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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W16
管理番号 1404946 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-21 
確定日 2023-11-06 
事件の表示 商願2021−127257拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「Iカットアングル」の文字を標準文字で表してなり、第16類「紙類,厚紙,紙製緩衝材,紙管,アルバム用紙製芯材,かばん用紙製芯材,自動車内装用紙製芯材,紙製包装用容器,プラスチック製包装用シート,紙製掲示板,粘着紙,粘着材付きの厚紙,厚紙製筒」を指定商品として、令和3年10月13日に登録出願されたものである。
原審では、令和4年6月15日付けで拒絶理由の通知、同年7月26日付けで意見書の提出、同年9月27日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年12月21日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「Iカットアングル」の文字を標準文字で表してなる。
ところで、本願商標の指定商品の分野では、「V字型にカットした紙製の角当て(アングル材)」が「Vカットアングル」の名称で販売されている実情や、I字にカットされた紙製の角当てが販売されている実情がある。
そうすると、本願商標は、その指定商品中、例えば「I字にカットされた角当てに使用される紙類,I字にカットされた角当てに使用される厚紙,I字にカットされた角当てに使用される紙製緩衝材」などの角当てに使用される商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識する。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審による証拠調べ通知(令和5年7月4日付け証拠調べ通知書)
当審において、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。

4 上記通知に対する請求人の意見(令和5年7月18日付け意見書)
(1)別掲の事例によっても、いわゆる「紙製の角当て」の分野において「Iカット」の文字が「I字状」のカットを意味する語として用いられている使用例は、極めてわずかで限定的であって、このようなわずかな使用例をもって、いわゆる「紙製角当て」の分野において「Iカット」の文字が「I字状のカット」を意味する言葉として一般に使用されている実情があると認定することは不合理である。
(2)「アングル」から直ちに「紙製の角当て」といった特定の意味合いが想起されづらいこと、「Iカット」の文字の使用例は極わずかであること、同文字が「I字状のカット」を意味する言葉として一般に使用されている実情があるとはいえないこと、「Iカット」の文字から具体的なカット形状を特定、把握することは困難であること、「I」の文字は様々な意味合いで理解される可能性があることを鑑みれば、本願商標「Iカットアングル」の文字は、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として理解される。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
ア 本願商標は、「Iカットアングル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、字間なく、まとまりよく一連一体の語を表してなる。
イ そして、本願商標の指定商品に係る取引業界においては、別掲のとおり、紙製包装材料の一種(紙製の角当て)である「アングル」には、「Iカットアングル」と称するものを含む、内周の保護材などとして使用するためにIカット加工したタイプのものが流通している取引の実情がある。
ウ そうすると、本願商標は、その指定商品中、例えば「紙製緩衝材,紙管,紙製包装用容器,厚紙製筒」などに使用するときは、その需要者及び取引者をして、「Iカット加工したアングル(紙製の角当て)」であることを認識、理解させるものであり、単に商品の品質(種別)及び形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、また、同タイプの商品以外の商品に使用するときは、商品の品質(内容)について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「紙製の角当て」を指し示す言葉として「アングル」の文字が使用される場合、「紙製」、「ペーパー」等の文字とともに使用されるか、文脈において紙製であることを強調して使用されることが多く、部品を指し示す言葉として「アングル」の文字に接した取引者、需要者は、その材質を直感的には金属製のものであると理解するのが一般的であること、また、「アングル」は「角。角度。物を見る観点。視点。」の意味も有する多義語であるから、当該文字を本願商標の指定商品に使用しても、「紙製の角当て」という特定の意味合いは直ちに想起されづらい旨を主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品中、例えば「紙製緩衝材,紙管,紙製包装用容器,厚紙製筒」などは紙製の商品であること、上記(1)イのとおり、「アングル」と称する紙製包装材料(紙製の角当て)が取引されている実情があることを踏まえると、その指定商品との関係において、本願商標の構成中「アングル」の文字部分は、その他の語義の存在にかかわらず、紙製包装材料の一種である「アングル(紙製の角当て)」を指称する語として用いられていると理解するのが自然である。
イ 請求人は、欧文字「I」によって商品の形状(加工方法)が一義的に決まるものではなく、「Iカット」の文字に接する需要者、取引者をして、「I字状のカット」といった漠然とした意味合いを想起させる場合があるとしても、具体的なカット形状を特定、把握できず、暗示させるにとどまること、また、「紙製の角当て」の分野において「Iカット」の文字が「I字状のカット」を意味する語として用いられている使用例は、極めてわずかであり、一般に使用されている実情があるとはいえないこと、さらに、「I」の文字は様々な意味合いを込めて使用されており、「Iカット」の文字から「I字状のカット」の意味合いで理解されないことも多く、特定の意味合いを認識させない、一種の造語と理解されるというのが妥当である旨を主張する。
しかしながら、上記(1)イのとおり、紙製包装材料の一種である「アングル」には、「Iカットアングル」と称するものを含む、内周の保護材などとして使用するためにIカット加工したタイプのものが流通している取引の実情があることを踏まえると、本願商標の構成中「Iカット」の文字部分は、包装材料の加工方法の種別を表示するものと容易に理解できる。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(紙製の包装材料の一種である「アングル」には、Iカットの加工をしたタイプのもの(「Iカットアングル」と称するものを含む。)があること)
(1)「イプロスものづくり」のウェブサイトにおいて、「アングル」の見出しの下、「日本セキソー株式会社の『アングル』は、再生可能な紙を材料とし、環境に優しく、丈夫で資源を大切にした包装材料です。」の記載がある。
https://www.ipros.jp/product/detail/2000277398/
(2)「エスエス産業株式会社」のウェブサイトにおいて、「アングル」の見出しの下、「紙製の角当てで、古紙を原料としています。」の記載がある。
http://www.ss-sangyo.co.jp/angle/
(3)「佐賀板紙株式会社」のウェブサイトにおいて、「アングルの使用用途」の項に、「パレット包装上面保護、シュリンク包装保護」の記載が、「アングル加工品」の項に、「アングル加工品は、通常のアングルにVカットやIカットなどの加工をする事により、鉄製コイルの側面保護や出荷物の四隅の保護などに使用でき、保護材の可能性を広げた製品となっております。」の記載がある。
http://www.sagaita.co.jp/products/angle.php
(4)「日本紙管工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「ロールエッジアングル」の商品紹介の項に、「Iカット加工が施されており、様々な形状に対応出来る製品です。」の記載がある。
https://n-shikan.co.jp/products/new-products/role-edge-angle/
(5)「株式会社オービシ」のウェブサイトにおいて、「アングルとは、厚い紙を積層し、L字型に成型した角の保護材です。」、「・・・「I」カットでは内周の保護材として使用でき・・・」の記載が、「使用例」の項に「Vカットアングル・Iカットアングル」の記載がある。
http://www.kamino-ohbishi.co.jp/product.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2023-09-05 
結審通知日 2023-09-06 
審決日 2023-09-21 
出願番号 2021127257 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W16)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 小田 昌子
阿曾 裕樹
商標の称呼 アイカットアングル、カットアングル 
代理人 弁理士法人三枝国際特許事務所 

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