• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 外観類似 無効としない W25
管理番号 1403804 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2022-10-31 
確定日 2023-10-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第5995270号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5995270号商標(以下「本件商標」という。)は、「STEALTH TECH」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月1日に登録出願、同年9月27日に登録査定され、第25類「スキー靴並びにその部品及び附属品,スノーボード用の靴並びにその部品及び附属品,スキー靴専用バッグ,運動用特殊靴並びにその部品及び附属品,スキー競技用衣服,スキー用手袋,運動用特殊衣服,アフタースキーブーツ,ブーツ,靴中敷き,靴類,履物,スキー用被服,スキージャケット,スキーズボン,スキースーツ,スポーツシャツ,下着,アンダーシャツ,ティーシャツ,スキー用帽子,スキー用目出し帽,帽子,スポーツソックス,靴下,保温用サポーター,保温用マフ,えり巻き,マフラー,ボア(襟巻),耳覆い,ミトン,被服,スキー用ズボンつり,ズボンつり,サスペンダー,バンド,ベルト,靴下止め,ガーター,仮装用衣服」を指定商品として、同年11月10日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「アフタースキーブーツ,ブーツ,靴中敷き,靴類,履物(「げた,草履類」を除く。)」(以下「本件請求商品」という。)についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第48号証(枝番号を含む。以下「甲○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第46条第1項第1号の規定により、本件請求商品についての登録を無効とすべきである。
(1)利害関係
本件商標は、請求人の登録及び使用に係る引用商標と類似のものであり、かつ、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものであるから、本件商標が当該商品に使用された場合、請求人の業務に係る商品と誤認混同を生ずるおそれがある。
よって、請求人は、本件商標の登録無効審判の請求について利害関係を有する。
(2)無効理由の詳細
ア 本件商標の指定商品との関係における「TECH」の識別力の程度(取引の実情)
(ア)「TECH」の文字は、英語で「科学技術、テクノロジー」を意味する「TECHNOLOGY」(甲5)の略語(あるいは同義語)の「TECH」(甲26、甲27)に通じる。
「TECH」が意味する「TECHNOLOGY」は、その音訳「テクノロジー」が「技術学、工学、科学技術」を意味する外来語の「テクノロジー」として「広辞苑」に掲載される程度まで広く一般に親しまれている(甲6)。
加えて、「TECH」の音訳「テク」及び「テック」は、「テクノロジーの略」を意味する外来語の「テク」及び「テック」として、「カタカナ・外来語/略語辞典」(甲7)及び「デジタル大辞泉」(甲28)に掲載される程度まで国民一般に浸透している。
また、「TECH」の音訳「テク」から構成された熟語も一般的に使用され、親しまれている事実もある。すなわち、「ハイ・テク(HIGH−TECH)」は「(HIGH TECHNOLOGYの略)最先端の技術」を意味する語として「広辞苑」に掲載されており(甲8)、「ロー・テク(LOWTECH)」は「素朴な品、民衆の伝統的知恵を生かした造型のこと。(対)ハイテク」を意味する語として「カタカナ・外来語/略語辞典」に掲載されている(甲9)。
これらの事柄に加え、特許庁の審決等においても、「「TECH」の語は「科学技術」等を意味する「TECHNOLOGY」の略語として知られている」と認定されており(甲10)、「TECHNOLOGY」、「TECH」、「テック」の各文字については、自他商品識別力を有しないか極めて薄弱であるとの認定判断がなされている(甲10〜甲12、甲29〜甲31)。
これら認定判断に照らせば、本件商標の構成中の「TECH」の文字部分は、「科学技術、テクノロジー」を意味する「TECHNOLOGY」の略語として一般に認識、理解されているものであるから、当該文字が科学技術、テクノロジーに関連する商品に使用される場合は、自他商品の出所識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえる。
(イ)本件商標の指定商品と「TECH」の文字が意味する「科学技術、テクノロジー」との関連性について考察すると、本件商標の指定商品については、以下のとおりの取引の実情が存在する。
すなわち、本件商標の指定商品を取り扱う業界では、スニーカー、スポーツシューズ、ウォーキングシューズをはじめとするシューズの素材又はアッパー、インナーソール、ミッドソール、アウトソール等のパーツに装備、搭載される、軽量化、防水性、透湿性、防汚性、撥水性、クッション性、フィット性、足にかかる衝撃の緩和といった様々な機能性を「テクノロジー」と称しており、「テクノロジー」の語がそのような機能性を備えたシューズの機能性表示(品質表示)として不特定多数の者によって慣用されている。
例えば、「○○シューズに搭載されるテクノロジー」、「○○テクノロジーを搭載したシューズ」、「最新テクノロジーを集結させたランニングシューズ」といった表示が多数の異なるシューズブランド(メーカー)の様々なシューズの商品説明、宣伝広告文、あるいは第三者による商品紹介記事等で使用されている(甲13〜甲18)。
また、「TECH」の音訳「テク」からなる「ハイ・テク」及び「ロー・テク」(甲8、甲9)と「スニーカー」を結合した「ハイテクスニーカー」及び「ローテクスニーカー」がファッション用語辞典に掲載されているほか、様々な商品情報記事でも使用されており、「テク(TECH)」の文字がスニーカー等のスポーツシューズに搭載される「テクノロジー」の略語として認識、理解されている(甲19〜甲25、甲37)。
さらに、「テクノロジー」及びその略語の「テク」がシューズに搭載される機能性を指す語として本件商標の指定商品の取引界で慣用されている事実に加えて、シューズの部品(パーツ)名や用途名に「テクノロジー」を付加した表示、例えば「ミッドソールテクノロジー」、「クッションニングテクノロジー」、「ランニングテクノロジー」といった表示がシューズの品質表示として一般的に使用されている事実も明らかである。
加えて、本件商標の指定商品を取り扱う分野では、個別商品名(商標)に「テクノロジー」を付加した表示が各ブランド独自のテクノロジー(機能性)を表示するための名称として採択、使用されている。例えば、ナイキ社の「フライニットテクノロジー」(甲32)、プーマ社の「モビアム テクノロジ一」(甲32)、ナイキ社の「ルナロンテクノロジー」(甲33)、アディダス社の「BOOSTテクノロジー」(甲34)、リーボック社の「ザ ポンプ テクノロジー」(甲35)及び「The Pump テクノロジー」(甲36)などがそのような使用例である。
証拠(甲13〜甲25、甲32〜甲48)に示す記事の多くは、本件商標の登録査定日である平成29年(2017年)9月27日前に作成又は発行されたもの、又は当該登録査定日から6月以内にインターネット上に掲載されていた記事である。また、これら以外の記事についても、当該登録査定日前に発売された商品(スポーツシューズ等)を紹介、解説しているものである。
これらの記事の記載内容を総合すれば、遅くとも1970年代以降今日に至るまで、本件商標の指定商品、殊にランニングシューズ、スニーカーなどのスポーツシューズを取り扱う業界では、シューズの安定性、クッション性、反発性、耐久性、耐温性などの様々な機能性が追求されており、本件商標の指定商品は「TECH」の文字が意味する「科学技術、テクノロジ一」と極めて深い関連性を有すること、さらには、当業界では、シューズについて各メーカー、各ブランドが技術開発した様々な機能性を「テクノロジー」と称しており、「テクノロジー」の語がシューズの機能性表示(品質表示)として慣用されている取引の実情が明らかである。
既に述べたとおり、「TECH」及びその音訳「テック(テク)」が「テクノロジー」の略語として広く一般に認識、使用されているのみならず、特に、本件商標の指定商品を取り扱う分野では、略語の「テック(テク)」を用いた用語「ハイテク」及び「ローテク」がスニーカーの品質表示として慣用されている事実も存在することからすれば、本件商標の指定商品に使用される「TECH」(テック、テク)の文字が「テクノロジー」の意味、観念を直観させる。
上記事柄を参酌すれば、本件商標がその指定商品に使用される場合、構成中の「TECH」の文字部分は、シューズ又はそのパーツがある種のテクノロジーを搭載したもの、すなわち、ある種の機能性を備えた品質のものであることを表示あるいは誇張するための品質表示として認識、理解されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱い。
イ 本件商標と引用商標の対比
本件商標の構成中の「STEALTH」の文字部分は、英語で「こっそり、忍び」を意味する語(甲3)であり、当該文字部分は、本件商標の指定商品の普通名称慣用商標、品質表示等に該当するものではないから、商品の出所識別標識として十分な識別力を有する。
よって、「STEALTH」の文字部分は、一般に、看者の注意、関心を惹きつける冒頭部分を占めていることとも相まって、本件商標の指定商品の出所を表示する自他商品識別標識として容易に認識、理解される。
本件商標は、「STEALTH」の文字と「TECH」の文字の間に1文字分のスペースがあり、2語に外観上分離していることに加え、「STEALTH TECH」の文字全体が辞書等に掲載されている成語ではなく、特定の意味ないし観念を表す熟語とはいえないものであるから、当該構成全体を常に不可分一体のものとして把握しなければならない理由はない。
そして、先に詳述したとおりの本件商標の指定商品の取引の実情に照らせば、「STEALTH TECH」の文字がその指定商品に使用される場合、「STEALTH」の文字部分と「TECH」の文字部分には自他商品識別力の程度に著しく大きな差異があり、「STEALTH」が出所識別標識として容易に認識されるのに対して、「TECH」は本件商標の指定商品に装備、搭載されたテクノロジー(機能性)を表示あるいは誇張するための品質表示として認識されるにとどまる。
したがって、本件商標の構成文字中、出所識別標識としての機能を発揮する部分は「STEALTH」の文字部といえるから、当該文字部分が取引者、需要者に対し、出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
要するに「STEALTH」の文字と「TECH」の文字は、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していないから、本件商標から、構成の「STEALTH」の文字部分を要部として抽出し、引用商標と比較することが許される。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、本件商標からは、その要部である「STEALTH」の文字部分に基づいて、出所識別標識としての「ステルス」の称呼及び「こっそり、忍び」の観念(甲3)が生じる。
引用商標からは、「STEALTH」の構成文字に基づいて、「ステルス」の称呼及び「こっそり、忍び」の親念(甲3)が生じる。
このように、本件商標と引用商標は、独立の出所識別標識として機能する「STEALTH」の文字を共通にし、「ステルス」の称呼及び「こっそり、忍び」の観念を生ずる点においても一致するものであるから、両商標の類似性の程度は極めて高い。
加えて、本件商標の指定商品を取り扱う業界では、数多くの異なるブランドが個別の商標(商品名)の後に「テクノロジー」を結合してなる名称を当該ブランドが開発した特定の機能性(テクノロジー)を搭載した商品の自他商品識別標識として使用しているという取引の実情がある。
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。
本件商標と引用商標の類似性の程度が極めて高いものであることと、本件商標の指定商品に関する取引実情に基づいて本件商標と引用商標を比較すれば、「STEALTH TECH」の文字からなる本件商標と「STEALTH」の文字からなる引用商標が本件商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用された場合には、当該商品の出所について誤認混同を生じるおそれが極めて高い。
よって、本件商標は引用商標と類似のものというべきである。
ウ 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
また、引用商標は、本件商標よりも先に登録出願されたものである。
エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第3 被請求人の答弁
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
2 答弁の理由
(1)本件商標について
ア 外観について
本件商標は、「STEALTH TECH」の欧文字を標準文字により表してなるところ、「STEALTH」の欧文字7文字と「TECH」の欧文字4文字との間には、1文字分の空白が存在するものの、各文字の大きさ及び書体は大文字であることも含めて全て同一であって、「STEALTH」の欧文字部分だけが独立して見る者の注意を引くような態様で表されているものではないから、外観上、一体のものとして認識されるものである
イ 称呼について
(ア)本件商標は一体不可分の外観構成であるため、あえて「TECH」の文字部分が捨象されることはなく、全体として「ステルステク」又は「ステルステック」の称呼を生じさせるのが自然であり、称呼も冗長ではなく「ステルステク」又は「ステルステック」と無理なく一気一連に称される。また、「TECH」は大文字ゆえに、その文字部分から「ティーイーシーエイチ」との称呼も生じるため、本件商標は「ステルスティーイーシーエイチ」とも称され得る。
(イ)甲7及び甲28に掲載されているのは、各々「テク」及び「テック(tech)」であり、大文字ローマ字の「TECH」については何ら言及されていない。また、本件請求商品の商品分野において、「○○TECH」の文字が「テクノロジー(technology)」の略語として使用されている事実はないから、本件商標の「TECH」部分から「テクノロジー」との意味合いが直ちに生じるものとはいえない。
甲8及び甲9は、あくまでも「ハイ・テク」及び「ロー・テク」との一体的な、既成の語として定着している語が上記の意味合いを有することを示すにすぎず、大文字ローマ字の「TECH」については何ら言及されていない。また、甲19から甲25、甲37では、「ハイテクスニーカー」、「ローテクスニーカー」との語の使用例は見受けられるものの、本件請求商品の商品分野において、大文字ローマ字の「TECH」が「テクノロジー(technology)」の略語として使用されている事実はない。したがって、本件商標の「TECH」部分から「テクノロジー」との意味合いが直ちに生じるものとはいえない。
甲10には、たしかに「「Tech」の語は、「科学技術」等を意味する「techno1ogy」の略語として知られている」との記載がある。しかしながら、これは「Tech」に関する認定であって大文字ローマ字「TECH」に関する認定ではない。よって請求人の主張は誤解を与える主張にすぎず正確ではない。また、その審決の指摘は、引用商標「TEC」との関係で、「techno1ogy」の略語として知られている「Tech」の文字部分がそれのみで独立して認識されることはなく、商標「C・Tech」全体として一体的に把握されることを指摘しているにすぎない。しかも、甲10に記載の商標「C・Tech」の指定役務は、第37類「発電所・環境衛生設備・廃棄物処理場・廃棄物再生場に関する建築ー式工事」等であり、第25類の本件請求商品とは接する取引者、需要者がまったく異なる。
甲11には、たしかに「「TECHNOLOGY」の文字は、「科学技術」等の意味を有する英語として広く知られているものであり、指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しない又は極めて弱い部分といえる」との記載がある。しかしながら、甲11も大文字ローマ字の「TECH」に関する認定ではないし、審決対象となった商標「ACB\TECHNOLOGY」の指定商品は第9類「電気式又は電子式の電力供給装置」である。
甲12には、たしかに「(引用C商標「MIPS\TECHNOLOGIES」)構成中の)「TECHNOLOGIES」の文字部分は、「科学技術」の意味合いを有し、その指定商品(第9類「電子計算機及びその部品」)との関係においては自他商品識別力の薄い語である」との記載がある。しかしながら、甲12においても大文字ローマ字の「TECH」については何ら言及されていないし、「TECHNOLOGIES」の文字の自他商品識別力が弱いと認定されているのは、第9類「電子計算機及びその部品」についてであって、第25類の本件請求商品の商品分野ではない。
甲29には、たしかに「「Techno1ogies」の語は「Techno1ogy」の複数形であって、「科学技術、テクノロジー」等を意味する一般に親しまれている英語であることから、引用商標の指定商品中、機械や科学技術の分野の商品を指定する第9類の指定商品との関係においては、自他商品の出所識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱い文字といえる。」との記載がある。しかしながら、これはあくまでも第9類の商品における自他商品識別機能について述べているにすぎない。
甲30には、たしかに「後半の「Tech」の欧文字部分は、「科学技術、工業技術」等の意味を有する英語である「techno1ogy」・・・の略語等として理解される場合がある」との記載がある。しかしながら、これは商標「EcoTech」について、第42類「排出水・河川水・土壌等の農薬濃度分析」等の指定役務において、前半の「Eco」の文字部分が「生態の、環境の」等の意味を有し、後半の「Tech」の欧文字部分が「科学技術、工業技術」等の意味を有する「techno1ogy」の略号等として理解される場合があるため、「EcoTech」全体からは「環境に関する技術」ほどの意味合いを生じ、「EcoTech」全体としては自他役務識別機能がないか極めて弱いことを指摘しているにすぎないものである。しかも、甲30に記載の商標「EcoTech」の指定役務は第42類であり、第25類の本件請求商品とは接する取引者、需要者がまったく異なる。
甲31には、たしかに「(本件商標「SHSテック」)構成中の「テック」の文字部分は、「科学技術」の意味合いを有する「technology」の略語である「tech」の字音に通ずる語であるから、その指定商品中で科学技術に関連する商品との関係においては自他商品識別標識としての機能が薄い語であるというべきである」との記載がある。しかしながら、甲31で上記判断がされた商標「SHSテック」は第7類「金属加工機械器具」等を指定しており、上記はあくまでも科学技術に関連する第7類等の指定商品における「テック」の自他商品識別機能について述べているにすぎない。
証拠(甲32〜甲36、甲38〜甲40)には、「テクノロジー」との語はあるものの、大文字ローマ字の「TECH」の使用例は存在しておらず、当該「TECH」の自他商品識別機能を評価できる証拠ではない。また、上記事実は、靴類の中でも、特にスポーツシューズやスニーカーという極めて限定的な商品に対する証拠にすぎず、本件請求商品の一般的な需要者、取引者の認識を示す証拠ではない。よって、当該商品分野において「○○TECH」が「テクノロジー(technology)」の略語として使用されている事実はないから、本件商標の「TECH」部分から「テクノロジー」との意味合いが直ちに生じるものとはいえない。
第25類の本件請求商品の商品分野において、商標「○○ TECH」中のローマ字大文字の「TECH」が、「テクノロジー」又は「technology」の略語として使用されている事実はないから、本件商標の「TECH」部分から「テクノロジー」との意味合いが直ちに生じるものとはいえない。
したがって、本件商標の構成中の「TECH」の文字部分は、本件商品の品質を表示したものとして認識されることはなく、本件に係る商品分野において自他商品識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いものであるとの主張には理由がない。
(ウ)本件商標から「ステルス」単体の称呼が生じ得ないことについて
英語辞書(甲4)によれば、「tech」の後にピリオドを伴った「tech.」の欧文字が「technical(ly);technology.」の略語として掲載されているが、本件商標の「TECH」の欧文字部分にはピリオドを伴っていない。
また、甲28によれば、「テック(tech)」が「テクノロジー」の意味を有するとして掲載されているが、これは、「テック企業」に例示されるように(甲28)、あくまでも片仮名「テック」としての意味合いを表すにすぎず、片仮名「テック」が併記されない「tech」単独で「テクノロジー」の意味を有するとまでは把握されない。
さらに、甲4及び甲28には、大文字ローマ字の「TECH」については何ら言及されておらず、本件請求商品を取り扱う業界の実情として「○○ TECH」の欧文字が「テクノロジー(techno1ogy)」の略語として使用されている事実はないから、本件商標の「TECH」の欧文字部分から、「テクノロジー」との意味合いが直ちに生じるものとはいえない。
そうすると、本件商標に接する需要者、取引者が、構成中の「TECH」の欧文宇部分を、本件請求商品の品質を表示した部分として殊更に省略し、「STEALTH」の欧文字部分のみを捉えて取引に当たるとは考え難い。このように、「STEALTH」の欧文字部分を取り出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできないから、本件商標の構成全体をもって一体不可分の造語と認識すると判断されるべきである。
以上より、本件商標「STEALTH TECH」の文字からは全体をもって一体不可分のものとして認定すべきであり、本件商標から「TECH」が捨象されることは妥当ではない。
したがって、本件商標は、「ステルス」単体の称呼が生じ得ない。
(エ)商標「○○TECH」と商標「○○」は類似しないと判断されていること
登録例をみても、本件請求商品の商品分野において、「BARRIER TECH」と「BARRIER」、「Forecast Tech」と「FORECAST」、「Smile Tech」と「SMILE」等のように、「○○」の称呼が同一である、商標「○○TECH(Tech)」と商標「○○」との関係にある商標同士が、同一又は類似する商品又は役務について他人に多数、併存登録されている。
これらの例は、「○○」と「TECH」が組み合わせられた商標について、少なくとも「靴類,履物」等の分野においては、自他商品識別力がない、あるいは極めて弱いという理由によって画一的に「○○」と「TECH」とが分離、省略されるものではなく、むしろ一体的な結合商標として認定される傾向が強いことを示している。
(オ)商標「STEALTH TECH」と商標「STEALTH」は類似しないと判断されていること
登録例をみても、商標「STEALTH TECH」と商標「STEALTH」が同一又は類似する商品又は役務について他人に併存登録されている。
これらの例は、「STEALTH」と「TECH」を結合した商標について、自他商品識別力がない、あるいは極めて弱いという理由によって画一的に「STEALTH」と「TECH」とが分離、省略されるものではなく、むしろ一体的な結合商標として認定されていることを示している。
(カ)小括
上記のとおり、本件商標のまとまりのよい態様、「TECH」が捨象されないこと、本件商品の商品分野における商標「○○ TECH」の登録の状況、及び商標「STEAL THTECH」と商標「STEALTH」は類似しないと判断されていることに鑑みれば、本件商標から「STEALTH」のみを抽出するのはむしろ不自然である。
したがって、本件商標から「ステルス」の称呼が生じることはなく、「ステルステク」、「ステルステック」又は「ステルスティーイーシーエイチ」の称呼が生じる。
ウ 観念について
本件商標は、全体としてオリジナル性の高い造語であり、本件商標の構成全体から特定の観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、「STEALTH」の欧文字を標準文字により表してなる。
「STEALTH」との文字構成から、「ステルス」との称呼が生じる。
「STEALTH」との語の意味合いから、「こっそり、忍び」(甲3)との観念が生じる。
(3)本件商標と引用商標との比較
ア 本件商標は、「STEALTH TECH」の欧文字を標準文字により表してなる一方で、引用商標は、「STEALTH」の欧文字を標準文字により表してなる。両商標は、それぞれの構成に照らし、外観においては「STEALTH」の文字部分が共通するとしても、「TECH」の文字の有無という明白な差異を有するから、類似しない。
イ 本件商標からは「ステルステク」、「ステルステック」又は「ステルスティーイーシーエイチ」との称呼が生じる一方で、引用商標からは「ステルス」との称呼が生じる。両商標は、前半の「ステルス」の音が共通するとしても、後半における「テク」、「テック」又は「ティーイーシーエイチ」の音の有無という顕著な差異により、全体の語調、語感が著しく相違するから、類似しない。
ウ 本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「こっそり,忍び」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念において類似するとはいえない。
エ 以上より、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれも類似しないため、非類似である。
(5)登録例について
商標「○○ TECH」と商標「○○」との関係にある商標同士が、本件請求商品の商品分野において、異なる出願人に登録が認められている例が多数存在する。
これらの例をみれば、「○○」の語と「TECH」の語とを一体的なものとして捉えられている取引の実情に沿った審査がなされていると解するのが相当であり、本件商標もこれらと軌を一にするべきものであって、被請求人の主張は妥当である。
また、商標「STEALTH TECH」と商標「STEALTH」との関係にある商標同士が、同一又は類似する商品又は役務について、異なる出願人に登録が認められている例が存在する。
これらの例をみれば、「STEALTH」の語と「TECH」の語とを一体的なものとして捉えられている取引の実情に沿った審査がなされていると解するのが相当であり、本件商標もこれらと軌を一にすべきものであって、被請求人の主張は妥当である。

第4 当審の判断
1 本件商標について
(1)本件商標は、「STEALTH TECH」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、語間に1文字分の間隔を空けながらも、横一列に、まとまりのよい構成からなるから、一連一体の語を表してなると看取できるものであり、いずれかの文字部分が強い印象を与えるものではない。
(2)そして、本件商標の構成中、「STEALTH」の文字部分は、「こっそり、忍び」の意味を有する英語(甲3)であり、「TECH」の文字部分は、「科学技術」の意味を有する英語「technology」の略語に通じる(甲4、甲5)ところ、両語を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、各語の語義を結合したような漠然とした意味合いを連想させるとしても、具体的な意味合いまでは想起できない。
(3)請求人は、本件商標の構成中「TECH」の文字部分は、シューズ又はそのパーツがある種のテクノロジーを搭載したもの、すなわち、ある種の機能性を備えた品質であることを表示又は誇張するための品質表示として認識、理解されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いから、その構成文字中、出所識別標識としての機能を発揮する部分は「STEALTH」の文字部分といえるため、当該文字部分が需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部である旨を主張する。
しかしながら、本件商標は、上記(1)のとおり、まとまりのよい構成からなるから、一連一体の語を表してなると看取できるもので、いずれかの文字部分が強い印象を与えるものではない。
そして、本件商標の構成中「TECH」の文字部分は、「科学技術」の意味を有する英語「technology」の略語に通じるとしても、上記のようなまとまりのよい構成においては、「STEALTH」の文字部分と結合して、一連一体の語を構成すると理解するのが自然であるし、請求人の提出証拠によっては、当該文字部分から自他商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないというべき具体的な理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標の類否判断は、その構成文字全体の外観、観念及び称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである。
(4)以上によれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「ステルステック」などの称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
2 引用商標について
引用商標は、「STEALTH」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「こっそり、忍び」の意味を有する英語(甲3)であるが、我が国で親しまれた外来語とまではいえないから、具体的な意味合いまでを直ちに想起させるものではない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ステルス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
3 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、その構成文字に「STEALTH」の文字を含む点を共通にするが、語尾の「TECH」の文字部分の有無により、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、判別は容易である。また、称呼においては、語頭の4音「ステルス」を共通にするが、語尾の3音「テック」の有無の差異があるから、全体としての語調、語感は異なるものであり、聴別は容易である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、比較できない。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易であるから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品について使用されるときであっても、出所の混同を生じるおそれはなく、非類似の商標というべきである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本件商標の本件請求商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 矢澤 一幸
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2023-05-08 
結審通知日 2023-05-10 
審決日 2023-05-25 
出願番号 2017061412 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (W25)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 阿曾 裕樹
小田 昌子
登録日 2017-11-10 
登録番号 5995270 
商標の称呼 ステルステク、ステルステック、ステルス、テク、テック 
代理人 大窪 智行 
代理人 太田 清子 
代理人 川野 陽輔 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 柳田 征史 
代理人 江部 陽子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ