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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W11
管理番号 1398564 
総通号数 18 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-09 
確定日 2023-05-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6567223号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6567223号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6567223号商標(以下「本件商標」という。)は、「KaoKaoMarket」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年2月22日に登録出願、第11類「車内灯,自動車の方向指示器用ライト及びランプ,自転車・三輪車・オートバイ用ライト,自転車及び乗物用ライト,車両用のヘッドライト及びヘッドランプ,乗物用ライト,半導体発光素子を用いた照明灯,LED照明用器具,天井灯,LEDを用いた自動車の室内用照明器具及び電球類,自動車の室内用照明器具及び電球類,LEDを用いた自動車用の電球類及び照明用器具,自動車用の電球類及び照明用器具,電球類及び照明用器具」を指定商品として、同年5月10日に登録査定され、同年6月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、下記1ないし4のとおりであり、下記4を除きいずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第3027307号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年9月28日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年2月28日に設定登録されたものである。
なお、第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務について防護標章登録されている。
2 登録第5300448号商標(以下「引用商標2」という。)は、「KAO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年6月10日に登録出願、第1類、第3類、第5類、第10類、第11類、第16類、第21類及び第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年2月12日に設定登録されたものである。
3 登録第526157号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和32年9月28日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同33年8月21日に設定登録され、その後、平成21年1月7日に、指定商品を第3類「せっけん(日本薬局方の薬用せっけんを除く。)」及び第5類「日本薬局方の薬用せっけん」とする指定商品の書換登録がされたものである。
4 申立人が社標として使用しているとする別掲3のとおりの商標(以下「引用商標4」という。)は、「化学品,せっけん類,化粧品,香料類,薬剤,生理用品,おむつ,サプリメント,化粧用具,清掃用具,飲料,美容家電」等及び「技芸・スポーツ又は知識の教授,美容」等の商品及び役務に2009年より使用しているというものである。
以下、上記の引用商標1ないし引用商標4をまとめて、単に「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第54号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 申立人について
申立人は、1940年5月に設立され、資本金854億円、従業員数8,508人(連結対象会社合計33,507人)(甲5の1)、本社を含めた国内事業場を4か所、工場10か所、研究所4か所、研修所1か所を有し(甲5の2)、グループ会社は国内に9社存在し、海外においては、アジア・オセアニア地域に30社、北米・中南米地域に8社、ヨーロッパ・アフリカ地域に26社を有しており、日本を代表する大企業の1つであるとともに、海外においても広く事業を行っているグローバル企業である(甲5の3〜甲5の5)。
申立人の英文社名は「Kao Corporation」であって、海外におけるグループ会社の社名は、「Kao(China)Holding Co.,Ltd.」、「Kao Corporation Shanghai」等から明らかなように、申立人の商標「Kao」が付されている。
申立人の事業内容は、一般消費者に向けたコンシューマープロダクツ事業と、産業界のニーズにきめ細かく対応した製品のケミカル事業とがあり、コンシューマープロダクツ事業では、洗濯用・住居用洗剤や生理用品、おむつなどの「ハイジーン&リビングケア事業」、スキンケア製品及びメイクアップ製品の「化粧品事業」、ハンドソープ、洗顔料、ヘアケア製品、入浴剤及び歯磨きなどの「ヘルス&ビューティケア事業」、飲料や業務用洗剤などの「ライフケア事業」の4つの事業分野を主に展開する(甲5の6)。
なお、2021年12月期における申立人の売上高は、1兆4,188億円である(甲5の6)。
2 「Kao」及び「KAO」の周知・著名性について
(1)申立人商標の独創性及び継続使用
「花王」は、申立人が1890年に販売を開始した石けんに採用した名称であり、顔も洗える高品質の国産石けん誕生への想いを込めて「カオ(顔)石鹸」と名づけ、「花王」という文字をあてることにより創作されたものである(甲6)。これが社名の由来ともなり、申立人は1985年までは「花王石鹸株式会社」、その後は「花王株式会社」の商号で営業を継続し(甲7)、申立人の業務に係る商品及び役務を表示する商標として使用され続け、「花王」の英字表記である「Kao」及び「KAO」についても、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、長年にわたり使用されている。
申立人の販売する「花王石鹸ホワイト」の歴代パッケージを確認すると、遅くとも1970年には「Kao」の商標が使用され、その後も現在に至るまで「Kao」及び「KAO」の商標が使用されている(甲8)。
また、新聞広告(甲9)によれば、昭和37年当時、申立人の商品「花王フェザーシャンプー」について、「KAO」の商標が使用されていた。
そして、申立人は2009年までは「花王」と擬人化された月のマークをコーポレートマークとして使用していたが、2009年からは花王グループを表すロゴを、英文字の「Kao」に、日本及びアジアのコンシューマープロダクツとケミカル事業のロゴを月のマークに英文字の「Kao」を組み合わせたロゴに変更し(甲10の1、甲10の2)、2021年には花王グループを表す全てのロゴ(日本及びアジアのコンシューマープロダクツとケミカル事業のロゴ)が、引用商標4(別掲3)として示す「Kao」に統一された(甲10の3)。
申立人は、洗剤の「アタック」、布製品や空間用の消臭芳香剤の「リセッシュ」、洗顔料の「ビオレ」、柔軟剤の「ハミング」、入浴剤の「バブ」、おむつの「メリーズ」等々、多様な商品分野において周知・著名なブランドを多数保有しており、申立人はこれら膨大な量の商品の1つ1つに「Kao」の商標を付して販売している(甲11〜甲19)。
また、申立人は「Kao」及び「KAO」の文字よりなる商標をパンフレット、カタログ等にも使用し、遅くとも1999年度のアニュアルレポートからは、申立人の英文社名「Kao Corporation」及び月のマークに英文字の「Kao」を組み合わせたロゴが使用されている(甲20の12)。
さらに、「花王ケミカルだより」(申立人のケミカル事業部門が企画制作する顧客向け情報冊子であり、申立人の商品に関する情報等が掲載されている。)にも「Kao」の文字が使用され(甲21)、2003年より継続して発行されているパンフレット「Kaoヘルスケアレポート」(申立人が主催する花王健康科学研究会が編集・発行する顧客向け情報冊子であり、健康に関する最新の研究情報等が掲載されている。)にも「Kao」及び「KAO」が使用されている(甲22)。
そのうえ、申立人ホームページに掲載されたケミカル商品のカタログにおいても、「Kao」が使用されている(甲23)。
(2)申立人の広告活動
申立人は「Kao」及び「KAO」ブランドの認知度を高めるべく、積極的な広告活動を行ってきたところ、広告宣伝費は、2013年度は864億600万円、2014年度は924億1000万円、2015年度は944億9600万円、2016年度は974億3700万円、2017年度は899億3500万円、2018年度は802億7400万円、2019年度は775億4500万円、2020年度は719億8400万円及び2021年度は748億4700万円である(甲24)。
申立人は、東洋経済オンラインの「「広告宣伝費」が多いトップ300社ランキング」において、2017年11位(甲25)、日経広告研究所の「有力企業の広告宣伝費 2020年版」において単独決算ベースで2位となるなど(甲26)、広告費用に関するランキングにおいても上位を占めている。
申立人は、積極的にテレビCMを流し(甲27〜甲31)、新聞においても、2009年のロゴマーク変更の際には全国42紙に「Kao」を使用した全面広告を出し(甲32)、近年でも、全国紙に「Kao」を使用した全面広告や八王子駅に大形看板を出す等(甲33〜甲36)、広告活動を行い、「日テレCM大賞」等を受賞している(甲37〜甲39)。
(3)申立人の防護標章登録について
申立人は、登録第3027307号商標の防護標章について登録を受けており、引用商標1は著名商標として認定されている(甲45)。
(4)周知・著名性の認定に関する審決、取消決定例
無効2012−890057号に係る審決、商願平7−65594号異議決定及び平成元年審判第18562号の無効審判の審決(甲46〜甲48)からみても、申立人の商標「Kao」及び「KAO」が周知・著名性を有することは顕著な事実である。
また、特許情報プラットフォーム「J−PlatPat」の「日本国周知・著名商標検索」によれば、引用商標2及び引用商標3が周知・著名商標として検索される(甲49)。
以上述べたとおり、申立人は「せっけん類,化粧品,香料,消臭芳香剤,おむつ,飲料」等、様々な商品について取り扱っており、「Kao」及び「KAO」は申立人の略称及びハウスマークとして長年使用されている。また、申立人は毎年多額の広告費を投じており、需要者、取引者の広告接触度や評価も高い。
さらには、「Kao」の防護標章登録の存在や特許庁における審決及び異議決定でその周知・著名性が認められていた点を勘案すると、「Kao」及び「KAO」は本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において周知・著名になっていたというべきである。
(5)「KAO」「kao」に係るインターネット検索の事実実験
申立人の商標「Kao」及び「KAO」が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者間に周知・著名となった結果、「kao」(全て小文字)の表記についても、申立人を表すものとして需要者等に認識されるものとなっている(甲50、甲51)。
このように「KAO」及び「kao」の文字も、本件商標の登録出願時及び登録査定時において花王株式会社(Kao Corporation)の略称を示すものとして周知・著名であり、申立人の業務内容を示す商標として取引者、需要者に広く認識されるものとなっている。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標「KaoKaoMarket」は、周知・著名な申立人の商標「Kao」を語頭に有する。そして、本件商標の語頭(前半部分)は「KaoKao」と「Kao」を二回繰り返し、後半部分は「市、市場」を意味する一般的な英語である「Market」(甲52)からなるものである。
同じ語句を繰り返し並べる「反復法」は、意味を強調する表現であるところ(甲53)、本件商標は,左から読むのが通常であるローマ文字横書きの態様であって、最も需要者の目につきやすい語頭において「Kao」を繰り返している。
本件商標構成中の後半部分の「Market」は識別力の弱い部分であるから(甲54の1、2)、前半の「KaoKao」部分において「Kao」が二回繰り返されることにより、「Kao」が強調されて需要者・取引者の印象に残るとみるのが相当である。
さらに、本件商標「KaoKaoMarket」は、大文字の「K」と小文字の「ao」を組み合わせた「Kao」の後に、また大文字の「K」と小文字の「ao」を組み合わせた「Kao」、「M」を大文字とする「Market」を配するため、「Kao」、「Kao」及び「Market」という3つの単語に分断される印象を看取させる。このことから、本件商標「KaoKaoMarket」に接する需要者・取引者においては,「カオー、カオー、マーケット(Kao、Kao、Market)」と単語ごとに一呼吸おいて称呼されるというのが自然である。
そして、「Kao」部分は申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、周知・著名であるから、本件商標に接する需要者は、申立人である「花王株式会社(Kao)」を想起する。
さらに、申立人が「KaoKaoMarket」をamazon及びRakutenの各サイトにおいて検索を行ったところ、いずれのサイトにおいても、申立人の商品のみが検索された(甲54の3、4)。
したがって、引用商標は、「カオー」の称呼が生じ、「花王株式会社」あるいは、化粧品・せっけん類等の周知・著名なブランドとしての「花王」「KAO」の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標とは彼此誤認混同を生ずるおそれがある。
4 本件商標の取消理由について
(1)商標法第4条第1項第15号について
申立人の商標「Kao」「KAO」は申立人の造語であり、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、取引者、需要者間に周知・著名である。
そして、本件商標の構成中「Kao」を繰り返した「KaoKao」部分により「Kao」が強調され、需要者・取引者に強い印象を与える。
申立人は、前述のとおり、多種多様な商品の製造販売及びこれに付随するサービスを行っており、広範囲な経営を行っている。
「KAO」「kao」に係るインターネット検索の事実実験の結果(甲50、甲51)を見ても、「KAO」「kao」が申立人を示す商標として検索結果の上位を占めており、ここに本件商標を示すサイトが検索結果として挙がってきた場合、これに接する需要者・取引者は花王株式会社(Kao)と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、商品等の出所について混同するおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第8号について
「Kao」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知・著名であり、花王株式会社(Kao Corporation)の略称を示すものとして取引者・需要者に広く認識されている。
本件商標は、他人(申立人)の著名な略称である「Kao」を含む商標であって、申立人の承諾を得ているものではないため、商標法第4条第1項第8号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字の周知性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 申立人は、1940年5月に設立され、2021年12月末現在、資本金854億円、従業員数が8500人を超える企業であって、国内に多くの事業所、工場等、また、外国に多数のグループ会社を有するグローバル企業であって、「ハイジーン&リビングケア事業」(洗濯用・住居用洗剤や生理用品、おむつなど)、「化粧品事業」(スキンケア製品及びメイクアップ製品)、「ヘルス&ビューティケア事業」(ハンドソープ、洗顔料、ヘアケア製品、入浴剤及び歯磨きなど)、「ライフケア事業」(飲料、業務用洗剤など)といったコンシューマープロダクツ事業を展開し、これに「ケミカル事業」を加えた2021年12月期の売上高は14,188億円である(甲5)。
イ 申立人の社名は、1985年に「花王石鹸株式会社」から「花王株式会社」に改称されたところ、その英文社名は「Kao Corporation」であって、海外におけるグループ会社の社名には、「Kao」の文字を冠している(甲5の1、3〜5)。
ウ 申立人のホームページの写し(2022年9月5日出力)(甲5、甲8、甲10)には、その上部中央に引用商標4(以下「Kaoロゴ」という。)が表示されている。
申立人のウェブサイトにおける「デザインヒストリー」のページ(2022年9月5日出力)には、申立人の商品「せっけん」の包装の変遷が掲載されているところ、1970年、1976年、1986年、1993年、1999年、2005年及び2008年に発売されたせっけんの包装には、それぞれ異なる態様でデザイン化した「Kao」又は「KAO」の文字が表示され、2013年、2015年及び2018年発売のものには、Kaoロゴの横に擬人化した左向きの月の図形を配してなる商標(以下「Kaoロゴ及び月図形」という。)が表示されている(甲8の1)。
また、申立人のウェブサイトにおける「花王ホワイトセレクト」のページ(2022年9月5日出力)に紹介されている「花王ホワイトセレクト」と称するせっけんの包装に、「Kaoロゴ」が表示されている(甲8の2)。
エ 昭和37年6月8日付け読売新聞における「花王フェザーシャンプー」の広告には、商品「シャンプー」の容器に「KAO」の文字が表示されている(甲9)。
オ 申立人は、2009年から花王グループを表すロゴを「Kaoロゴ」としつつ、日本及びアジアのコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業のロゴは「Kaoロゴ及び月図形」とした(甲10の2)。その後、申立人は、2021年に花王グループを表すすべてのロゴ(日本及びアジアのコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業のロゴを含む。)を「Kaoロゴ」に統一した(甲10の3)。
カ 申立人は自身のウェブサイト内に、洗剤、消臭剤、洗顔料、ボディーソープ、柔軟剤及び入浴剤等(以下「洗剤等」という。)の個別のブランドページを有しており、当該個別ブランドページには、2022年9月5日出力時には「Kaoロゴ」が表示されているものの、Wayback Machineに保存されているデータ(甲11の4、甲11の5、甲12の4、甲12の5、甲13の4、甲13の5、甲14の5、甲15の3、甲15の4、甲16の2、甲17の3、甲17の4、甲18の4、甲18の5)によれば、少なくとも2013年7月から2017年7月の期間において、「Kaoロゴ及び月図形」が表示され、さらに、洗剤等の個別ブランド商品それぞれにも「Kaoロゴ及び月図形」又は「Kaoロゴ」が付されている(甲11〜甲19)。
キ 申立人の「花王統合レポート」(2017年〜2021年)(甲20の1〜5)及び「Annual Report」(2010年〜2015年)(甲20の6〜12)の表紙及び裏表紙に、「Kaoロゴ」が表示されている。
また、「花王ケミカルだより」(2015年〜2021年)の裏表紙の企画制作欄及び「KAO HEALTH CARE REPORT」(2009年〜2021年)の裏表紙又は発行者欄に、「Kaoロゴ及び月図形」が表示されている(甲21、甲22の1〜12、14)。
そして、申立人の「ケミカル事業部門」による案内誌、カタログ類(「花王の香粧品・医薬品原料」(2020年)、「花王の高級脂肪酸ルナック/グリセリン」(2019年)、「クリンスルー」(2019年)、「花王の界面活性剤」(2019年)、「花王の脂肪アミン/ファーミン」(2018年)及び「花王の高級アルコール/カルコール」(2017年)、「花王のエステル製品」(2019年))の表紙又は裏表紙に、「Kaoロゴ及び月図形」が表示されている(甲23の1、2、4〜9)。なお、同様のカタログ「塩化ビニル樹脂用可塑剤」(2019年)及び「プラスチック用滑剤」(2020年)には、「Kaoロゴ」が表示されている(甲23の3、10)。
ク 申立人の有価証券報告書(第108期/2013年〜第116期/2021年)によれば、広告宣伝費は、2013年は864億600万円、2014年は924億1000万円、2015年は944億9600万円、2016年は974億3700万円、2017年度は899億3500万円、2018年度は802億7400万円、2019年度は775億4500万円、2020年度は719億8400万円及び2021年度は748億4700万円である(甲24)。
(2)上記(1)によれば、申立人のウェブサイト、個別ブランドのウェブページ、申立人が製造販売する洗剤等の商品、申立人が発行する報告書やカタログ等の表紙等に、「Kaoロゴ及び月図形」又は「Kaoロゴ」が表示されていることが認められるものの、「Kaoロゴ」が単独で使用されているのは、それ程数多いものとははいえない。そして、「Kaoロゴ」が単独で(日本及びアジアのコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業の)花王グループを表すロゴとして統一されたのは2021年のことであって、それ程長い期間が経過したものではない。
さらに、申立人は2013年から2021年の有価証券報告書をもって広告宣伝費を主張しているが、その詳細は不明であって、引用商標4(「Kaoロゴ」)を含む引用商標を使用した申立人の業務に係る商品についての販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績等などは明らかではない。
そうすると、引用商標4(「Kaoロゴ」)は、「Kaoロゴ及び月図形」としての使用を含めると、申立人の業務に係る商品「洗剤等」を表示する商標としてある程度知られていることがうかがえるとしても、それ以外の取引者、需要者、特に本件商標の指定商品の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
そのほか、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、又は申立人の名称の略称として広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字は、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認めることができないものであり、かつ、「Kao」又は「KAO」の文字が申立人の著名な略称ということもできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「KaoKaoMarket」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、かつ、本件商標の構成全体に相応して生じる「カオカオマーケット」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標のかかる構成態様においては、外観上「KaoKao」の文字部分と「Market」の文字部分のいずれかが独立して強調されているとみられる態様ではなく、その構成全体をもって「カオカオマーケット」とのみ称呼される一体不可分の造語を表した商標と認識されるとみるべきであるから、その構成中の「Kao」の文字部分のみを分離、抽出して観察しなければならない格別の理由は存しない。
さらに、本件商標は、その構成中「Kao」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標の上記構成及び称呼からすれば、これに接する取引者、需要者は、殊更に「Kao」の文字部分のみに着目することなく、本件商標の構成全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し、把握するというのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「カオカオマーケット」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字について
引用商標1は、別掲1のとおり、デザイン化した「Kao」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は、「KAO」の文字を標準文字で表してなり、引用商標3は、別掲2のとおり、「KAO」の欧文字を横書きしてなり、引用商標4は、別掲3のとおり、デザイン化した「Kao」の欧文字を横書きしてなるところ、これらの文字はいずれも一般的な辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読み風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、引用商標はその構成文字に相応して「カオ」の称呼を生じるものである。
また、「Kao」及び「KAO」の文字についても、同様にその構成文字に相応して「カオ」の称呼を生じるものである。
したがって、引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字は、それぞれ「カオ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字との類否について
本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字とを比較すると、両商標は、外観において、全体の構成文字数及び「Market」の文字の有無という明らかな差異があることから、外観上、いずれも判然と区別し得るものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「カオカオマーケット」の称呼と、引用商標から生じる「カオ」の称呼とは、その構成音と音数が相違し、後半部における「カオマーケット」の音の有無という明らかな差異を有するものであり、該差異が称呼全体に与える影響は大きいといえるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、いずれも明瞭に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字は、いずれも特定の観念は生じないものであるから、両者は、観念において比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字とは、観念において比較できないとしても、外観においては判然と区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、これらの商標は、いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
(2)出所の混同のおそれについて
上記1(2)のとおり、引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字は、いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認めることができないものである。
また、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字とは、非類似の商標であって、いずれも別異のものというべきであるから、その類似性の程度は高いものとはいえない。
さらに、本件商標の指定商品と、申立人の業務に係る商品は、商品の生産部門、販売部門、原材料、用途などが異なるものであり、通常同一の営業主により製造又は販売されているものでもないから、両商品の関連性の程度は低いというのが相当である。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が引用商標、「Kao」及び「KAO」の文字を連想又は想起することはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人は、引用商標が申立人の略称として需要者に広く知られたものであり、また、本件商標は申立人の承諾を得ているものではない旨述べているが、「Kao」及び「KAO」の文字は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の名称の略称として著名となっていたと認めることはできないから、本件商標は、他人の名称及び著名な略称を含む商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 引用商標1(登録第3027307号商標)


別掲2 引用商標3(登録第526157号商標)


別掲3 引用商標4(申立人社標)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-05-16 
出願番号 2022019744 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W11)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 小林 裕子
鈴木 雅也
登録日 2022-06-06 
登録番号 6567223 
権利者 岩田 佳織
商標の称呼 カオカオマーケット、カオカオ 
代理人 仲村 圭代 
代理人 内藤 拓郎 
代理人 羽切 正治 
代理人 大木下 香織 
代理人 小野 博喜 

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