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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1400548 
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-08-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-04-02 
確定日 2023-06-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4598930号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4598930号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成13年4月3日に登録出願、第42類「電子計算機を用いて行う情報処理,情報処理システムの企画・立案・開発・評価・保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機及び電子計算機用プログラムの研究開発又は試験,電気通信機械器具・電子応用機械器具及びその部品の設計・試験・検査・研究・開発及びそれらに関する相談,コンピュータネットワークの設計に関する相談,電子計算機データベースの設計に関する相談・助言,電子応用機械器具及びその部品の賃貸」を含む第42類に属する役務並びに第7類、第9類、第35類、第37類、第38類、第40類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年8月23日に設定登録され、同24年7月17日及び令和4年8月25日に存続期間の更新登録がなされているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、2019年(平成31年)4月17日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(2016年(平成28年)4月17日〜2019年(平成31年)4月16日)を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第42類「電子計算機を用いて行う情報処理,情報処理システムの企画・立案・開発・評価・保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機及び電子計算機用プログラムの研究開発又は試験,電気通信機械器具・電子応用機械器具及びその部品の設計・試験・検査・研究・開発及びそれらに関する相談,コンピュータネットワークの設計に関する相談,電子計算機データベースの設計に関する相談・助言,電子応用機械器具及びその部品の賃貸」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下1のように述べた。
1 請求の理由
請求人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その役務についての登録は取り消されるべきである。
2 弁駁について
請求人は、令和元年7月2日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和元年8月29日付け上申書(以下「上申書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第38号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、乙第15号証は、次いで乙第15号証の2が提出されているので、以下、乙第15号証を「乙第15号証の1」と読み替える。
また、以下、乙各号証の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 答弁の理由
(1)答弁書による主張の要旨
本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)である「丸紅情報システムズ株式会社」(以下「丸紅情報システムズ社」という。)は、要証期間に、我が国において、本件審判請求に係る指定役務中、「コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」について、本件商標を使用している。
(2)本件商標の使用事実
ア 商標の使用者
丸紅情報システムズ社は、1965年(昭和40年)5月19日に創立され、コンピュータ、ネットワーク、情報システム等における最先端技術を基軸として、あらゆる産業のITライルサイクル全般に対するソリューションの提供を事業内容とし、システム・ソフトウェアやハードウェアの販売・貸与、コンピュータシステムの企画・設計・開発等を行う企業である(乙3)。
イ 使用に係る役務
丸紅情報システムズ社は、セキュリティーソフトウェアのインストール及び保守、コンピュータ及びそのシステムに関する助言やアドバイスを行っており、これは第42類「コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に該当する。
丸紅情報システムズ社は、これら役務について本件商標を使用しており、また、同社は、コンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体、コンピュータソフトウェアから構成される「MSOLOCK」シリーズ商品及びこの保守サービスの販売を行っている(乙4、乙5)。
「MSOLOCK」シリーズ商品(以下「MSOLOCK商品」という。)とは、iKeyと呼ばれるUSB認証キーと専用セキュリティーソフトウェアからなる商品であり、コンピュータやコンピュータ内のファイル、コンピュータネットワーク等へのアクセスを制御するためのコンピュータソフトウェアであり、「MSOLOCK PRO」、「MSOLOCK」、「iKey for VPN」、「MSOLOCK FSS」等のラインナップがある(乙4、乙5)。
丸紅情報システムズ社は、MSOLOCK商品の開発を株式会社ローレルインテリジェントシステムズ(以下「ローレルインテリジェントシステムズ社」という。)に委託し、同社がこれを受託し、開発した商品を丸紅情報システムズ社に納入している(乙6、乙7)。
MSOLOCK商品は、コンピュータ、コンピュータ内のファイルや企業VPN(バーチャルプライベートネットワーク通信事業者の公衆回線を経由して構築された仮想的な組織内ネットワーク)等への不正アクセスを制御するためのコンピュータソフトウェア及びコンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体であり、その特長はiKeyというUSB認証キー(トークンともいう)を使用する点にある。
コンピュータセキュリティではコンピュータやコンピュータネットワークにパスワードをかけることが重要であるが、いくつものパスワードを記憶することは困難である。しかし、iKeyは、複数のパスワードを格納・管理し、様々なパスワードの代わりとして使用でき、上記問題を解決できる。かかる利便性からセキュリティ対策に関心のある省庁、企業が顧客として名を連ねている。
かかるコンピュータセキュリティソフトは、その販売時に契約によって保守サービスとセットで販売されることが多く、顧客からの問い合わせに対する電話又はメールでの回答、パソコンのOSのアップデートへの対応としての新しいソフトウェアの提供、ハードウェアの故障時における認証デバイスの提供等の保守サービスを行っている。
ウ 商標の使用時期と使用態様
(ア)丸紅情報システムズ社は、2017年(平成29年)9月11日にMSOLOCK商品の導入・購入を検討する顧客に向けて「MSOLOCK FSS/セキュリティシステム ご紹介資料」を電子メール等で送付しており(乙8、乙9)、当該資料の9頁目に「サポート概要」という見出しの下に、MSOLOCK商品の「MSOLOCK PRO」等とともに本件商標が使用されている。
2017年(平成29年)10月12日には、顧客からMSOLOCK iKey for VPNの導入を検討している他の顧客のために後継商品(MSOLOCK FSS)と保守費用5年間の見積もりを求められている(乙10)。メール中にある「添付資料のMSOLOCK FSS」とあるのは、「サポート状況」という資料である(乙11)。
2016年(平成28年)11月16日には、丸紅情報システムズ社からメール(乙12)によって顧客に対して本件商標が付された「MSOLOCK PRO サポート」という資料(乙13)が送付されており、当該メールは、顧客が官公庁にMSOLOCK商品を導入することを提案しており、その提案に際して使用するMSOLOCK商品の資料や情報を同社に求めたやり取りである。
2017年(平成29年)11月15日には、丸紅情報システムズ社からメール(乙14)で顧客に対して「20170311_FSS 資料(N3)」が送付されている。MSOLOCKの後継のMSOLOCK FSS商品の提案に関するやり取りであり、乙第9号証と同様、9頁目に本件商標が付されている。
2017年(平成29年)11月16日に、丸紅情報システムズ社が取引先に送信したメール(乙15)にMSOLOCK FSSセキュリティシステム ご紹介資料が添付されており、この資料は乙第9号証の資料と同様であり、9頁目に本件商標が付されている。乙第15号証のメールは、取引先の顧客がMSOLOCK商品の導入を検討しているため、取引先が丸紅情報システムズ社に対して問い合わせ等をしているやり取りである。
2017年(平成29年)10月9日(審決注:「9日」は「6日」の誤記と認める。)のメールでは、取引先の顧客が導入を検討しているMSOLOCK商品について、導入される端末のOSについて「WindowsXPはEmbeddedでなくProfessionalでよろしいでしょうか。HOMEや64bit等 特殊の場合お教えいただければ幸いです。(中略)その他、スタンドアロン構成か仮想マシンのXP等によってもご提案する製品や構成がことなる可能性がありますのでお伺い際、いろいろ想定して準備をしておきます。」とあり、同月26日に丸紅情報システムズ社が送信したメールでは「もし候補日をいただければお伺いしてそれぞれのデモをさせていただき、実機があれば、初回のインストールまでいたします。」とある。
2017年(平成29年)11月9日に、丸紅情報システムズ社が送信したメールでも「3製品をお持ちします。そこで、資料で簡単に説明をさせていただきデモをお見せしてインストールを考えております。」とあり、同月16日に、同社が送信した前記メールにおいて「明日 製品カタログ 添付の資料 をお持ちします。(中略)ただし、資料で簡単に説明いたしますが、この製品は動きを見ていただ方がわかりやすいと思います。そのため、20171112_PCログオン制御.pptxの資料にて簡単に製品の違いを説明しデモを見ていただき、製品を選択いただこうと思っております。(中略)PCに実際にインストールを行い、実際に試していたきたいと思っております。」とある。このインストールなどについては、丸紅情報システムズ社が発行した見積書にも表れている(乙15の2)。
添付資料(乙16)からこの際に検討された3製品はMSOLOCK PRO、Etoken NLO、MSOLOCK FSSであることが分かり、MSOLOCK商品のインストールは電子計算機用プログラムの保守に含まれ、また、丸紅情報システムズ社は、MSOLOCK商品の環境設定に関する助言を行っており、これはコンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティングに含まれる。
上記各資料は、MSOLOCK商品及びその保守、コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティングについての広告に該当し、メールでの顧客への送信は電子計算機用プログラムの保守の広告に標章を付して頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
(イ)丸紅情報システムズ社から製品を購入すると、「1.USB認証キー(その内部にライセンスが暗号化されて保存されている)」、「2.ライセンス証書」及び「3.インストーラ(ソフトウェア)」等が購入者に送付される。
そして、インストーラをコンピュータで実行してインストールした後、USB認証キーを挿入して、各USB認証キーにパスワード等設定することでUSB認証キーが利用できるようになる。
iKey for VPN、MSOLOCK又はMSOLOCK PROのインストーラをコンピュータに実行すると乙第17号証の画面又は同様のインストーラ画面となり本件商標が表れる。
その後、USB認証キーをコンピュータのUSBコネクターに差し込むと、USB認証キーにパスワードなどを設定するためのソフトウェアが立ち上がり、その画面にも本件商標が表れる(乙18)。
また、MSOLOCKセキュリティオフィサーというUSB認証キーの管理ソフトに関するコンピュータ側の設定をする際に使用される画面にも本件商標が表れる(乙19)。
インストーラのインストールの手順(乙17)、USB認証キーの設定(乙20)、セキュリティオフィサーの設定(乙21)の手順は、丸紅情報システムズ社のウェブサイトにおいても公開されており、そこにも本件商標が付されている。
「iKey for VPN Windows 7対応 ライセンス & サポート費用」(乙25)他の請求書等に表れる「保守」を購入すると、注文書に記載の保守期間中、MSOLOCK等の製品用ソフトウェアを使用できること、故障したUSB認証キーやインストーラ等の交換、問い合わせへの対応、インストールがうまくできない場合の出張サポート、顧客からの問い合わせに対する電話又はメールでの回答、パソコンのOSのアップデートへの対応としての新しいソフトウェアの提供、ハードウェアの故障時における認証デバイスの提供等の保守サービスを受けられる。
MSOLOCK商品のサポート・保守サービスは、商品とセットの関係にあり、本件商標の使用は、製品及び当該製品のサポート・保守の出所を同時に表すものである。
よって、上記使用は電磁的方法により行う映像面に標章を表示して役務を提供する行為(商標法第2条第3項第7号)に該当する。
エ 取引実績
丸紅情報システムズ社は、本件商標を付した商品であるコンピュータ用プログラムを記憶した記録媒体、コンピュータソフトウェア及びコンピュータセキュリティソフトの保守サービスを提供する旨の契約を締結している。
乙第12号証及び乙第13号証での製品・サービスの提案により、2016年(平成28年)12月14日に顧客から丸紅情報システムズ社に発注がされ、丸紅情報システムズ社が注文請書を発行しており、注文書及び注文請書には「MSOL FSS 保守」の文字があり、保守についても注文がされていることが分かる(乙22、乙23)。
2017年(平成29年)1月20日に取引先から「MSOLOCK PRO ○○○グループ様向けNewトークン色 黒 仕様 PINは15回/2年間保守付、Windows7 32bit 対応ライセンス込」、数量30の発注を受け(乙24)、同日に丸紅情報システムズ社は商品の仕入元であるローレルインテリジェントシステムズ社に対し、「iKey for VPN Windows 7対応 ライセンス & サポート費用(2年間)/※○○○グループ様向け/ユーザー数:30」を、○○○グループに納入するように注文した(乙25)。
また、2017年(平成29年)1月27日に、納品を促す注文書を送付し(乙26)、同日に、丸紅情報システムズ社は、取引先に対して当該商品の請求書を発行するとともに、納品しており(乙27)、請求書には「(2年間保守付き、Windows7 32bit対応ライセンス込み)」の記載がある。
2017年(平成29年)3月28日には丸紅情報システムズ社がMSOL FSS等一式とMSOL FSS保守を顧客に納品しており(乙28)、これは、乙第22号証の発注書に対応するものである。
上記広告の頒布日である2016年(平成28年)11月16日から2017年(平成29年)11月16日は、要証期間である。
オ 本件商標と使用商標
本件商標は、中央に「mSOL」の欧文字をやや縦長に表しデザイン化した文字を横一段書きし、その下に欧文字の4分の1ほどの大きさで片仮名「エムソル」を横書きし、欧文字の背景にS字状にリボンで形取ったような赤色の図形が施されている。
使用商標は、本件商標から片仮名部分を削除したものであって、同一の称呼及び観念を生じる商標であり、外観において同視される図形からなる社会通念上同一と認められる商標である。
以上のことから、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定役務中「コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティング,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」に、登録商標と社会通念上同一の商標を使用していることが明らかである。
2 上申書による主張の要旨
丸紅情報システムズ社は、2016年(平成28年)4月22日付け電子メール(乙29)にて、仲介会社Bから顧客Aに対してMSOL―FSSやこれを用いたセキュリティソフトの紹介及び商品紹介の際に使用する資料の送付を依頼された。
これを受けて、丸紅情報システムズ社は、2016年(平成28年)4月26日に、仲介会社Bに宛てて、紹介資料及びサポート状況を送付した(乙30)。
サポート状況資料には、MSOL FSS商品の写真、名称の横に本件商標が表示されている。
これらの丸紅情報システムズ社の商品紹介に基づき、丸紅情報システムズ社は、2016年(平成28年)7月28日に、仲介会社B宛てに、MSOL FSS 基本パッケージ 数量50等についての見積書(乙31)を発行し、これを受けて、仲介会社Bは同年8月2日に丸紅情報システムズ社に対して、注文書(注文番号 E7UMW9)(乙32)を発行し、これを受けて、丸紅情報システムズ社は同年11月30日に請求・納品(控)(注文番号 E7UMW9)(乙33)を発行した。
また、仲介会社Bは丸紅情報システムズ社に対して、2016年(平成28年)10月26日に注文書(注文番号 TDT419)(乙34)を発行し、これを受けて、丸紅情報システムズ社は仲介会社Bに2017年(平成29年)1月30日に請求・納品(控)(注文番号 TDT419)(乙35)を発行した。
さらに、丸紅情報システムズ社は、2016年(平成28年)10月25日に仲介会社B宛てに、MSOL FSS 基本パッケージ 数量50等の保守についての見積書(乙36)を発行し、同年11月28日に仲介会社Bから注文書(注文番号 E7Y3X2)(MSOL FSS保守を含む。)(乙37)が発行され、2017年(平成29年)1月30日に、丸紅情報システムズ社から仲介会社Bに請求・納品(控)(注文番号 E7Y3X2)(乙38)が発行された。
丸紅情報システムズ社による顧客Aに対するMSOLOCK FSS商品及びこれを用いたシステムの紹介は、コンピュータセキュリティシステムの導入及び顧客のコンピュータシステムの保護に関する助言も含まれるものであり、コンピュータ及びそのシステムに関するコンサルティングに該当するものである。
また、丸紅情報システムズ社の資料にあるように、同社は、MSOLOCK FSS商品のサポート・保守(電子計算機用プログラムの保守)も行っている。
MSOLOCK FSS導入作業はコンピュータソフトウェアであるMSOLOCK PROのアンインストール及びMSOLOCK FSSのインストール作業を含むものであり、これは電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守が含まれる役務である。
「顧客A様 SSL−VPN及びFW経常費」にはMSOLOCK FSSの保守が含まれ、これは電子計算機用プログラムの保守に該当する。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者である丸紅情報システムズ社は、1965年(昭和40年)5月19日に設立され、ITライフサイクル全般に対するソリューションの提供を事業内容とし、システム・ソフトウェアやハードウェアの販売・貸与、コンピュータシステムの企画・設計・開発等を行う企業であり、本件商標の使用者である(乙3)。
(2)丸紅情報システムズ社が作成した「MSOLOCK FSS/セキュリティシステム ご紹介資料」(乙9)の9頁の「サポート概要」のタイトルの下に「MSOLOCK PRO」の概要が記載されており、「MSOLOCK PRO」には、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が使用されていることが確認できる(乙9)。
そして、本件商標は、別掲1のとおり、やや縦長にデザイン化した「mSOL」の欧文字(以下「mSOL」という。)を横書きし、その下に、「mSOL」の4分の1ほどの大きさで「エムソル」の片仮名を横書きし、「mSOL」の背景にS字状にリボンで形取ったような赤色の図形(以下「S字リボン図形」という。)を配してなるものであり、使用商標は、「mSOL」を横書きし、「mSOL」の背景にS字状リボン図形を配してなるものである。
そして、本件商標の構成中の「エムソル」の片仮名は、「mSOL」の読み方を表記したものとみるのが自然であることに加え、本件商標と使用商標は、「mSOL」及び「S字リボン図形」を共通にし、これらは特定の観念は生じないものであることからすると、本件商標と使用商標は、外観において同視することができ、称呼及び観念における相違はないことから、両者は社会通念上同一の商標と判断し得るものである。
(3)株式会社○○エンジニアリング(「○○」は塗りつぶされている。以下、「○○エンジニアリング社」という。)は、2017年(平成29年)1月20日に丸紅情報システムズ社に対し、「MSOLOCK PRO」の貸与の発注を行っている(乙24)。
そして、「MSOLOCK PRO」は、丸紅情報システムズ社が作成した電子計算機用プログラムであるから、「MSOLOCK PRO」の貸与は、本件審判請求に係る指定役務中の「電子応用機械器具及びその部品の賃貸」の範ちゅうに属する役務である。
また、「○○エンジニアリング社」が、丸紅情報システムズ社に対し、「MSOLOCK PRO」の貸与の発注を行った2017年(平成29年)1月20日は、要証期間である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標権者である丸紅情報システムズ社は、同社作成の電子計算機用プログラム「MSOLOCK PRO」の貸与を要証期間である2017年(平成29年)1月20日に顧客から発注を受け、当該「MSOLOCK PRO」には、本件商標と社会通念上同一と判断できる使用商標が使用されている。
また、電子計算機用プログラム「MSOLOCK PRO」の貸与は、本件審判請求に係る指定役務中の「電子応用機械器具及びその部品の賃貸」の範ちゅうに属する役務である。
そして、電子計算機用プログラムの貸与に関し、貸与の対象となる当該電子計算機用プログラムに本件商標と社会通念上同一の商標を付す行為は、商標法第2条第3項第6号に規定する「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務中「電子応用機械器具及びその部品の賃貸」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 (本件商標。色彩は原本参照。)


別掲2(使用商標。色彩は原本参照。)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
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審理終結日 2023-04-18 
結審通知日 2023-04-20 
審決日 2023-05-02 
出願番号 2001030687 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z42)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 杉本 克治
小田 昌子
登録日 2002-08-23 
登録番号 4598930 
商標の称呼 エムソル、エス、エムゾル 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 金原 正道 
代理人 神蔵 初夏子 

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