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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W35
管理番号 1399498 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-09 
確定日 2023-06-21 
事件の表示 商願2021−19649拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月15日に登録出願された商願2020−4080に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和3年2月19日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月 3日付け:拒絶理由通知書
令和3年 7月21日受付:意見書
令和3年11月 8日付け:拒絶査定
令和4年 2月 9日受付:審判請求書
令和4年12月19日付け:審尋
令和5年 2月20日受付:意見書

第2 本願商標
本願商標は、別掲1(1)のとおりの構成よりなる、標章を付する位置が特定された位置商標であって、第35類「食パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務とし、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲1(2)のとおりとして、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、店舗の入り口上部に位置する暖簾の内部に「食パン」の文字を表してなるものであり、これを本願指定役務「食パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、これに接する需要者は、取り扱われる商品が食パンであることを認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審における審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲2ないし4のとおりの事実を示すとともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の意見の要旨
請求人は、上記第4の審尋に対し、意見書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
審尋で指摘の使用例は、本願商標の構成を部分的に捉えた使用例とはいえるが、本願商標と同一又は類似の商標の使用例とはいえない。
そうすると、本願商標の登録性の判断を左右する事情ではない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものではないから、その登録は認められて然るべきものと信ずる。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、別掲1の「商標登録を受けようとする商標」及び「商標の詳細な説明」に記載のとおり、店舗入口上部に位置する無地の暖簾の図形並びに手書き風に書された「食」、「パ」及び「ン」の各文字を内包した3枚の暖簾の図形からなるところ、これらの文字は、一連に「食パン」と表されるものであるから、本願指定役務である第35類「食パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品を表しているものと認められる。
ところで、別掲2のとおり、本願指定役務を取り扱う業界において、店舗入口上部に「食パン」、「パン」等の文字を内包した暖簾が使用されている事実及び別掲3のとおり、食品等の小売店舗入口上部の暖簾に手書き風の文字が使用されている事実が認められるから、本願商標の構成及び付する位置は、一般的に選択される範囲内というべきである。
また、別掲4のとおり、暖簾の上方部分が一体的に形成されておらず、それぞれ分離した形状の暖簾が使用されている事実も認められるから、本願商標を構成する暖簾の図形も、需要者が暖簾として想定し得る形状の範囲内というべきである。
そうすると、本願商標の構成及び付する位置を考慮しても、これを本願指定役務に使用したときは、これに接する需要者は、その取扱商品が食パンであることを認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の図形は、暖簾について本来存在すべき上辺部の輪状又はトンネル状(袋状)の布地部分が存在せず、上方部分においても一体的に形成されておらず、各縦長長方形図形がそれぞれ分離独立した構成であり、本願商標の図形は、「暖簾風の図形」といえたとしても、通常の暖簾が有する構成を備えていないものであるから、図形として独自性があるものである。また、白色の各縦長長方形図形内に「食」、「パ」及び「ン」の各文字を黒字で手書き風に表すことにより、図形全体から洗練された和風のイメージを醸し出されるものであり、前記各文字を含んだ図形部分は、需要者がこれを手掛かりとして当該役務の次回以降の取引に結び付ける標章として創意工夫を凝らしているものであって、特徴的な構成である。さらに、「食」、「パ」及び「ン」の各文字を含んだ図形部分は、本願指定役務の業界において一般的に使用される標章ではなく、その標章が付される位置を見ても、役務の特徴を表すものとして一般に認識されるものではない。そして、審尋で指摘の使用例は、本願商標の構成を部分的に捉えた使用例とはいえるが、本願商標と同一又は類似の商標の使用例とはいえない旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標は、店舗入口上部に位置する無地の暖簾の図形並びに手書き風に書された「食」、「パ」及び「ン」の各文字を内包した3枚の暖簾の図形からなるところ、別掲2ないし4の事実からすれば、当該文字は、本願指定役務である第35類「食パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品を表すものとして、一般的に選択される範囲のものと認められ、また、4枚の暖簾の図形及びそれを付する位置においても、需要者が暖簾として想定し得る形状の範囲内であって、暖簾がかけられる位置も一般的なものであるから、本願商標の構成及び付する位置を考慮しても、これを本願指定役務に使用したときは、これに接する需要者は、その取扱商品が食パンであることを認識するにとどまると判断するのが相当である。
(2)請求人は、本願の原出願が登録された事実を挙げて、本願商標も同じ飲食料品の小売等役務の範疇に属する役務を指定役務とする以上、識別力の判断は統一的になされるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様、指定役務及び取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記1のとおりであるから、本願の原出願が登録された事実をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標
(1)商標登録を受けようとする商標(色彩は原本参照。)


(2)商標の詳細な説明
商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、店舗入口に付された無地の暖簾の図形、「食」の文字を内包した暖簾の図形、「パ」の文字を内包した暖簾の図形及び「ン」の文字を内包した暖簾の図形からなる。これら暖簾の図形は、店舗入口上部に位置しており、無地の暖簾の図形、「食」の文字を内包した暖簾の図形、「パ」の文字を内包した暖簾の図形及び「ン」の文字を内包した暖簾の図形は、左から順に表されている。なお、店舗の破線は、役務の提供の用に供する物の形状の一例を示したものであり、商標を構成する要素ではない。

別掲2 第35類「食パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を取り扱う業界において、店舗入口上部に「食パン」、「パン」等と表された暖簾が使用されている事実
(1)「FIT ECRU ONLINE」のウェブサイト
「焼きたて食パン専門店 一本堂 佐賀大学前店 佐賀初オープンの食パン店 毎日食べたくなる味を目指して」の見出しの下、店舗の入口上部に「食パン」と表された暖簾の写真が記載されている。

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/766444
(2)「はらぺこニュース」のウェブサイト
「【実食レポ】『真打ち登場 赤羽店』高級食パン×アート!プレーン・レーズンに続き「カカオ」や「つぶあん」も」の見出しの下、店舗の入口上部に右読みにて「パン」と表された暖簾の写真が記載されている。

https://harapeco.news/shinuchi-toujyou/
(3)「ぶらパン 倉敷・総社・玉野のパン屋さん情報サイト」のウェブサイト
「【井笠地域初】高級食パン専門店「侍が恋するパン屋」が矢掛町にオープン!」の見出しの下、店舗の入口上部に「高級生食パン」と表された暖簾の写真が記載されている。

https://tokumori.tv.kct.jp/burapan/blogs/20220301newop-samuraipan/
(4)「みやざき情報まとめ」のウェブサイト
「イオンモール宮崎近くの食パン専門店「純正食パン工房HARE/PAN(ハレパン)」に行ってきました!」の見出しの下、店舗の入口上部に「純生食パン」と表された暖簾の写真が記載されている。

http://miyazaki.fool.jp/blog/?p=22609
(5)「パンめぐ」のウェブサイト
「あんこ好きなら絶対行ってみて!究極のあんこワールド【あん食パンのPANTES(パンテス)自由ヶ丘店】(東京都目黒区)」の見出しの下、店舗の入口上部に「あん食パン」と表された暖簾の写真が記載されている。

https://panmegu.com/recomend/post-46839/

別掲3 食品等の小売店舗入口上部の暖簾に手書き風の文字が使用されている事実
「株式会社 虎屋」のウェブサイト
「【赤坂 最終回】とらやの暖簾」の見出しの下、店舗の入口上部に手書き風の文字で右読みにて「とらや」と表された暖簾の写真が記載されている。

https://www.toraya-group.co.jp/toraya/small_stories/detail/?id=39

別掲4 暖簾の上方部分が一体的に形成されておらず、それぞれ分離した形状の暖簾が使用されている事実
(1)「あめの俵屋」のウェブサイト
「店舗のご案内」の見出しの下、暖簾の上方部分が一体的に形成されておらず、それぞれ分離した形状の暖簾の写真が記載されている。


http://www.ame-tawaraya.co.jp/access/index.html
(2)「PR TIMES」のウェブサイト
「【関東初出店】あの人気大衆食堂が五反田に!老若男女に愛される「大衆食堂スタンド そのだ」が9月11日(土)にグランドオープン」の見出しの下、暖簾の上方部分が一体的に形成されておらず、それぞれ分離した形状の暖簾の写真が記載されている。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000055652.html

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2023-03-30 
結審通知日 2023-04-03 
審決日 2023-04-27 
出願番号 2021019649 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 浦崎 直之
大橋 良成
商標の称呼 ショクパン 
代理人 弁理士法人飯島国際商標特許事務所 

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