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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1399570 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2022-01-26 
確定日 2023-05-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4815394号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4815394号商標の指定商品中、第9類「測定機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4815394号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成16年2月24日に登録出願、「測定機械器具」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月12日に設定登録がなされ、同26年9月2日に存続期間の更新登録がなされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年2月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成31年2月10日〜令和4年2月9日)を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「測定機械器具」(以下「取消請求商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものと思料する。
2 弁駁の要旨
乙第1号証に写っている商品は、「バッテリー」及び「バッテリーターミナル」の商品であって「測定機械器具」ではないと思料する。また、当該サイトのURLや日付の記載もなく、要証期間に該当するものか不明確である。
次に、乙第2号証に写っている商品は「バッテリーチェッカー」であり、当該商品は「バッテリー充電状態表示計(類似群コード:11A04)」に分類される商品であるため、取消請求商品「測定機械器具(類似群コード:10C01)」とは異なるものと思料する。
また、乙第2号証に写っている商品は、本件商標と同じ標章(欧文字と王冠のようなロゴマーク)の記載がなく、要証期間に該当するものか不明確である。加えて、緑色の台紙の上に商品を重ねただけの写真となっており、実際にこの状態で販売されていたのかどうか明らかに不自然である。
また、乙第3号証ないし乙第5号証に関しても、「バッテリーチェッカー」に係る商品の書類であるため、「測定機械器具」とは異なるものと思料する。被請求人は、乙第3号証ないし乙第5号証は、乙第2号証に係る商品の注文請書、請求書、納品書のセットであると主張しているが、商品名に統一がなく、矛盾している。
具体的に、乙第3号証には「シーキングバッテリーチェッカー BC−1A」と記載されている一方、乙第4号証及び乙第5号証には「バッテリーチェッカー BC−1」と記載され、統一性がない。また、乙第2号証の商品型番は「BC−1」であり、「BC−1A」ではない。
さらに、被請求人は、乙第6号証及び乙第7号証において、乙第2号証(王冠のようなマークがなく文字のみの証拠)は、本件商標と社会通念上同一であることを主張しているが、乙第6号証及び乙第7号証で判断されたケースは、ロゴマークのない文字のみの二段併記の登録商標のケースであり、上段と下段の文字の称呼や観念が同一であることからそのように判断されたもので、本件の事案とは異なる。
甲第2号証及び甲第3号証等の審判事件においても、「本件商標から図形部分を除いた文字部分のみを抽出して、それを商標として使用したとしても、その使用は本件商標と社会通念上同一と認識される商標の使用にも当たらず、もはや本件商標の使用であるということはできない。」と判断されている。本件商標も、王冠のようなマークは特徴的で識別力があることから、登録商標の構成要件として不可欠なものであると思料する。
以上の観点から、本件商標は、取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
1 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
被請求人は、会社設立以来、20年以上にわたり本件商標を自社製品に使用している。測定機械器具についても本件商標を継続して使用しているので、以下説明する。
本件商標は、キングを意味すると考えられる「王冠マーク」と独特の書体で記載された「SEAKING」の二段構成の図柄商標である。この商標は権利者が主に卸売販売しているバッテリーに使用している。
楽天市場のサイト(乙1)では、バッテリーとバッテリーケース及び充電器の組合せで販売されており、バッテリーケースには本件商標がそのまま用いられている。
同時に販売しているバッテリーチェッカー(乙2)には、王冠マークのないSEAKINGが図示されており、用いているSEAKINGの字体は本件商標と同一である。表示されているSEAKINGの表示は特に中央のAの文字は中央の棒部分がないという特徴があり、これは本件商標と同一の標章である。
本件商標は王冠マークとSEAKINGの二段構成であるが、上段の王冠マークは一般的で識別力がないと判断できる。そうすると、本件商標の要部はSEAKINGであり、かつ、通常の標準的なアルファベット記載ではなく、特徴的な表示となっている。
本件商標の図形は、比較的写実的な印象を与えるものともいえず、単純化されており、格別特徴的なものとは認められないことからすると、図形部分は、取引者、需要者に特に顕著な印象を与えるものとは認められず、「SEAKING」の「KING」を表した図形にすぎない。
そうすると、自他商品の識別標識としての機能は、「SEAKING」の文字部分にあり、これに接する取引者、需要者は、直ちに「SEAKING」の欧文字よりなるものと認識し得るものである。
本件商標の要部はSEAKINGであり、一般消費者からみて、バッテリーケースに書かれた本件商標と、バッテリーチェッカー(乙2)に付与されているSEAKINGは、要部として同一であり、一般消費者は、同じマークが付与されていると判断するものと思われる。これは王冠マークの有無にかかわらず、同一と見ていることを示している。そうすれば、王冠とSEAKINGの二段書きの本件商標と、王冠のない一段書きのSEAKINGという表示は社会通念上同一として判断していることを示している。
証拠として提出するバッテリーチェッカー(乙2)は、バッテリーの電圧を測定、表示するものであり、測定機械器具に含まれるものである。注文時にはバッテリーチェッカーを示す品番(bc−1)を使用しており、これは「SEAKING」で示されるバッテリーチェッカーを表しており、一般消費者からみれば王冠マークを見て購入するものではなく、王冠マークの有無にかかわらず、要部であるSEAKING、さらには品番を見て購入すると判断していると考えるのが妥当である。
バッテリーチェッカーの販売について、バッテリーチェッカーの注文請書(乙3)を示す。注文は令和3年11月17日であり、これに対し同月19日付けの請求書(乙4)及び同日の納品書(乙5)にてバッテリーチェッカーを納品し、同時に納入代金を請求する事実があり、これは販売した事実に該当する。このバッテリーチェッカーの品番はbc−1であり、バッテリーチェッカー(乙2)の品番と同一である。すなわち、要証期間に販売した実績である。このことにより、バッテリーチェッカーbc−1を販売した実績があることが確認でき、要証期間の使用実績があることから、商標の不使用に該当しないことは明らかである。
なお、二段書き商標の使用に関しては判例では、社会通念上同一の商標の使用は、使用とする判例(乙6)があり、本件の場合にも同じように社会通念上同一の商標の使用に該当すると判断するのが妥当である。
さらに、文字と図形とを組み合わせた商標において、審決(乙7)では、文字の背後に図形が書かれているが、図形が上部に書かれている本件商標とも同様の文字部分の使用が、社会通念上同一の商標の使用にあたるとの判断がなされており、本件においても図形がなくとも商標の使用において社会通念上同一に使用であるとの判断がなされるべきである。

第4 当審における審尋
当審は、令和4年11月7日付けで被請求人に対し、被請求人が提出した乙各号証によっては、商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない旨の合議体の暫定的な見解を示し、期間を指定して、これに対する意見を求めるとともに、取消請求商品について、要証期間に本件商標を使用していたことを証明し得る補足の証拠又は新たな証拠があれば提出されたい旨の審尋を送付したが、被請求人からは、何ら応答はなかった。

第5 当審の判断
1 事実認定
(1)バッテリーチェッカーBC−1について(乙2、乙4、乙5)
ア 商品「バッテリーチェッカー(NO.BC−1)」の写真画像(乙2)によれば、当該バッテリーチェッカーの表示器部分には、ややレタリングされた「SEAKING」の文字(別掲2)が表示されている。
なお、上記写真の撮影日や撮影者等、また、被写体であるバッテリーチェッカーの製造元、販売者、製造日等を示す記載はない。
イ 商標権者は、2021年11月19日に顧客である「個人通販」に対し、商品「バッテリーチェッカーBC−1」を1台、単価2,800円で販売した(乙4、乙5)。
(2)バッテリー及び充電器とその収納容器について(乙1)
楽天市場のウェブサイトにおける「「シーキング バッテリー 12A」の検索結果(15件)」のページ(乙1)によれば、「ウッドマン・シーキングバッテリー/12VDC 12AH (充電器付き)」「8,390円 送料無料・・・黒鯛釣具楽天市場店」の記載と共に、バッテリー、充電器及びそれらの収納容器が並んでいる画像があり、当該収納容器側面には、本件商標と構成を同じくする標章が付されている。
なお、上記ウェブページの出力日や、バッテリー、充電器及びそれらの収納容器の製造日、掲載日などを示す記載は見当たらない。
(3)以上によれば、商標権者は、要証期間である2021年11月頃、商品「バッテリーチェッカー」(以下「使用商品1」という。)を顧客に販売したことは認められるものの、当該「バッテリーチェッカー」が、乙第2号証の写真画像に写るバッテリーチェッカーであることを関連づける証拠はないため、顧客に販売した商品に別掲2のとおりの構成からなる「SEAKING」の文字が付されていたと認めることはできない。
また、楽天市場のウェブページに本件商標と構成を同じくする標章が付されたバッテリー及び充電器(以下「使用商品2」という。)の収納容器が掲載され、当該商品が商標権者によるものであることはうかがえるものの、その掲載期間は不明である。
2 判断
(1)使用商品1及び使用商品2について
被請求人は、使用商品1について、「バッテリーチェッカー」はバッテリーの電圧を測定・表示するものであって、「測定機械器具」に含まれるものであると主張する。
しかしながら、バッテリーチェッカーは、バッテリー(電池)の残量を測定する機器であって、電圧計のように電気の単位を測定するものであるから、使用商品は「電気磁気測定器」の一種といえる商品であって、取消請求商品である「測定機械器具」の範ちゅうに含まれる商品であるということはできない。
また、楽天市場のウェブページには、収納容器に本件商標と構成を同じくする標章が付された、商標権者による使用商品2(バッテリー及び充電器)が掲載されているといえるが、その掲載日は不明であることから、要証期間に当該商品に上記標章が使用されたということはできないし、バッテリーは「電池」、充電器は「配電用又は制御用の機械器具」といった商品の範ちゅうに含まれるものであって、いずれも「測定機械器具」に含まれるものではない。
その他、被請求人は、使用商品1及び使用商品2が取消請求商品の範ちゅうに属する商品であるとする具体的な根拠及び客観的な証拠は何ら明らかにしていない。
したがって、使用商品1及び使用商品2が、取消請求商品の範ちゅうに属する商品であることを認めることはできない。
(2)小括
上記のとおり、被請求人が提出した各号証によっては、本件商標と社会通念上同一の商標が取消請求商品に使用された事実を確認することはできないから、要証期間に商標法第2条第3項各号における本件商標の使用行為があったと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、取消請求商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「結論掲記の商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(別掲1:本件商標)


(別掲2:乙第2号証の写真画像)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

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審理終結日 2023-03-22 
結審通知日 2023-03-24 
審決日 2023-04-19 
出願番号 2004016295 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y09)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
大山 健
登録日 2004-11-12 
登録番号 4815394 
商標の称呼 シーキング 
代理人 新保 斉 

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