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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1397352 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-08-25 |
確定日 | 2023-05-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6573543号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6573543号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6573543号商標(以下「本件商標」という。)は、「オーリス」の片仮名と「ORRIS」の欧文字を2段に表してなり、令和3年6月9日に登録出願、第3類「洗濯用抗菌剤,洗濯用抗ウィルス剤,抗ウィルス効果を有する業務用洗濯用洗浄剤」を指定商品として、同4年5月16日に登録査定され、同年6月17日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5640552号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 ORBIS 指定商品 第3類「せっけん類,化粧品」 登録出願日 平成25年9月3日 設定登録日 平成25年12月27日 なお、第1類、第3類、第5類、第18類、第25類、第29類、第30類、第32類、第35類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務について防護標章登録されている。 (2)登録第657344号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 「ORBIS」の欧文字と「オービス」の片仮名を2段に表してなるもの 指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」 登録出願日 昭和38年10月2日 設定登録日 昭和39年11月4日 書換登録日 平成17年11月24日 なお、申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして引用商標(1及び2)を、同項第15号に該当するものとして引用商標1を引用している。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中、第3類「抗ウィルス効果を有する業務用洗濯用洗浄剤」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、「オーリス」の片仮名と「ORRIS」の欧文字を上下二段に横書きしてなるものである。 イ 引用商標 引用商標1は、「ORBIS」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標2は「ORBIS」の欧文字と「オービス」の片仮名を二段に横書きしてなるものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 (ア)本件商標と引用商標1 a 外観について 本件商標は「オーリス」の片仮名と「ORRIS」の欧文字とを二段に横書きした構成からなるのに対し、引用商標1は「ORBIS」の欧文字のみからなるものである。 しかして、本件商標の片仮名部分と欧文字部分とは、字体が異なることから視覚上分離して把握され、下段の「ORRIS」の欧文字部分も独立して商標としての機能を果たすというべきである。 そこで、該「ORRIS」の欧文字部分と引用商標1の「ORBIS」とを比較した場合、両者は、5文字中、「O」「R」「I」「S」の4文字までを共通にし、異なるところは、比較的印象に残りにくい中間の第3文字目において「R」と「B」の文字に差異を有するにすぎない。 しかも、「R」と「B」は、文字の終筆部において、その線が斜め45度下に伸びるか、湾曲して左の縦線に接合するかのみの差異であるから、文字全体の構成が酷似し、しかも、印象に残りにくい中間に位置することからすると、「ORRIS」の欧文字部分と引用商標1の「ORBIS」については、時と処を異にして観察した場合、外観上、相紛れるおそれのある類似商標といわざるを得ない。(後述の審決例を参照) b 称呼について 本件商標からは「オーリス」の称呼を生じることは明らかである。 引用商標1「ORBIS」は、後述のとおり「オルビス」の称呼をもって「化粧品」等について使用する申立人の周知著名な商標であるが、該文字からは「オービス」の称呼をも生じる場合もある。 そうとすれば、「オーリス」と「オービス」とは、「オー」と「ス」の音を共通にし、異なるところは、印象に残りにくい中間において「リ」と「ビ」の音の差にすぎない。しかも両音は、母音[i]を共通にするものであるから、「オーリス」と「オービス」とを一連に称呼した場合、互いに聞き誤るおそれのある称呼上類似の商標というべきである。 加えて、引用商標1は、後述のとおり、12区分にわたり防護標章登録が認められている(甲6〜甲20)から、その指定商品「化粧品、せっけん類」については、周知著名な商標ということができる。さらに、引用商標1の周知著名性は、申立人の提出する「ORBIS magazin」(甲21〜甲24)からも明らかなように、本件商標の登録出願時はもとより、登録査定時においても周知著名性は継続しているものである。 c 本件商標と引用商標1の類否のまとめ 以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのある類似の商標である。 加えて、引用商標1は、「化粧品、せっけん類」において周知著名な商標であること及びその周知著名性は現在まで継続していること等を考慮すれば、商標権者が本件商標を申立商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれのある類似の商標であることは明らかである。 (イ)本件商標と引用商標2 本件商標は「オーリス」の片仮名と「ORRIS」の欧文字とを二段に横書きした構成からなるのに対し、引用商標2は「ORBIS」の欧文字と「オービス」の片仮名からなるものである。 そして、上記の本件商標と引用商標1との類否において述べたとおり、英文字部分の「ORRIS」と「ORBIS」とは外観上相紛らわしく、また、前者は上部に「オーリス」の片仮名を付し、後者は下部に「オービス」の片仮名を付してなる構成においても、近似しているから、両商標を時と処を異にして観察した場合、外観上、互いに相紛れるおそれのある類似商標といわざるを得ない。 また、「オーリス」と「オービス」の称呼についても、上記の本件商標と引用商標1との称呼の類否において述べたとおり、互いに聞き誤るおそれのある称呼上類似の商標というべきである。 エ 審決例 本件商標と引用商標が類似の商標であることは、以下の審決例からも是認できる。 (ア)無効2007−890101号(甲4) 本件商標「ハーブライフ/HERBLIFE」×引用商標「HERBALIFE」 (イ)無効2011−680001号(甲5) 本件商標「Annil」×引用商標「ANVIL」 オ 本件商標と引用商標の指定商品の類否 本件商標の指定商品中、申立商品と引用商標の指定商品中「せっけん類」とは、類似する商品である。 カ 小括 上記のとおりであるから、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、その外観及び称呼において相紛れるおそれのある類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品中、申立商品と引用商標の指定商品中「せっけん類」とは、同一又は類似の商品である。 したがって、本件商標の指定商品中「抗ウィルス効果を有する業務用洗濯用洗浄剤」(申立商品)については、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上記(1)において述べたとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 仮に本件商標と引用商標が非類似であるとしても、引用商標1は、該登録商標を原登録商標として、「化粧品、せっけん類」と非類似の関係にある12区分の指定商品・指定役務について、防護標章登録が認められている。 すなわち、引用商標1は、「化粧品、せっけん類」について長年にわたり、使用されてきた結果、需要者に広く認識された、周知著名な商標であると認定されたものである。 ア 審査における「ORBIS」の防護標章登録 第1類、第3類、第5類、第18類、第25類、第29類、第30類、第32類、第35類及び第44類については、引用商標1を原登録商標として、審査において防護標章登録が認められた(甲6〜甲14、甲16)。 イ 審判における「ORBIS」の防護標章登録 第41類及び第43類については、審査において引用商標1を原登録商標とする防護標章登録は認められなかったが、審判において認められている(甲15、甲17〜甲19)。 審決では、「化粧品」について周知著名性を認め、「せっけん類」については言及していないが、化粧品と同様に「せっけん類」についても相当程度、周知著名となっている。 ウ 引用商標1は「日本国周知・著名商標」リストに掲載されていること 引用商標1が周知著名商標であることは、上記のとおりであるが、このことは、引用商標1が「特許情報プラットフォーム」(J−PlatPat)の「日本国周知・著名商標」リストに掲載されている(甲20)ことからも裏付けられるものである。 以上のとおりであるから、引用商標1は、申立人が長年にわたり、第3類「化粧品、せっけん類」について使用した結果、周知著名な商標となっていることは明らかである。 エ 現在も「ORBIS」の周知著名性が継続していること さらに、引用商標1の周知著名性は、本件商標の登録出願時はもとより登録査定時に至るまで継続している。 そこで、上記のことを立証するために、資料「ORBIS magazine」の最近発行の一部を提出する。 上記「ORBIS magazine」は、毎月発行される「ORBIS」ブランドの商品カタログであり、化粧品を中心とするものであるが、シャンプー、台所用洗剤など「せっけん類」に属する商品も数多く含まれている。 (ア)「ORBIS magazine」2022年5月発行(抜粋)(甲21) (イ)「ORBIS magazine」2022年6月発行(抜粋)(甲22) (ウ)「ORBIS magazine」2022年7月/8月発行(抜粋)(甲23) (エ)「ORBIS magazine」2022年夏の増刊号(抜粋)(甲24) オ 小括 以上のとおりであるから、仮に、本件商標と引用商標1とは非類似商標としても、引用商標1は「化粧品、せっけん類」について周知著名な商標であること、その周知著名性は本件商標の登録出願時はもとより登録査定時においても継続していること、本件商標と引用商標1とは類似性の高い商標であること、引用商標1の指定商品「化粧品、せっけん類」と本件商標の指定商品中申立商品とは類似商品又は関連性の高い商品であること等からすれば、商標権者が本件商標を申立商品に使用した場合、需要者、取引者は、申立人の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、その指定商品中「抗ウィルス効果を有する業務用洗濯用洗浄剤」(申立商品)については、商標法第4条第1項第15号に該当する。 カ 商標法第4条第1項第15号の審決例 申立人の上記主張を裏付けるため、他人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれがあるとした審決例を紹介する。 (ア)異議2010−900269号(甲25) 本件商標「ARMAYU/アルマーユ」×引用商標「ARMANI」他 (イ)無効2020−890030号(甲26) 本件商標「ISLEY*」×引用商標「sisley/PARIS」 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり「オーリス」の片仮名と「ORRIS」の欧文字を2段に表してなり、該文字に相応し「オーリス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 イ 引用商標 引用商標1は、上記2(1)のとおり「ORBIS」の欧文字を横書きしてなり、該文字に相応し「オービス」「オルビス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 引用商標2は、上記2(2)のとおり「ORBIS」の欧文字と「オービス」の片仮名を2段に表してなり、該文字に相応し「オービス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 ウ 本件商標と引用商標の類否 (ア)外観 a 本件商標と引用商標1 本件商標と引用商標1の外観を比較すると、両者の上記のとおりの外観は片仮名の有無など構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。なお、前者の構成中の文字「ORRIS」と後者の構成文字「ORBIS」の比較においても、両者は3文字目に「R」と「B」の文字の差異を有し、この差異が共に5文字という比較的少ない文字構成からなる両者の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 b 本件商標と引用商標2 本件商標と引用商標2の外観を比較すると、両者の上記のとおりの外観は、片仮名における3文字目の「リ」と「ビ」の文字、及び欧文字における3文字目の「R」と「B」の文字の差異を有し、これらの差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 (イ)称呼 本件商標と引用商標の称呼を比較すると、まず、本件商標から生じる「オーリス」の称呼と引用商標から生じる「オービス」の称呼の比較において、両者は第3音において「リ」と「ビ」の音の差異を有し、この差異がともに4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 次に、本件商標から生じる「オーリス」の称呼と引用商標1から生じる「オルビス」の称呼を比較すると、両者は中間における「(オ)ーリ」と「ルビ」の音の差異を有し、この差異がともに4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 (ウ)観念 両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 (エ)商標の類否のまとめ 上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中、申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (2)商標法第4条第1項第15号について ア 引用商標1の周知性について (ア)申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(商標登録原簿、インターネット情報など)によれば、引用商標1に係る商標登録には第1類、第3類、第5類、第18類、第25類、第29類、第30類、第32類、第35類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務について防護標章登録されていること(甲6〜甲17、職権調査)、特許情報プラットフォームの「日本国周知・著名商標検索」において引用商標1がヒットすること(甲20、職権調査)及び申立人は、2022年(令和4年)5月ないし8月頃に引用商標1を化粧品などに使用していること(甲21〜甲24)が認められる。 しかしながら、引用商標1を使用した商品(以下「引用使用商品」という。)の売上高、シェアなど販売実績を示す主張はなく、その証左は見いだせない。 (イ)上記(ア)のとおり、引用商標1については防護標章登録されていることなどが認められるものの、当該防護標章登録に係る出願についての登録査定又は登録審決された日は、もっとも近いものでも平成27年12月8日であり(甲17、甲19、職権調査)、本件商標の登録出願の日(令和3年6月9日)から5年以上、登録査定の日(令和4年5月16日)から6年以上前であること、日本国周知・著名商標検索においては「防護標章として登録されたものである」旨記載されていること(甲20)及び引用使用商品の販売実績(特に近年のもの)を示す証左は見いだせないことをあわせ考慮すれば、引用商標1は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることは困難である。 イ 本件商標と引用商標1の類否 上記(1)のとおり、本件商標と引用商標1は相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものである。 ウ 混同のおそれ 上記アのとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記イのとおり、本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、本件商標の指定商品中、申立商品と引用使用商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを申立商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標1を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件商標の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品(申立商品)についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2023-04-24 |
出願番号 | 2021071202 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W03)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
飯田 亜紀 大森 友子 |
登録日 | 2022-06-17 |
登録番号 | 6573543 |
権利者 | 日華化学株式会社 |
商標の称呼 | オーリス、オリス |
代理人 | 鈴木 亜美 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 山田 清治 |
代理人 | 和田 光子 |