• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
管理番号 1398373 
総通号数 18 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-10-14 
確定日 2023-03-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第5733393号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5733393号商標の指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5733393号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILDBASE」と「ワイルドベース」の文字を二段に表してなり、平成26年6月19日に登録出願、「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類の商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同27年1月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年(2021年)10月27日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年(2018年)10月27日から令和3年(2021年)10月26日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の答弁について
ア 乙第3号証について
(ア)事業計画書は、当該書証中の、「DATA DRAWN 2020,12,25」との記載を根拠として2020年12月25日に作成されたとしているが、昨今のコンピュータの性能によれば、任意の日時に設定してデータ記載することは可能であり、日時データを改ざんして印刷することは容易であるから、その作成日時は客観性に欠ける。
(イ)事業計画書により補助金の申請を行った事実及び当該申請が通らなかった事実を証明する証拠は何ら示されていない。したがって、補助金の申請を行ったか否かが不明であるから、2020年12月25日時点における事業計画書自体の信憑性に欠ける。
(ウ)事業計画書によれば、全体の<PROJECT TITLE>に本件商標は使用されておらず、<AUTO CAMP>、<Mountainview VIP SITE>等のサービスを提供する際の商標としてのみ事業計画されているにとどまり、小売等役務を提供する際に使用する商標として、本件商標の使用が想定されている証拠となり得ない。
(エ)事業計画書には、販売検討商品として各種商品が列挙されているが、当該ページに本件商標は記載されていない。
イ 乙第4号証について
(ア)写真は、ある店舗内の一部販売コーナーの写真にすぎず、どの程度の規模における販売店・店舗において、どのスペースを利用して本件商標を使用した販売コーナーが設置されたのか、全く理解できない。
(イ)事業計画書の事業予定地は大分県であるのに対し、販売店が設置されたのは千葉県である。大分県の事業予定を千葉県で宣伝する一連の行為は何ら一貫性も関連性もなく、事業計画自体が疑わしい。
(ウ)写真はいつ撮影されたのか不明である。また、販売コーナーにバックが陳列された棚段に「WILD BASE SHOP」と印字された紙面と事業計画書の印刷物をクリアファイル等に挟んで立てかけた状態の写真が示されているが、陳列されたバックは「ZAB」のタグがつけられた「あけぼのビーチパーク」のオリジナル商品であり、同パーク内で販売店設置時期及び現在も販売されているものと思料される。本件取消審判を受け、「WILD BASE SHOP」の印字紙面等を立てかけて写真を撮影してねつ造することも可能であるから、何ら証拠能力を有するものではない。
ウ 乙第5号証について
「あけぼのビーチパーク」における物販のデータは、単にZABオリジナルバックの販売実績が示されているにすぎず、本件商標はどこにも表記されていないから、本件商標を使用した商品の販売実績を証明するものにならない。
エ その他の証拠は、本件商標の使用を証明する直接的な証拠ではない。
(2)以上、被請求人が本件商標の使用事実を立証するために提出した証拠は、客観性や信憑性に欠け、一部ねつ造さえ疑われるから、商標法第50条第2項の立証責任を果たし得るものではない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 被請求人は、2015年3月1日に、SEVENTY−THREE株式会社に本件商標に関する通常使用権を許諾した(乙1)。通常使用権の範囲は日本国内、期間は2015年3月1日から2025年2月28日まで(10年間)、内容は被服及びかばん類の小売り、その他の指定役務の全て」である。その後、SEVENTY−THREE株式会社は、平成31年4月2日及び令和元年8月2日の商号の変更登記により株式会社OUTDOOR LIVING(以下「アウトドア社」ということがある。)となった(乙2)。
(1)アウトドア社は、2020年12月25日に事業計画書を作成した(乙3)。事業計画書の作成目的は補助金申請のためのものであるが、補助金申請は通らず、一旦この事業計画は中止している。事業計画書は、表紙「NAGAYU BBQ&SAUNA PARK WILD BASE」と2葉目「BBQ&SAUNA PARK/WILD BASE Layout Plan」等のように「WILD BASE」の文字を含んで記載され、15葉目の事業収支計画には「WILD BASE」が記載され、16葉目の販売検討商品に、「Tシャツ、エプロン、キャップ、ビーチサンダル、ミニトートバック」と記載されている。
(2)アウトドア社は、千葉県柏市のあけぼの山農業公園 あけぼのビーチパークにおいて本件商標名の販売店を設置し、2021年1月から2か月間バックを販売した。事業計画の宣伝を目的としたものであって、「WILD BASE SHOP」コーナーを設け、事業計画書とバックを並べ(乙4)て販売し、バック6個を売り上げて、その実績は、21,200円であった(乙5)。
(3)事業計画書に基づき、「WILD BASE SHOP」コーナーを設けてバックの販売に使用した商標は、「WILD BASE」であり、本件商標と社会通念上同一と認められる。
2 したがって、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者においてその請求に係る指定役務に使用しているものである。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和4年9月29日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者又は通常使用権者が、請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和4年3月4日付けの弁駁書に対する回答を求めた。

第5 審尋に対する回答
前記第4の審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。

第6 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標権者(被請求人)は、2015年3月1日に、SEVENTY−THREE株式会社に本件商標に関する通常使用権を許諾した(乙1)。SEVENTY−THREE株式会社は、令和元年8月2日に株式会社OUTDOOR LIVING(以下「アウトドア社」という。)に商号の変更登記した(乙2)。
(2)アウトドア社は、2020年12月25日に「NAGAYU BBQ&SAUNA PARK WILD BASE」という表題の事業計画書を作成したところ(乙3)、当該事業計画書の16葉目には販売検討商品として、「Tシャツ、エプロン、キャップ、ビーチサンダル、ミニトートバック」と記載されている。
(3)「WILD BASE SHOP」と表示された立札と事業計画書と思しき書証を立てかけた棚には、「Akebono−Beach Park−」の表示があるバッグ(以下「本件バッグ」という。)が展示され、その値段を表す立札には「ZAB/3,900円」との記載がある(乙4)。商品名を「ZABオリジナルバック」とする商品の2021年1月1日ないし同年2月28日の販売個数は6個で、売上実績は、21,200円であった(乙5)。
2 上記1によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標権者は、要証期間を含む期間において、SEVENTY−THREE株式会社(アウトドア社)と本件商標について通常使用権を許諾していたこと(乙1、乙2)、アウトドア社が「NAGAYU BBQ&SAUNA PARK WILD BASE」を表題とする事業計画書を2020年12月25日に作成し、「Tシャツ」や「ミニトートバック」等の商品販売が検討されていたことなどがうかがえる(乙3)。
しかしながら、当該事業計画書(乙3)は、大分県長湯のBBQとサウナを併設する施設に関するものであり、アウトドア社が、そこで「Tシャツ」等の商品の販売を検討していたとしても、本件商標を請求に係る指定役務について使用した事実を確認することはできない。
(2)被請求人が、千葉県柏市のあけぼの山農業公園 あけぼのビーチパーク(以下「あけぼのビーチパーク」という。)における本件バックの販売状態写真と主張する写真(乙4)は、撮影日のほか当該写真があけぼのビーチパーク内店舗であるのかが不明である上に、店舗経営者がアウトドア社であるのかも確認できない。
そして、本件バックは、その表示から、あけぼのビーチパークオリジナルバックと認められるところ、アウトドア社が「WILD BASE SHOP」の表示の下に本件バックを販売するに至った経緯及びアウトドア社とあけぼのビーチパークとの関係は不明である。
さらに、2021年1月1日ないし同年2月28日における、ZABオリジナルバックの販売数は6個で、売上21,200円とあるが(乙5)、乙第4号証の写真における本件バックの前に置かれた値札である「3,900円」の記載からすれば、本件バック6個の販売金額は「23,400円」と推定されるところ、当該売上実績額(21,200円)は推定される販売金額(23,400円)と相違しており、本件バッグが販売されたかは定かではない。
以上からすると、アウトドア社が「WILD BASE SHOP」の下に、本件バッグの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を行っていたことを認めることはできない。
(3)提出されたすべての証拠をみても、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について本件商標を使用したことを認め得る事情は見いだせない。
(4)したがって、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかがが、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを認めることができない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2023-01-05 
結審通知日 2023-01-11 
審決日 2023-02-01 
出願番号 2014051363 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W35)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
清川 恵子
登録日 2015-01-16 
登録番号 5733393 
商標の称呼 ワイルドベース 
代理人 福田 信雄 
代理人 鶴若 俊雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ