する事実を示すものではない。 (3)むすび 以上のとおり、被請求人は、本件商標を、本件審判の請求に係る指定商品「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」のいずれかに使用していることを証明していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、答弁書及び令和5年7月26日付け回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。 1 答弁の理由 本件商標は、商標権者である和研工業株式会社によって、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、「電気ブザー」について使用されている。 商標権者は、202l年(令和3年)9月8日付けで郷商事株式会社(栃木県小山市・・・)から「メロディーチャイム」(品番2553−00020)200個の注文を受け(乙1)、2023年(同5年)1月27日付けで「メロディーチャイム」200個を郷商事株式会社に納入している(乙2)。 この事実は、証明願及び証明書(乙3)からも明らかである。 なお、注文が202l年(令和3年)9月8日であるのに対して、納品が2023年(同5年)1月27日である点は、注文書(乙1)の整理番号「FYLWNP8」と、請求書(乙2)の3頁の5番目の注文No「FYLWNP8」とが一致することから疑義はない。 そして、請求書(乙2)の「コード/品名」の欄に記載されている「メロディチャイム NEW」は、品番2553−00020からも明らかなように「メロディーチャイム」の長音を省略したものにすぎず、「メロディーチャイム」(品番2553−00020)を指し示しているものであることは明確である。 また、このように注文から納品までの期間が長くなったのは、新型コロナウィルス感染症やウクライナ戦争等の外的要因によって電子部品の製造供給が滞ったことに起因するものである。 商標権者が製造販売する「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は、本体の側面に品番とシリアルナンバー、製造年月日の他に、本件商標である「Waken」(若干右側に傾いた書体)が記載されたシールが添付されている(乙4)。 シール(乙4)には、品番「Model.2553−00020」と、シリアルナンバー「Serial No.193」と、製造年月日「Date 22L19」とが記載されている。 シールの品番「2553−00020」は、注文書(乙1)、請求書(乙2)、納入仕様図(乙5)の全てにおいて一致している。 なお、製造年月日の「22L19」は、2022年12月19日を表しており(Lはアルファベットの12番目で12月を示している。)、この製造年月日と、「メロディーチャイム」(品番2553−00020)を郷商事株式会社に200個納入した2023年(令和5年)1月27日との間に矛盾はない。 また、乙第4号証に示された「メロディーチャイム」は、郷商事株式会社に納品されたものと時期を同じくして製造されたものであって、後日の品質確認等のために商標権者が保管していたものである。 かかる「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は、フォークリフト等の作業車の前進時、後進時に周囲に対して注意を促すために音を発する電気ブザーである。 すなわち、乙第5号証に示すように、この「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は、前進時には無音、ブザー音、ピー音のいずれかが選択可能で、後進時にはブザー音、ピー音、ピー音+注意喚起音声(「ご注意ください、バックします」等の音声。)のいずれかが選択可能になっている。この選択は本体の正面に設けられたコントロール部で行う。なお、コントロール部にはボリュームも設けられており、無音を含めて複数の音を選択可能としているのは、周囲の状況、騒音の種類、大きさ等に応じて適した音を選択することができるようにするためである。 この「メロディーチャイム」(品番2553−00020)は、商標権者によって2020年(令和2年)2月27日に設計され、それ以降継続的に製造販売されているものである(乙5)。 したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって、本件審判の請求に係る指定商品中、「電気ブザー」に使用されている。 2 回答の内容 (1)要証期間に日本国内において商標権者が本件商標を「電気ブザー」に使用していたことについて 2023年1月27日に、郷商事株式会社に引き渡した商品「メロディーチャイム」200個は、2022年12月19日に製造され、本件商標が記載されたシール(銘板シール)が添付されている。すなわち、2022年12月19日には「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)の使用行為がなされている。 被請求人の社内文書である「品質マニュアル 第3版 文書番号:QM−001 初版制定日:1982年8月31日 最終改訂日:2018年11月9日」(乙6)の11頁には、銘板シール記入要領として製造年月日の月については1月をAとし、12月をLとする旨の記載がある。 したがって、銘板シール(乙4)の「Date 22L19」との記載は、2022年12月19日には、少なくとも商品「メロディーチャイム」に本件商標を付する行為がされていたことを表している。 よって、要証期間に本件商標を商品「メロディーチャイム」に使用していたことは明らかである。 なお、品質マニュアル(乙6)は、「ISO・9001 品質マネジメントシステム」に準拠するために作成され、社員全員が閲覧できるようにされている。 (2)「メロディーチャイム」が「電気ブザー」に相当することについて 「メロディーチャイム」は、フォークリフト等の作業車に附属する警報器の一種であり、第9類「電気ブザー」の範ちゅうに属する商品ではないとされたが、「電気ブザー」とは何らかの操作によって「ブザー音」を発する電子機器の総称であって、「メロディーチャイム」は、作業車の操縦者が作業車をバックさせようと操作した際に「ブザー音」を発するものである。そして、単にスイッチを操作することで「ブザー音」を発するものも、ある意図を持って行う操作に伴って「ブザー音」を発するものも、何らかの操作を行うことで「ブザー音」を発するという点では同一である。 日本大百科全書(ニッポニカ)では、「ブザー」を、「電気によって単純な連続音を発生させる音響発生器の一種。・・・」と説明している(乙7)。また、百科事典マイペディアでは、「ブザー」を「電磁石を利用した音響発生装置の一種で、呼出しや警報用に使用される。・・・電子的な合成音のものも普及。」と説明している。 すなわち、「電気ブザー」は、以前は電磁石で振動板を振動させて音を発する装置との理解があったが、上記資料に「電気によって単純な連続音を発生させる音響発生器の一種であって、電子的な合成音のものも普及。」とあるように、現在では「電気ブザー」は単に電磁石で振動板を振動させるものにとどまらず、電子的合成音で単純な連続音を発生させる音響発生器を意味していると解するのが妥当である。 したがって、商品「メロディーチャイム」は、電子的に単純な連続音(ブザー音)を発するものであるから、「電気ブザー」に相当する。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)商品「メロディーチャイム」(品番2553−00020)について ア 画像(乙4) 乙第4号証は、商品「メロディーチャイム」を撮影した画像であるところ、その1葉目上部及び下部の画像から、商品「メロディーチャイム」は、その本体が黒い直方体形状の筐体で構成され、その一側面には銘板シールが付されており、当該銘板シールには、「Model. 2553−00020」、「Serial No.193」、「Date 22L19」、「Waken」、「OSAKA JAPAN」及び「PAT.PEND.」の表示がある。 また、乙第4号証の1葉目上部及び2葉目上部の画像から、商品「メロディーチャイム」の筐体の他の側面には、それぞれ「REAR」「FRONT」「VOLUME」と表示された段階的に調整可能な3つのツマミが付されていることが確認できる。 イ 納入仕様書(乙5) 乙第5号証は、商品「メロディーチャイム」の納入仕様書であるところ、右下欄には、「記事 納入仕様図である。」、「Model メロディーチャイム」、「品名 メロディーチャイム」、「コード 2553−00020」、「図番 2553−00020」、「日付 2020/02/27」及び「和研工業株式会社」等の記載がある。 また、納入仕様書(乙5)の上部には、「メロディーチャイム 本体」のタイトル下、「表示」「区分」「ツマミ部機能」「セレクト内容」を項目とする表内に、「表示 VOLUME」「区分 ボリュウム」「ツマミ部機能 出力音量調整(4段階)」「セレクト内容 右回転:音量大/左回転:音量小」、「表示 FRONT」「区分 前進時セレクト」「ツマミ部機能 前進時の音源選別(3種)」「セレクト内容 OFF:無音、1:ブザー音/2:ピー音」及び「表示 REAR」「区分 後進時セレクト」「ツマミ部機能 後進時の音源選別(3種)」「セレクト内容 1:ブザー音、2:ピー音/3:ピー音+注意喚起音声」等の記載がある。 さらに、納入仕様書(乙5)には、上記アの画像と同様の本体(筐体)の寸法や部品構成を示す正面図や側面図等が図示されている。 ウ 注文書(乙1)、納品書(乙2)及び証明願/証明書(乙3) 乙第1号証は、郷商事株式会社が商標権者に宛てて送付した2021年9月8日付け注文書であるところ、「整理No.」「納期」「品番/品名/(仕入先品番)」「数量」「単価」「金額(円)」等を項目とする表内に、「整理No. FYLWNP8」「納期 22/12/01」「品番/品名/(仕入先品番) 2553−00020/メロディーチャイム」「数量 200.00」「単価 14,504.00」「金額(円) 2,900,800」の記載がある。また、表の下部に、「受注済」の押印が確認できる。 乙第2号証は、商標権者が郷商事株式会社に宛てて送付した請求書であり、「23年01月31日締」の記載とともに、その3葉目には、「年月日」「伝票NO」「区分名」「御注文NO」「コード/品名」「数量」「単価」「金額」等を項目とする表内に、「年月日 23/01/27」「伝票NO 294989−1」「区分名 売上」「御注文NO FYLWNP8」「コード/品名 2553−00020/1 2553−00020 メロディチャイム NEW」「数量 200」「単価 14,530.00」「金額 2,906,000」の記載がある。 乙第3号証は、証明願/証明書であるところ、その1葉目下部には、商標権者の代表取締役に宛てて、郷商事株式会社の販売本部長の署名押印がある令和5年3月8日付け証明書が添付されており、同証明書は、郷商事株式会社が2021年9月8日発行の注文書(乙1)のとおり、商標権者の商品「メロディーチャイム」(品番2553−00020)を200個注文し、商標権者は2023年1月31日発行の請求書(乙2)に記載のとおり、同商品200個を同年1月27日に郷商事株式会社に納品したことを証明するものである。 (2)その他の証拠 ア 品質マニュアル(乙6) 乙第6号証は、品質マニュアルであるところ、その1葉目には、「第3版/文書番号:QM−001/初版制定日:1982年8月31日/最終改訂日:2018年11月9日」の記載がある。 そして、品質マニュアル(乙6)の10葉目から11葉目にかけて、「5 製造業務」「(3)製品の識別及びトレーサビリティの管理」のタイトル下に、「製品の識別の為にModelである図面No.と、トレーサビリティの為に同じ月に製造された個数の連続番号、並びに製造された日付を銘板シールに記入して貼り付ける。」の記載があり、その下に、「【銘板シール記入要領】」として、「Model 2***−*****」「Serial No.283」「Date 01F24」「Waken」「OSAKA JAPAN」「PAT.PEND.」の表示がある銘板シールが図示されている。さらに、その下には、「製造コード規定」として「238 01F24」の表示について、「238」は「連続番号(製造同月中)」であり、「01」は「製造年(西暦 下2桁)」であり、「F」は「月(1=A 〜 12=L)」であり、「24」は「日」であることを説明する記載がある。 (3)上記(1)、(2)及び被請求人の主張から以下の事実が認められる。 ア 商標権者は、2021年9月頃、郷商事株式会社から注文を受け、商品「メロディーチャイム」(品番2553−00020」(以下「使用商品」という。)200個を製造し、2023年1月頃、郷商事株式会社に納品した。 イ 使用商品(「メロディーチャイム」(品番2553−00020」)は、その本体が黒い直方体形状の筐体で構成され、その一側面には銘板シールが付されており、当該銘板シールには、「Model. 2553−00020」「Date 22L19」「Waken」の表示がある。そして、当該銘板シール中の「Date 22L19」の記載から、使用商品は2022年12月19日に製造されたと推認できる。 ウ 使用商品は、被請求人の主張によれば、フォークリフト等の作業車の前進時、後進時に周囲に対して注意を促すために音を発する電気ブザーであり、使用商品の筐体の他の側面には、それぞれ「REAR」「FRONT」「VOLUME」と表示された段階的に調整可能なツマミが付されていることから、使用商品は、フォークリフト等の作業車に付属する警報器であって、フォークリフト等の作業車の操作者が使用商品のツマミを操作することにより、音量が選択可能であるとともに、作業車が前進する際に、無音、ブザー音又はピー音を選択可能であり、作業車が後進する際に、ブザー音、ピー音又はピー音+注意喚起音声を選択可能なものであるといえる。 2 上記1からすれば、次のとおり判断できる。 (1)使用商品について 使用商品(「メロディーチャイム」(品番2553−00020」)に付された銘板シール(乙4)に、「Waken」の文字(以下「使用商標」という。)が表示されているとしても、使用商品は、フォークリフト等の作業車の操作者が使用商品のツマミを操作することにより、作業車が前進する際に、無音、ブザー音又はピー音を選択可能であり、作業車が後進する際に、ブザー音、ピー音又はピー音+注意喚起音声を選択可能であることからすれば、使用商品は、専らフォークリフト等の作業車に用いる付属品(警報器)であって、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」の範ちゅうに属する商品であると解するのが相当である。 そうすると、使用商品は、第9類「電気ブザー」とはいえないことから、被請求人が、本件審判の請求に係る指定商品(第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」)について、使用商標を使用したことを証明したということはできない。 なお、被請求人は、使用商品は電子的に単純な連続音(ブザー音)を発するものであるから、「電気ブザー」に相当すると主張するが、使用商品がブザー音等を発するものであるとしても、フォークリフト等の作業車の操作(前進、後進)に伴って、ブザー音やピー音を発するというものであることに鑑みれば、使用商品は、その用途(フォークリフト等の作業車用)に特化した付属品であり、汎用的な電気ブザーであるということはできない。 (2)使用者、使用時期及び使用行為について 商標権者が、2021年9月頃、郷商事株式会社から注文を受け、使用商品200個を2022年12月19日に製造し、その筐体に本件商標と同一の文字構成からなる使用商標が表示された銘板シールを付して、2023年1月頃、郷商事株式会社に納品したことから、商標権者による要証期間における本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用であることは推認できるとしても、上記(1)のとおり、使用商品が本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品であるということはできない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2023-09-06 |
結審通知日 | 2023-09-11 |
審決日 | 2023-09-22 |
出願番号 | 1989121149 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y09)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
大山 健 山田 啓之 |
登録日 | 1992-10-30 |
登録番号 | 2470252 |
商標の称呼 | ワケン、ウエークン |
代理人 | 大西 正夫 |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 朝倉 美知 |
代理人 | 中村 知公 |