• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 審決却下 W1828
管理番号 1403725 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-09-13 
確定日 2023-10-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5674320号商標の商標登録取消審判事件についてされた令和2年5月12日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10114号、令和4年2月10日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5674320号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年5月9日に登録出願、第18類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同26年5月30日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年10月3日である。

第2 当審の判断
1 令和2年(行ケ)第10114号判決について
令和2年(行ケ)第10114号判決の判示事項は、以下のとおりである。
(1)認定事実
ア 被告は、適式な呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、原告主張の請求原因事実については争うことを明らかにしていない。
そして、証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
イ 原告及び原告が設立したBoast,Inc(以下「ボースト社」といい、原告及びボースト社を併せて「原告ら」という。)は、昭和48年(1973年)、米国フロリダ州において、「BOAST」ブランドに係る事業を立ち上げ、以後、主として米国内のスポーツクラブ、カントリークラブ、リゾート施設、スポーツチーム等に対し、「BOAST」ブランドに係る商標を使用して高級スポーツ衣類を販売してきた。
ウ 原告らは、平成22年(2010年)、Branded Boast,LLC(以下「ブランデッドボースト社」という。)に対し、米国内での「BOAST」ブランドに係る事業を売却し、これに伴い原告らが保有する「BOAST」ブランドに係る米国登録商標を譲渡した。
他方で、原告らは、米国を除く日本、中国、タイ等の国における「BOAST」ブランドに係る登録商標を引き続き保有し、これらの国で「BOAST」に係る事業を行う権利を留保した。
エ 原告は、平成24年(2012年)5月9日、日本において、本件商標の登録出願をし、平成26年(2014年)5月30日、本件商標の設定登録を受けた。
オ その後、原告らとブランデッドボースト社との間で、米国及びその他の国における「BOAST」ブランドに係る事業の取扱いに関し、法的紛争を生じた。
原告らとブランデッドボースト社は、平成27年(2015年)11月4日、米国フロリダ州南部地区連邦地方裁判所において、和解契約(以下「本件和解契約」という。)を締結した。
本件和解契約には、1 原告らは、「BOAST」の商号で「BOAST」商標を付した商品を米国外で自由に販売することができることを確認するの条項、2 ブランデッドボースト社は、世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨の条項が含まれていた。
カ 被告は、平成29年(2017年)10月3日、ブランデッドボースト社から、米国内の「BOAST」ブランドに係る事業を買収し、同社が保有する「BOAST」ブランドに係る米国登録商標の移転を受け、これに伴い、ブランデッドボースト社の本件和解契約に基づく契約上の地位を承継した。
キ 被告は、平成29年(2017年)12月頃、原告に対し、原告が保有する「BOAST」ブランドに係る本件商標を含む日本及びその他の国の登録商標の買取りを打診した。原告らと被告は、平成30年(2018年)2月15日付けで秘密保持・不使用契約を締結した上で、上記買取りについて協議を続けたが、合意には至らず、平成30年(2018年)3月、上記協議は中断した。
ク 被告は、平成30年(2018年)9月13日、本件商標の登録商標について、本件審判を請求した。
特許庁は、令和2年(2020年)5月12日、原告が本件審判の請求の登録前3年以内(要証期間内)に日本国内において原告、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について本件商標を使用していた事実を証明したものと認められず、また、本件審判の請求が信義則違反又は権利の濫用に該当するものとはいえないなどとして、本件商標の商標登録を取り消すとの本件審決をした。
(2)取消事由(信義則違反又は権利の濫用の判断の誤りの有無)について
ア 原告らとブランデッドボースト社が平成27年(2015年)11月4日に締結した本件和解契約には、1 原告らは、「BOAST」の商号で「BOAST」商標を付した商品を米国外で自由に販売することができることを確認する旨の条項、2 ブランデッドボースト社は、世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨の条項が存在することは、前記(1)認定のとおりである。
前記(1)認定の本件和解契約締結に至る経緯、本件和解条項の文言に鑑みると、本件和解条項の「世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない」にいう「妨害しない」との文言は、ブランデッドボースト社が、原告らが有する米国外で商標登録された「BOAST」ブランドに係る商号権及び商標権の有効性を争わない義務(いわゆる不争義務)を負うことを定めた趣旨を含むものと解される。
そうすると、ブランデッドボースト社は、本件和解契約に基づき、原告に対し、本件商標の商標権について不争義務を負うものと認められる。
そして、前記(1)カ認定のとおり、被告は、平成29年(2017年)10月3日、ブランデッドボースト社から、米国内の「BOAST」ブランドに係る事業を買収し、同社が保有する「BOAST」ブランドに係る米国登録商標の移転を受け、これに伴い、ブランデッドボースト社の本件和解契約に基づく契約上の地位を承継したのであるから、被告は、原告に対し、本件和解契約に基づいて、本件商標の商標権について不争義務を負うものと認められる。
イ 商標法50条1項が、「何人も」、同項所定の商標登録取消審判を請求することができる旨を規定し、請求人適格について制限を設けていないのは、不使用商標の累積により他人の商標選択の幅を狭くする事態を抑制するとともに、請求人を「利害関係人」に限ると定めた場合に必要とされる利害関係の有無の審理のための時間を削減し、審理の迅速を図るという公益的観点によるものと解される。
一方で、商標権に関する紛争の解決を目的として和解契約が締結され、その和解契約において当事者の一方が他方(商標権者)に対して当該商標権について不争義務を負うことが合意された場合には、そのような当事者間の合意の効力を尊重することは、当該商標権の利用を促進するという効果をもたらすものである。また、このように当事者間の合意の効力を尊重するとしても、第三者が当該商標権に係る商標登録について同項所定の商標登録取消審判を請求することは可能であるから、上記公益的観点による利益を損なうものとはいえない。
したがって、和解契約に基づいて商標権について不争義務を負う者が、当該商標権に係る商標登録について同項所定の商標登録取消審判を請求することは、信義則に反し許されないと解するのが相当である。
しかるところ、前記(1)認定のとおり、被告は、原告に対し、本件和解契約に基づいて、本件商標の商標権について不争義務を負うものであるから、被告による本件審判の請求は、信義則に反し、許されないというべきである。
これと異なる本件審決の判断は誤りである。
したがって、原告主張の取消事由は理由がある。

2 審決取消判決の拘束力について
本件商標に係る商標登録取消審判事件(以下「本件審判事件」という。)についてされた令和2年5月12日付け審決に対し、上記1のとおり、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10114号、令和4年2月10日判決言渡)があり、当該審決取消判決(以下「本件審決取消判決」という。)は、同年6月8日に確定した。
そして、商標登録取消審判事件に係る取消訴訟において、審決取消判決が確定したときには、審判官は、商標法第63条第2項で準用する特許法第181条第2項の規定に従い、当該審判事件についてさらに審理を行い、審決をしなければならないところ、再度の審理ないし審決には、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、当該審決取消判決の拘束力が及ぶ。

3 当審の判断
上記2に照らせば、本件審判事件の再度の審理ないし審決には、令和2年(行ケ)第10114号判決の拘束力が及ぶものである。
本件審判事件の審決は、互いの商標に係る権利等について妨害しないことを含む当事者間の本件和解契約の存在を認定しつつも、本件審判請求が専ら被請求人を害することを目的としていると認められる事情を見いだせないことを理由に、請求人(被告)による本件審判請求につき権利濫用を否定し、不使用取消審判制度趣旨及び登録商標の不使用を理由に登録商標を取り消す旨判断した。
これに対し、本件審決取消判決は、上記1のとおり、本件和解条項の「世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない」にいう「妨害しない」との文言は、不争義務(商標権等の有効性を争わない義務)を負うことを定めた趣旨を含むものと解されるなどとし、被告は、原告に対し、本件和解契約に基づいて、本件商標の商標権について不争義務を負うものであるから、被告による本件審判の請求は、信義則に反し、許されないというべきである旨判示した。
そして、上記2のとおり、本件審判事件の審理ないし審決においては、本件審決取消判決の拘束力が及ぶ以上、請求人(被告)による本件審判請求は、本件和解条項の「世界中でボースト社又は原告によるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない」にいう「妨害しない」との文言は、不争義務(商標権等の有効性を争わない義務)を負うことを定めた趣旨を含むものと解され、被告は、原告に対し、本件和解契約に基づいて、本件商標の商標権について不争義務を負うものであり、信義則違反又は権利の濫用に当たるというべきであるから、不適法な請求として却下すべきである。
以上のとおり、本件審判請求は、不適法な請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下すべきである。

4 まとめ
以上のとおり、本件審判請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下することとし、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 矢澤 一幸
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2023-05-16 
結審通知日 2023-05-18 
審決日 2023-05-30 
出願番号 2012036491 
審決分類 T 1 31・ 1- X (W1828)
最終処分 11   審決却下
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 小田 昌子
豊田 純一
登録日 2014-05-30 
登録番号 5674320 
商標の称呼 ボースト 
代理人 岩波 修 
代理人 工藤 莞司 
代理人 秋元 正哉 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 吉澤 大輔 
代理人 川島 麻衣 
代理人 魚路 将央 
代理人 黒川 朋也 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ