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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1399736 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-30 
確定日 2023-06-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6538033号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6538033号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6538033号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和3年9月7日に登録出願、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」を指定商品として、同4年2月9日に登録査定され、同年3月31日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する登録商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の1及び2のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1537413号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CLOUDY」の欧文字を横書きしてなり、2019年11月22日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年4月15日に国際商標登録出願、「Mattresses; neck cushions; pillows.」を含む第20類、第18類、第24類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和4年10月28日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1544470号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2019年12月11日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年6月5日に国際商標登録出願、「Mattresses; neck cushions; pillows.」を含む第20類、第18類、第24類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和4年11月4日に設定登録されたものである。
以下、「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 商標法第8第1項該当性について
(1)本件商標
本件商標は、雲とおぼしき図形の上に足を組んで寝転び、両手を頭の後ろに置いた人を表した図形(以下「図形」という。)と、「Cloud」の欧文字、「+」とその上に振られた振り仮名「プラス」(以下「+(プラス)」という。)並びに「製法」の文字からなるところ、本件商標は、視覚的に図形と「Cloud」、「+(プラス)」及び「製法」を明確に区別でき、図形が各文字の背景となったり、各文字が意匠化されて図形と組み合わされていたりするものではないから、図形と各文字を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
したがって、本件商標は、その構成中の「CIoud」の文字のみを分離して引用商標と対比することも許されるというべきである(平成21年(行ケ)10396号、平成23年(行ケ)10087号)。
(2)引用商標
引用商標1は、「CLOUDY」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は、「cloudy」の欧文字の「y」の右側を長く伸ばした特殊な書体で表してなり、文字の左上と右下に円又は楕円の一部とおぼしき図形を表してなるから、その構成に呼応して「クラウディ」の称呼を生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否
ア 本件商標と引用商標の外観
本件商標は、その構成中に「Cloud」の欧文字が含まれており、一方、引用商標1は「CLOUDY」の欧文字を、引用商標2は「cloudy」の欧文字を横書きしてなる。
本件商標と引用商標の外観を対比すると、語頭の5文字が一致することから、本件商標と引用商標は外観上相紛らわしい類似の商標であるといえる。
イ 本件商標と引用商標から生じる称呼
本件商標は、その構成文字に相応して、「クラウドプラスセーホー」及び「クラウドセーホー」の称呼を生じる他、「Cloud」の欧文字が他の構成要素から視覚的に分離され得るため、当該文字に相応した「クラウド」の称呼も生じる。
一方、引用商標は、その構成文字に相応して「クラウディ」の称呼を生じる。
本件商標から生じる「クラウド」の称呼と、引用商標から生じる「クラウディ」の称呼を対比すると、語尾にあって聞き取りにくく、かつ、子音「d」を共通にする「ド」と「ディ」の相違にすぎず、互いに相紛らわしい類似の称呼である。
「Medject(メドジェクト)」と「MEDIJECT(メディジェクト)」が類似と判断された例(異議2003−90210)、「MedSence(メドセンス)」と「MEDISENSE(メディセンス)」が類似と判断された例(異議2018−900258)がある。
ウ 本件商標と引用商標から生じる観念
本件商標の構成中、「Cloud」の文字部分からは、「雲」の観念が生じる。
引用商標1を構成する「CLOUDY」の欧文字及び引用商標2の構成中「cloudy」の文字部分は、「雲のような」を意味する英単語であり、「雲のような」の観念を生ずる。
本件商標から生じる「雲」の観念と引用商標から生じる「雲のような」の観念は、両者ともに「雲」に由来する極めて近い概念のものであるから、本件商標と引用商標は観念においても類似する商標である。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品は、全て引用商標の指定商品中、第20類「neck cushions; pillows;」と類似する。
2 まとめ
以上より、本件商標と引用商標は、外観・称呼・観念のいずれにおいても類似する商標であり、指定商品も類似するから、本件商標は引用商標との関係で、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第8条第1項該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、図形の右側に、「Cloud」の欧文字、その横に「+(プラス)」、その横に「製法」の漢字を横書きしてなるところ、本件商標の構成中の図形と各文字とは、半角文字ほどのスペースをもって重なることなく配置されており、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない。
そして、本件商標の構成中の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、本件商標の構成中の「Cloud」の欧文字、「+(プラス)」及び「製法」の文字は、横一列にまとまりよく一体に表されており、これらの各文字より生じる「クラウドプラスセーホー」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
さらに、「Cloud」の欧文字、「+(プラス)」及び「製法」の文字より認識し得る「Cloudプラス製法」又は「Cloud+製法」の文字は、一般的な辞書等に載録がなく、我が国において、特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の意味合いを理解させることのない一種の造語とみるのが相当である。
加えて、横一列にまとまりよく一体に表された「Cloud」の欧文字、「+(プラス)」及び「製法」の文字は、特定の文字のみが格別に大きく書されている等の事情はなく、格別に一部の文字のみが強く支配的な印象を与えるものではない。
そうすると、本件商標は、図形と各文字とは、視覚上、分離して看取、把握され得るものであるとしても、「Cloud」の欧文字、「+(プラス)」及び「製法」の文字は、一連一体のものとして把握されるものである。
したがって、本件商標は、その構成中の「Cloud」の欧文字、「+(プラス)」及び「製法」の文字に相応して、「クラウドプラスセーホー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、「CLOUDY」の欧文字を横書きしてなり、当該文字は「曇った。雲に覆われた」(「ベーシックジーニアス英和辞典 第2版」大修館書店)の意味を有する英語である。
したがって、引用商標1は、構成文字に相応して「クラウディ」の称呼が生じ、「曇った」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、「cloudy」の欧文字(語尾「y」は、「cloudy」の下に波状の曲線を描くように描かれている。以下「cloudy」という。)を横書きにし、「cloudy」の左上と右下に円又は楕円の一部とおぼしき図形(以下これらを「引用2図形」という。)を配してなるところ、引用2図形と「cloudy」は、これらが重なることなく配置されていることから、視覚上分離して観察されるものといえ、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない。
そして、引用2図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。
そうすると、引用商標2は、引用2図形と「cloudy」とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであるから、引用商標2の構成中の「cloudy」を要部として抽出し、この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、「cloudy」に相応して「クラウディ」の称呼が生じ、「曇った」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1は、本件商標の構成中の「Cloud」の欧文字のみに着目した場合、引用商標1を構成する「CLOUDY」の欧文字と、「Cloud(CLOUD)」のつづりを共通にするとしても、図形の有無、「+(プラス)」及び「製法」の文字の有無等に明らかな差異を有するため、外観上判然と区別し得るものである。
また、本件商標の構成文字に相応して生じる「クラウドプラスセーホー」の称呼と引用商標1の構成文字に相応して生じる「クラウディ」の称呼とは、構成音数が明らかに相違するため、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、語調、語感が異なり、容易に聴別することができるものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「曇った」の観念を生じる引用商標1とは観念上相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であると判断するのが相当である。
イ 本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2は、本件商標の構成中の「Cloud」の欧文字のみに着目した場合、引用商標2の構成中の「cloudy」と、「Cloud(cloud)」のつづりを共通にするとしても、図形及び引用2図形の差異、「+(プラス)」及び「製法」の文字の有無等に明らかな差異を有するため、外観上判然と区別し得るものである。
また、本件商標の構成文字に相応して生じる「クラウドプラスセーホー」の称呼と引用商標2の「cloudy」に相応して生じる「クラウディ」の称呼とは、構成音数が明らかに相違するため、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても、語調、語感が異なり、容易に聴別することができるものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「曇った」の観念を生じる引用商標2とは観念上相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であると判断するのが相当である。
ウ まとめ
上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務中の「Mattresses; neck cushions; pillows.」が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第8条第1項の要件に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲


別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標2)



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特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-06-16 
出願番号 2021117381 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W20)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 小田 昌子
杉本 克治
登録日 2022-03-31 
登録番号 6538033 
権利者 株式会社コバックス
商標の称呼 クラウドプラスセーホー、クラウドセーホー 
代理人 前川 純一 
代理人 松永 章吾 
代理人 山崎 和香子 
代理人 大倉 桂子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 森田 拓 
代理人 前川 砂織 

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