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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W20 |
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管理番号 | 1402862 |
総通号数 | 22 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-03-14 |
確定日 | 2023-09-13 |
事件の表示 | 商願2020−139418拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第20類「ソファー」を指定商品として、令和2年11月11日に登録出願されたものである。 本願は、令和3年4月8日付けで拒絶理由が通知され、同年10月8日付け意見書(以下「原審意見書」という。)が提出されたが、同年12月7日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同4年3月14日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、本願商標はその指定商品「ソファー」の採択し得る一形態を表した立体形状というのが相当であり、本願商標をその指定商品に使用しても、商品の形状として需要者は一般に認識するにすぎないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、提出された証拠を参照するも同条第2項の要件を具備するものと認めることはできない旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における職権による証拠調べ 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対して、令和4年12月22日付け証拠調べ通知書(以下「証拠調べ通知書」という。)によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点) 請求人は、上記第3の証拠調べ通知書に対し、令和5年3月31日付け意見書(以下「当審意見書」という。)を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べている。 1 証拠調べ通知書に記載された使用例は、本願商標の特徴点を全て共通にするものでないから、これらの使用例は、本願商標の識別力を否定する根拠にはならない。 2 本願商標が、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は、需要者の間で高い周知性を獲得しているといい得るものであるから、同条第2項の適用によって、登録されるべきものである。 第5 当審の判断 1 立体商標における商品の形状について 商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。 しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。 (1)商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 (2)また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 (3)さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。 以上、知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)第10555号 平成19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号 平成20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号 平成23年6月29日判決参照のこと。 2 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、3人掛け用背もたれ、3人掛け用座面(右端の座面は長くなっている。)、両サイドに肘掛け及びこれらを支える脚を有するという特徴を持つ立体的形状よりなるところ、本願商標は、「背もたれがあり、クッションの利いた長椅子。」(出典:広辞苑第7版(発行者:株式会社岩波書店))を意味する「ソファー」が取引される際の形状を表したものと認められる。 そして、証拠調べ通知書にて提示した別掲2のとおり、本願商標の立体的形状あるいはこれに類似する立体的形状が、請求人以外の者の取り扱いに係るソファーの立体的形状として、普通に使用されている事実があることが認められ、また、ソファーを取り扱う業界においては、ソファーの機能性及び美感の向上の観点から、背もたれ、座面、肘掛け及びこれらを支える脚等に多少のデザインを施すことは一般的に行われているものである。 そうすると、本願商標の立体的形状は、3人掛けソファーについて、機能又は美感に資することを目的として採用されたものと認められ、また、3人掛けソファーの形状として、取引者、需要者において、機能の向上又は美感の向上を目的とする形状の変更又は装飾等を施したものと予想し得る範囲のものであるから、それを超えて、上記形状の特徴をもって、商品の出所を識別する標識として認識させるものとはいえない。 以上のとおり、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、3人掛けソファーの立体的形状の一類型を表したものと認識するにとどまり、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 本願商標の使用による自他商品の識別性について 請求人は、原審意見書、審判請求書(以下「請求書」という。)及び当審意見書において、本願商標は、永年の使用により、既に自他商品の識別標識として機能し、かつ、周知性を獲得しているから、商標法第3条第2項の要件を充足しており、本願商標の登録は認められるべきである旨主張しているが、その前提として、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであることは、上記2のとおりである。 そこで、請求人の主張及び同人が提出した甲第1号証ないし甲第80号証を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について検討する。 なお、本審決において、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」のように省略して表示する場合がある。 (1)商標法第3条第2項について 商標法第3条第2項が、同条1項3号等所定の商標であっても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識することができるものについては、商標登録を受けることができるとする趣旨は、特定人が、当該商標を、その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として、永年の間、他人に使用されることなく、独占的排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商品(役務)に係る取引界においては、事実上、当該商標の当該特定人による独占的使用が事実上容認されているといえるので、他の事業者にその使用の機会を開放しておく公益上の要請が乏しくなるとともに、当該商標が、自他商品(役務)識別力を獲得したことにより、商標としての機能を備えるに至ったことによるものと解される(知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)10450号 平成19年4月10日判決言渡参照)(下線は、合議体が付与)。 そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて、前記判決に照らし、以下、判断する。 (2)原審意見書及び請求書における請求人の主張について 請求人が、本願商標に係るカウチソファー(以下「本件商品」という。)の販売を開始したのは10年前の2012年である。販売当初こそ年間39個と少ない販売数量であったが、翌年から全国の店舗での販売を開始したことから、年間約1,200個の販売に跳ね上がり、2014年以降は年間約5,000ないし8,000個の売上げを記録している。 本件商品は、請求人の国内の462店舗のうちの451店舗で販売されているほか、請求人のウェブサイト、あるいは楽天市場等の通販サイトを通して販売されている(甲2、甲3)。 請求人は宣伝広告にも力を入れており、本件商品を表示した全国紙の折り込みチラシ(甲4)による広告を、2019年に8回、2020年に1回、2021年に2回行っているほか、Instagram、Facebook、ニトリアプリの媒体においても広告を行っているところ(甲5)、これらの閲覧回数は各々約530,000回、約40,000回、約110,000回に上る。 2012年から2020年における本件商品の売上高及び販売数量は、2012年の売上高が4,590,000円、同年の販売数量が39台、2013年の売上高が165,110,000円、同年の販売数量が1,215台、2014年の売上高が623,140,000円、同年の販売数量が4,819台、2015年の売上高が957,510,000円、同年の販売数量が7,768台、2016年の売上高が900,480,000円、同年の販売数量が7,542台、2017年の売上高が866,980,000円、同年の販売数量が8,168台、2018年の売上高が859,490,000円、同年の販売数量が6,227台、2019年の売上高が826,240,000円、同年の販売数量が8,074台、2020年の売上高が802,040,000円、同年の販売数量が7,775台であり、2012年から2020年の累計売上高は6,005,580,000円、同期間の累計の販売数量は51,627台である(甲6)。 また、専門家が厳選したニトリおすすめのソファー14選にも選ばれており(甲7)、請求人以外のインテリア・家具等の販売を行っているサイト、店舗においても、人気商品として宣伝広告されているものである(甲8〜甲10)。 (3)当審意見書における請求人の主張について 本願商標が周知性を獲得していることを立証するために、2014年ないし2018年における、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、中日新聞、北海道新聞、岩手日報、河北新報、中國新聞、四國新聞に掲載した、本件商品の広告の一部を証拠として補充する。 2014年ないし2018年の間の各々新聞の発行部数は、読売新聞が約700ないし1000万部、朝日新聞が約400ないし800万部、毎日新聞が約200ないし300万部、産経新聞が約100ないし150万部、中日新聞が約200万部、北海道新聞が約100万部、岩手日報が約20万部、河北新報が約40万部、中國新聞が約50万部、四國新聞が約20万部である。 甲第12号証ないし甲第15号証は、2014年3月14日に、朝日新聞、北海道新聞、岩手日報及び中國新聞に掲載された広告であり、甲第16号証ないし甲第24号証は、2014年12月4日及び同月5日に、北海道新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、岩手日報、河北新報、中日新聞、中國新聞及び四國新聞に掲載された広告である。 甲第25号証は、2015年元日に、河北新報に掲載された広告であり、甲第26号証ないし甲第29号証は、2015年5月29日に、朝日新聞、産経新聞、河北新報、四國新聞に掲載された広告である。 甲第30号証及び甲第31号証は、2015年6月26日に、朝日新聞、産経新聞に掲載された広告であり、甲第32号証ないし甲第39号証は、2015年9月18日に、読売新聞、朝日新聞、北海道新聞、岩手日報、河北新報、中日新聞、中國新聞、四國新聞に掲載された広告である。 甲第40号証ないし甲第47号証は、2015年10月30日に、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞、岩手日報、河北新報、中日新聞、中國新聞に掲載された広告であり、甲第48号証ないし甲第55号証は、2015年12月4日に、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、岩手日報、河北新報、中日新聞、中國新聞、四國新聞に掲載した広告である。 甲第56号証ないし甲第63号証は、2016年元日に、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞、河北新報、中日新聞、中國新聞に掲載された広告であり、甲第64号証ないし甲第71号証は、2017年12月1日に、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、北海道新聞、岩手日報、中日新聞、中國新聞、四國新聞に掲載された広告である。 甲第72号証ないし甲第74号証は、2018年6月21日及び同月22日に北海道新聞、岩手日報、河北新報に掲載された広告であり、甲第75号証ないし甲第80号証は、2018年7月12日及び同月13日に読売新聞、毎日新聞、北海道新聞、岩手日報、中國新聞及び四國新聞に掲載された広告である。 全国紙及び地方紙を媒介とした新聞掲載広告からも、請求人が、莫大な宣伝広告料と労力を投じて、本件商品の宣伝広告活動を行っていたことが容易に理解できるものである。 したがって、本願商標は、その販売数量のみならず、連綿盛大な宣伝広告とも相まって、需要者の間で高い周知性を獲得しているといい得るものである。 (4)事実認定 ア 本件商品の使用開始時期・使用期間及び使用地域 請求人の主張によると、本件商品は、2012年から販売が開始されて以降、請求人の日本国内の462店舗のうちの451店舗並びに請求人のウェブサイト及び楽天市場等の通販サイトにより、継続的に販売されている旨主張するが、本件商品の販売期間は10年程度である。 イ 商品の販売数量及び売上高 請求人は、本件商品は、2012年から販売を開始し、2012年から2020年までの総販売数量は約5万1千個、総売上高は約60億円である旨主張する(甲6)が、係る売上げ規模が、本願の指定商品を取り扱う業界においてどの程度のものであるのか多寡を確認することができない。 ウ 広告宣伝の期間・地域及び規模 請求人は、本件商品について、新聞の折り込みチラシ(甲4、甲12〜甲80)及びInstagram、Facebook、ニトリアプリの媒体(甲5)により広告を行っている旨主張するところ、当該チラシ等に掲載されている本件商品の写真は、3人掛けソファーの色、形状及び価格等を紹介しているにすぎず、また、当該チラシには、「ニトリネット」の文字や請求人の略称である「ニトリ」の文字も使用されている。 さらに、専門家が厳選したニトリおすすめのソファー14選(甲7)、請求人以外者による本件商品の紹介記事(甲7〜甲10)を確認しても、これらの記事には、請求人の略称である「ニトリ」の文字が使用されている。 加えて、請求人は、本件商品に関するテレビCMの有無や、宣伝広告費等についてなんら言及していない。 エ 本願商標に類似する同種商品の存否 本件商品は、背もたれ、肘掛、座面及びこれらを支える脚から構成される3人掛けカウチソファーであるところ、別掲2のとおり、本件商品以外にも、商品「ソファー」の形状として、本願商標と近似する形状が普通に使用されている事実がある。 (5)判断 請求人は、本件商品を2012年に販売を開始して以降、請求人の店舗及びインターネットを通じて、継続的に販売しているとしても、本願商標の使用期間が、約10年間であることから、必ずしも永年とはいい難く、本件商品の販売数量、売上高、市場占有率、広告宣伝等について、客観的な評価をすることができず、また、別掲2のとおり、本願商標と近似する形状が、請求人以外の者によって商品「ソファー」に普通に使用されている事実があり、さらに、折り込みチラシ等における宣伝広告や請求人以外の者による本件商品の紹介は、「ニトリ」の文字の記載とともになされていることからすると、本願商標は、その立体的形状が、需要者に対して独立した出所識別標識として理解されているとはいい難い。 そうすると、本願商標が商品「ソファー」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。 4 請求人の主張について (1)請求人は、当審意見書において、証拠調べ通知書に記載された使用例は、本願商標の特徴点を全て共通にするものでないから、これらの使用例を根拠に、本願商標の識別力を否定する根拠にはならない旨主張する。 しかしながら、上記第5の2のとおり、本願商標は、3人掛け用背もたれ、3人掛け用座面(右端の座面は長くなっている)、両サイドに肘掛け及びこれらを支える脚を有するという特徴を持つ立体的形状よりなるものであるところ、本願商標は、その指定商品「ソファー」が取引される際の形状を表したものと認められ、また、別掲2のとおり、本願商標の立体的形状あるいはこれに類似する立体的形状が、請求人以外の者が取り扱うソファーの立体的形状として、普通に使用されている事実があることが認められ、さらに、ソファーを取り扱う業界においては、ソファーの機能性及び美観の向上の観点から、背もたれ、座面、肘掛け及びこれらを支える脚等に多少のデザインを施すことは一般的に行われている。 そして、請求人は、証拠調べ通知書に記載された本願商標と近しい形状の商品は、本願商標の形状に倣ったものである旨主張するが、別掲2で示す請求人以外の者による使用例が、本願商標の形状に倣って製造されたものであると判断し得る客観的な証拠は存在しない。 そうすると、本願商標の立体的形状と同一形状のソファーが存在しないとしても、本願商標は、その指定商品「ソファー」の立体的形状の一類型にすぎないことを容易に認識させるものである。 (2)請求人は、本願商標が仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標の使用開始時期や使用地域等を考慮すれば、同条第2項に規定する要件を満たし、登録されるべきものである旨主張する。 しかしながら、上記第5の3のとおり、本願商標は、請求人により商品「ソファー」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 (3)請求人の上記主張は、いずれも採用することができず、その他の請求人の主張も採用することはできない。 5 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願商標。色彩は原本参照。) ![]() 別掲2(本願の指定商品である「ソファー」を取り扱う業界において本願商標と近似する形状が普通に使用されている事実) (1)「YAHOO!ショッピング」の「大宝家具」のウェブサイトにおいて、「カウチソファ 革張り コーナー 3人用 L型 肘付き リビング 3P カウチソファ リビングソファ 本革 PVC レッド 赤 3人掛け 肘掛け付き 脚付き シンプルモダン L字 シェーズロング 合成皮革 合皮 大型」の見出しの左に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://store.shopping.yahoo.co.jp/taiho-kagu/3720090000.html?sc_e=afvc_shp_2327384%23 ![]() (2)「Rakuten」の「MANABE NET SHOP」のウェブサイトにおいて、「高級感のある本革を使用したカウチソファで贅沢なくつろぎを」の記載の上に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://item.rakuten.co.jp/manabe-interior-hearts/334619/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_109_1_10000237 ![]() (3)「YAHOO!ショッピング」の「eFindsYahoo!ショップ」のウェブサイトにおいて、「カウチソファ アルビノ 右カウチ ファブリック ハイバック 撥水 布製 おしゃれ スタイリッシュ 金属脚 メタル脚 インテリア LDK 1人掛け」の見出しの左に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://store.shopping.yahoo.co.jp/e-finds/128-01961.html# ![]() (4)「Rakuten」の「Modern Interior Rick」のウェブサイトにおいて、「color variation 部屋の雰囲気に合わせて、カフェ・ライトグレー キャメル・カカオ・ダークブラウンの5色からお選び頂けます。」の記載の下に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://item.rakuten.co.jp/rick-store/ww-104/ ![]() (5)「Rakuten」の「Gamadas」のウェブサイトにおいて、「wide252cm ヘッドリクライニング付」の記載の下に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://item.rakuten.co.jp/kagu-gamadas/rsofa-1123-hilton/ ![]() (6)「SOFA STYLE」のウェブサイトにおいて、「Design デザイン 美しいモダンデザイン 6万人を魅了したフォルム」の記載の下に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://www.sofastyle.jp/products/detail.php?product_id=211009 ![]() (7)「城山家具」のウェブサイトにおいて、「2P右肘・左カウチソファ2点セット」の見出しの左に、本願商標と近似する形状が商品「ソファー」に使用されている事実がある。 https://www.shiroyamakagu.jp/blog/18283/ ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2023-06-30 |
結審通知日 | 2023-07-03 |
審決日 | 2023-07-27 |
出願番号 | 2020139418 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W20)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
豊田 純一 |
特許庁審判官 |
杉本 克治 岩谷 禎枝 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 弁理士法人鈴榮特許綜合事務所 |