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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1399746 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-12 
確定日 2023-06-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6566973号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6566973号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6566973号商標(以下「本件商標」という。)は、「Arrowmark」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年11月22日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同4年5月24日に登録査定され、同年6月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4394775号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲のとおり
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成11年5月10日
設定登録日 平成12年6月23日
(2)登録第3140490号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 ARROW
指定役務 第42類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成4年5月7日
設定登録日 平成8年4月30日
(3)登録第3140491号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲のとおり
指定役務 第42類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成4年5月7日
設定登録日 平成8年4月30日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
なお、申立人は、登録異議申立書について補正できる期間(理由補充期間。商標法第43条の4第2項。)経過後に、上申書をもって甲第20号証ないし甲第95号証(申立人のウェブサイト、海外の登録証等)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類似性
(ア)本件商標
本件商標は、欧文字「Arrowmark」を標準文字で表してなるが(甲1)、該商標の構成中「Arrow」は「矢、矢に似たもの、矢印」などを、また、「mark」は「印、跡、目印、標章」などを意味する平易な英単語である(甲5、甲6)。そのため、本件商標は、「Arrow」と「mark」の2語を組み合わせた結合商標と容易に認識され得る。
上述のとおり、本件商標の構成中、欧文字「mark」は、平易な英単語であるが、日本語の辞書でも、「マーク(mark)」は、「記号」等を意味する語として収載されている(甲7)。そのため、「mark」の語は、日本語化するほどに一般社会の人たちに馴染まれ知られているといえる。
また、「マーク(mark)」の文字は、商取引の実情に照らし一般に、「○○(の)マーク」のように、他と区別するための印であることを表わす語として用いられていることは、その使用例(甲8〜甲11)からも明らかである。
そのため、「mark」の文字部分は、自他商品の識別標識として機能がないか、若しくは極めて弱いということがきる。
以上のとおり、本件商標を構成する「Arrow」と「mark」は平易な英単語であり、本件商標は「Arrow」と「mark」の2語を組み合わせたものと容易に認識される。そして、欧文字「Arrow」は、本件商標の指定商品の取引者、需要者に、出所識別標識として認識されるものであるのに対し、欧文字「mark」は、「他と区別するための印」を意味する表示であると認識される自他商品の識別標識として機能がないか、極めて弱い語である。それゆえ、本件商標は、その前半部分「Arrow」が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
また、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、本件商標が一体不可分のものとしてのみ把握されるべき特別な事情及び証拠は認められない。
したがって、本件商標の要部は「Arrow」の文字部分にあり、これより「矢」といった観念と、「アロー」の称呼が生じるというべきである。
(イ)引用商標
引用商標は、いずれも欧文字「ARROW」からなるが(甲2〜甲4)、上記(ア)のとおり、「ARROW」は「矢、矢に似たもの、矢印」などを意味する平易な英単語である。
(ウ)本件商標と引用商標の類否
そこで、本件商標の要部と引用商標を比較すると、両者は同一の文字構成よりなり、これより「矢」といった観念と「アロー」の称呼が生じるものであるから、両商標は互いに類似する。
(エ)審決
上記主張は、過去の審決(甲13〜甲15)にも沿うものである。
イ 指定商品の類似性
本件商標の指定商品は、引用商標1の「電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」と類似の関係にあることは明らかである。
また、インターネットの普及を背景とする電子商取引の急速な拡大に応じて、これまでCD−ROM、書籍等有体物として流通していたコンピュータソフトウェアや書籍などの情報財が、ダウンロード等の技術を用いてネットワークを通じて取引される形態により提供されるようになった。このような本件商標の指定商品「コンピュータソフトウェア」における取引の実情を考慮すれば、本件商標の指定商品と引用商標2及び3の指定役務とは、同一の事業者によって製造・販売及び提供するのが、当該業界において通例となっている。本件商標の上記商品と引用商標2及び3の役務とは、取引の対象、取引の形態、流通経路等が共通する場合が多いため、両者は類似するといえる。
ウ 市場における混同のおそれ
さらに、商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならず、ここでいう「取引の実情」には引用商標の周知・著名性も含まれることは経験則によっても認められている(東京高裁判決 平成13年(行ケ)第277号。甲16)。
引用商標は、日本を含む、世界80か国に345か所以上のグローバルネットワークを通じて、12万社以上の電子部品及び企業向けに、半導体、電子部品、パソコン周辺機器、情報関連機器を供給する世界最大の電子機器のディストリビュータのハウスマークとして永年使用し(甲15、甲16)(決定注:「甲17、甲18」の誤記と認める。)、また、莫大な費用と労力を投じて、世界各国に商標登録することにより引用商標に化体した商標の保護を図ってきた(甲17)(決定注:「甲19」の誤記と認める。)。
そのため、具体的な取引状況の下では、引用商標の著名性ゆえに、両商標の出所の混同のおそれが増幅される。したがって、商品の取引の実情に照らしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は外観、称呼及び観念のいずれにおいても引用商標と類似し、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する。また、商品の取引の実情に照らしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかであることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上述のとおり、半導体、電子部品、パソコン周辺機器、情報関連機器を供給する世界最大のディストリビュータのハウスマークとして、本件商標の指定商品の分野において、本件商標の出願日以前に周知・著名なものとなっていたものである。
本件商標は、申立人の周知・著名商標をそのまま含んでおり、引用商標とは関連付けて認識される可能性があるもので、両商標の類似性の程度は決して低いとはいえない。そのため、引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、当該商品が恰も申立人の業務に係るものであるか、あるいは、申立人と組織的・経済的に何らかの関係にあるものの業務であるかの如く誤認し、商品の出所について混同するおそれがあることは明らかである。
したがって、仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当すると認められないとしても、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品及び役務と出所の混同が生ずるおそれが高いものであり、本件商標は同項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、東京都港区に本社を置く申立人の子会社「アロー・エレクトロニクス・ジャパン株式会社」(前身を含む。)は、1983年1月に設立され、半導体、電子部品の国内及び海外販売などを行っていること、同社は自己のウェブページに別掲のとおりの商標(以下「使用商標」という。)を表示していること、申立人は、2017年の売上高が268億米ドルであり、従業員数1.9万人、80か国に345の拠点を有していることなどが認められる(甲17)。また、申立人を2021年の電子機器ディストリビュータの1位にランク付けしている記事があること(甲18)などがうかがえる。
しかしながら、使用商標を使用した商品及び役務の我が国における売上高など取引の実績を示す主張はなく、その証左は見いだせない。
イ そうすると、使用商標及びそれと同一の態様からなる引用商標1及び引用商標3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人及びアロー・エレクトロニクス・ジャパン株式会社(以下、両者をあわせて「申立人等」という。)の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、いずれも我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標2は、我が国で使用されている事実が確認できないから、申立人等の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
ウ なお、申立人は、外国における商標登録の事情などを主張、立証して、引用商標が我が国において周知である旨主張しているが、外国における商標登録の事情が我が国の需要者の認識に直接反映されるとはいい難く、上記判断を覆し得ない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
(ア)本件商標は、上記1のとおり「Arrowmark」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に載録された既成語ではないから、特定の観念を生じない造語というのが相当である。また、造語は、通常、我が国において親しまれたローマ字又は英語の読みに倣って発音されるものであるから、「Arrowmark」の欧文字は、「アローマーク」の称呼を生じるというのが相当である。
したがって本件商標は、その構成文字に相応し「アローマーク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)申立人は、本件商標の構成中「Arrow」は「矢」などを、「mark」は「印」などを意味する平易な英単語であり、本件商標は当該2語の結合商標と容易に認識される、「mark」は「他と区別するための印」を意味する表示と認識される自他商品の識別標識として機能がないか、極めて弱い語であるなどとして、本件商標は、その前半部分「Arrow」が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、これより「矢」の観念、「アロー」の称呼が生じる旨主張している。
しかしながら、本件商標は、その構成文字が同じ書体、同じ大きさで、等間隔に、一連一体に表されているものであって、外観上、その構成中の「Arrow」の文字部分が強調されているものではない。
また、本件商標の構成中の「mark」の文字が、「印」などの意味を有する平易な英語であるとしても、「Arrow」の文字も、「矢」などを意味する平易な英語であるし、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「ARROW」(引用商標2)は、本件商標の指定商品との関係で周知な商標であるとはいえないから、本件商標の構成中の「Arrow」の文字部分が、取引者及び需要者に商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではない。
さらに、本件商標は、「アローマーク」とよどみなく称呼し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標との類否を判断するに当たっては、本件商標全体と引用商標を対比すべきであり、本件商標から「Arrow」の部分を抽出し、これを引用商標と対比してその類否を判断することは許されないというべきである。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1及び引用商標3は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成態様からは、一見して何らかの文字が並んでいるとは認識し難く、むしろ、2組の曲折した太い黒線を組み合わせてなる図形として認識されるものというのが相当である。
したがって、引用商標1及び引用商標3は、特定の称呼及び観念を生じないものである。
引用商標2は、上記2(2)のとおり「ARROW」の欧文字からなるところ、当該文字に相応して「アロー」の称呼、「矢」などの観念を生じるものである。
(イ)申立人は、引用商標1及び引用商標3も欧文字「ARROW」からなる旨主張しているが、それらの別掲のとおりの構成態様からすれば、両商標は、上記(ア)のとおり、図形として認識されるものというのが相当である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標3
本件商標と引用商標1及び引用商標3の類否を検討すると、外観においては、両者は、その構成態様が明らかに異なるから、外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標が「アローマーク」の称呼を生じるのに対し、引用商標1及び引用商標3は特定の称呼を生じないものであるから、両者は、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標3は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(イ)本件商標と引用商標2
本件商標と引用商標2の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「Arrowmark」と引用商標の構成文字「ARROW」は、それらのつづりにおいて後半部の「mark」の文字の有無という差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「アローマーク」の称呼と引用商標2から生じる「アロー」の称呼とは、後半部における「マーク」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の構成音数、語調語感に及ぼす影響は大きく、両者は、明瞭に聴別できるものであり、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標2は「矢」などの観念を生じるものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(ウ)商標の類否のまとめ
上記のとおりであるから、本件商標は引用商標のいずれとも相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
なお、申立人は過去の審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって本件の判断が左右されるものではない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、上記(1)のとおり申立人等の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり引用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いとはいえない。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などをあわせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲(引用商標1及び引用商標3、使用商標)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-06-13 
出願番号 2021145875 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 渡邉 あおい
鈴木 雅也
登録日 2022-06-06 
登録番号 6566973 
権利者 アローマーク プライベート・リミテッド
商標の称呼 アローマーク、アロー 
代理人 黒川 朋也 
代理人 伊藤 寛之 
代理人 森川 邦子 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 SK弁理士法人 
代理人 奥野 彰彦 
代理人 魚路 将央 

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