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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09164142 |
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管理番号 | 1403899 |
総通号数 | 23 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-01-13 |
確定日 | 2023-10-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6638978号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6638978号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6638978号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年12月20日に登録出願、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年11月2日に登録査定、同月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の7件の登録商標を含め、長さの異なる幅広の右上がり又は左上がりに傾斜したストライプにより構成された正方形、縦長の矩形、横長からなるストライプ模様(以下「右上がりのストライプ図形」又は「左上がりのストライプ図形」という。)からなる申立人が使用した商標(以下、これらをまとめて「申立人使用商標」という。)を引用している。 なお、登録商標については、いずれも現に有効に存続している。 (1)登録第5899658号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:平成28年6月14日 設定登録日:平成28年11月25日 指定商品:第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第5899659号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:別掲3のとおり 登録出願日:平成28年6月14日 設定登録日:平成28年11月25日 指定商品:第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第5899661号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:別掲4のとおり 登録出願日:平成28年6月14日 設定登録日:平成28年11月25日 指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 (4)登録第6148364号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様:別掲5のとおり 登録出願日:平成30年5月11日 設定登録日:令和元年5月31日 指定商品:第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (5)登録第6276477号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:令和元年6月26日 設定登録日:令和2年8月4日 指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (6)登録第6427531号商標(以下「引用商標6」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:令和2年10月9日 設定登録日:令和3年8月11日 指定商品:第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (7)登録第6484876号商標(以下「引用商標7」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:令和2年12月30日 設定登録日:令和3年12月13日 指定商品:第3類、第5類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 3 登録異議の申立ての理由の要旨 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第124号証を提出した。 (1)申立人使用商標及びその商品 申立人使用商標は、「右上がりのストライプ」(甲26〜甲107)及び「左上がりのストライプ」(甲17〜甲48)であって、ズボン、半ズボン、ジャケット、Tシャツ、パーカ、セーター、帽子、スウェットシャツ、靴下、シャツ、プルオーバー型シャツ、マフラー、ベルト、靴、肩掛けかばん、バックパック、トートバッグ、フェイスマスクに使用している。 (2)申立人使用商標の周知性について 申立人が使用した右上がりのストライプ及び左上がりのストライプは、数多くの雑誌、インターネット記事に掲載されていることから(甲17〜甲107)、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されている(甲17〜甲48)。 取引の実際における申立人の商品の性質は、申立人の設立者でありデザイナーの作品として、一品ごとに丁寧に少量が生産される品質の高い商品であって、特に、申立人の商品は唯一無二のデザイン性を備えた希少性の高い商品であり、その流通経路は限られている。すなわち、申立人の商品は大量生産される一般的な商品ではなく、非常に高い品質と芸術性を備えた少量生産品である。これは、申立人の商品の価格が、一般に流通している同一の商品と比較して大変高価格であることや、申立人の商品を紹介する雑誌等がファッションに敏感な需要者を対象としている雑誌やウェブサイトで紹介されていることからも明らかである。他方、申立人の商品の模倣品が多数流通している取引の実際がある。これは、インターネットの検索エンジンで「オフホワイト ストライプ 偽物」と検索すれば、模倣品や真贋鑑定に関する多数のウェブサイトが表示されることからも明らかである(甲108)。 したがって、周知性を検討するにあたって一般的に参酌される販売実績、市場占有率、広告宣伝費等の立証の有無及びその軽重は、本件においては周知性を否定する根拠とはなり得ないものであり、申立人が使用した右上がりのストライプ及び左上がりのストライプは、需要者及び取引者等において広く認識されているものである。 (3)本件商標と申立人使用商標の類似性の程度について 外観について、本件商標は、白色と黒色の太い線を左上がりに傾斜して交互に複数配置した正方形のストライプ模様を有している。一方、申立人使用商標は、右上がりのストライプ及び左上がりのストライプである。 本件商標と申立人使用商標は、右上がりのストライプにおいては、ストライプ向き及び数に差異があり、左上がりのストライプにおいては、ストライプの数に差異があるものの、本件商標と右上がりのストライプ及び左上がりのストライプは、視認性の高い二色を用いて、長さの異なる幅広の傾斜したストライプを構成に含む点で共通する。 称呼について、本件商標と申立人使用商標は、可読文字を有しないため称呼は生じない。したがって、本件商標と申立人使用商標は称呼において対比できない。 観念について、ストライプ模様は特定の意味合いを有しないため、本件商標と申立人使用商標は観念が生じない。したがって、本件商標と申立人使用商標は観念において対比できない。 ここで、申立人使用商標は、図形のみからなる商標であって特定の称呼及び観念は生じないから、需要者及び取引者は外観を頼りにして記憶する。そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、線の太さ、傾斜の向き、本数、形状といった外観における詳細な構成は省略して記憶されるため、申立人使用商標に接した需要者及び取引者は、白色と黒色の太い線を傾斜して交互に複数配置したストライプ模様に強く印象付けられるものである。 したがって、本件商標と申立人使用商標の外観、称呼、観念によって需要者及び取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すれば、本件商標と申立人使用商標は外観において相紛らわしいものであり、類似性の程度は高い。 (4)商標の独創性について 申立人使用商標は、申立人が使用した商品との関係において、普通名称、慣用商標、記述的表示等の識別力を欠いた商標ではない。また、申立人が、本件商標の登録出願日までに、白色と黒色の太い線を右上がりに傾斜して交互に複数配置した矩形のストライプ模様を構成に含む登録出願を7件行っており、全ての登録出願について商標登録を受けた(甲3〜甲16)。さらに、申立人が申立人使用商標を使用するまで、ストライプ模様が商品の識別標識として使用された事実はない。このような実情を総合的に判断すれば、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品を表す独創的な識別標識である。 (5)商品の関連性について 申立人が使用した商品は、第18類「かばん類,袋物」及び第25類「被服,ベルト,履物」であるところ、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ用ゲームソフトウェア」、第41類「オンラインによるゲームの提供」及び第42類「ゲームソフトウェアの開発」等の商品及び役務は、類似商品・役務審査基準に照らせば、非類似の商品又は役務である。 しかしながら、近年では、ファッション業界とゲームのコラボレーションが増えている状況を紹介する記事(甲113〜甲118)から、ゲームのキャラクターが、コラボレーションしたファッションブランドの被服を着用している例がある。ゲーム利用者はゲームプレイ中に相互にコミュニケーションをとり、ゲーム内に登場するキャラクターの着用する被服や履物等によって、ゲーム利用者自らの個性や嗜好を表現している。そうすると、ゲームにおいてストライプ模様を有する被服、ベルト、履物、かばん類、袋物が表示され、または、ゲームソフトウェアを起動させた際の画像にストライプ模様が表示されれば、申立人がゲームにおいて商品の画像を提供し、又は役務を提供しているとの混同を需要者及び取引者に生じさせるおそれがある。さらに、申立人と本件商標の商標権者があたかも親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にあるかのように混同を生じさせるおそれもある。 同様に、近年では、ファッション業界の仮想空間(メタバース)への事業進出が増えている。仮想空間におけるファッションブランドの事業展開を紹介する記事(甲119〜甲124)によれば、ゲームに限らず、仮想空間において、需要者は自己のアバターが着用する被服や履物を通じて個性や嗜好を表現している。また、仮想空間内で購入した画像やプログラム(無体物)を、現実に有体物である被服等の商品として提供を受けることが可能であり、需要者が実店舗に行かなくても、電子機器のカメラ機能を用いて、被服や眼鏡などの商品を映像上で試着することができるサービスも増えている。 そうすると、仮想空間においてストライプ模様を有する被服、ベルト、履物、かばん類、袋物が表示されれば、申立人が仮想空間において商品の画像を提供し、又は役務を提供しているとの混同を需要者及び取引者に生じさせるおそれがあり、さらに、申立人と本件商標の商標権者があたかも親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にあるかのように混同を生じさせるおそれもある。 (6)申立人の多角経営の可能性について 申立人の元代表者は、日本国内の需要者及び取引者において著名なファッションデザイナーであったから、申立人も、日本国内の需要者及び取引者において著名である(甲111)。申立人は、著名商標の商標権者とのコラボレーション商品をヒットさせて、また、グラフィティーライターとコラボレーションしたモバイルゲームを発表(甲112)するなど、他の企業とのコラボレーションによる商品開発・販売に積極的であり、ファッション業界に限らず事業の多角化を進めている実情がある。 (7)需要者及び取引者の共通性・注意力について 申立人が使用した商品と本件商標の指定商品は、いずれも一般消費者を対象とするものであるから、需要者及び取引者の注意力に関して特に考慮すべき事情は見当たらない。したがって、本件においては一般的な需要者及び取引者の注意力をもって判断すればよい。 (8)小括 以上のことから、本件商標と申立人使用商標の類似性の程度は高く、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の使用した商品には、関連性がある。 申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知性を獲得しており、独創性の程度が高く、取引者及び需要者も共通し、考慮すべき取引者及び需要者の注意力や取引の実情もない。 したがって、これらの事実を総合的に判断すると、本件商標を指定商品に使用すれば、申立人の業務に係る商品であると出所の混同を生じさせるものである。 また、本件商標の使用は、本件商標の商標権者と申立人の間に、いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係がある等の広義の混同を生じさせるものである。さらに、本件商標の使用は、申立人使用商標に化体した顧客吸引力へのただ乗りや希釈化を招くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人使用商標の周知・著名性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)「FASHION PRESS」(2014年2月27日更新)には、「「オフ−ホワイト」日本上陸−ヴァージル・アブローによる新ブランド」の見出しの下、「大胆なグラフィックプリントがブランドの特徴で、イタリア人画家のカラヴァッジオの作品をプリントしたフーディのバックには、太いストライプで、ナンバー「13」と「WHITE」という文字が施されている。この斜めストライプに覆われた「13」と「WHITE」のプリントは、スウェット、デニム、フランネルの全てにプリント。」の記載とともに、スウェットの左右の袖部分に白抜きの8本からなる斜めストライプが付されている写真が掲載されている(甲17)。 (イ)本件商標の登録出願前(2014年〜2020年)に発行された雑誌には、「ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh/VIRGIL ABLOH)」又は「OFF―WHITE(Off−White/オフ−ホワイト)」の記載とともに、シャツの前身ごろ、袖部分及びポケット部分、帽子、靴下、靴、バッグ等に左上がり又は右上がりのストライプが付されている写真が掲載されている(甲18〜甲36、甲40、甲42〜甲46、甲49〜甲61、甲63、甲64、甲66〜甲69、甲71〜甲81、甲83〜甲85、甲88〜甲94、甲97〜甲101、甲103)。 (ウ)「godmeetsfashion.com」のウェブサイトには、「OFF−WHITEの国内旗艦店が南青山に7/9(土)オープン予定!」の見出しの下、8本からなる左上がりのストライプにより構成された正方形からなるストライプ図形が表示され、「2016/7/9(土)9:00から整理券が配布される予定です。」の記載(甲37)、「Esquire」のウェブサイトには、「日本初!「オフ−ホワイトc/oヴァージル・アブロー」の旗艦店がついにオープン」(2016年7月17日)の記載がある(甲70)。 (エ)「ibought」のウェブサイトには、「OFF−WHITEの愛用着用芸能人とは?三代目JSB登板、ローラなど」(2016−8−10UP)の見出しの下、「OFF−WHITEは「ラグジュアリーなストリートファッション」をコンセプトに、2014SSにスタートしたファッションブランド。すべてイタリアで作られており、斜めストライプと「WHITE」のデザインが特徴。」の記載(甲39)、同ウェブサイトの2016−9−16UPの「OFF−WHITE人気アイテム紹介」の項には、「OFF−WHITE迷彩ジャケット/袖とバックにはOFF−WHITEの定番の斜めストライプが入っている。」の記載、「OFF−WHITEチェックシャツ/背面にはトレードマークのWHITEロゴと斜めストライプ。」の記載がある(甲74)。 (オ)「MTRL」のウェブサイトには、「【人気美容師に愛用者続出!】今、大人気のブランド「OFF WHITE(オフホワイト)」とは?」(更新日:2016年9月7日)の見出しの下、「代表的アイテム BEST3」の項に、左右の袖部分及び後身ごろに白抜きの8本からなる右上がりストライプ図形が付されている「パーカー」の写真とともに「背中に大きく入った「WHITE」の文字と秀逸なデザインが目を引きます。」の記載及び後身ごろに白抜きの14本からなる右上がりストライプ図形が付されている「シャツ」の写真とともに「こちらも背中に大きくロゴとデザインが入ったチェックシャツ。」の記載がある(甲41)。 (カ)「ameblo」のウェブサイトには、「蘭丸の生き様」の表題の下、「大阪 阪急メンズ館 2F OFF−WHITE(オフ・ホワイト)」(2016年8月31日)が紹介されており、店先には、「new brand」の表示の下に引用商標3が表示され、その下に「OFF−WHITE」と表示されている(甲73)。 (キ)「fanblogs」のウェブサイトには、「メンズストリートブランド」の表題の下、「【ブランド】Off White(オフ・ホワイト)正規品(Tシャツ)判断方法!画像詳しく紹介!!」(2017年9月19日)とし、右上がりのストライプの中央にストライプの線よりやや太い黒色横長六角形状の横線中に「OFF−WHITE」の白抜き文字が配された表示の下に、「裾のタグ」の項に、「裾にはOff Whiteの象徴である斜線が入ったタグと襟のタグと同じ色の細長い紐があります。」の記載とともに、裾のタグの写真には、8本からなる右上がりのストライプ図形が付され、専用の袋の表の写真にも、同様の右上がりのストライプ図形が付されている(甲82)。 (ク)「LEON」のウェブサイトの「FASHION」の項には、「いま、知らないとマズいブランドはオフ−ホワイトTMとナニ?(TMは右側斜め上に小さく表示されている。)」の見出しの下、「◆オフ−ホワイトc/oヴァージル・アブロー」の項に「ストライプ柄の大胆なプリントを始め、インパクトの強いグラフィカルなモチーフがその特徴です。」の記載がある(甲91)。 イ 上記アの事実によれば、申立人は、OFF−WHITEの国内旗艦店を南青山に2016年7月9日にオープンしたと推認でき、8本からなる左上がりのストライプ図形をシャツの裾のタグや8本からなる右上がりのストライプ図形を専用の袋に付している。 しかしながら、申立人の業務に係る商品は、本件商標の登録出願前の発行の雑誌等に掲載されているものの、「ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh/VIRGIL ABLOH)」又は「OFF―WHITE(Off−White/オフ−ホワイト)」の文字とともに、シャツの前身ごろ、袖部分及びポケット部分に、また、帽子、靴下、靴、バッグ等に左上がり又は右上がりのストライプ図形を付しているものであり、当該ストライプ図形は、デザインの一つとして紹介されているものである。 そして、上記デザインの一つとして認識されるもの以外において同一の使用は少なく、申立人使用商標に係る商品に関する我が国における市場シェア、売上高、広告の頒布範囲・回数等の客観的な証拠の提出がない。 なお、申立人は、申立人の商品について、芸術性を備えた少量生産で高価格である事情から、申立人使用商標の周知性は、販売実績、市場占有率、広告宣伝費等の立証の軽重によって否定されるものではない旨主張するが、その使用状況は上記のとおりであるから、係る主張を採用することはできない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、申立人使用商標が、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。 (2)本件商標と申立人使用商標との類似性の程度について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、左上がりの5本からなる正方形のストライプ図形からなるものである。 イ 申立人使用商標について 申立人使用商標は、別掲2ないし5のとおり、右上がりの8本又は10本よりなる正方形、縦長の矩形、横長の矩形のストライプ図形に加え、左上がりの8本又は10本よりなる正方形、縦長の矩形、横長の矩形のストライプ図形からなるものである。 ウ 本件商標と申立人使用商標の対比 本件商標は、左上がりの5本からなる正方形のストライプ図形からなり、一方、申立人使用商標は、右上がり又は左上がりの8本又は10本よりなる正方形、縦長の矩形、横長の矩形のストライプ図形からなるものである。 本件商標と右上がりストライプ図形とでは、ストライプの本数及び向きの相違から、外観上、明らかに異なるものであり、また、本件商標と左上がりストライプ図形とは、向きが同じであるものの、ストライプの本数の違いから、その印象が異なり、外観において、相紛れるおそれはないというべきである。 称呼について、本件商標及び申立人使用商標からは、いずれも称呼が生じないから、両商標は称呼において比較することができない。 また、観念について、本件商標及び申立人使用商標からは、特定の観念は生じないから、両商標は観念において比較することができない。 以上からすると、本件商標と申立人使用商標とは、称呼及び観念において比較することができないとしても、外観において、明らかに相違し相紛れるおそれがない別異のものである。 エ 本件商標と申立人使用商標との類似性の程度について 本件商標と申立人使用商標とは、上記イのとおり、別異のものであるから、本件商標と申立人使用商標との類似性の程度は低いものといえる。 (3)申立人使用商標の独創性について 申立人使用商標を構成する左上がり及び右上がりのストライプ図形は、ストライプからなる模様の一つといえるから、その独創性は高いものとはいえない。 (4)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品の関連性、需要者の共通性について 申立人使用商標は、ファッション関連の商品に使用していることから、その商品及び役務の流通経路、用途等が明らかに相違するものといえるから、関連性を有するとはいえずその需要者も共通するとはいえない。 (5)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(4)からすると、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 そして、申立人使用商標を構成するストライプ図形は、独創性が高いものとはいえず、また、本件商標と申立人使用商標とは、別異の商標であるから、類似性の程度は低いものであり、さらに、申立人使用商標が使用されている商品と本件商標の指定商品及び指定役務とが、関連性を有するとはいえないものである。 そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、申立人使用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 (6)小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (7)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 別掲2 引用商標1・5〜7 別掲3 引用商標2 別掲4 引用商標3 別掲5 引用商標4 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2023-10-05 |
出願番号 | 2021158478 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W09164142)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
旦 克昌 |
特許庁審判官 |
大橋 良成 馬場 秀敏 |
登録日 | 2022-11-10 |
登録番号 | 6638978 |
権利者 | UNSEEN株式会社 |
代理人 | 小林 奈央 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 廣中 健 |
代理人 | 伊藤 亮介 |
代理人 | 弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所 |
代理人 | 稲葉 良幸 |