ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W41 |
---|---|
管理番号 | 1403806 |
総通号数 | 23 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-01-23 |
確定日 | 2023-10-16 |
事件の表示 | 商願2020− 87707拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年7月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年12月 4日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月20日 :意見書の提出 令和4年10月18日付け:拒絶査定 令和5年 1月23日 :審判請求書の提出 令和5年 4月26日 :上申書、手続補正書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第37類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。 本願の指定役務は、当審における上記1の手続補正書により、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,実地教育,職業訓練,職業に関する再訓練,知識の教授,知識又は技芸の教授,ノウハウの伝授(訓練),セミナーの企画・運営又は開催,会議の手配及び運営,議会の手配及び運営,教育フォーラムの手配及び運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5387830号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定役務:第35類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日:平成21年 7月22日 設定登録日:平成23年 2月 4日 (2)登録第5576808号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定役務:第35類、第36類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日:平成24年10月31日 設定登録日:平成25年 4月19日 (3)登録第6312386号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 指定役務:第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務 登録出願日:令和 元年 7月15日 設定登録日:令和 2年11月 5日 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、若干デザイン化された「匠」の文字を青色で書してなるものであるから、その文字に相応した「タクミ」の称呼、及び、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)の観念が自然に生じるものである。 イ 本願商標と引用商標1について 引用商標1は、別掲2のとおり、内側に赤い縁取りを有する黒色の六角形の中に「匠」の文字を白抜きで表してなり、その周囲を「OSAKA Monodzukuri Spirits」「Excellent Company of OSAKA」の文字及び黒色の小さな六角形図形からなるものが円状に取り囲み、それらの下方に「大阪の元気!ものづくり企業」の文字を赤色で横書きしてなるものである。 そして、引用商標1の構成中の「匠」の文字部分は、他の文字と比べて大きく表されており、また、引用商標1全体より生じ得る称呼は極めて冗長となり得るものではあるが、引用商標1の構成中の上方部分は外観上一体的に表されており、また、引用商標1の構成中の「匠」以外の文字部分から出所識別標識としての称呼や観念が生じないともいえないものである。 そして、「匠」の文字は、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」を意味する語であるところ、引用商標1の指定役務はいずれも「製造業及びものづくりに関する」内容の役務であり、請求人が提出した資料にあるように、製造業やものづくりに関連する分野において、その役務が技芸に優れた者に係る内容の役務であること(例えば、知識の教授を行う者が技芸に優れた者であること)を表現するために、「匠」の文字がしばしば使用されている実情がうかがえることからすると、引用商標1の構成中の「匠」の文字部分が、その指定役務との関係において、強く支配的な識別力を有するものともいえない。 そうすると、引用商標1からは、その構成中の「匠」の文字部分のみに相応した称呼及び観念が生じるとはいえないものであって、これと「匠」の文字のみからなる本願商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのあるものとはいえない。 してみれば、本願商標と引用商標1とは、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 ウ 本願商標と引用商標2について 本願の指定役務は、上記2のとおり補正された結果、引用商標2の指定役務と同一又は類似の役務は全て削除された。その結果、本願の指定役務は、引用商標2の指定役務と類似しない役務になった。 したがって、本願商標は、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなった。 エ 本願商標と引用商標3について (ア)引用商標3について 引用商標3は、別掲4のとおり、赤色の横長長方形の内部右寄りに「TAKUMI」の文字を白抜きで表し、また同内部左から上記の「TA」の文字の下にかけて、オレンジ色の円と複数の曲線からなる図形を配してなるものであるが、その構成中の図形部分については、それが何を表しているか判然とせず、特段の称呼、観念を生じるものとはいえない。 また、同構成中の「TAKUMI」の文字は、それ自体は辞書類に掲載されている語ではないものの、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」を意味する「匠」の語や、「てぎわのよいこと。」(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)などを意味する「巧み」の語の読みをローマ字で表したものと容易に理解できるものであるから、当該文字部分よりは「タクミ」の称呼、及び、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」「てぎわのよいこと。」などの観念が生じる。 そして、引用商標3の構成中の図形部分と文字部分は、その表し方が異なり、明らかに分離して配置されているため、これらは外観上分離して看取されるものであって、また、両部分には観念的なつながりもなく、全体として特定の観念を生じるものでもない。 そうすると、引用商標3の構成中の図形部分と文字部分は、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、取引者、需要者において、「TAKUMI」の文字部分(以下「引用3要部」という。)をもって取引の用に供されることもあるというべきである。 (イ)本願商標と引用商標3の類否について 本願商標と引用商標3を比較するに、外観においては、全体としては明らかに相違するものであり、また、本願商標と引用3要部とでみても、文字種や文字数、表し方、書体が相違するものである。しかし、一般に、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することは広く行われているところ、引用3要部の「TAKUMI」の文字は、本願商標の「匠」の文字をローマ字表記したものと理解し得ることからすると、それぞれの文字を置き換えたものとして取引者、需要者に認識され得るといえるものであるから、これらの文字種などの相違が、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないものである。 そして、称呼においては、「タクミ」で同一であり、また、観念においては、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標3とは、全体の外観に相違があり、本願商標と引用3要部の対比においても相違があるものの、顕著な差異があるものとはいえず、そして、称呼は同一であり、観念を共通にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標3は、役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。 (ウ)本願商標と引用商標3の指定役務の類否について 本願の指定役務である第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,実地教育,職業訓練,職業に関する再訓練,知識の教授,知識又は技芸の教授,ノウハウの伝授(訓練),セミナーの企画・運営又は開催,会議の手配及び運営,議会の手配及び運営,教育フォーラムの手配及び運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」は、引用商標3の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,自立を目的とした運動面からの知識の教授,特別支援教育,セミナーの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」と同一又は類似の役務である。 オ 小括 上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標1とは非類似の商標であるから、その指定役務について比較するまでもなく、引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 また、本願商標は、引用商標2との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しないものとなっている。 しかしながら、本願商標は、引用商標3と類似する商標であって、かつ、本願の指定役務は、引用商標3の指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、引用商標3の商標権者が、その出願審査過程で提出した意見書(令和2年9月17日提出)において、引用商標3の構成中の「TAKUMI」の文字からは特定の観念を生じない旨を述べていることなどに照らすと、引用商標3は、特定の観念が生じない造語として捉えられる可能性がある旨主張する。 しかしながら、商標からどのような観念が生じるかは、当該商標に接する我が国の一般的な取引者、需要者の認識によって判断されるべきものであって、また、「TAKUMI」の文字が、「匠」及び「巧み」以外の多数の語を容易に想起させるものであるというべき事情も見当たらないことからすると、「TAKUMI」の文字よりは、「手先または器械で物を造る仕事。また、それを業とする人。」や「てぎわのよいこと。」といった観念が生じるものというのが相当である。 したがって、請求人の主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。) 別掲2 引用商標1(色彩は原本を参照。) 別掲3 引用商標2(色彩は原本を参照。) 別掲4 引用商標3(色彩は原本を参照。) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2023-08-24 |
結審通知日 | 2023-08-25 |
審決日 | 2023-09-05 |
出願番号 | 2020087707 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W41)
|
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 白鳥 幹周 |
商標の称呼 | タクミ、ショー |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 副田 圭介 |
代理人 | 宮嶋 学 |