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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W10
管理番号 1397315 
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-08-25 
確定日 2023-04-05 
事件の表示 商願2021−148442拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ホワイトデンチャー」の文字を標準文字で表してなり、第10類「義歯,義歯セット,医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」を指定商品として、令和3年11月29日に登録出願されたものである。
本願は、令和4年5月9日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月13日に意見書が提出されたが、同年7月12日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和4年8月25日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、「ホワイトデンチャー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ホワイト」の文字は「白い」の意味を有する英語「white」の表音を片仮名で表したものであり、「デンチャー」の文字は「義歯」の意味を有する英語「denture」の表音を片仮名で表したものであって、一般に使用されているものであるから、本願商標全体からは「白い義歯」程の意味合いを容易に理解・認識させる。そうすると、本願商標をその指定商品中「白い義歯,白い義歯セット」に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。また、本願商標を前記照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、請求人に対し令和4年11月18日付けで証拠調べ通知書を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見(要旨)
1 証拠調べ通知書に示された証拠における使用例のうち、インプラントに関する「白い義歯」の使用例について、「インプラント」は義歯の一種であるため、本願の指定商品に係る業界の取引の実情において、「義歯」の語は、商品や役務に関する説明文など文章中では使用されることがあるが、「インプラント」を指す語として取引上一般的に使用されておらず、また、「デンチャー」の語が「インプラント」を指す語としても使用されていないことから、本願商標の「ホワイトデンチャー」が「インプラント」を表示するものと一般に認識することはなく、当該使用例は証拠として適切ではない。
2 本願の指定商品に係る業界において、「白い」又は「白色」の語は、入れ歯について、汚れに関する説明文で使用されることはあるものの、商品の特徴等を表示するものとして使用されることは一般的ではない。また、「ホワイト」の語は、「白い」と同義で用いることは取引上一般的ではなく、「ホワイトニング」のように、「美しい白さ」を意味する場合に「ホワイト」の語が使用されていることから、本願商標は、指定商品の特徴等を具体的かつ直接的に表示するものではない。
3 本願商標である「ホワイトデンチャー」は、「ホワイトニング」の「ホワイト」とは異なる意味にて「ホワイト」の語を敢えて使用しており、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る造語というべきである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記第1のとおり、「ホワイトデンチャー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ホワイト」の文字は、別掲の証拠調べ通知書において示した事実1のとおり、「白。白色」等の意味を有する、極めて平易で、広く一般に親しまれた語であり、また、「デンチャー」の文字は、「義歯、入れ歯」の意味を有する英語「denture」を片仮名で表記したものであるから、本願商標全体として、「白色の義歯」、「白色の入れ歯」程の意味合いを想起させ得るものである。
そして、別掲の証拠調べ通知書において示した事実2のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界や義歯、入れ歯に関連する商品を取り扱う業界において、「白い義歯」、「白い入れ歯」等と称して、人工の歯の色が本来の歯の色と同じような白色であることを表すものとして使用されている実情が見受けられる。
そうすると、「白。白色」の意味を有する「ホワイト」の文字と、「義歯、入れ歯」の意味を有する「デンチャー」の文字を結合してなる本願商標を、その指定商品中「義歯,義歯セット」に使用したとしても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の人工の歯の色が本来の歯の色と同じような白色であることを認識するにとどまるというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質を表すものとして認識されるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表すものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、かつ、本願の指定商品中、「義歯,義歯セット」以外の商品に使用した場合には、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものである。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、証拠調べ通知書に示された証拠における使用例のうち、インプラントに関する「白い義歯」の使用例について、本願の指定商品に係る業界の取引の実情において、「義歯」の語は、「インプラント」が「義歯」の一種であるため、インプラント関連の商品や役務に関する説明文など文章中では使用されることがあるが、「インプラント」を指す語として取引上一般的に使用されておらず、また、「デンチャー」の語が「インプラント」を指す語としても使用されていないから、本願商標の「ホワイトデンチャー」が「インプラント」を表示するものと一般に認識することはない旨主張する。
しかしながら、請求人も主張するように、「インプラント」は「義歯」の一種であって、本願の指定商品中の「義歯」には「インプラント」が含まれるものと解するのが相当であり、また現に、「義歯」の語が、インプラント関連の商品や役務に関する説明文など文章中に使用されていることなどからすれば、当該「白い義歯」等の使用例は、本願の指定商品である「義歯」等に係る取引の実情を示したものといえるものである。
(2)請求人は、本願の指定商品に係る業界において、「ホワイトデンチャー」の使用事例は、請求人を除き存在しておらず、本願商標は、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識される旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであり(平成12年(行ケ)第76号 平成12年9月4日 東京高等裁判所)、たとえ、「ホワイトデンチャー」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、請求人以外の者によって使用されていないとしても、上記1のとおり、本願商標は、全体として「白色の義歯」、「白色の入れ歯」程の意味合いを想起させ得るものであって、かつ、本願の指定商品を取り扱う業界や義歯、入れ歯に関連する商品を取り扱う業界において、「白い義歯」、「白い入れ歯」等と称して、人工の歯の色が本来の歯の色と同じような白色であることを表すものとして使用されている実情が見受けられることからすれば、本願商標は、取引者、需要者に商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標であると判断するのが相当である。
(3)本願の指定商品に係る業界において、「白い」又は「白色」の語は、入れ歯について、汚れに関する説明文で使用されることはあるものの、商品の特徴等を表示するものとして使用されることは一般的ではない。また、「ホワイト」の語は、「白い」と同義で用いることは取引上一般的ではなく、「ホワイトニング」のように、「美しい白さ」を意味する場合に「ホワイト」の語が使用されていることから、本願商標は、指定商品の特徴等を具体的かつ直接的に表示するものではない旨主張する。
しかしながら、別掲の証拠調べ通知書において示した事実2のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界や義歯、入れ歯に関連する商品を取り扱う業界においては、たとえ、汚れに関する説明文におけるものであるとしても、当該「白い」又は「白色」の語が、「義歯」や「入れ歯」を直接的に修飾する語として、その義歯や入れ歯が「白い」又は「白色」であること、すなわち、人工の歯の色が本来の歯の色と同じような白色であることを表すものとして使用されているものであって、また、「ホワイト」の語は、上記1のとおり、「白。白色」等の意味を有する、極めて平易で、広く一般に親しまれた語であることからすれば、「ホワイト」の文字は、人工の歯の色が本来の歯の色と同じような白色であることを表すものとして把握され、理解されるとみるのが相当である。
また、同業界において、「美しい白さ」を意味する場合に「ホワイト」の語が使用されているとする請求人の主張について、たとえ「ホワイトニング」の語が「美しい白さ」を表すものであるとしても、「ホワイト」の文字のみで、直ちに「美しい白さ」を表すものとする事情は見いだせないものであり、かつ、それを証する具体的な証拠の提出もない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 証拠調べ通知書において示した事実
1 本願商標の構成中の「ホワイト」及び「デンチャー」の語義並びに「義歯」の語義について
(1)「ホワイト」について
「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「ホワイト」の見出しの下、「デジタル大辞泉「ホワイト」の解説」の項に、「ホワイト(white) 1 白。白色。」の記載がある。
https://kotobank.jp/word/ホワイト-134882
(2)「デンチャー」及び「義歯」について
ア 「英辞郎 on the WEB」のウェブサイトにおいて、「dentureとは」の見出しの下、「denture 名 1.≪歯科≫義歯、入れ歯」の記載がある。
https://eow.alc.co.jp/search?q=denture
イ 「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「義歯」の見出しの下、「六訂版 家庭医学大全科「義歯」の解説」における「義歯 ぎし Denture (歯と歯肉の病気)」の項に、「義歯とは 歯科医療関係者は「入れ歯」を「義歯」と呼びます。失われた足や手、眼を人工物で補う義足や義手、義眼と同様に、義歯は自分の歯に代わる人工の歯を意味します。」の記載がある。
https://kotobank.jp/word/義歯-50340
ウ 「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「義歯」の見出しの下、「デジタル大辞泉「義歯」の解説」の項に、「ぎ‐し【義歯】 歯が抜けたり欠けたりしたあとを補う人工の歯。入れ歯。」の記載がある。
https://kotobank.jp/word/義歯-50340

2 本願の指定商品を取り扱う業界や義歯、入れ歯に関連する商品を取り扱う業界において、「白い義歯」、「白い入れ歯」等と称して、人工の歯の色が白色であることを表すものとして使用されている実情(下線は合議体が付与。)
(1)「futakotamagawa miyoshi dentalclinic」のウェブサイトにおいて、「インプラント」の見出しの下、「インプラント治療をわかりやすく説明」の項に、「インプラント治療とは虫歯や歯周病、外的要因等で失った歯の代わりに、顎骨にインプラント体と呼ばれる人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を固定する治療法です。人工歯には天然歯と同じ白い義歯を使用するので見た目にも機能的にも優れた治療法です。」の記載がある。
https://www.bit-dent.com/implant/
(2)「横浜セントラルパーク歯科」のウェブサイトにおいて、「診療案内」の見出しの下、「自由診療となる治療」の項に、「インプラント治療 インプラント治療は、歯を失った際に選択することのできる歯科治療です。歯が無くなった箇所の顎骨にインプラント体を埋め込み、そこに天然の歯と同様の白い義歯を取り付けることができるものになります。」の記載がある。
https://www.cpdc.jp/service/
(3)「HIURA DENTAL CLINIC」のウェブサイトにおいて、「診療案内」の見出しの下、「インプラント」の項に、「インプラントは天然歯と同じような機能を再現できる、優れた義歯です。歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に自然な白い義歯を装着します。」の記載がある。
https://www.hiura-dental.com/service.html
(4)「南大沢歯科医院」のウェブサイトにおいて、「診療案内」の見出しの下、「インプラント治療」の項に、「インプラント治療は、歯を失った方が顎骨に人工歯根を埋め込み、その上に天然歯と同等の白い義歯を取り付ける治療法です。」の記載がある。
https://www.minamioosawa-dc.com/service/
(5)「町田歯科医院」のウェブサイトにおいて、「診療案内」の見出しの下、「インプラント」の項に、「歯を失ってしまった場所に、人口の歯根を埋入します。これがインプラントと呼ばれます。埋入したインプラントにアバットメントと呼ばれる土台を付け、さらにその上に、審美的に優れた材料の白い義歯をつけて完成となります。」の記載がある。
https://www.m-dent.com/treatment/
(6)「やまざき歯科医院」のウェブサイトにおいて、「当院の入れ歯治療」の見出しの下、「ニーズに合わせた入れ歯をご提案」の項に、「より白い入れ歯をご希望の方には…パールデンチャー 入れ歯の歯の部分を、ホワイトニングをしたような白さでお作りする入れ歯です。」の記載がある。
https://yamazakidentalclinic.jp/997852089
(7)「梅田茶屋町クローバー歯科」のウェブサイトにおいて、「入れ歯の着色汚れはどうすれば良い?」の見出しの下、「入れ歯の着色汚れとは?」の項に、「入れ歯を長い時間装着すると、だんだんと色が付いてしまいます。例えば、部分入れ歯を使用している方の場合でご説明します。白い入れ歯が黄ばみなどで汚れてしまうと他の天然歯との色の差が出てしまいます。ホワイトニングをされた時には更に目立ちます。」の記載がある。
https://www.chayamachi-clover.com/faq/1181.html
(8)「EPARK くすりの窓口」のウェブサイトにおいて、「【薬剤師が解説】おすすめの入れ歯洗浄剤9選」の見出しの下、「【入れ歯の白さを保ちたい方】おすすめ3選」の項に、「薬剤師 村田 直子さんのコメント 汚れのないいつも美しく白い入れ歯は、私たちの憧れでもあります。 白い歯は清潔感を感じさせる源です。とくに人と出会うことが多い方にとって、白い歯は必須条件です。これから、入れ歯の白さを維持できる入れ場洗浄剤をご紹介します。」の記載がある。
https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/denture-cleanser-pickup/
(9)「北光歯科クリニック」のウェブサイトにおいて、「審美歯科」の見出しの下、「審美修復治療」の項に、「審美修復治療は、むし歯や変色により審美的にも機能的にも健康を失った歯を、人工歯によって改善・回復をする治療です。主にインレー(詰め物)、クラウン(被せ物)、コア(土台)、ベニアといった天然歯と同じ機能を果たす義歯を使用します。昔から一般的に使用されているのは、メタルインレーやメタルクラウンなどといった金属で作られたいわゆる「銀歯」というものでした。しかし、現在は技術が進み、セラミックやジルコニアといった天然歯の色味に近い白色の義歯を手に入れることが可能となりました。」の記載がある。
https://hokkou-dc.com/sp/aesthetic.html
(10)「PR TIMES」のウェブサイトにおいて、「入れ歯洗浄剤売上げNo.1(※1)歯科医推奨No.1(※2)ブランド「ポリデント」 毎日シュワーで、毎日除菌!「ポリデント」新TVCMを6月22日からオンエア開始!」の見出しの下、「「ポリデント」シリーズ製品概要■入れ歯(デンチャー)洗浄剤」の項に、「製品名:ホワイトポリデント (48錠/108錠) 製品特徴:入れ歯についた汚れ(※5)を強力に取り除きます。本来の入れ歯の白さを持続します。毎日の使用がさらに効果を増します。」の記載がある。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000001269.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2023-02-01 
結審通知日 2023-02-02 
審決日 2023-02-22 
出願番号 2021148442 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W10)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 小林 裕子
荻野 瑞樹
商標の称呼 ホワイトデンチャー、デンチャー 
代理人 大池 聞平 

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