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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W32
管理番号 1399728 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-22 
確定日 2023-06-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6323630号商標の商標登録に対する登録異議の申立て事件についてされた令和4年5月24日付け異議の決定に対し、知的財産高等裁判所において決定取消しの判決(令和4年(行ケ)第10067号、令和4年12月26日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり決定する。 
結論 登録第6323630号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6323630号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「OLYMBEER」及び「オリンビアー」の文字を二段に書してなり、令和元年10月28日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳性飲料」を指定商品として、同2年11月11日に登録査定、同年12月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1128501号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「OLYMPIC」
国際商標登録出願日:2011年(平成23年)11月8日
優先権主張:Switzerland 2011年(平成23年)9月16日
設定登録日:平成27年6月19日
指定商品及び指定役務:第1類ないし第3類、第5類、第7類ないし第12類、第14類、第16類ないし第19類、第21類、第24類、第25類、第28類、第32類、第35類ないし第39類、第41類ないし第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(2021年(令和3年)10月28日付けで国際登録簿に記録された限定の通報あり。)
2 国際登録第1056066号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「OLYMPIAN」
国際商標登録出願日:2010年(平成22年)9月28日
設定登録日:平成25年9月13日
指定商品及び指定役務:第1類、第3類ないし第6類、第10類ないし第12類、第14類、第17類ないし第19類、第25類、第32類、第35類ないし第40類、第42類ないし第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第121号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)申立人について
申立人であるコミッティーインターナショナルオリンピック(IOC)は、近代オリンピックの創始者であるフランス人、ピエール・ド・クーベルタン男爵の提唱で1894年6月23日に設立された、オリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の非営利団体である(甲4)。
(2)「OLYMPIC」の著名性について
ア 申立人が運営・統括に携わる、近代オリンピック競技大会の誕生は、今から130年以上前の1896年であり、同年に第1回オリンピックアテネ大会が開催され、以後、オリンピック競技大会は1世紀以上にわたり、美と技を競う世界規模の平和とスポーツの祭典として原則として2年又は4年に一度開催されてきた。
2008年の第29回夏季オリンピック北京大会と2012年の第30回夏季オリンピックロンドン大会には、いずれも204の国と地域から1万人以上もの選手が参加し(甲5)、また、2016年の第31回夏季オリンピックリオデジャネイロ大会には過去最大の205の国と地域から1万1000人以上の選手が参加しており(甲6)、テレビ・インターネット・ラジオを通じて世界中の数十億の人々に視聴された。
我が国で出版されたオリンピック競技大会に関する書籍の一部(甲7〜甲66)からは、同競技大会が我が国でも大いに注目されており、「OLYMPIC」の文字からなる引用商標1と同一の標章が、オリンピック競技大会を表すものとして、130年以上もの間継続して使用されてきた事実をうかがい知ることができる。
イ 以上より、130年以上の長期にわたり、世界の各都市を舞台として盛大に開催されてきた、オリンピック競技大会を指称する「OLYMPIC」なる標章は、全世界で老若男女問わず、申立人がその運営・統括の中心となって開催するオリンピック競技大会やその関連活動等を広く示すものとして認識されており、その程度は極めて高く、世界でも最も著名な標章の一つであるとともに、公益性も非常に高いものである。
ウ 申立人は、オリンピック憲章(甲4)に基づき、オリンピック・ムーブメントの一環として、様々な教育・文化活動を世界的規模で行い、「OLYMPIC」標章は、これらの各種教育・文化活動についても広く用いられ、親しまれている。我が国では、日本オリンピック委員会(「JOC」)等がオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業として、各種の教育・文化活動を国内で精力的に行っている(甲67〜甲119)。
エ このように極めて公益性が高く、世界各国で著名に至っていることが明白な「OPLYMPIC」標章と同一又は類似、あるいは、これとの関連性を想起させるような商標の登録・使用が認められれば、スポーツによる教育、平和への貢献といったオリンピック・ムーブメントにより築き上げられた価値観が棄損され、公益に反する結果を招くことは想像に難くなく、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性の検討に際しては、「OLYMPIC」標章及びこれの使用される各種活動の公益性という点が十分に考慮されるべきである。
(3)上記(1)及び(2)のように、申立人は、オリンピズムの理念に基づいてオリンピック競技大会を頂点としたオリンピック・ムーブメントを永きにわたり主導的な立場で推進してきたが、申立人と何ら関わりのない本件商標は、著名な「OLYMPIC」標章に便乗し、その信用、名声にあやかろうとする意図が明らかであって、申立人が推進してきたオリンピック・ムーブメントが阻害されることを意味するに他ならない。
すなわち、本件商標を構成する「OLYMBEER/オリンビアー」の「BEER/ビアー」の文字は、その指定商品中の「ビール」の普通名称であることから、本件商標にあっては、語頭の「OLYM/オリン」の文字が一層着目されることとなり、上述のとおり、「OLYMPIC」に関連して「オリンピズム」や「オリンピアン」等の「オリン(OLYM)」を語頭に含む表現が多用されている現状からすると、本件商標は、「OLYMPIC」を意識し、「OLYMPIC」と「BEER」を組み合わせた商標であって、あたかも、オリンピック競技大会の観戦向けのビールであることを暗示すると容易に理解できるものである。
さらには、オリンピック競技大会における日本代表選手は「オリンピアン」と呼ばれていることからすると、本件商標は、このような「オリンピアン」をパロディ的に変化させ、「OLYMPIC」との関連性を想起させ、これが使用された「ビール」等に接した需要者が、「OLYMPIC」を連想すると考えられるものである。
上述の諸点に鑑みると、本件商標は、「OLYMPIC」標章に化体した信用にただ乗りし、不正な利益を得ようとしたものと考えられ、スポーツを通じ、平和でよりよい世界の実現に貢献するという、まさに公共の利益を追求するオリンピック競技大会の尊厳が害されるおそれがあるのみならず、「OLYMPIC」標章の著名性にあやかって不正な利益を得ようとするものであり、公正な取引秩序を乱すばかりか、国際信義及び公序良俗にも反するものである。
したがって、申立人と何ら関係のない者が本件商標を独占して使用することは、オリンピック憲章に基づき開催されるオリンピック競技大会の権威を損なうおそれがあるばかりか、社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すものであり、本件商標は、引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的にも反するものというべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「OLYMBEER」の欧文字を上段に、またその下段に当該欧文字の表音文字である「オリンビアー」の片仮名を配して二段書きにしてなり、これらの文字に照応して本件商標からは「オリンビアー」の称呼が生ずるものである。
他方、引用商標2は、「OLYMPIAN」の欧文字を横書きで表されてなり、当該欧文字に照応して、引用商標2からは「オリンピアン」の称呼が生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用商標2は、第三音目における「ビ」と「ピ」の差異、及び、語尾音における長音の有無の差異しかなく、中間音と語尾音は一般に聴取し難いことに鑑みると、両商標を一気一連に称呼した場合、両者は聴別し難く、称呼上相紛らわしい互いに類似する商標といえる。そして、本件商標と引用商標2の指定商品は、前記したとおり、同一又は類似のものである。
したがって、引用商標2に係る出願日及び登録日のいずれもが本件商標に係る出願日及び登録日に先立つものであることも考慮すると、本件商標は、引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「OLYMPIC」の著名性について
上記1(2)のとおり「OLYMPIC」標章は、我が国は当然として全世界で極めて著名性の高いものである。
オリンピック競技大会の開催をはじめとするオリンピック・ムーブメントの諸活動を継続的に実施のためには莫大な費用が必要であり、オリンピック・ムーブメントの推進には、民間企業等の資金的・技術的な協力が不可欠であることから、申立人は、世界各国でオリンピック・ムーブメントの推進と、オリンピック競技大会運営のための資金調達を目的としたマーケティング活動を実施している。
このようなマーケティングの主なものとしては、スポンサーシップ、放映権、ライセンシングがある(甲120、甲121)。このうち、スポンサーシップ契約は、原則として1業種につき1社のみとされ、これにより契約したスポンサーは、契約したスポンサーの種類に応じ、「OLYMPIC」の名称、オリンピック・シンボル(五輪マーク)、大会のエンブレムと大会マスコット等のオリンピック資産を利用した様々なマーケティング活動を行うことができる。
また、オリンピック開催国では、国内マーケティングプログラムが用意され、TOPスポンサーの業種との調整を踏まえて、業種別にスポンサー企業が決められることになっている(甲121)。
(2)出所の混同のおそれについて
申立人の使用に係る「OLYMPIC」が1894年から現在に至るまでおよそ130年以上にわたり、世界最大級のスポーツの祭典であるオリンピック競技大会を指称する商標として使用されており、オリンピック競技大会といったスポーツの興行の企画・運営にとどまらず、これに関連した極めて広範な商品や役務との関係で著名であることは、上述の諸点より明らかである。
また、本件商標と「OLYMPIC」とは、語頭の「OLYM」を共通にするとともに、本件商標中の「BEER/ビアー」は指定商品「ビール」の普通名称であることから、本件商標は「OLYM/オリン」が要部として把握されることが少なくなく、この点に加え、申立人は、「OLYMPIC」との関係で「オリンピアン」や「オリンピズム」等の「オリン」を語頭に含む表示を多用していることも考慮すると、「OLYMPIC」の極めて高い著名性とあいまって、本件商標は「OLYMPIC」関連の一群の商標と認識され得るものである。
そして、オリンピック競技大会のみならず、多くの競技大会の観戦にはビール等の飲料は不可欠といえること、また、申立人は、各企業とのスポンサーシップ契約を締結し、それらのスポンサーがオリンピック資産を利用したさまざまなマーケティング活動を行っているという実態からすれば、著名な「OLYMPIC」商標との関係性を容易に想起させる本件商標が付された本件指定商品が実際の商取引に資された場合、これに接した需要者・取引者は、申立人あるいは日本オリンピック委員会と正式なスポンサー契約を締結した、オフィシャルスポンサーの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
(3)小結
したがって、申立人が中心となって開催されるオリンピック競技大会やオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業を表示する「OLYMPIC」と密接な関連性を印象付ける本件商標は、これが使用された場合、オリンピック競技大会を容易に想起又は連想させ、申立人あるいは日本オリンピック委員会とスポンサー関係にある者の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 本件商標に係る令和4年5月24日付け異議の決定及び、それに対する知的財産高等裁判所における決定取消しの判決の経緯
特許庁は、本件商標権者に対し、令和3年12月23日付けで、本件商標は、「オリンピック(OLYMPIC)」及び「オリンピック競技大会」を表す「OLYMPIAD」及び「オリンピアード」の文字との関係で、商標法第4条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、取り消すべきものである旨の取消理由を通知し、同4年5月24日、本件商標を取り消す旨の決定を行い、その謄本は、同年6月2日、本件商標権者に送達された。
そして、本件商標権者は、令和4年7月2日、本件取消決定の取消しを求める訴訟を提起し、同年12月26日に、当該決定を取り消す旨の判決が言い渡され、その後、当該判決は確定したものである。

第5 当審の判断
1 引用商標1及び「OLYMPIC」標章の周知性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、「OLYMPIC」の文字は、1894年に設立された、非営利公共団体である国際オリンピック委員会(申立人)によって、1896年に開始され、原則として4年に1度(冬期大会も含めば2年に1度。)開催される、近代オリンピック競技大会を指標する標章として使用されており、また、当該競技大会に係る文化活動等の関連イベント等においても長年にわたり使用されていることが確認できる。
そして、近代オリンピック競技大会やその関連イベントは、テレビやインターネット、雑誌等で全世界に向けて発信されており、当該競技大会やその関連活動等を指標するものとして広く認識されている。
したがって、「OLYMPIC」の文字(以下「OLYMPIC標章」という。)及びこれより構成される引用商標1(以下、これらをまとめて「引用商標1等」という。)は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として、本件商標の登録出願前より現在に至るまで著名なものであると認められる。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、本件商標は、引用商標1等との関係で、商標法第4条第1項第15号に該当する旨主張するのでこれについて検討する。
(1)本件商標と引用商標1等との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「OLYMBEER」の欧文字と「オリンビアー」の片仮名を2段に書してなるところ、当該構成においては、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したものと無理なく理解できるものである。
また、「OLYMBEER」の欧文字及び「オリンビアー」の片仮名は、一般的な辞書等に載録のない語であり、本件商標の指定商品との関係において直ちに何らかの意味を理解させる文字でもないことから、特定の意味合いを生じることのない一種の造語を表したものとして認識されるというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「オリンビアー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標1等について
引用商標1等は、「OLYMPIC」の欧文字を書してなるところ、当該文字は、申立人に係るオリンピック競技大会を示す標章として広く認識されている。
したがって、引用商標1等は、その構成文字に相応した「オリンピック」の称呼を生じ「オリンピック競技大会」の観念が生じること明らかである。
ウ 本件商標と引用商標1等の類否について
本件商標と引用商標1等は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、2段書きと1段書きの差異、片仮名の有無において顕著な差異を有するものである。
さらに、本件商標の欧文字部分と引用商標1等を比較してみても、5文字目以降の「BEER」と「PIC」に顕著な差異を有するものである。
そうすると、欧文字8文字と7文字という比較的短い文字構成においては、5文字目以降の差異は容易に認識できるものであるから、両者は、外観上、判然と区別できるものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「オリンビアー」の称呼と引用商標1等から生じる「オリンピック」の称呼とは後半の「ビアー」と「ピック」の音に明らかな差異を有するものであり、6音という短い音数においては、該差異音が称呼全体に与える影響は大きいものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念については、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標1等からは「オリンピック競技大会」の観念が生じるから、両者は観念においても明らかに相違する。
してみると、本件商標と引用商標1等とは、外観において判然と区別でき、称呼においても明瞭に聴別し得るものであり、観念においても明らかに相違するものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標1等は、オリンピック競技大会を指標するものとして広く認識されている。
しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標1等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標1等との類似性の程度は低いものである。
さらに、両者を関連付けてみるべき事情も認められないから、本件商標と引用商標1等とは別異の出所を表すものとして看取されるというべきである。
してみると、本件商標は、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標1等を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標は引用商標2との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているので、これについて検討する。
(1)本件商標と引用商標2との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「OLYMBEER」の欧文字と「オリンビアー」の片仮名を2段に書してなるところ、上記2(1)アのとおり、その構成文字に相応して「オリンビアー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、上記第2の2のとおり、「OLYMPIAN」の欧文字を書してなるところ、当該文字は「神のような、堂々とした、オリンピックの、オリンピック選手」等(職権調査、ベーシックジーニアス英和辞典 株式会社大修館書店)の意味を有する英単語であるところ、我が国においては「オリンピック選手」(職権調査 大辞泉 株式会社小学館)を表す語として知られている。
したがって、引用商標2は、その構成文字に相応した「オリンピアン」の称呼を生じ「オリンピック選手」ほどの観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標2の類否について
本件商標と引用商標2は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、2段書きと1段書きの差異、片仮名の有無において顕著な差異を有するものである。
さらに、本件商標の欧文字部分と引用商標2を比較してみても、5文字目以降の「BEER」と「PIAN」に顕著な差異を有するものである。
そうすると、欧文字8文字という比較的短い文字構成においては、5文字目以降の差異は容易に認識できるものであるから、両者は、外観上、判然と区別できるものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「オリンビアー」の称呼と引用商標2から生じる「オリンピアン」の称呼とは後半の「ビアー」と「ピアン」の音に明らかな差異を有するものであり、6音という短い音数においては、該差異音が称呼全体に与える影響は大きいものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念については、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標2からは「オリンピック選手」の観念が生じるから、両者は観念においても明らかに相違する。
してみると、本件商標と引用商標2とは、外観において判然と区別でき、称呼においても明瞭に聴別し得るものであり、観念においても明らかに相違するものであるから、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標2は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が引用商標2の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
上記1のとおり、引用商標1等は、申立人に係るオリンピック競技大会を指標するものとして広く認識されている。
しかしながら、上記2(1)のとおり、本件商標は、引用商標1等とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、上記3(1)のとおり、本件商標と引用商標2とも相紛れるおそれのない非類似の商標でありかつ、その読みを片仮名で表した「オリンピアン」の文字とも非類似である。
そうすると、引用商標1等が周知であり、かつ、本件商標と引用商標1等、引用商標2及び「オリンピアン」の語頭の「OLYM/オリン」の文字のみが共通であることを前提に引用商標1等に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって本件商標を登録出願し登録を受けたものであるとする申立人の主張には理由はない。
その他、本件商標の構成が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないことは明らかであり、また、その使用が、法的に禁じられているとか、公正な取引秩序を乱すおそれがあったり、国際信義に反するものとすべき理由は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中の「BEER/ビアー」の文字は、その指定商品中の「ビール」の普通名称であることから、本件商標にあっては、語頭の「OLYM/オリン」の文字が一層着目されることとなり、「OLYMPIC」に関連して「オリン(OLYM)」を語頭に含む表現が多用されている現状からすると、本件商標は、あたかも、オリンピック競技大会の観戦向けのビールであることを暗示すると容易に理解できるものである。
また、本件商標は、「オリンピアン」をパロディ的に変化させるから、これが使用された「ビール」等に接した需要者が、「OLYMPIC」を連想する旨主張する。
しかしながら、上記2(2)及び上記3(1)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であることに加え、「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)と規定されていることからすると、商標の類否については、願書に記載されたそれぞれの商標に基づいて判断すべきと解するのが相当であるから、「OLYM」を語頭に含む標章が使用されていることが本件商標と引用商標の類否判断に影響を及ぼすことはない。
また、申立人が「OLYM」を語頭に含む標章を多用しているとしても、本件商標とは当該「OLYM」の文字と本件商標を関連付けてみるべき事情は認められない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから、同法第4条に違反して登録されたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(本件商標)


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異議決定日 2023-06-05 
出願番号 2019137852 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W32)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 大森 友子
小俣 克巳
登録日 2020-12-02 
登録番号 6323630 
権利者 SJP株式会社
商標の称呼 オリンビアー、オリンビール、オリン、オリム 
代理人 渡部 彩 
代理人 鳥巣 実 
代理人 岡田 淳 
代理人 田中 尚文 

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