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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 取り消して登録 W353740414244
管理番号 1399525 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-08-04 
確定日 2023-07-04 
事件の表示 商願2021−63720拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年5月25日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月 7日付け:拒絶理由通知書
令和4年 1月24日受付:意見書
令和4年 4月27日付け:拒絶査定
令和4年 8月 4日受付:審判請求書

2 本願商標
本願商標は、「SHIMZ Beyond Zero 2050」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第37類、第40類、第41類、第42類及び第44類に属する別掲1に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「SHIMZ Beyond Zero 2050」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「Beyond Zero」の文字及びそれを片仮名文字で表した「ビヨンド・ゼロ」の文字は、「脱炭素社会」の実現を目指す我が国政府が、「世界全体のカーボンニュートラルの実現だけではなく、過去に大気中に排出された二酸化炭素の削減も目指す」という脱炭素化推進の戦略コンセプトを表す語として、脱炭素化推進に係る政策に関連して使用しているものである。
してみれば、当該「ビヨンド・ゼロ(Beyond Zero)」の文字は、我が国政府が、脱炭素化を推進するために、各省庁等を通じて行っている公益に関する事業(政策)であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、一般によく知られている著名な標章であると判断するのが相当である。
そして、「ビヨンド・ゼロ」又は「Beyond Zero」の文字は、上記のとおり、「世界全体のカーボンニュートラルの実現だけではなく、過去に大気中に排出された二酸化炭素の削減も目指す」という我が国政府の政策を表す標章として著名なものといえるから、本願商標構成中「Beyond Zero」の文字部分は、自他商品役務の識別標識として強く支配的な印象を与えるものと判断できる。
そうすると、「Beyond Zero」の文字を要部とする本願商標と、上記の著名な「ビヨンド・ゼロ」又は「Beyond Zero」の標章とは、「ビヨンドゼロ」の称呼及び「「世界全体のカーボンニュートラルの実現だけではなく、過去に大気中に排出された二酸化炭素の削減を目指す」という我が国政府の脱炭素化推進に係る政策」の観念を共通にするから、両者は、類似する商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。

4 当審の判断
本願商標は、「SHIMZ Beyond Zero 2050」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「Beyond Zero」及びそれを片仮名文字で表した「ビヨンド・ゼロ」等の文字は、「世界全体のカーボンニュートラルの実現だけではなく、過去に大気中に排出された二酸化炭素の削減も目指す」という脱炭素化推進の戦略コンセプトを表す語として、一般に使用されているほか、別掲2のとおり、民間の企業等がその事業の方針や目標を示す表示として使用するものや、あるいは、二酸化炭素削減に関係する意味合いではあるものの、政府とは直接の関連性の無い文脈において記述的な語として使用されているものである。
したがって、「Beyond Zero」及びそれを片仮名文字で表した「ビヨンド・ゼロ」等の文字は、我が国の特定の機関や公益事業の標章として使用されるものというよりは、むしろ、企業、国民及び社会全体に浸透し、使用される標語の一つといえるものである。
そうすると、本願商標は、その構成中に「Beyond Zero」の文字を有するとしても、商標法第4条第1項第6号にいう「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」ということはできない。
したがって、本願商標が、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願の指定役務
第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」
第37類「建設工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備」
第40類「除染,浄水処理,一般廃棄物の収集・分別及び処分,産業廃棄物の収集・分別及び処分」
第41類「セミナーの企画・運営又は開催,美術品の展示」
第42類「気象情報の提供,地質の調査」
第44類「庭園樹の植樹,庭園又は花壇の手入れ,カーボンオフセットを目的とした植林」

別掲2 「Beyond Zero」及びそれを片仮名文字で表した「ビヨンド・ゼロ」等の文字の使用事例
(1)「大成建設株式会社」のウェブサイトにおいて、「「T−eConcrete(R)/Carbon−Recycle」を建築物に国内初適用」の見出しの下、「今後、当社は「T−eConcrete/Carbon−Recycle」を、CO2排出量収支マイナスとなる「ビヨンド・ゼロ」を具現化する建設材料として積極的な技術開発を引き続き推進し、脱炭素社会の実現に貢献して参ります。」との記載がある。
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/211201_8528.html
(2)「三菱ケミカル株式会社」のウェブサイトにおいて、「トップメッセージ」の見出しの下、「温室効果ガス(greenhouse gas:以下GHG)の排出量を抑えていく、または排出量ゼロに向けて努力していくことは当然のことであり、さらに、自社の排出量を抑えるだけでなく、排出せざるを得ないGHGを固定化する、もしくは解決策となるソリューションの提供という課題が課せられています。環境ソリューションを積極的に提供できるのは化学産業のような限られた業界であり、化学会社はゼロではなくビヨンド・ゼロの技術を提供していく使命を負っています。」との記載がある。
https://www.m-chemical.co.jp/csr/pdf/sr_mcc_2021_02.pdf
(3)「ミネベアミツミ株式会社」のウェブサイトにおいて、「超精密技術の相合で「ビヨンド ゼロ」を実現」の見出しの下、「当社は、自社のCO2排出量の削減努力に加え、当社の部品をご使用いただいている世界のお客様のCO2排出量を削減することで、世界全体のCO2排出量削減に貢献しております。そして、この取り組みを「ビヨンド ゼロ」と定義し、削減貢献量をさらに拡大することで、2030年、そして2050年の持続可能な地球環境の実現に貢献してまいります。」との記載がある。
https://www.minebeamitsumi.com/corp/investors/disclosure/integrated_report/a2021/__icsFiles/afieldfile/2021/10/04/2021_00_dtl.pdf
(4)「太平洋セメント株式会社」のウェブサイトにおいて、「太平洋セメントレポート2020」の見出しの下、「低炭素社会実現への動きは加速度的に増しており、今やカーボンニュートラル、さらにはその先のビヨンド・ゼロが求められています。・・・特にセメントキルンに適した実用的なCO2回収・カーボンリサイクル技術の創出は、セメント産業の将来に繋がる最重要案件として推進していきます。」との記載がある。
https://www.taiheiyo-cement.co.jp/csr/pdf/data/2020/rep2020.pdf
(5)「株式会社日本プレミアム」のウェブサイトにおいて、「海外でのCO2削減&バイオ燃料創成プロジェクト」の見出しの下、「弊社グループでは、アフリカでの植林事業によるCO2の削減とバイオマス燃料の製造事業を推進しています。カーボンニュートラルだけでなく、過去に排出されたCO2の削減=ビヨンド・ゼロを可能にするプロジェクトです。」との記載がある。
https://nippon-pre.com/our-project/
(6)「九州大学ネガティブエミッションテクノロジー研究センター」のウェブサイトにおいて、「センター長あいさつ」の見出しの下、「ビヨンド・ゼロ社会を目指して」、「本センターでは、大気からCO2を回収し、回収したCO2を炭素資源として利用するための化学的変換、あるいは安全な地中貯留、そしてそれらのプロセスに必要なエネルギー源となる光エネルギーの有効活用に関する研究を総合的に推進しています。我々は、これらの技術を結集し、どこででもCO2を回収し、有効活用できる炭素資源循環社会(カーボンニュートラル社会)、そしてそれをさらに推し進め、大気のCO2濃度が恒久的に削減された「ビヨンド・ゼロ社会」の実現を目指します。」との記載がある。
https://k-nets.kyushu-u.ac.jp/about/
(7)「クボデラ株式会社」のウェブサイトにおいて、「COP26でシュタイコの「Beyond Zero Homes」が建設されました」の見出しの下、「このBeyond Zero Homesでは6875kgのCO2がシュタイコ木繊維断熱材内部に貯蔵されています。石油由来の断熱材と異なり、シュタイコ木繊維断熱材は生産時に排出するCO2の約2倍のCO2を内部貯蔵し、大気中の炭素縮減に役立っています。」との記載がある。
https://kubodera.co.jp/2021/10/27/cop26%E3%81%A7%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%81%AE%E3%80%8Cbeyond-zero-homes%E3%80%8D%E3%81%8C%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F/


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審決日 2023-06-21 
出願番号 2021063720 
審決分類 T 1 8・ 21- WY (W353740414244)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 浦崎 直之
小林 裕子
商標の称呼 シミズビヨンドゼロニセンゴジュー、シムズビヨンドゼロニセンゴジュー、シミズビヨンドゼロニゼロゴゼロ、シムズビヨンドゼロニゼロゴゼロ、シミズビヨンドゼロ、シムズビヨンドゼロ、シミズ、シムズ、ビヨンドゼロ、ビヨンド、ゼロ 
代理人 弁理士法人坂本国際特許商標事務所 
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